暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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プールの時間

 鷹岡とのあの一件を終えてから数日が経過した。特に何かが起きるわけでもなく皆平和に過ごしています。

 しかし、現在。僕らはある問題に直面しています。

 

「暑い……溶ける……」

 

 このE組に冷房という高価なものは存在しません。暑いです。…………はっ!

 

「律~団扇だして~」

『分かりました』

 

 そう言って団扇が出てくる。はぁ、涼しい。…………ん?よく考えると団扇って仰ぐの疲れね?

 すると、授業中でも暑さにだれている僕らを見て殺せんせーから注意が入る。

 

「だらしない……夏の暑さは当然のことです!」

 

 まぁ、夏が寒いって言ったら異常気象?

 

「ちなみに先生は放課後には寒帯に逃げます」

「「「ずりぃ!!」」」

 

 ちなみに殺せんせーもだれている。本当にずるいというか説得力ないな~。

 

「でも今日プール開きだよね?体育の時間が待ち遠しいなぁ~」

「……いや、そのプールが俺らにとっちゃ地獄なんだよ」

 

 倉橋さんの意見は木村君によって否定されてしまう。

 

「え~?どうして~?」

「プールは本校舎にしかないんだよ。炎天下の山道をわざわざ降りて入るんだよ」

「その上で授業終了後は疲れた身体で炎天下の山道を上る。ね?地獄でしょ」

 

 何このシステム。プール=地獄じゃん。

 

「うー……本校舎まで運んでくれよ、殺せんせー」

「そーだよ~」

「先生のスピードを当てにするんじゃありません!いくらマッハ二十でも出来ないことはあるんです!」

 

 まぁ、いくらでもあるだろう。スピードだけじゃ解決しない問題なんてね。 

 

「……でもまぁこの暑さは分かります。仕方ありません。全員、水着に着替えて着いてきなさい。そばの裏山に小さな沢があったでしょう。そこに涼みに行きましょう」

 

 僕らは殺せんせーの提案に従い、言われた通り水着に着替え、上からジャージを着て裏山に入っていく殺せんせーの後を着いていくことにする。

 

「裏山に沢なんてあったんだ」

 

 確か足首まで浸かればいい方じゃなかったっけ?足湯ならぬ足水?

 

「さて皆さん。さっき先生は言いましたね?マッハ二十でも出来ないことがあると。その一つが君たちをプールに連れていくことです。残念ながらそれには一日掛かります」

 

 何を言ってるの?

 

「一日って大袈裟な……本校舎のプールなんて歩いて二十分――」

「おや、誰が本校舎に行くと?」

 

 磯貝君の指摘を遮る殺せんせー。そして聞こえてくるのは水の流れる音……?

 あれ?こんな音……前からしたっけ?

 そう思いながら音の方へと向かう。草木の間を抜けたそこには小さな沢など見当たない。代わりに、ある程度の深さと泳げるような幅のある岩場に囲まれた水場があった。端の方にはご丁寧にコースロープで水泳用のレーンが二つほど作られている。自然の中にプールが作られていた。

 

「なにせ小さな沢を塞き止めたので、水が溜まるまで二十時間!バッチリ二十五メートルコースの幅も確保。シーズンオフには水を抜けば元通り。水位を調節すれば魚も飼って観察できます」

 

 確かにこれはマッハ二十の殺せんせーでも一瞬では作れない。

 

「制作に一日。移動に一分。あとは一秒あれば飛び込めますよ」

 

 先生の言葉によって僕らは羽織っていたジャージを脱ぎ捨て、勢いよくプールへと飛び込んだ。

 殺せんせー浮き輪やビート板、ビーチボールなど諸々を一式用意してくれている。やったね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「和光……アンタ」

 

 有鬼子とのんびりプールの中で涼んでると、中村さんが渚の方からやってきた。

 

