暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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風人と有希子の時間 映画

 雨の日の復讐劇から幾日か。

 途中、ビッチ先生の師匠のロブロさんがやってきて、ビッチ先生とビッチ先生の先生存続をかけた『烏間先生暗殺戦』をやった。最終的な結果はビッチ先生の勝ち。ビッチ先生は先生として続けることが決まった。

 うーん。僕的には授業はアレだけど為になることもあるしな~あ、でも間違えたら公開ディープキスの刑。正解しても公開ディープキスの刑はちょっとね。既に全員一回は被害にあってる。ちなみに僕が被害にあった時有鬼子の方から殺気?みたいなちょっと違うようなものを感じたけど……気のせいだよね。うん。

 

「殺せんせー。お願い~」

「はい。何でしょう」

 

 放課後。僕は教室に残ってたせんせーと会話中。

 

「今日からアメリカの方でさ~映画があるんだけど連れてってくれない~?」

「ダメです。そう言うのは自分の足で行くものです」

「この映画何だけどさぁ~」

「ヌルフフフ。恋愛ものですか。これは私の書くノンフィクション小説の参考になりそうですねぇ」

「のんふぃくしょんしょうせつ~?」

「いえいえ。こちらの話です」

 

(第一章は杉野君の報われぬ思いか、風人君の気付かぬ思い。どちらにしますかねぇ)

 

「えぇーせんせー連れてってよ~そうしないと――」

「ダメです。どんな脅しもせんせーには効きま」

「――教員室の机の引き出しにあるエロ本。全部岡島に渡すか燃やすよ~?」

「にゅやあああ!そ、それはやめてください!」

「じゃあ連れてって~」

「はぁ。分かりましたよ。なら、神崎さんも連れて行ってください」

「有鬼子?何で~?」

「君の相手はせんせー一人じゃ荷が重いですから……」

「はーい。あ、有鬼子~」

 

 ちょうどトイレ?から戻ってきた有鬼子の声をかける。

 

「どうしたの?風人君」

「これからハワイまで殺せんせーと映画見に行こ~殺せんせーの奢りで」

「いいけど……何の映画?」

「ほら~この前言ってたやつ~」

「あーうん。分かった」

「神崎さん……ちょっと」

「あ、はい」

 

 殺せんせーが触手でちょいちょいと有鬼子を呼ぶ。

 

「すいませんね神崎さん。彼一人だと私の身が持たないので」

「あはは……大丈夫ですよ」

「まぁ、私の存在など無視して映画館デートを楽しんでください」

「で、デートなんてそんな……」

 

 よく聞こえないなぁ。

 

『風人さん!』

 

 すると、どこからか僕の呼ぶ声……って、あー律か。

 

「な~に?」

 

 僕は律の前まで行く。

 

『私も連れて行ってください』

「いや、無理じゃね?」

 

 どう考えてもそれをアメリカまで運ぶのは無理だろう。少なくとも殺せんせーが死ぬ。

 

『じゃあ、風人さんのケータイから』

「あーモバイル律だっけ~?それならいいと思うけど~」

『分かりました!というわけでお邪魔します!』

 

 そう答えたのは、僕のケータイから。……殺せんせーって大概何でもアリだけど、律も大概何でもアリだよなぁ~

 

「なら、行きますよ風人君。アメリカ……ハワイでいいですよね」

「はぁ~い。あ、律もついてくるけどいい~?」

「……え?アレを運ぶのですか?」

 

 一瞬で顔が固まる殺せんせー。

 

「違う違う~。僕のケータイにいるから大丈夫だよ~」

「な、ならよかったです。では二人共外に行きましょう」

 

 そして、外に出る僕ら。

 

「服の中へ」

 

 そう言われたので、服の中に入り、顔と後、僕のスマホ(モバイル律)を出す僕ら。

 

「あ、ねぇ有鬼子~」

「どうしたの?」

「……僕らってマッハの風圧耐えられなくね」

「…………」

 

 あ、自分の身の安全まで考えていなかった。あまりのことに震え、顔を青ざめる有鬼子。

 僕はそんな彼女の手を服の中で握って、

 

「死ぬときは一緒だよ。殺せんせーも道連れにしよう」

 

 最大限の笑顔で言った。遺書は律に渡そう。そうすれば皆にも行くはずさ。

 

「ご心配なく。君たちに負担がかからないようゆっくり加速しますから!」

 

 そして飛び立つ殺せんせー。

 

「きゃあああああああ!?」

「あははははは。楽しい~」

 

 何か最初はジェットコースターに乗ってる気分だ。なにこれ楽しい~

 

「は、速い……」

 

 ちょっと圧がかかったのは最初だけで後は割と普通。まぁ、普通に空を飛んで……あ、海岸線が見えてきた~

 命の危険を感じなくなったので手を放す……が、向こうが強く握って放そうとしない。やれやれだね~

 

「そうですね。風人君に神崎さん。それに律さんも今暇でしょ」

「いえ全然」

「分かりました。なら、授業をしましょう。なーに簡単な授業ですよ」

 

 と、殺せんせーによる割とマジな授業が始まった。

 

『殺さないのですか?風人さん』

 

 授業中、律が僕に聞いてくるけど……

 

「無理無理~。今やれても海に落ちて僕らは死ぬよ~。仮にギリギリ生き残ってもこんなところじゃ結局助からないね~」

 

