暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
後編1を飛ばした方は前へお戻りください。
ウエイトレスの制服を渡され、明らかにおかしいだろうと至極真っ当な意見が出たが、殺せんせー曰く『いいですか?二人はイケメンですが、磯谷君のような女性を惹きつけるイケメンではありません。ぶっちゃけ可愛い系のイケメンです。なら、君たちの魅力を真に発揮しつつ、客を呼び込むためには……』要するに女装した方が客を集められるから女装しろと言う話だ。
ともかく、殺せんせーに押し切られて渋々着替えた東野と風人。
「ッチ。なんかスカート丈みじけぇし……!あのタコマジで殺す……!なぁ、お前もそう思わねぇか?風人」
最終的には自分で着替えたとはいえ、こんな服を着せられていらつきを隠せない東野。そんな東野は自分と同じ立場にある風人に声をかける。
「風人?誰ですかそれは」
が、風人から帰ってきた言葉は東野を裏切るような言葉だった。
「は?何言ってんだ……」
「今の私は風子ちゃんとお呼びください♪」
「…………え?」
「さぁ頑張りましょう!ね?佑さん♪」
(ちょ、ちょっと待て!はぁ!?これが風人だと!?丸っきり別人じゃねぇか!まさか、女装すると性格変わるとか!?いや、それにしたってこれは行き過ぎだろ!?)
あまりの変わりように困惑する東野改め佑さん。だが、佑さんがそうなるのも無理はない。
風人……いや、風子は今まで見てきた風人とはまとう空気から話し方から何から何まで違うのだ。
「さぁ、お二人とも。くれぐれも女装がばれることのないようにお願いしますね」
「はーい♪」
「分かってる……」
恐ろしいまでに対照的な二人。もはや東野には風人という存在が理解不可能だと思い始めた。
「いらっしゃいませ♪四人ですね♪では、奥のテーブルへどうぞ♪」
「い、いらっしゃいませ……お一人ですか?か、カウンター席へどうぞ……」
ノリノリで接客に勤しむ風子。対して佑さんは殺せんせーの前だといらつきがあったが、いざ客の前に立つと恥ずかしさがこみ上げているようだ。
ちなみにせんせー裏で厨房の仕事をやっていて、客からは見えないようになっている。
「お会計は――――円ですね。では、丁度。はい、またのご来店をお待ちしています♪」
客の反応も良好だ。ベテランのように動きつつ笑顔の絶えない風子と初々しさが残りどこかはかなげさを感じる佑さん。ある種対局と言ってもいい二人の姿。そういう目的の店ではないと頭では分かっているのにお客(特に男性の)は彼らに釘付けとなる。
そんなお客の視線を感じ風子は俄然やる気に、佑さんは恥ずかしさと殺せんせーへの殺意を見せる。
「いらっしゃいま――げ」
「その反応はダメでしょ。東野」
「そうだぞーウチらは今はお客様なんだから」
順調に思われたバイト。今のところ誰にも女装だとばれていなかったが、
(最悪だ……!よりによってこの二人に……!)
クラス内での悪魔コンビ、カルマアンド中村に女装してバイトしていることを見られてしまったのだ。
「ほらほら、案内してよ」
「……お二人ですか?お客様」
「ううん。三人。もう一人呼んだよね?カルマ」
「もちろん」
「では、テーブル席へ……」
あと一人って誰を呼んだんだ?という疑問を抱えつつ二人を律儀に席に案内する佑さん。
「ご注文がお決まりでしたらお呼びください」
「なら、佑さんの写真撮影で」
「……当店ではそのようなサービスは行っておりません」
「じゃあ、何か注文するからおまじないかけてよ。ほら、メイド喫茶であるじゃん」
「…………当店ではそのようなサービスは行っておりません」
すると、
『お願い風子ちゃん……!』
『えぇ……しょうがないですねぇ。もう!一回だけですからね♪おいしくなぁれ萌え萌えキュン♪』
『ごふっ……!』
その指先では、風子がお客様の料理におまじないをかけていた。
(あの野郎……!)
