暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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ビジョンの時間 二時間目

 プールのところについた僕らは驚く。

 

「何これ?」

「どうなってんの~?」

 

 プールだった場所からは水が消え、堰止めていたであろうダムが跡形もなく崩壊していた。

 

「俺は……何もしてねぇ」

 

 隣にはこの光景に驚き固まってる寺坂君がいた。

 

「話がちげぇーよ。イトナを呼んで突き落とすって聞いてたのに」

「なるほどねぇ。自分で立てた計画じゃなくてまんまと操られてたってわけ」

 

 恐ろしいほどに僕らの予想通りだ。

 

「言っとくが俺のせいじゃねぇぞ」

 

 カルマと僕の方を見る寺坂君。その目は必死に訴えかけていた。自分は悪くないって……舐めてんの?

 

「こんな計画やらす方がわりぃんだ。皆が流されてったのだって奴らのせ――」

 

 ドゴッ

 

 言葉は続かなかった。いや続けさせなかった。なぜなら、カルマが寺坂の左頬を、僕が寺坂の右頬を同時に殴り飛ばしたからだ。

 倒れ込む寺坂。

 

「流されたのは皆じゃなくて自分じゃん」

「なに、自分は被害者ですって面してんの?」

「人のせいにする暇があったら自分で何したいか考えたら?」

「行くよカルマ。下の様子を確かめないと」

 

 僕らは寺坂を放置して走り出す。

 おそらく皆は殺せんせーが助けるはず。だが、問題はイトナ君とシロさんがどう動くか。こればかりは読めない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 到着すると、そこには助けられた皆と、猛ラッシュを仕掛けるイトナ君。それを防ごうとする殺せんせーだが……誰の目にも明らかに形勢は不利。遠く離れた安全地帯にシロさんもいる。……っち、ここまで計算通りってわけか。

 向こうは、イトナ君の触手の数を減らしてパワーとスピードを集中させたとシロさんは言うが、それだけがこの形勢を作ってる要因じゃない。

 

「マジかよ」

「あの程度の水のハンデはなんとかなるんじゃ……?」

 

 確かに水だけがハンデならここまで形勢は傾かないだろう。

 

「水のせいだけじゃねぇ」

「寺坂」

 

 と、ここに寺坂が遅れてやってきた。

 両頰が腫れているなぁ……誰だよ。寺坂の顔をアンパンマンみたいにした人は。あ、僕らか。

 

「力を発揮できねぇのはお前らを助けたからだよ。見ろ、タコの頭上」

 

 そう言って寺坂が指差す方向に視線を向けると、上の方に吉田君、村松君、原さんがいた。殺せんせーに助け上げられたのかな。

 

「あー!ぽっちゃりが売りの原さんが今にも落ちそうだ!」

 

 現状の安全は確認できた。だが、彼らの場所はイトナ君の触手の射程圏内。と言うかそもそも原さんがしがみついている木の枝が今にも折れて落ちそう。

 

「殺せんせー。原さんを守るために」

「アイツ、ヘビーで太ましいからあぶねぇぞ」

 

 あ、コイツ後で原さんに殺されるな。

 

「お前ひょっとして。今回のこと全部奴らに操られていたのか」

 

 磯貝君が気付き寺坂に問いかける。

 

「あーそうだよ。目標もビジョンもねぇ短絡的な奴は頭の良い奴に操られる運命なんだよ。……だがよ、操られる相手ぐらいは選びてぇ」

 

 問いかけられた寺坂は最初自嘲気味な表情だったが、最後には表情を真剣なものに変え。決意を秘めた瞳でカルマと僕を見る。

 

「おいカルマ!風人!テメェらが俺を操ってみろや。そのテメェらの狡猾なオツムで俺に作戦を与えてみろ!完璧に実行してあそこにいるのを助けてやらぁ!」

 

 その声にはさっきまでのような危なっかしさは微塵も含まれていない。自分の意思で決めたか。

 それを受けて、僕とカルマは不敵な笑みを浮かべる。

 