 どこまで行けば陸地に着くのか。陸地に着いてもどうしようもないこともある。

 ……まぁ、僕一人なら、平然と殺していたかもしれない。でも、今は隣に有鬼子がいる。彼女の命を危険にさらすわけにはいかない。…………って、なんでそんなこと思ってるんだろう?不思議ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、分かりましたか?風人君。神崎さん」

 

 ハワイ到着。いぇい。

 

「おっけ~」

「はい」

 

 いや~授業を本当にやるとはねぇ~

 

「では、行きましょうか。映画館はこの下ですよ」

 

 殺せんせー恒例の下手な変装。……よくこれでバれないなぁ……。

 

「寒いです……」

「ねぇ~」

 

 映画館の中に入り、諸々のことをやった後入ったがはっきり言おう。寒いと。

 

「ハワイの室内はとにかく冷房が効いています。皆さんちゃんと防寒の準備をして下さい。はい」

 

 そう言って座ってる僕らに大きなブランケット?が掛けられる。

 

「ヌルフフフ。君たちなら二人で一つで大丈夫ですよね」

「問題なし~」

 

 特に何も問題はない。

 

「でも殺せんせー。アメリカですから日本語字幕ないんですよね?話についていけるかな……」

「ご心配なく。神崎さんの英語の成績は上々。風人君も性格によらず成績は優秀。加えてイリーナ先生にも鍛えられてるでしょう?」

 

 見かけによらずは知ってるけど性格によらずは知らない。

 

「それと、先生の触手を耳に。習ってない単語が出たら解説します」

 

 おぉー便利。

 

「後は頑張って楽しみながら聞きましょう。はい。コーラとポップコーン」

 

 すると映画館が暗くなる。お、始まるねぇ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 原作となったゲームでは転校してきた主人公の男の子が多くの女子に好意を持たれるといういわば使い古されたようなベタなストーリー。その女子たちと言うのは、例えば幼馴染だったり、世話焼きの女子だったり、活発系や、クラス委員、風紀委員などヒロインも割とべタな設定です。

 さすがに、映画一本にそんだけのヒロインが登場すると話が薄くなりやすいのか、この映画では主人公が転校していったために別れて再会した幼馴染と何かと世話焼きで主人公のフォローをしてくれる隣の席の女子の二人が主です。まぁ、二人のルートもしっかりと攻略した私は大筋は分かっていますが、英語であることや実写化であることなど様々な要因から見ていて楽しいです。

 そんな中、ふと横目で隣の風人君を見ると、

 

「…………」

 

 その奥で『F……いやGですね』と、顔をピンクにしながら役者さんの胸のサイズを言っている殺せんせーに呆れますが、風人君の表情は至って真剣。でも、なんだろう風人君の目。どこか、寂しそうな哀愁を漂わせている。そんな気がしました。

 ちなみに律は風人君のスマホから目を輝かせて見ていました。

 そして、映画も終了し、私たちはハワイから日本に帰国します。

 

「面白かった~実写映画も今回のは悪くないね~」

 

 すると、風人君が面白かったと感想を。

 

「私も、あの二人が恋に自覚して接する態度が少しずつ変わって行くとこなんかも上手く演出されてて面白かったです」

『恋愛って凄いんですね!』

「私も今度この元のゲームをしたくなりましたよ」

 

 と、私たちはひとしきり感想を言い終えた後。

 

「じゃあ、今日はありがとうね~殺せんせー」

「ありがとうございます。また明日」

「はい。さようなら。夜道ですので気をつけてくださいね。特に神崎さん」

「え?私ですか?」

 

 風人君じゃなくて?

 

「風人君に夜道で襲われないように気をつけてくださいね」

 

 ……あぁー。そういうことですか。でも、風人君になら襲われてもいいかな……というか、

 

「襲う~?なんで~?」

 

 当の本人が言葉の意味を理解してないようなので、絶対にないですね。

 

「むしろ、僕が襲われそうだよ~」

 

 本当に襲ってしまおうか。

 

「では、明日までに映画の感想を英語で書いて提出しなさい」

「えぇー宿題でるの~?」

「タダでハワイまで行けて映画まで見れたのですから。安いものです」

 

 手を振って別れる私たちと殺せんせー。

 私たちは二人並んで帰ります。

 

「面白かったね。風人君」

「そうだね~」

 

 嘘。……どことなく、今の言葉は嘘な気がしました。ただ面白かったわけではない気がします。

 

「そういえば風人君。どうして映画の最中、哀しそうな眼をしていたの?」

 

 私は思い切って聞くことにします。長引かせてもいいことないですから。

 

「哀しそうな眼~?眠そうな眼の間違いじゃない~?」

 

 どうやら答えてくれる気はなさそうですね。

 そんな感じで他愛もない会話を続けて、いつも別れるところ。

 

「じゃあね」

「ううん~。家まで送ってくよ~すぐそこでも夜道を一人で歩かせるのは危険だからね~」

「そう?」

「うん~。日頃お世話になってるしね~よく手を焼かせています~」

 

 あぁ、そういえば、映画でもゲームでも世話焼きの子は報われませんでしたね。彼女は自身のルートでさえ、他者を優先させる優しさがありすぎたばかりに自分の想いを伝えられずに周りを応援している。でも、そのゲームの子と私は違います。だって……

 

「私にはそんな優しさないから……」

「有鬼子が優しくないのは前からだよ~」

 

 この後、思い切り風人君の耳を引っ張りました。

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