「どうしたの~?」

「アンタも男なのね!」

「え?今さら?」

「まぁ、アンタ。見た目が渚程でないにしろ中性だからね。髪伸ばせば女子に見えるでしょ。今でも女子って言われれば通じそうだし」

「うわぁーん。ユキえもん!なかむらイアンが虐めてくるよ~」

 

 有鬼子に抱き着く僕。そんなの言われたの初めてだ。

 

「神崎ちゃんもそう思うでしょ?」

「う、うん。風人君。カッコイイというより、可愛い方が強いから」

「酷いっ!」

「だよね~これで性格がまともなら女受けも男受けもよかっただろうに」

「男受けはいらないよね!?」

「でも、怒ってる時の風人君はカッコイイよ?」

「怒ってる時限定!?」

 

 うぅ。何故か二人に虐められてるよぉ~

 

「もういいもん。僕はのんびり寝てるもん」

「拗ねなないの」

「ふーんだ」

 

 ビート版の上で寝る。すやぁー

 

「でも残念だよね~。服脱がすと割と引き締まってるから……。で、神崎ちゃんはそのギャップが溜まらないと」

「中村さん!」

「あはは~じゃあ私は向こうで遊んでくるから二人で仲良くね~」

 

 去っていった中村さん。僕はのんびり空を見ている。あーこののんびりした時間がいいよね~

 

「もう!あ、そうだ。風人君」

「な~に~?」

「風人君は泳がないの?」

「二十五メートルコースで?遠慮しておくよ~泳ぐの面倒だし~」

「もしかして、泳げないの?」

「いや、泳げるよ。うん。多分。きっと」

 

 去年の体育の水泳ほとんどサボってたしなぁ~まぁ、それ以前に僕は疲れることはしたくない。この自然の音を楽しみながらゆったりと、

 

 ピピ—ッ!

 

 しているところに響くホイッスルの音。

 

「木村君!プールサイドを走っちゃいけません!転んだら危ないですよ!」

 

 発生源は監視台?の上に座る殺せんせー。まぁ、うるさいけど正論だなぁ。

 

「原さんに中村さん!潜水遊びは程々に!長く潜ると溺れたかと心配します!」

 

 アンタは心配性か。

 

「岡島君のカメラも没収!狭間さんも本ばかり読んでないで泳ぎなさい!菅谷君!ボディアートは普通のプールなら入場禁止ですよ!風人君!プールの上で寝ないで下さい!溺れたらどうするんですか!」

 

 ……うるさいなぁ。

 

「プールの上で寝て溺れるわけないじゃん」

 

(((いや、プールの上で寝ること自体が問題だろ……)))

 

「ヌルフフフフ。景観選びから間取りまで自然を活かした緻密な設計。皆さんには整然と遊んでもらわなくては」

 

 うわぁ。面倒だな~

 すると、倉橋さんが何を思ったのか。殺せんせーに水をかけた。

 

「きゃん!」

 

 …………え?

 それを見たカルマは台を揺らして、殺せんせーをプールの中へ落とそうとした。

 

「揺らさないで水に落ちる!」

 

 あれ?殺せんせーって、まさか。

 

「泳げない?」

「べ、別に、水に入ると触手がふやけて動けなくなるとかないし!?」

 

 僕らは、この時。殺せんせーの最大級とも言える弱点を知ってしまった。

 うーん。でも、どうやってこのプールというか水を暗殺に使おう……プール爆発?まぁさすがにないない。じゃあ、どうしよう。

 と思考を張り巡らしていると、

 

「あ、やばっ!バランスが――――うわっぷ!?」

 

 慌てたような声とともに水飛沫の上がる音が聞こえてくる。音のする方を見ると、そこには浮き輪で漂っていた茅野さんがひっくり返っている姿が。そして彼女は水面から顔を出すと手足をばたつかせて――

 

「有鬼子。これ頼んだ」

「え?あ、風人君」

 

 有鬼子にビート板を渡し、最大速度で泳ぐ。完全に溺れてんじゃねぇか!

