暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
6月になりました。梅雨です。雨です。憂鬱です。
何が憂鬱かと言われれば一番は登下校中に満足にゲームができないことです。……まぁ、
で、朝のHRだけど……。
「では、皆さん。席に着いて下さい」
(((なんか大きいぞ……!)))
『殺せんせー。その巨大化した顔についてご説明を』
皆気になってるのは殺せんせーの顔というか頭というか。明らかにデカくなっていた。要するに頭でっかちだ。
「水分を吸ってデカくなりました……湿度が高いので……!」
何でもありだな殺せんせー。
そして顔を雑巾絞りすると、バケツ一杯分の水が……あれ?
「先生。帽子どうしたの?少し浮いてるよ?」
「ちょうのーりょく?」
「よくぞ聞いてくれました。実は先生。遂に生えたんです」
生えた?
「髪が」
「「「キノコだよ!!」」」
え?キノコが生えるせんせーって……斬新?というか生えたキノコ自分で取って食べてるし。
放課後。雨はやっぱり憂鬱です。
「……ゲーム……」
「ダメです。ほら、傘しっかりささないと意味ないよ?」
「はーい」
相変わらず隣には有鬼子が。やれやれ、
「何でもいっか~」
そう言いながら僕はスマホでニュースを眺める。
「ほうほう」
「歩きながらはダメです。没収」
「あ~この鬼~」
「何とでも言って」
え?マジで?
「…………あれ?このゲーム。実写映画化するんだ」
「あれ~?知ってるの~?」
「有名な恋愛ゲームだからね」
「有鬼子って、対戦ゲーム専門じゃないの~?」
「前まではそっち系しかやらなかったけど、最近はやり始めたよ」
「……あーそーいうこと」
ふむふむ。何故有鬼子が恋愛ゲームをやり始めたかがよく分かった。
「好きな人でも出来たの~?」
「ふぇ!?」
すると、おかしな声を出して、顔を真っ赤にする。やった。当たりだね!
(えぇっ!?たったそれだけのことで私が風人君が好きなことがバレ――)
「しかも、相手は女子。だから、恋愛ゲームで予習じゃないけど、予行演習?的な感じでやってるんだね~」
うんうん。と、頷いていると、額に手を当てため息をつく。
(――るわけないか。風人君だもんね……しかも話をややこしくしそうだし……)
「でも海外かぁ」
日本だったらよかったのに……アメリカでの上映かぁ。
次の日。僕は殺せんせーから召集がかかった。
『神崎さんに内緒でここに来てください』
と言われたので、有鬼子に内緒で指定された場所に向かう。
「で~?これから何するの~?」
「奴らに仕返しです」
「はい~?」
話によると昨日の放課後。前原君がターゲットの片方の女子と一緒に帰っていたところ、ターゲットのもう片方の男子に色々言われ暴行を受けたり、まぁ、屈辱的なことをされたそうだ。ちなみに女子の方からも前原君がE組だから悪いって感じに言われたそう。
「でも、皆役割既にあるんでしょ~僕の役割は~?」
役割は、
見張り・連絡担当 杉野友人
偽装担当 菅谷創介
交渉担当 矢田桃花、倉橋陽菜乃
化学担当 奥田愛美
錯乱担当 潮田渚、茅野カエデ
射撃担当 千葉龍之介、速水凛香
枝切り落とし担当 前原陽斗、磯貝悠馬、岡野ひなた
こんな感じ。
「射撃~?枝切り落とし~?」
「いいえ。報復担当です」
「はい?」
報復担当 和光風人
「実はあの二人以外にもう二人男子がいましてね。そいつらに対する報復担当です」
「はぁ、でもあそこにはその二人いないよ?」
「そこは律さんに頼んで既に居場所は特定済みです!」
『はい!もう特定されています!』
「個人情報!?」
情報担当 自律思考固定砲台
「ヌルフフフ。君に奥田さん特製『ビクトリア・フォール』を渡しておきます」
そう言って渡されるBB弾のようなもの。
「これの効果は?」
「特製強力下剤です」
「わーお」
そりゃあ強そうだなぁ。
「まぁ、あの二人程の仕返しはしなくてもいいでしょう。なるべく早くお願いしますね」
「あいよー」
というわけで、単独行動開始~。まぁ、律もいるけど。ん?
