暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
「で?何か聞きたいことでもあるのですか?風人君」
教員室に入る僕。日誌を出すというのはせんせーに近づくための一つの理由でしかない。
「話を変えましょうよ~。ここでは誰かに聞かれるかもしれませんよ?あ、スマホ置いておくので~」
この先の話は律にもあまり聞かれたくない。
「ここならいいですね」
校舎の屋根の上。グラウンドではクラスのほとんどの人が烏間先生に鍛えてもらうよう頼んでいる。
「で?君は何を聞きたいのですか?」
「私は殺せんせーに聞きたいじゃない。確認したい」
「確認ですか?」
私はあまりこうやって真面目に話すのが好きじゃない。自由奔放で気ままに生きたい。でも、こういう時くらいは真面目にいく。
「うん。一つは確認。一つは質問。確認から言うと……先生は『雪村あぐり』と接点がある。違いますか?」
「雪村あぐりさんですか……」
「今のE組の面子が集まった去年の三月だけ担任していた人。要は殺せんせーの前任者だよ」
これは私が調べた情報だ。渚とかにもそれとなく聞いておいた。間違いない。
「それなら、一身上の都合で退職なされたと聞きましたが?」
知ってるよ。そうとしか答えは見つからなかった。でもね、
「……胡散臭いなぁ。明らかに出来すぎてる。そうは思いません?」
「……キミは何が言いたいのですか?」
「殺せんせーはここの担任をしたいと政府に言った。ここの担任は丁度不在。政府が担任交代を理事長様に打診したのなら、別に退職させる必要はない。でも退職した」
「何かしらの事情があったんでしょうねぇ」
「そうですか。なら、ストレートに言いましょうか」
私は殺せんせーに向け言い放つ。
「雪村あぐりは既にこの世にいない。そこに殺せんせーが一枚噛んでる。違いますか?」
「……中々の思考の飛躍ですね」
「まぁいいでしょう。私はその雪村先生とは面識ないし。真実を確かめようにも殺せんせーが話す気がないならそれでいいです」
そう。ここは
「それで、質問って言ってましたね?何でしょう」
「そうですね……殺せんせーはどちらですか?」
「どちらとは?」
「殺せんせーは元は人間。でしょ?」
それは今までの様子から見て取れる。明らかにこのせんせーは人間臭い。
「
「ヌルフフフ。なるほど。和光風人君。もし私が後者ならキミはこの暗殺から降りるつもりでしょう。……知っていますよ。キミという
「…………っ!」
「ご心配なく。私は
「……そうかよ」
「そうだ。このことは内緒にして下さいね。先生との約束ですよ?」
「分かってる。でもさせんせー」
僕は普段の表情に戻って言う。
「卒業まで隠すことは無理だと思うよ~いつか絶対話す時が来るよ~」
職員室に入り、置いてきたモノを回収した後、僕は烏間先生のところに混ざりに行った。
ある梅雨明けの日の帰り道、珍しく、僕、渚、カルマ、杉野という4人で帰ってい
る。
「そういや風人。お前、今日は保護者はいいの?」
「うん~何か女子たちで話すことがあるんだって~」
「まぁ、神崎さんも風人君に付きっ切りっていうわけにはいかないよね」
「でも、ほぼ毎日、ずっと一緒に居るんだろ?羨ましなぁ」
「えぇーそう?」
ここ最近思うこと。僕の隣に有鬼子が居ない方が珍しい。
いや、皆からすれば逆か。有鬼子が僕の面倒を見てない方が珍しいか。
「にしても、アウトドアな季節ですなぁ。何か外で遊ばね?」
「ゲーム!」
「はいはい。カルマ君は何かある?」
「じゃあ、釣りとかどう?」
釣り×カルマ=似合わねぇ~
「いいね。今だと何が釣れるの?」
「夏はヤンキーが旬なんだ~渚君で釣って逆にお金を巻き上げよう」
「いいね~やろやろ」
「餌になる方の気持ちを考えて!」
え?やだ。
と、こんな感じで歩いていると、本校舎の野球部が野球の練習をしているのが見える。
「お、なんだ杉野じゃないか!久々だな」
声を掛けられるが、浮かない顔の杉野。
「お、おう」
杉野は元野球部。E組は部活に参加できないから、気まずいのかな?途中で退部させられて。
「来週の球技大会投げんだろ?」
球技大会?
「そーいや、決まってないけど投げたいかな」
投げる?人を?