 

「茅野さん!」

 

 さて、辿り着いたが……よし。

 

「片岡さんパス」

「任せて」

 

 茅野さんをこちらに泳いできた片岡さんに渡し、僕は浮き輪を回収。そしてそのまま戻っていく。

 特に何も起きずに終わったけど、泳げないって本当だったんだね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の放課後、僕らは片岡さんからこの夏のどこかで殺せんせーを水中に引きずり込んで殺すという話を受けた。

 

「和光くん。ちょっといい?」

「なーに?」

「和光くん泳ぐの早いよね?ちょっとこの後、練習に付き合ってくれない?」

「いいよ~」

「ありがと」

「じゃあ、着替えてくるね~」

 

 とりあえず、着替えておかないと、泳げないよね~

 

「あ、風人君。もう帰る?」

「ううん~ちょっとね」

「ちょっと?」

「うん~付き合うことにしたんだ」

「……え?」

 

 持っていた鞄を落とす有鬼子。どうしたんだろう?

 

「い、今なんて?」

「え?付き合うことにしたって」

「……だ、誰と?」

「片岡さん~」

「……そ、そう……なんだ…………」

 

 すると、何故か落ち込んだ様子で去っていく。

 

「風人君。今神崎さんが凄い落ち込んでいたんだけど、何か言った?」

「そうだよ。何かこの世の絶望を味わった感じが出ていたよ」

 

 代わりにやってきて、話かけてくる渚と茅野さん。

 

「え~?僕はただ片岡さんに付き合うことにしたって言っただけだよ~?」

「「本当にそれだけ?」」

「うん~。『付き合うことにした』って言って『誰と?』って聞かれたから『片岡さん』って答え――どーしたの?二人とも?」

「ねぇ、風人君。片岡さんとどういう理由で付き合ってくれと言われたの?」

「え?これから泳ぎの練習するから付き合ってくれと~」

「待って神崎さん!和光くんの言い方が悪かっただけだから誤解しないで!話を聞いてぇ!」

 

 聞くや否や教室を飛び出して大声を出す茅野さん。

 

「まぁ、なんでもいいや~あ、渚も来る?」

「う、うん。見学だけでいいならね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「律、タイムは?」

『はい。風人さんは24秒83。片岡さんは26秒07です。風人さんは分かりませんが片岡さんの50m自己最高記録には0.7秒届いてません』

「ブランクあるなぁ。任せてと言った以上は仕上げておかないとね」

 

 反省する片岡さん。観客として見ている渚、茅野さん、有鬼子。後、殺せんせー。

 

「というか和光くん。予想より速くて驚いた。前の学校で水泳部だった?」

「ううん~帰宅部~」

 

 ぷかぷかと浮いている僕。別に泳ぐのは好きでも嫌いでもない。ただ、本気で泳ぐと疲れる~

 

「でも丁度良かった。身近にこんなに泳げる人がいると練習のしがいがある」

 

 そう言って泳ぎ始めた。熱心だな~

 すると、律が片岡さんに心菜さんと言う人からメールが来て読み上げる。内容を要約すると『勉強教えてほしいんだ~とりあえずファミレスしゅ~ご~いぇ~』って感じ。え?主観入り過ぎ?いやいや、

 

『知能指数がやや劣る方と推察されます』

 

 律もこんな感じで言ってるし~実際のはもっとアレだ。もっと…………酷い。

 そしてプールを上がって、

 

「じゃあね、皆。私ちょっと用事が出来ちゃったから帰るね」

 

 うーん。友達と会うって言う割には暗かったような……

 

「まぁ、気にせずに泳ぐか~」

 

 その後、渚、茅野さん、殺せんせーは片岡さんを追いかけた。有鬼子は僕が心配で残ってくれたそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「風人君。本当に泳げたんだね」

「まぁね~」

「野球もできてたし、風人君って本当に運動神経いいよね」

「どやぁ~」

「なら、何で平坦な道でコケるんだろう……」

「さぁ~?」

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