「良いけど……実行できんの?俺らの作戦……死ぬかもよ?」

「寺坂の命は保証できねぇーけど……殺る気ある?」

「やってやんよ。こちとら実績持ちの実行犯だぜ」

 

 それに対して寺坂も強気な笑みで返す。

 

「カルマ。配置の陣形は任せて~」

「オッケー。俺は指示でも出すよ」

「で、とりあえず何するんだよお前ら」

「そうだよ。原さんは助けなくていいの?」

 

 あまりにも短すぎ省略しすぎの作戦会議に疑問を持つクラスメート。

 

「「とりあえず、原さんは助けずに放っておこう」」

 

 この発言に全員がげんなりした。なんでだろう?

 

「まぁまぁ、皆は僕の指示に従って~。シロさんに気づかれないようにね~」

「寺坂には俺が指示を出す。言ったんだからやってよね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい!」

 

 寺坂が川に降り立ち、声を荒げる。

 

「よくも俺を騙して利用してくれたな!」

「まぁそう怒るなよ。ちょっとクラスメートを巻き込んじゃっただけじゃないか。クラスで浮いていたようだし」

「うるせぇ!」

 

 シロさんの言葉を遮る寺坂。

 

「おいイトナ!テメェ俺とタイマンはれや!」

 

 寺坂は脱いでいたシャツを前に出しまるで盾のようにする。

 

「健気だねぇ先生のために……か。黙らせろイトナ」

 

 攻撃態勢に入るイトナ君。

 

「カルマ~寺坂には言っておいた~?」

「もちろん。気絶する程度の触手は喰らうだろうけど」

 

 触手で撃たれる寺坂。必死に喰らいついている。

 

「所詮パワーもスピードもその程度。だから死ぬ気で喰らいつけって」

 

 そう。前提としてシロさんは寺坂を始め、僕らE組の生徒を殺す気はない。なぜなら、生きているからこそ殺せんせーの阻害ができるのであり、殺せば殺せんせーがどう暴走するかは分かったもんじゃないからである。

 

「よく耐えたねぇ。ではイトナ。もう一発あげなさい」

 

 回収される触手とついでに寺坂のシャツ。と、ここで異変は起きる。

 

「へっくしゅ」

 

 イトナ君がくしゃみをする。

 僕とカルマは気付いていた。寺坂が昨日と同じシャツを着ていたことに。変なスプレーを浴びたのはせんせーだけじゃない。僕らもだし、それをぶちまけた本人ならなおさら。つまり、そんな至近距離でぶちまけたスプレーをたっぷりしみ込んだシャツをイトナ君の触手が触れば、一たまりもないだろう。

 で、それにイトナ君が反応して隙ができる。一瞬の隙さえあれば原さんはせんせーが助けてくれるし、

 

「吉田!村松!デケェの頼むぜ!」

 

 寺坂が水を叩きながら二人に言う。そう、イトナ君が動かなければ、あの二人ならあの程度の高さ、水に飛び込むことができる。幸い、ここは多少は深さがあるしね。で、

 

「殺せんせーと弱点一緒なんだよね?」

「じゃあ、僕らもやり返させてもらうよ~」

 

 僕は皆に飛び降りるよう合図をする。この合図一つで平然と飛び降りれるあたりうちのクラスは凄いなぁ。ま、分かってやってんだけど。

 で、僕らも下の岩場に飛び降りる。

 

「だいぶ吸っちゃったねぇ」

 

 イトナ君の触手は皆が水をかけまくってだいぶ膨らんでいた。

 

「これでハンデが少なくなったね~」

 

 これでほぼイーブンだろう。

 

「で、どーすんの?俺らも賞金持ってかれるの嫌だし」

「皆、今回の作戦で死にかけてるし~」

「「()()()()寺坂もボコられてるし」」

「おい!」

 

 何か反応されたけど無視無視~

 

「まだ続けるんならこっちも全力で水遊びさせてもらうよ?」

「そうそう。皆イトナ君と遊ぶ準備万端だよ~」

 

