暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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自律の時間

 翌朝……

 

「ふぁあああああ~」

「いつになく大きなあくびだね」

「うん~今日全然寝てないんだ……ふぁああああ」

 

 徹夜である。家に帰って、シャワー浴び直したりしたら時間がなかった。もうダメ。眠い。

 

「徹夜でゲーム?」

「ゲームと言えばゲームだし~違うと言えば違うかな~」

「……何をやってたの?」

 

 リアル転校生改造ゲーム。と、言っても信じないだろう。ふぁああああ。

 

「あ、有鬼子~。運んで~。寝る~」

「嫌です」

「えぇー」

「ほら、行くよ」

 

 有鬼子に手を引かれ歩いていく。あー手があったかいな~

 

「あ、神社に寄っていい~?」

「何するの?」

「お賽銭」

 

 と、神社に寄ってその後は山登り。

 そして、教室につく。みんなもある程度集まる中、そこにいたのは体積が増えた自律思考固定砲台さんだ。

 

『あ、おはようございます!神崎さん!風人さん!』

「うん~おはよ~自律思考固定砲台さん~」

『はい!』

「ちょ、ちょっと風人君!?驚かないの!?」

 

 珍しく凄い驚き慌てる有鬼子。あーかわいい~

 

「自律思考固定砲台さんが一晩で体積が二倍。表情豊かになって全身液晶になってるんだよ!?」

「まぁ~そ~いうこともあるさ~」

 

 でも、昨日の時点で知ってたからな~いや、あれは今朝か。

 

「ヌルフフフ。昨夜から今朝にかけて、風人君と自律思考固定砲台さんをいじったら、先生の財布の残高がなんと……………5円!」

「0円の間違いでしょ~」

「え?しっかりとここに5円玉が……な、ないぃっ!?」

「昨日帰り際にくすねて、今朝神社にお賽銭として投げちゃった。てへっ♪」

「にゅやぁああああ!この最低マイペース!鬼畜野郎!」

「ふははは!何とでも言うが良い!」

 

(あ、あの時の5円って殺せんせーのだったんだ……)

 

「一晩でえらくキュートになっちゃって」

「アレ、一応固定砲台だよな」

 

 クラスメイトからの評判は上場。まぁ、昨日までが酷かったからなぁ。

 

「なに騙されてんだよ、お前ら。全部あのタコと和光が作ったプログラムだろ」

 

 まぁ、そうだけど。

 

「愛想良くても機械は機械。どーせまた空気読まずに射撃すんだろ、あのポンコツ」

「寺坂君~それはないはずだよ~」

『……いえ、庇わなくて大丈夫です。寺坂さんの仰る気持ちはよく分かりますから。昨日までの私はそうでした。ポンコツ……そう言われても返す言葉がありません』

 

 泣き出す自律思考固定砲台さん。背景も大雨が降っている。そんな様子を見ていた片岡さんと、原さんが寺坂君を責めるような眼差しを向けていた。

 

「あーあ、泣かせた」 

「寺坂君が二次元の女の子泣かせちゃった」

「なんか誤解される言い方やめろ!!」

 

 だって事実だも~ん。

 

「素敵じゃないか、二次元……Dを一つ失う所から女は始まる」

「竹林、それお前の初台詞だぞ!?」

「いいのか!?」

「問題そこじゃないよね!?」

『でも皆さんご安心を。私は協調の大切さを二人から学びました。私の事を好きになって頂けるよう努力し、合意が得られるまで単独での暗殺は控えることにいたしました』

「そういうわけで仲良くしてあげて下さい。もちろん先生と風人君は彼女に様々な改良を施しましたが、彼女の殺意には一切手を付けていません」

『はい!』

「先生を殺したいならきっと心強い仲間になるはずですよ」

 

 うんうんいい感じだ。

 

「ところでせんせー」

「何でしょうカルマ君」

「風人と改良したっていったけど二人は結局何をしたの?」

「ふっ。そんな野暮なこと聞かないで下さい」

「すやー(寝たふり)」

 

 いや~答える必要なさそうだし。

 

「ふーん。ねぇ、自律思考固定砲台さん。昨日の夜何されたのあの二人に」

『はい。あの二人に私の身体の隅々まで覗かれ、一つ一つ自分たちの思うように改造をほどかされ、こんな風に改良されてしまったのです……きゃっ♪』

「ふーん。つまり、人間で言うなら深夜の校舎で裸にひん剥かれ自分の欲望のために身体の隅々まで改造されたと」

『はい!そんな感じです!』

「「全然違う(違います)よね!?」」

 

 それだとまるで僕らが自律思考固定砲台さんにエロいことをしたような感じに聞こえ……はっ!

 

「カーゼートー君?」

「ゆ、有鬼子……」

 

 笑顔なのに殺気がだだ漏れだぁ!

 

「か、カルマー!た、助けてぇ!」

「うーん?何でぇ?面白そうじゃん」

 

 あ、悪い笑顔だ。コイツ狙って言いやがったな。

 

「正座」

「こ、今回は僕悪くないよね!?」

 

 おかしい。今回は特に何も…………はっ!分かったぞ!

