暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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ダブルデートの時間 前日

 『風人君ストーキング大作戦』も終え、それは普通の日の夜でした。

 

『神崎さん。風人さんからメッセージです』

「教えてくれてありがと。律」

 

 風人君からメッセージが届きました。何だろう?もうすぐ暗殺旅行だから日程の確認かな?それとも、荷物の確認?どっちだろう。

 

『明後日空いてる~?プール行かない~?』

 

 どっちでもありませんでした。

 え!?あの風人君からお誘い!?いや、落ち着くんだ私。どうせ、風人君のことだ。そう、カルマ君とか渚君とかその辺りが提案して、きっと修学旅行の四班とかそんな感じのメンバーで行こうって話になったに違いない。ここは早とちりをしないで……。

 

『うん。いいよ。他には誰が来るの?』

 

 他に誰が来るかを確認しておこう。まぁ、大体分かってるような感じがするけど、

 

『あと二人いるよ~』

 

 二人……最悪なのは中村さんカルマ君の二人。あの二人は裏が有りすぎる。可能性としてありそうなのは渚君と茅野さんで、次点で片岡さんと磯貝君って感じかな。

 

『片方は涼香だね~。もう一人は知らないと思う~』

 

 涼香さん……この前の浮気疑惑事件で発覚した風人君の従兄弟。あれ?予想と違った?

 

『そのもう一人って女子?』

 

 あ、送っちゃった。女子だと何か嫌だというか、また風人君との関係の洗い出しをしたり、やること多くなるなぁと、思う。

 

『ううん~片方は男だよ~』

 

 男子か。ならいいかな。

 

『涼香がダブルデートするって言ってた~』

 

 だ、ダブルデート!?プールで!?

 

『えーっと、集合時間と集合場所と行く場所は……』

 

 風人君から送られてくる情報。いや、そんなことより、

 

「どうしよう。何着ていこう。あ、それ以前に水着買ってこないと」

 

 でも、水着かぁ……風人君ってどういうのが好みなんだろう?うーん。どうせ買ってこないといけないし……よし。

 

『ねぇ、風人君。明日暇?』

『暇だよ~』

 

 よし。

 

『明日買い物したいから付き合ってくれない?』

『うん~分かった~』

『じゃあ、明日の朝九時に……』

 

 こうして、私は二日間デートすることが決まりました。まぁ、明日は風人君。デートって思ってないだろうなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日~僕は集合場所にいつも通り五分前には到着。

 

「わ、視界が急に塞がれた~」

「だ~れだ」

「鬼」

「風人君?」

「……ごめんなさい。反射でつい……」

「それも問題だよ」

 

 と、こんな軽い?やり取りを済ませて……

 

「で、どこ行くの~?」

「うーん。着いて来れば分かるよ」

「はーい」

 

 と、僕らは横並びで歩き出す。

 

「でも、急に風人君がプールって言って驚いたよ」

「まぁね~」

「どういう経緯で?」

「うん。あれはね……」

 

 僕は思い返す。有鬼子にメッセージを送った少し前のことを……

 

 

 

 

 

 

『風人さん。涼香さんから着信です』

「拒否しておいて~」

 

 やっぱり、モバイル律って便利だね~

 

『はい。……あ、涼香さんからまた着信です』

「……はぁ。出るよ~」

『あ、お兄ちゃん?折れるの早いね』

 

 第一声がこれである。分かってたよ。彼女は僕が出るまでエンドレスにかけてくると言うことぐらい。そしてダメだったら家にかけてくることくらい。

 

『とりあえず、真面目な口調になって~』

「はいはい。私に何か御用でしょうか?」

『明後日プール行くんだけどさ』

 

 いってらっしゃい。

 

『一緒に行かない?』

「丁重にお断りさせていただきます」

『えぇー行こうよ~』

「ゲームしたいです」

 

 全く。私の夏休みが一にゲーム、二にゲーム。三くらいに旅行と言うことを知らないのかな?だからプールなんて行くわけ――

 

『うーん。じゃあゲーム買ってあげるから』

「是非行かせて頂きます」

『即答!?モノで釣られたよこの人!?』

 

 ――あるよね。偶にはいいよね、プールも。

 

「で?どうしたの?」

『うん。冗談はおいといて』

 

 え?ゲームの話冗談なの?

 

『ダブルデートしたいなぁ~って』

「はぁ。…………え?そんだけ?」

『うん。それだけ』

 

 恐ろしい子だ。

 

『だからさ、お姉ちゃん誘っといて』

「あー有鬼子ね。誘ってオッケーするかな?」

『するよ!絶対に!』

「そう?」

『うんうん』

 

 何でこの前一度会っただけでこんなに断言できるのだろうか。不思議だ。

 

「で、お前の方は……あぁ、アレか」

『いや、友達をアレ扱いは酷いでしょ』

「アレ扱いで充分でしょ」

『まぁいいけど』

「いや、いいのかよ。お前の彼氏だろ」

『だから?』

 

 うわっ。酷っ。

 

『まぁ、お兄ちゃんとは言え馬鹿にしようものなら沈めるからね』

 

 うわっ。怖っ。

 

「はいはい……あれ?でも私、有鬼子と付き合ってないよ?」

『知ってるよ?何言ってるの?』

「いや、それだとダブルデートって言わなくない?」

『大丈夫だよ』

 

 何が?

 

『お兄ちゃんにとってはダブルデートでなくてもお姉ちゃんにとってはダブルデートだからね』

「……はぁ?」

『まぁ、好きな人と出掛けられるからお姉ちゃんにとってはデートってこと』

 

 涼香が話しているのは日本語?Oh(オゥ)……Japanese(じゃぱにーず) is(いず) very(べりー) difficult(でぃふぃかると).