 どこから拾ったのかバケツやらビニール袋やらに水を入れている。水かける気満々だね~

 

「……してやられたな。……ここは引こう。この子らを皆殺しにでもしようものなら反物質臓がどう暴走するか分からん。……帰るよ、イトナ」

 

 ただ、イトナ君の殺意は僕らに向いたままだ。

 

「どうです?皆で楽しそうな学級でしょう。そろそろ、ちゃんとクラスに来ませんか?」

 

 顔をデカくした殺せんせーがなんか正論を言ってる。 

 しかし、その問い掛けにイトナ君は応えることなくシロさんとともに帰っていった。

 

「ふぃーっ、なんとか追っ払えたな」

「良かったねー、殺せんせー。私たちのお陰で命拾いして」

「ヌルフフフフ、もちろん感謝してます。まだまだ奥の手はありましたがねぇ」

 

 まぁ、あるだろうねー。

 

「とりあえずカルマ~」

「ああ、風人」

 

 僕らは手を高く上げハイタッチをする。

 

「「お疲れ!」」

「じゃあ、帰ろっか~皆はまだ遊んで行っていいいよ」

「そうだね~。あ~何か僕ら疲れたね、カルマ」

「この後なんか食いに行く?」

「いいね~いこいこ~」

 

(((…………カチンッ)))

 

 振り返り歩こうとする僕ら。そこに忍び寄る寺坂の手。僕は一早くそれに気づき!

 

「カルマガード!」

 

 バシャン!

 

 カルマは寺坂に掴まれて落とされた。プクク~ザマァ。

 

「ん?あれ?有鬼子さんや?この手は何でしょう?」

 

 と、油断した隙に、僕の手は有鬼子に掴まれて、

 

 バシャン!

 

 投げ飛ばされていた。

 

「何すんだよ!上司に向かって!」

「そーだそーだ!僕ら濡れちゃったじゃないか!」

 

 こっちは制服なんだぞ!君たちみたいに水着じゃないんだ!

 

「誰が上司だこのイカレドS野郎ども!大体テメェらサボり魔な癖においしい場面は持っていきやがって!」

 

 さーっと、目をそらす僕ら。確かに身に覚えが有りすぎて困る。

 

「そもそもテメェら何自分たちの手柄で勝った感じでハイタッチまでして挙句祝勝会あげようとしてんだよ!舐めてんのか!」

「それ私も思ってた」

「この機会に泥水もたっぷり飲ませようか」

 

 あ、皆の眼が完全に殺る眼に変わった。

 

「ねぇ……カルマ。これヤバくない?」

「あはは……マジでどうしよう」

 

 あ、カルマが寺坂に捕まった。僕?そんなの決まってるじゃないか。言わせないでください。

 

「ゆ、有鬼子さんは優しい人だからそんな非道な真似しないよね~?」

 

 とりあえず、手から肩を掴む場所に変えたが肩を掴んで一向に放そうとしない有鬼子に問いかける。

 

「…………(ニコッ)」

 

 あ、この笑顔はダメだ。

 

「み、皆助けて!この笑顔はダメなやつ!殺気が溢れで」

 

 次の瞬間、僕は地面に倒された。背中は思い切り地面に漬かってます。え?皆?僕のほうなんて見向きもしないでカルマのほうに行ってるよ?なんというか、こっちは見ちゃダメだと本能的に思ってるらしい。

 

「風人君?」

「マジで怖いです!誰か助けてください!いや本当にお願いします!」

 

 虚しくも僕の叫びは誰にも届かない。

 仕方ないので、僕は向き直る。馬乗りになって僕のお腹の所に座る有鬼子に。

 そして有鬼子は僕の耳元で囁くように言った。

 

「たっぷり悲鳴を聞かせてね♪」

 

 恍惚な表情を浮かべる有鬼子。その瞬間僕は察した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 捕食される……と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……出来れば明日の朝日が拝めんことを。




ここ最近思ったこと。
うちの神崎さんって何デレだろう?どこに向かって彼女は進んでるのか。
ツンデレではないことは確かだけど……何デレでしょう。
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