 

「殺せんせー!自律思考固定砲台さんの胸のサイズを大きくしたから有鬼子が怒ってるじゃないか!」

「にゅやぁ!?君は本当に余分なことを言う天才ですね!?胸のサイズは平均にしておきましたよ!」

「じゃあ、可愛さにあざとさをプラスしたからか!有鬼子にはないものを入れたから怒ってるんだよ!」

「そんなのよりも全身タッチパネルにしたからでしょ!君の意向と趣味によって彼女の容姿は決めたんですから!」

「何を白々しい!全部プログラムを作ったのアンタだろ!僕はそれを挿れただけだ!」

 

 と、ここで肩に置かれる手。おかしい。置かれたところからだんだんと凍てつくように動かなくなる。

 

「カーゼートー君?(ピキッピキッ)」

 

(((あ、コイツ死んだわ)))

 

 その後、僕の意識はお空の彼方へ消えていったとかいないとか。真相を知るもの曰く、

 

「……俺は何も見ていなかった。そういうことにしといてくれ」

 

 とのこと。ただ、女性陣からは何と言うか仕方ないって感じの目で見られた。解せぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カルマのせいだ……」

「あはは。……ごめん。あそこまで怖いとは思わなかった」

 

 休み時間。恨むような目でカルマを見ると、何とあの最低クズ悪魔が謝ってきた!?

 

「でもさ風人。それだけ愛されてるってことだよー」

「愛されてる?こんな余分なことしか言わず、超自由人のマイペースである僕が?ないないー」

「何と言う客観的分析力」

 

 ふふん。どやぁ。

 

「まぁ、これはこれで面白そうだね~今度から風人に何かする時は神崎さんを焚きつけよう」

「おい。反省してないのか君は」

「うん。してなーい」

 

 はぁ。今度から頑張って怒らせないようにしよ。

 

「でもさー風人。真面目な話……このまま行くと思う?」

 

 自律思考固定砲台さん。不破さんの案から律と呼ばれるようになった彼女は、皆と将棋したり、体内で生成されるプラスチックの造形をしたりとまぁ。人気だね~。ちなみに殺せんせーが『人の顔を私も表示できます』といったがあんまりにもキモかった。

 

「さぁね~。()()()()()()まだ彼女は僕らのプログラム通り動くただの機械。後のことは律を作った奴が決めることだよ~」

「へぇ。分かってんじゃん。分かってて改良に手を貸したの?」

「まぁね~おかげで寝不足。ふぁあああ……」

「眠いのなら保健室に連れて行こうか?」

「うん。よろし――有鬼子!?」

 

 や、やべぇ!今保健室に連れ込まれたら…………確実に()られる!

 

「だ、大丈夫だよ~しっかり寝ないから」

「そう?どうしても眠かったら言ってね……寝せてあげるから」

 

 それは最後に『永遠に』とか付くやつでは!?や、やべぇ……ガチで殺す気だ!

 この日、僕は頑張って授業全てを起き続け、何とか生き延びることに成功した。僕は勝ったんだ……!

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝。つまり、律が転校してきてからかれこれ四日目、木曜日の朝。

 僕らに改造された律の身体が元通りに戻されていた。

 

『おはようございます。皆さん』

 

 一言で言えば、転校したての頃に戻っている。

 

「『生徒に危害を加えない』という契約だが、『今後は改良行為も危害と見なす』と言ってきた」

 

 あれ?あの改造、改良だと思われていたんだね。向こうの方々からも。

 

「君らもだ。彼女を縛ったり、改造したりして壊れたら賠償を請求するそうだ」

 

 と、主に僕と寺坂君を見る烏間先生。何か悪いことしたかなぁ?

 

「持ち主の意向だ。従うしかない」

「持ち主とはこれまた厄介で……親よりも生徒の気持ちを優先させたいんですがねぇ」

 

 烏間先生も口ではこう言っているが、困った感じを隠せない。やれやれ、誰も望まぬダウングレードとはやってくれたね……。

 そして授業開始。初日の律に戻ったということは授業中の発砲が始まるということ。クラスの雰囲気はいつになく張り詰めていた。いつ射撃が始まってもいいようにするためだ。

 律が起動する。そして機械の側面から武装が展開――

 

『……花を作る約束をしていました』

 

 出てきたのは銃ではなく花。彼女はプラスチックの花束を出した。あまりのことに誰もが呆然とする。

 

『……殺せんせーと風人さんは私に多くの改良を施しました。が、その改良のほとんどはマスターにより「暗殺に不要」と判断されて削除、撤去、初期化してしまいました。しかし、私個人は協調能力が暗殺に不可欠と判断。消される前に関連ソフトをメモリの隅に隠しました』

「素晴らしい!つまり律さん、貴女は……」

『はい!私の意志で産みの親であるマスターに逆らいました!』

 

 どうやら、予想よりも良い展開になったようだね~

 

「やるね~」

「凄いや~」

 

 意志の持った機械が開発者に逆らって自分の意思で物事を決定。凄いな~本当。

 

『殺せんせー、こういった行動を「反抗期」と言うのですよね。律はいけない子でしょうか?』

「とんでもない。中学三年生らしくて大いに結構です」

 

 こうしてE組に真の意味で一人の仲間が加わることとなったのだった。

 

「ねぇー風人」

「何?カルマ?」

「風人も転校生暗殺者でしょ?の割にはさ。個人での暗殺しかけてなくね?」

「「「あ……そういえば」」」

 

 このカルマの一言で僕の暗殺は行われることになったのだ。

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