暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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二章、夏休み編開始です。
そういえば、今日は節分ですね。
節分といえば豆まき。豆まきといえば鬼。鬼といえば有鬼子。
つまり、有鬼子の日ですね。というわけで、本編の前に短編をどうぞ。


『節分』

「鬼はそと~福はうち~」
「何してるの?風人君」
「豆まき~今日は節分だよ~」
「???今夏休みだよ?」
「リアルではそうなの~」
「何言ってるんだろう……この子」
「鬼はそと~福はうち~」
「ところで、何で『鬼はそと~』って言いながら私に豆をぶつけてるの?」
「え?有鬼子って、鬼じゃん」
「ふーん。そういうこと……」
「あ、あれぇ?錯覚かなぁ……何か角が生えてるように見えるんだけど……あれぇ?そしてどこからか金棒が出てきたように見えるんだけど……」
「覚悟してね?風人君♪」
「これぞ鬼に金棒ならぬ有鬼子に金棒……ぎゃあああああああああ!」


波乱の夏休み
尾行の時間


 夏休みになった。

 夏休みにも勉強と並行し、暗殺訓練をするE組の面々。

 これは、夏休みに入ってすぐのある日の朝のこと。

 それはカルマによる一枚の写真とメッセージから始まった。

 

『これって、風人だよね?』

 

 その写真には二人の人物が写っていた。

 

『おっ。これ、いつ撮ったの?』

 

 反応したのは中村。片方は風人。もう一人は知らない女子。少なくともE組ではない。

 

『今撮ったばっか。場所はすぐそこの駅前』

『ほほう。でも、クラスの方で話かけたら和光にバれない?』

『心配無用。律に頼んで風人のところには行かないようにしている』

『ご心配には及びません!』

『なるほどねぇ。というわけで、既読している人たち出てきたら?』

 

 律の力を悪用している男がそこにはいた。

 

『うーん。この子見たことないから、うちの学校じゃないな』

『確かに、こんな美少女うちの学校に居たら俺が覚えてるはずだ』

 

 最初に答えたのは前原と岡島。E組どころか椚ヶ丘中学の人間ですらないらしい。

 

『二人が言うなら確かなんだろうね……』

『じゃあ誰なんだろー?』

 

 続いて渚と茅野。朝から暇人ばかりである。

 

『全く、人のプライベートなんだから侵害するのはよくないよ』

 

 と、学級委員の片岡がここで正論を繰り出す。

 

『そうお堅いこと言いなさんなって。あの和光と一緒に居る女子だよ?気にならない?』

 

 この時、この会話を見ていた人は全員思った。確かに、と。

 

『特に神崎ちゃん』

『わ、私?』

 

 急に指名されて出てきた神崎。神崎もカルマが写真を投下した時から見始めていたのだ。

 

『ふっ。新キャラって事は恋敵の登場ね!』

 

 そう言ったのは不破だ。

 

『畜生!何で俺はモテないんだ!』

『変態だからでしょ』

『酷いっ!』

『そんな岡島のモテるモテないは置いといて』

『置いとかないでくれよ……』

『やっぱ、和光とどういう関係か気になるよな~』

 

 前原は皆の思うことを代弁する。どうやら気になるようだ。

 

『風人。あの子と結構仲いいっぽいよ』

『何で分かるの?カルマ君』

『え?尾行して話を盗み聞いてるからに決まってんじゃん』

『おい!』

『それはダメでしょ!』

『さすがにやめたら?』

 

 平然と尾行していると告げたカルマを非難する一同。

 

『うーん。俺はやめてもいいけど……気にならない?特に神崎さん?』

『確かに神崎ちゃんにとって恋敵になる存在かもしれないよね』

『私は……気にならないと言われたら嘘になるけど……』

『よし。風人尾行隊結成だね』

『隊長。どこに向かえばよろしいでしょうか』

『場所は〇〇デパート。そこからは律に案内してもらえばいい』

『了解です』

 

 カルマは引き続き尾行を続行。中村もカルマに合流し、風人の尾行をしようとする。

 

『ちょっと二人とも!?』

 

 片岡が送る…………が反応なし。

 

『あぁもう!あの二人を止めに行くよ!』

『じゃあ、私も!』

『僕も行こうかな……』

『私も参加希望』

『んじゃ俺も』

『けっ。モテる奴のデートとか見て何が楽しいんだが』

 

 と、岡島の言葉を最後に会話が途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむふむ。カルマ隊長。和光(ターゲット)は今あの店の中だね」