「何で律が僕のスマホに~?」
『E組皆さんとの円滑な連絡並びにサポートするためにインストールさせました。モバイル律とお呼び下さい♪』
「あれ~?それってハッキン」
『インストールです♪』
「ハッ」
『インストールです♪』
……マジかぁ。
「で~?何処にいるのさ、そいつら」
『ここから数百メートル先を左に行ったところの大手予備校です』
「ふーん」
というか、報復って何しよう。ビクトリア・フォールの出番かもしれないけど……
「その予備校って映像式~?それとも対面式~?」
『あそこは映像形式ですね』
「そう~」
なら、とりあえず……
「律。その二人はゲームをインストールしているね?」
『はい』
「とりあえず、起動させて、ゲームの通知音でも鳴らしといて」
『分かりました』
今が受講中でも、自習中でも目立つだろうし、本人たちも気付くはず。後は……
「律。二人に対し、適当な番号から鳴らしておいて~。もちろん呼び出しの音量最大で~」
『分かりました。その後は?』
「適当なこと言って外に出させて~。コイツを食わせるよ~」
『了解です』
一回にいくつだろう……二つくらいでいいか。
『急にゲームが起動したと思えば今度は電話かよ……』
『というか用事があるだなんて何だろうな』
呑気に出てくる二人の男子。
『あれがターゲットの二人です』
「そう。律。あいつらに気付かれずに殺るね。今から十秒後。もう一度電話をかけて~」
『了解です。ご武運を』
いかにも受講生ですって感じで近寄り始める。と言っても怪しまれないようにしながらだけど。よし、距離残り五メートル。時間は残り五秒。四、三、二、一……
prrrr!
『お、また電話か』
『あ、俺もだわ』
二人の注意がスマホに向き、声を発するその刹那。
『な、何だ……!』
『お、お腹がぁ……!』
口を開いたタイミングで、その口の中に優しくビクトリア・フォールを放り込む。どうやら即効性なのかな?二人は急にお腹を抑えて、予備校に入っていく。
「こんなんでいいのかな~?」
『はい。あ、向こうも仕返しが出来たそうです。戻りましょう』
戻る提案を受け、歩き出す僕ら。
「…………ねぇ。律。調べてほしいことがある」
『何でしょうか?』
「皆には秘密でね」
僕らが戻ると、今回の作戦に参加したメンバーが集まっていた。
「えーと、なんつーか……ありがとな。ここまで話を大きくしてくれて」
お礼を言う前原君。
「どうですか、前原君?まだ自分が弱い者を平気で虐める人間だと思いますか?」
殺せんせーの問い掛けを受けた前原君は、少し考え込む様子を見せると答えを出す。
「……いや、今の皆を見てたらそんなこと出来ないや。一見するとお前らも強そうに見えない。けどさ、皆どこかに頼れる武器を隠し持ってる」
確かに、凄いよねぇ皆。
「そういうことです。それをE組で暗殺を通して学んだ君は、これからも弱者を簡単に蔑むことはないでしょう」
「……うん。俺もそう思うよ、殺せんせー」
どうやら、僕らは殺せんせーの授業の為に動かさせられたらしいね。全く、やることが大掛かりって言うか何と言うか。
気のせいか雨も上がり空からは日の光が差し込み始める。
「あ、やばっ!俺これから他校の女子と飯食いに行かねーと……じゃあ皆、ありがとな。また明日!」
爽やかに別れを告げる前原君。
「一件落着~」
なんかすっきりしたなぁ~そうまるで、この日差しのように……
翌日。このことが烏間先生にバれ、暗殺技術の私的利用や、国家機密の行動に関し、今回の関係者には全員に雷が落ちました。
なお、有鬼子にも僕は雷を落とされましたとさ。まる。