 

『じゃ、話を続けると……』

 

 

 

 

 

 

 

「というわけなのです~」

 

 一通り話し終えると頭に手をやる有鬼子。

 

(絶対涼香ちゃん私の好意に気付いているよ……この前初めて会った時もそうじゃないかと思う会話はあったけどさぁ……)

 

「どうしたの~?暑さで頭逝かれた~?」

「大丈夫だよ。風人君ほどイかれてないから」

「はーい」

 

 ……あれ?何気に酷くない?

 

「さ、行こう?」

 

 そう言うと僕の手を握る。

 

「別に手を繋がなくても迷子にならないよ~?」

 

 だって、迷子になったらモバイル律が何とかしてくれるから。あれ?それって、迷子にならないというより迷子になっても大丈夫って言ってるのと同じ?どっちでもいっか~

 

「……そういう意味じゃないんだけどなぁ…………」

「何か言った~?」

「ううん。何も」

「そう?うーん。どういう意味だろ~?」

「って聞こえてたの!?」

「うん~僕耳いいから~」

 

 でもどういう意味だろ?……うーん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と言うわけで、水着を買うことにします。ついでに、服も買おうかなと風人君に言ったら『いいと思うよ~』と言ってくれたので後で私服の方にも見に行きます。下着は……さすがに風人君の前で買ったり、試着するようなそんな勇気はまだありません。

 

「……どう……かな?」

 

 試着室を開けて、風人君に見てもらう。

 何か恥ずかしいなぁ……よく考えたら男の子と服を買うこと自体したことないのに最初が水着はハードルが高すぎたかな……。

 

「……似合う?」

 

 いつになく真剣な表情で考え込んでる様子の風人君。

 風人君の意見を参考にして、ワンピースタイプを選んでみたけど……

 

「うん~。凄い可愛いよ」

「か、可愛い……」

 

 どうしてこうも平然と風人君は言えるのだろう。聞いてるこっちが恥ずかしくなる……

 

「顔赤いよ~?大丈夫?」

「う、うん。着替えるから待っててね」

「はーい」

 

 可愛い……かぁ。……嬉しいな。やっぱり風人君(好きな人)に言われると嬉しい。

 私は服を着て、水着を購入する。

 

「あれ?風人君も水着買ったの?」

 

 すると、先に店を出ていた風人君の手に袋があることに気付きます。

 

「うん~よく考えたら僕も持ってる水着サイズ合わないな~って」

 

 あーそっか。風人君。去年会った時から少なくとも10cmくらいは伸びてるし、前の水着をいつ買ったかは知らないけど合わなくなっていても不思議じゃないか。

 

「お金はあったの?」

「まぁね~備えあれば患いなしってやつだよ~」

 

 なら、いいかな。

 

「じゃあ、次は服屋さんだね。行こう?風人君」

「うん~」

 

 私は風人君の手を引いて歩き出す。風人君が迷子になるといけないというのはただの建前で本当は風人君に触れていたい。風人君の温かさを感じていたいから。まだ彼に気づかれてはいない私の思い。

 

「ねぇ風人君。修学旅行の時に私たちが拉致された時、殺せんせーが言ってたの覚えてる?」

「え~っと……」

 

 考え始める風人君。多分、的外れもいいとこなこと言うんだろうな……

 

「あ~『これは携帯の味ですね。レアメタルの味がします』って、言ってたっけ。レアメタルの味って何だろね~」

 

 うん。予想通りだ。

 

「違うよ。ほら、どんな川にいても前へと進めば魚は美しく育つって言ってたの」

「あ~そっちか~惜しかったな~」

 

 惜しくはないと思う。

 

「で、その後風人君言ってたよね。『そして美味しく食べられるのです』って。だからさ――」

 

 私は風人君の顔を見て言う。

 

「私という魚が美しく育ったら、風人君は私のこと……食べてくれる?」

「ほへぇ?」

 

 その声と眼で良く分かった。風人君これ分かってない奴だ。

 まぁ、婉曲に表現したというか魚が食べられることによって真の意味でその食べた人のモノになるから、私を風人君のモノにして欲しいって感じに伝えたつもりだけど……やっぱり遠回しじゃダメかぁ……あ、でもこの表現だと……

 

「有鬼子は今でも充分美しいでしょ?」

「…………っ!」

 

 こういうのが急に飛んでくるからなぁ……無自覚に。私が無防備な時に。

 

「でも、有鬼子を食べるのか~………………ベッドの上で?」

「あぁぁ!今のは忘れて!」

「ビッチ先生に毒された~?(ニヤニヤ)」

 

 確かに半分くらいはそういう意味も含まれてもおかしくないことに言った気付いたけど!気付いたけど!あぁぁ!そのニヤけ顔はやめてぇ!

 

「……ダメだよ、有鬼子。そういうことを簡単に言ったらさ」

「…………え?」

 

 ……あれ?いつもの風人君なら、あのままニヤけながら失礼なことを言いそうなのに、いつになく真剣な顔だ。

 

「……少なくとも今の僕にそんなことは出来ないよ」

 

 何故だろう。風人君の眼が一瞬……

 

「あ~着いたよ~ほら、入ろうよ~」

 

 手を引いて服屋に入る風人君。

 私は風人君を知っているようで何も知らない。

 今までも時々思ってたけど……君は何を隠してるの?君に何があったの?君は……何を考えてるの?

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