 

 私は考えた結果。気になってしまって来てしまいました。……ごめんなさい風人君。

 現在、風人君を尾行しているのは、カルマ君。中村さん。渚君。前原君。片岡さん。不破さん。茅野さん。それに私の八人。……後律も私たちに手を貸している。それに、

 

「ヌルフフフ。生徒のスキャンダル。これは調査しなくては……!」

 

 殺せんせーも、下手な変装で参加している。風人君の尾行の為にこんなに集まっている。……バれないかな?そもそも傍から見たら相当私たち怪しいような……

 

「しっ。出てきた」

 

 出てくる二人。何かを話しているようだがここからじゃ聞こえない。

 

「律。あの二人の会話を盗聴して」

「ちょっと待って。それはダメでしょ」

「殺せんせーが全責任を負うから」

「にゅや!?何故私!?」

「シッ。声が大きい」

 

 見ると風人君が辺りを見渡す気付かれた?

 

『どうしたの?風人』

『いいや。今担任の声が聞こえた気がしたんだけど……気のせいみたい』

『そう?まぁ、何でもいいけど、じゃあ次服屋ね』

『はいはい。分かってますよ』

 

 カルマ君の携帯から聞こえてくる声。よかったバレてな……

 

「いやダメでしょ!?」

「いいじゃん。このお陰で気付かれたかが分かるんだし」

「んなことより服屋だ。さっさと行こうぜ」

 

 前原君が促したので私たちはなるべく気配を消して歩く。

 

「これって、普段の訓練の成果だよね?」

「うん。多分……」

「でも、尾行で気配を消すのは普通じゃない?」

「こんなところで暗殺技術が使われるのか……」

 

 と、談笑をしている。風人君と女子も話しているようだけど、流石に道の真ん中で集まっていたりしたら怪しまれるのでやめておこう。

 そして服屋の前。カルマ君の提案で二手に別れた。片方は店内へ。片方は外で待機。こうしたほうが、ばれにくく、ターゲットを見失いにくいそうだ。まぁ、律が居る時点で見失っても場所の把握は容易だけど。

 

『ねぇー風人。この服似合うかな?』

『大概何でも似合うと思うよ』

『そう?なら、試着してくるね』

 

 そう言って、試着室に入っていく女の子。その前でスマホで何かしている風人君。

 

「ほほう。これは脈ありですかね~」

「なるほどね。自分の服を相手に選ばせるとか……デートだね。完全に」

「というか和光君ってあんな真面目なキャラだっけ?」

 

 上から中村さん。カルマ君。不破さんだ。

 確かに、風人君があんなに真面目……というか普通に話している。私の前ではのんびりとしていた口調なのにだ。……相手の印象をよくするため……なのかな?

 

『じゃーん。似合う?風人』

『ふーん。八点』

『それは十点満点?』

『正解』

『ありがと。じゃあ、他のも着るね』

 

 ………………。

 

「か、神崎ちゃん!ステイステイ!」

「嫉妬と殺意が溢れ出てるよ?」

 

 ……はっ。私は今なんてことを。

 

「というか、率直なこと聞いていい?」

「何でしょう」

「風人と付き合ってないんでしょ?だったら他の女子と居ても問題に入らなくない?」

「うっ……」

 

 確かにそうだ。私は風人君と付き合ってるわけじゃない。だから、風人君が誰といても私には理由を問いただしたりそういう権利はない。

 

「よしこの夏休み中に告白しよう」

「いいねぇ。いい加減くっついちゃえ」

「これは恋愛フラグだね」

「えぇっ!?ちょ、ちょっと待って。急すぎない?」

「よく考えてみよう。あの男から告白する可能性は限りなくゼロ」

「このままうだうだとした関係を続けるよりバン!とくっついちゃえ」

「まぁ、そろそろくっつかせたいよね。話の展開的にも」

 

 三人の意見。不破さんだけ何かメタい?

 

「でも……」

「まぁ、いつか迎える壁なんだ。早いにこしたことはないでしょ」

「今の問題はあの二人の関係性。とてもただの友人には見えない」

「ぶっちゃけ兄弟ってオチじゃないの?」

「いや、風人君は一人っ子なはず」

 

 と、話していると会計のほうに向かう。そして、購入して外に出た。

 

『次はどこ行くの?』

『下着屋』

 

 え?

 

『ふーん。分かった』

 

 ……え?

