暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
「さて皆さん。素晴らしい成績でした。五教科の中で皆さんが取れたトップは四つです……が、風人君が触手破壊の権利を放棄したので破壊出来る触手は三本」
もうすでに、皆には言った。もったいないと言われたけど本人がそう言ってるなら無理する必要はないと皆が納得してくれた。
「早速暗殺の方を始めましょうか。権利を持ってる三人はどうぞ触手三本をご自由に」
「おい待てよ、タコ。破壊の権利を持ってる五教科トップは三人じゃねーぞ」
そういうと寺坂筆頭に村松君、吉田君、狭間さんの四人が教卓の前に立つ。
「……?三人ですよ寺坂君。国・英・社・理・数、全て合わせて……」
「はぁ?アホ抜かせ。五教科っつったら国・英・社・理……あと
そういって、教卓に放る四枚の家庭科のテスト。全て100点だそう。わーお。
「か、家庭科!?」
「だーれもどの五教科とは言ってねぇよな?」
「ちょ、ちょっと待って!」
「そーだよ、寺坂。ダメでしょ~?」
「よ、よかった。風人君は味方してくれるんですね?」
「僕の存在を忘れちゃさ!」
そう言って叩きつける100点の答案。もちろん、国語じゃない。
「風人君!?キミもですかぁ!?」
「ふはは!油断したね殺せんせー!」
「君たち!か、家庭科なんて……!」
「なんてってさ」
ここで今まで黙っていた男が動く。
「失礼じゃね?五教科最強の家庭科サンにさ」
カルマである。
「約束守れよ!殺せんせー!」
「一番重要な家庭科サンで五人がトップ!」
「合計触手八ほーん」
皆からの援護射撃も入る。これには殺せんせーも従わざるを得ないだろう。
ククッ。まぁ、寺坂たちは想定外だったけど、これで触手は想定以上に破壊する権利がもらえた。
「それと、これはみんなで相談したのですが、賭けはA組との戦利品の時に使わせてもらいます」
「……What?」
「いや~あの時のせんせーの顔は傑作だった~」
帰り道。いつも通り有鬼子と帰っている。
「そうだね。でも家庭科のテストでよく満点取れたね」
「ん?僕の得意科目は家庭科だよ~」
「……え?」
「うん~実は家庭科が一番得意だったり~」
別に他にも得意な科目はあるけど一番は?と聞かれれば家庭科さんだね~
「いや~A組との賭けにも勝って万々歳~」
あんなえげつない命令出されるところだったからね~危ない危ない。
「そういえばさ、風人君」
「な~に?」
「保健体育はどうだった?」
「53点~平均きった~あはは~」
「そう……」
そう言って有鬼子は自身の保健体育のテストを見せてくる。得点はなんと81点。
「おぉ~凄いね」
素直に凄いと思う。家庭科もだけど、サブ教科というのはテスト問題を作る先生の癖が出やすいし、強い癖が出ても大目に見られる教科。
おまけに保健体育。ここE組は保健は普通(ビッチ先生が入ったら怪しいけど)だが、体育に関しては暗殺訓練とかプールで遊ぶとかまともなことをやっていない。つまり、その分E組が不利だけど……これは凄い。
「ということで、賭けは私の勝ちだね」
「…………Pardon?」
「なぜに英語?まぁ、もう一回言おうか?風人君との賭けは私の勝ちだね」
「…………Why?」
「風人君との勝負は
「…………」
「そうだね。普通は五教科だけって思うかもしれないけど、風人君も賛同した寺坂君たちの言い分を借りるなら『誰も保健体育が勝負の対象科目じゃない』とは言ってないよね?」
背中に嫌な汗が流れる。ヤバイ。マジでヤバイ。
「ま、まさか有鬼子!それを狙って保健体育を集中的に勉強してたのか!」
「ううん。私が勉強してたのは国語を筆頭に主要五教科。で、結果を聞いて一教科も勝ってなくて諦めていたんだけど、寺坂君たちのを聞いて思ったの。もしかしたら保健体育なら勝ってるかもって」
マズいマズいマズいマズい。
「まぁ、運よく勝っていたみたいだし」
「じ、実は90点だったり」
「じゃあ見せて?その点数を」
笑顔で催促してくる。あ、これ、最初に言った点数が本当のって確信してる顔だ。
「…………僕の負けです」
潔く負けを認めよう。何だろうこの気持ち。総合では浅野君に負け、殺せんせーは出し抜いたのに、有鬼子に出し抜かれた。何だろう。この悔しさ。
「……よしよし」
そう思ってると有鬼子が僕の頭を有鬼子の胸のところに持ってきて、頭を撫で始めた。
「悔しいんでしょ?私の胸で泣いてもいいんだよ」
「うっさいな~泣かせた本人が何言ってるのさ」
「違うでしょ。本当は総合で一位取れなくて負けたことが泣くほど悔しかったんでしょ?」
「………………何で分かったのさ」
「分かるよ。隠してるようだけど、伊達に風人君を見ていないよ」
「……とどめ刺したの有鬼子だけどね~」
「うん。そうだよ」
「自覚してるんだ~」
「……でも、私も風人君に負けた。今回は運が良かっただけ。次はもっと善戦して……勝つよ」
「出来るといいね~まぁ、無理無理~」
「ふふっ。私に負け、今泣いてる子に言われたくないな~」
「泣いてないし~」
「いじけてるところも可愛いよ」
「フンだ」
テストは勝者と敗者が明確に分かれる一種の戦い。
今回、僕はある意味では勝者だった。
でも、それ以上の敗北を味わった。だから、僕はこれを糧に一歩進む。
「貸す胸が霞む胸なのに……ひんにゅー」
「…………(ビキッ)」
ちなみに、負け惜しみで言った一言で地獄を見たのは言うまでも無い。
終業式は特に何もなく終わった。
A組とバチバチの戦いに勝利したおかげか、集会恒例のE組いじりはいつもより白けたらしいし……あ、変わったことはカルマが参加したことかな~?集会はさぼるのに今回は来たよ。どうやら逃げたと思われるのが嫌らしい。後はテストのとき見た偽律さんがきていたくらい?