「楽しみにしてるぜ!」
え?会話についていけないんだけど……
「おう、ありがとな」
と、いい雰囲気だと思ったら、杉野がE組ってことで言われ始めた。
「よせって、進学校での部活との両立。選ばれてない人間はやらなくていいことなんだ」
「へぇ~すごいね~きみ」
「まるで自分が選ばれた人間みたいな言い方だね」
「そうだよ」
認めちゃったよ~ナルシストってやつ?
「気に入らないか?なら教えてやるよ。上に立つ選ばれた人間とそうでない人間。この歳で開いてしまった。大きな差をな」
「あ、教えてもらわなくて結構です。御引取下さい~」
「ダメでしょ風人。せっかく
「はーい。まぁ、この歳で開いた差とか大人になったら埋まりそうだよね~」
この後、僕とカルマに怒りマークを浮かべる野球部たちがいたことは想像に難くない。
それで、翌日~
「クラス対抗球技大会……ですか。健康な心身をスポーツで養う。大いに結構!……ただ、トーナメント表にE組が無いのはどうしてです?」
トーナメント表を見て戸惑いながら訊いてくる殺せんせー。あれ?僕らって野球部に宣戦布告されなかったっけ?というか、
「E組は本戦にはエントリーされないんだ。一チーム余るって素敵な理由で」
「じゃあ、なんでエントリーされていないのに選出メンバー選んでるの~?」
殺せんせーの疑問には三村君が答えてくれたが、僕の疑問は尽きない。
「まぁ聞けって和光。その代わり大会の締めにあるエキシビション。そこにでなくちゃならない」
ふむふむ。エキシビションという名目でE組の男子は野球部、E組の女子は女子バスケ部のそれぞれ選抜メンバーと戦わなければならないらしい。
「……なるほど、いつものやつですか」
「なんというか~いい加減慣れた~」
本当にとことんやるなぁ~。晒しものって言葉が似合うと思うよ~。
「俺らは晒し者とか勘弁だわ。お前らで適当にやっといてくれや」
「ちょっ!寺坂!」
そういうと、寺坂君を筆頭に村松君と吉田君が去る。
「え?もう帰っていいの~?自由解散~?」
「風人君はそこで大人しく座ってて」
「はーい」
え?帰らないのかって?いや、怒らせると怖いじゃん。
「野球となりゃ頼れんのは杉野だな。なんか勝つ秘策ねーの?」
前原君が杉野に意見を求める。が、それを遮る。
「ふっふっふっ!僕に作戦があるよ~!」
「へぇ~どんな」
「相手チーム全員の飲み物に『ビクトリア・フォール』を混ぜればいいのさ!」
「「「却下」」」
「えぇ~」
そうすればE組にサレンダーする野球部っていう構図ができたのに……
「和光のは置いといて。何かある?」
意見を求められた杉野は表情を暗くしたまま首を横に振る。
「……無理だよ。うちの野球部かなり強いんだ」
チームとして強い上に、特に相手の主将は名門高校からも注目されるほどらしい。ほへぇ~すごいんだね。
「……だけどさ、殺せんせー。それでも勝ちたいって思うんだ。善戦じゃなくて勝ちたい。好きな野球で負けたくないんだ。野球部追い出されE組に来てその思いが強くなった」
好きなもので負けたくない。その思いはよく分かる。僕も有鬼子とか有鬼子とか有鬼子とかにゲームで負けたくない。勝ちたいという思いはある。いや、絶対勝つんだ!
あれ?今野球の話だっけ?
「こいつらとチーム組んで勝ちた」
「わくわくわくわく」
おっと、殺せんせーの方がノリノリだ。
野球のユニフォームのようなものを着ているだけでなく、顔も野球ボールのような感じになっている。変装?
「ヌルフフフフ。先生一度、スポ根モノの熱血コーチをやりたかったんです。殴ったりはできないので卓袱台返しで代用します」
「用意良すぎだろ!」
「卓袱台返し!?せんせー!僕も卓袱台返ししてみたい!」
「私の後でならいいですよ」
「やった~!」
卓袱台返し~楽しみ~
「最近の君たちは目的意識をはっきりと口にするようになりました。どんな困難にも揺るがずに。その心意気に応えて、殺監督が勝てる作戦とトレーニングを授けましょう!」
……ところで、殺監督って、野球を教えられるの?皆に聞いた話だと殺せんせー。体育教えるのが無茶苦茶下手らしいけど。