 

『じゃあ、早速行こっか』

 

 …………え?

 

 

「……これは一回集合したほうがいいっぽいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけで、一旦集合。風人君の位置は女性用の下着屋のところで動いていない。会話も流しつつ、私たちは会議を行っていた。

 

「はっきり言おう。あの二人は肉体関係を持っていると思う」

「ドストレートだね~前原」

「何だろう。ビッチ先生のせいで、あんまりそういうこと聞いても動揺しなくなった」

「だね。英語でそういう大人なことをちょくちょく言ってくるもんね」

「あはは……慣れちゃいけない気がする」

 

 風人君……肉体関係……夜の関係……

 

「だって、そうだろ?俺ですらまだ女子の下着なんて選んだことねぇぞ?」

「そこ自分基準なんだ……」

「ねぇ、あの二人って兄弟か双子じゃないの?」

「いや、神崎ちゃんによると和光は一人っ子らしい。だよね?神崎ちゃ……」

 

 じゃあ……私は……

 

「……これは重症だ。暗いって次元を通り越している」

「ふむ。風人君にこんな一面もあったとは……」

「もしかして、和光って女たらしのクズ野郎じゃないのか?」

「それ前原が言っちゃう?」

「天然でマイペースを装い、面倒見が良さそうな美人の母性本能をくすぐり、そのまま遊びの関係に」

 

 遊び……ああ、そっか遊びなんだ。私とは遊び……。

 

「そうかな……?」

「どうしたの渚?」

「いや、風人君って普段僕らといる方が素だと思うんだ。なんというかそういう打診を感じないというか……」

「なるほど。神崎さんに近付いたのは打診とか関係ないってことか」

「うーん。でも、見てよ」

 

 そう言われて私たちは下着屋の方を見ます。そこから出てくる男女。入っていく時より一つ袋が増えています。どういうことかはお分かりだ。

 

「なら、アレはどう説明するの?」

「そ、それは……」

「皆さん。答えが知りたいのなら尾行しましょう。ターゲットの情報収集も重要です」

 

 ところどころおかしい気がしますが殺せんせーが真面目に――

 

「せんせー。それを顔をピンクにして言っちゃダメだよ」

 

 ――ダメです。完全に私利私欲に塗れてます。

 

『おなかすいたね』

『昼時か……なら、近くのカフェでいいんじゃない?』

『オッケー。じゃ、行こうか』

 

 そういえばと、時計を見ます。今はお昼時……何でしょうずっと尾行している気がします。

 

「さてと、行こうか」

 

 私以外全員うなずきます。

 

「私は……遠慮しておく」

「どうして?」

 

 カルマ君と中村さんを止めに来たはずの片岡さんが聞いてくる。

 

「だって、風人君。楽しそうというか……何かこれ以上見ていると」

 

 嫉妬でどうにかなりそう。

 ただえさえ、私との関係が遊びと思うと恐怖しかないけど、それでもやっぱり嫉妬が一番ある。

 

「まぁ、こんな嫉妬ばっかする女。好きになれないよね?ははは……」

 

 もう笑うしかない。

 

「ど、どうしよう!神崎さんが壊れた!」

「恋は人を変えるんだね……」

「まぁまぁ、とりあえず最後まで尾行してみよう。そして和光が悪かったら私たちが陥れてやるからさ」

「中村さん……」

「そん時は俺も全力でやるさ」

「クラス皆も協力してもらうよ」

「カルマ君。片岡さんに……」

「ヌルフフフ。もしそうなら人格矯正が必要ですかねぇ」

「殺せんせー……」

「行こう。真実を知るために」

「ああ。和光の実態を暴くんだ」

 

 何だろう。私たちって……

 

「ぶっちゃけストーキングしているだけだよね?」

 

 不破さんの言葉にさっとどこかに顔を向ける皆。そして、何事もなかったように歩いていく……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてカフェを見張る私たち八人と国家機密(殺せんせー)人工知能()対象(ターゲット)は風人君。テラス席に座っている。

 

『転校してからどう?』

『前の学校より面白いよ』

『そう』

 

 転校した後?

 

「つまり、あの子は風人の前の学校の子か」

「ようやく確定情報が出てきたね。そりゃ見たことないわ」

 

 なるほど。でも、凄い親しそうだ。

 

『クラスには馴染めたの?』

『まぁね』

『へぇ。友達はできたの?』

『出来たよ』

 

 ここまでは普通の会話だ。

 

『じゃあ、女子は?』

 

 ここからは重要な会話だ。

 

『いるよ』

『へぇ~写真はないの?』

『写真か……あ、あったよ』

 

 女の子に写真を見せる風人君。が、

 

『……えっ?だ、大丈夫なの……?』

『まぁ大丈夫だよ』

 

 誰の写真を見せたんだろう?そもそも写真なんて持っていたの?