そして終業式も終え、E組に帰ると、殺せんせーは椚ヶ丘中学のパンフレットを開き、こう言った。
「一人一冊です」
そう言って殺せんせーが渡してきたのは……
「出たよ……恒例の過剰しおり」
「アコーディオンみてぇだな……」
うん。まぁ、凄いデカいというか分厚いというか……これどうやって持ち帰るの?
「これでも足りないくらいです。夏の誘惑は枚挙に暇がありませんから」
うーん。この夏休みのしおりを読み込んだ頃に夏休みが終わってそうだ。
「せんせー。特典は~?」
「しおりには付いていません」
「えぇ~」
「が、これより入る夏休み…………皆さんにはメインイベントがありますねぇ」
「あぁ、賭けで奪ったこれのことね」
先生の問い掛けに中村さんが椚ヶ丘学園のパンフレットを取り出して見せた。
僕らE組は本来、成績優秀クラスであるA組に与えられるはずだった特典を賭けに勝って手に入れた。まぁ、今回の期末テストはトップ五十をほとんどA組とE組で独占してるし、トップ十にも、僕以外に片岡さんと竹林君も入ってたし、僕らにだってこの特典をもらう資格はあるだろう。
「夏休み『椚ヶ丘中学校特別夏期講習。沖縄離島リゾート二泊三日』!」
A組から勝ち取った特典は夏期講習という名の国内旅行。また、僕らにとって修学旅行ぶりに行われる暗殺旅行である。……やっぱり、今回も暗殺旅行なのだ。
「君たちの希望だと……」
「はい。触手を破壊する権利はこの合宿中に使います」
触手をただ八本破壊して殺せるせんせーなら僕らも苦労はしない。万全の体勢で挑まなければこのせんせーは殺せない。
「触手八本という大ハンデでも満足せず、四方を先生の苦手な水で囲まれたこの島も使い、万全に貪欲に命を狙う。……正直に認めましょう。君たちは侮れない生徒になった」
つまり、今までは舐めていたと。
「親御さんへ見せる通知表は先程渡しました。これは
今年の四月から始まったこの暗殺教室。まぁ、僕を含め一部はそれより短いけど、その間の暗殺者としての通知表は教室いっぱいにばら撒かれた二重丸。
「一学期で培った基礎を充分に活かし、夏休みも沢山遊び、沢山学び、そして沢山殺しましょう。椚ヶ丘中学三年E組暗殺教室。基礎の一学期……これにて終業!」
殺せんせーの号令で、一学期最後の授業が終わるのだった。
「あ、せんせー。夏休みのしおり家まで運んどいて~」
「にゅや!?自分で持ち帰ってくださいよ」
「ふーん。まぁ、自分で苦労して作ったものが教室にずっと放置されたら、精神的に来るんじゃないの~?」
「ぐぬぬ……仕方ありませんねぇ……」
「あ、じゃあせんせー。俺のもよろしく~」
「ついでに私のもね」
「じゃあ、俺のも」
「み、皆さん!?」
一学期編終了!
無事一章が終われたのも皆様、読者様方のお陰です。
この話を投稿する前までに、UA20,000越え。お気に入り数200件突破。
また、評価していただいた方、感想を送っていただいた方、本当にありがとうございます。
ということで(どういうことで?)、次章予告をやります(何となくです)。
飛ばしたい方は飛ばして下さい。
~次章予告~
夏休みに入った三年E組。
「今の問題はあの二人の関係性。とてもただの友人には見えない」
風人に有鬼子とは別の女の影が……?
「いぇーい!」
「ひゃっほーう!」
賭けに勝利し、沖縄リゾート二泊三日へ。楽しむ風人たち三年E組だったが、
「本当にお前大丈夫か?」
突如倒れるクラスメートたち。
「動ける生徒全員で此処から侵入。最上階を奇襲して治療薬を奪い取る!」
治療薬求め、風人たちはホテルへ潜入する。潜入ミッションの行方は……
「撤収だぬ~」
……大丈夫か?そして、
「風人とは付き合わない方がいいですよ」
一体どういうことなのか。風人の過去が明かされ二人の恋が進展(?)…………する?
次章『波乱の夏休み編』
「殺すよ?風人君」
……まさかの風人終了のお知らせ?
※都合上予告とは違う展開になる場合がございます。ご了承ください。