 

『じゃあ、風人に好意を持ってる人は?』

『なんでそんなことを?』

『だって、もしいたらさ。その子がこの光景見たら絶対――』

 

「か、神崎さん!?」

 

 私は制止を無視してその二人の元へ向かいます。もう聞いていられません。そして怒気と殺気を纏ったまま風人君の所に行きます。

 

「風人君?」

 

 私は風人君に話しかけます。

 

「どうしよう。これ修羅場だよ!」

「修羅場を間近で見られるとは」

「これはスクープしなくては!」

「風人死んだね」

「終わったな。アイツ」

「誰一人風人君の心配をしていない!?」

 

 向こうでガヤガヤやってますが無視です。

 風人君は私を見て一瞬驚く。そして、

 

「あ、有鬼子。やっほ~」

 

 普段通り声をかけてきます。どうやら、言い逃れできると思っているそうですね。

 その仮面はいつまでもつかな?風人君。あなたと一緒にいた女性なんてどうしようという感じで狼狽えて――

 

「おぉっ!風人。この子が風人の友達?」

 

 ――あれ?狼狽えていない……どころか寧ろ私に向け目を輝かせて見てます。

 

「そうだよ」

「何だ、風人。写真で騙すとか酷いじゃん」

「騙してないよ。アレは有鬼子の去年の写真」

 

 あれ?話についていけない。今って、言わば『浮気した男性が妻に浮気相手と食事をしているところを見つかって乗り込まれた』っていうもっとギスギスするもんじゃないの?

 

「あ、挨拶しないと。どうもお兄ちゃんがお世話になっています」

「外でお兄ちゃん呼びはやめてって言ったよね?涼香」

「はっ。風人の従兄弟の岩月(いわつき)涼香(すずか)です。よろしくお願いします」

 

 え?従兄弟……?

 

「彼女は神崎有希子。私のクラスメートだよ」

「有希子ちゃんですね」

「ちょ、ちょっと待って。え?二人は従兄弟で……」

「あー従兄弟で、前まで学校は同じ。家も隣だった。今日は涼香に買い物付き合わされた」

「でも普段としゃべり方違うよね?風人君」

「あーそれ私のせいです。ほら、お兄ちゃんって独特な喋り方……と言うよりズレててゆっくりじゃないですか。私、お兄ちゃんに会話のテンポとかを外で合わせるの面倒なので真面目に話してもらってます」

「ねぇ。涼香のその呼び方も外で誤解されるからやめろって言ったよね?」

 

 何だろう。膝から力が抜けて、

 

「大丈夫?座ったら」

「ありがと」

 

 風人君が受け止めて、そのまま座らせてくれました。

 

「うちのお兄ちゃんがいつも迷惑をかけています」

「ちょっと待って。私が迷惑かけてる前提?」

「大丈夫だよ岩月さん」

「涼香でいいですよ。お姉ちゃん」

「お、お姉ちゃん!?」

「涼香。冗談はそこまでにしといてね」

「はーい」

 

 そして私をじっくり見て、

 

「……有希子ちゃんなら私のお姉ちゃんになってもいいかな」

 

 何というか、この二人。まるで兄妹みたい。

 

「何か食べる?有鬼子、奢るよ」

 

 そして、こっちの風人君に全く慣れない。ん?

 

『尾行部隊は撤退したよ!後は三人で仲良くね』

 

 茅野さんからだ。振り返っても彼らはいない。本当に撤退したようだ。

 

「じゃあ、これを」

「分かった」

 

 店員に颯爽と注文を取る。……何かこういうところを見るとますます好きになりそう。

 

「で、二人はキスしたの?」

「……ケホッケホッ」

「大丈夫?気管に入った?」

「だ、大丈夫……」

「で?どうなんですか?」

「そ、それは……」

「うーん。されたような……されてないような……」

「風人君!?」

 

 なお、涼香ちゃんに答えにくいような質問攻めをされたことを記す。




最後の一言を風人君に言わせたいがために最初の短編を書いた気持ちはあります。
豆まきは相手の了承を得てから相手にぶつけましょう。
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