すかさず佑さんは風子を裏へ連れ出す。そして、
「テメェ何やってんだよ!あんなサービスがあると知ったら俺までやるハメになるじゃねぇか!」
風子に向かって怒鳴る東野。
東野は決して正統派喫茶店(?)でメイド喫茶のようなサービスをしていたことに怒っていたわけじゃない。自分があんなに黒歴史になりそうなことをやる可能性が出てきてしまったことに怒っているのだ。
「ご、ごめんなさい……よかれと思って……」
若干涙目になる風子。東野は風子を泣かせてしまったことに少し罪悪感を感じたのか。
「な、泣くことはないだろ。……その……悪かった。強く言いすぎた」
「いいえ。私が間違ってたのです。謝らないでください佑さん」
「風子……」
「戻りますよ?お客様の対応をしましょう」
戻っていく風子の後ろ姿を見て慌てて仕事に戻る佑さん。
(ちょ、ちょっと待て。あれは風人の女装だよな?え?風子さんっていう人と入れ替わったのか?いや、ちょっと待て一緒に着替えたはずだろ?だからアイツが男と言うことを……あれ?本当に男なのか?アイツは。そういえば初対面の時から女子にも見えると思ってはいたが……)
と、考え事をしていると、
「プハハハハハハ!」
聞き覚えのある笑い声がする。しかし、
「笑いが止まらねぇ!」
腹を抱えて笑う男。誰であろう。寺坂である。
あの二人が言ってた三人目はまさかの寺坂だったのだ。
「お似合いだぜ!佑さごぶぅっ!?」
「……お客様?お静かになさらないと他のお客様に迷惑ですよ?」
「ごはぁ!?」
最初に一発。忠告と共にもう一発入れ少し気が晴れる佑さん。
(まぁいい。風子についてはいったん放置で行こう)
その後、寺坂が佑さんのいらつきを晴らすための軽いサンドバッグになっていたが、ここでは特に触れないでおく。
そんな最悪の二人プラスαが帰り、カフェの客たちもいなくなって一息つく風子と佑さん。
「しっかり働いてるみたいだね。風子ちゃん」
「お疲れ様です。東野君」
そこに現れたのは、言うまでもない。二人の彼女である神崎と奥田だ。
「いらっしゃいませ♪あ、お一人様プラス鬼でございますね♪」
「へぇ~風人君。そんなこと言っちゃうんだぁ~」
「ふふっ。風人君?今の私は風子ちゃんですよ♪間違いないでください有希子ちゃん♪」
「ふぅ~ん。そんなのどうでもいいけど」
「それと私はこう見えて怒ってるのですよ?理由は……お分かりですね?」
「さぁ?どうだろうね。でも、私には今の風子ちゃん。ノリノリに見えるんだけど?」
「「ふふふっ」」
不敵に笑う風子ちゃんと神崎。普段の風人だと土下座コースだったはずだが風子は引き下がる気配がない。
「え、えーっと。これは止めた方がいいんじゃ……」
「やめておけ。多分止められない」
「そ、そんなぁ……」
「それにどう見てもこの二人の痴話喧嘩にしか見えないし。関わるだけ無駄だ」
「なるほど。つまり二人は仲の良さのあまり喧嘩しちゃってるっことですね」
「喧嘩するほど仲がいいって事だな。あいつらは放置して座ってくれよ」
「はいっ!」
と、未だ喧嘩中の
「注文は決まったか?」
今この場にいる面子からして演技する必要がないと判断し、いつも通りに話す東野。
「え、えーっと……皆さんにやっていたみたいな接客を受けたいです……ダメですか?」
「ぐっ……」
忘れてはいけない。東野はまだ女装したまま。ウエイトレスの格好だと言うことを。
「……ご、ご注文はお決まりでしょうか?」
その事を思い出し恥ずかしさがこみ上げて顔を紅く染めていく。
「は、はい……えっと……これを」
「かしこまりました……」
そして厨房へ注文を伝える。その道中で、
「そろそろ座らせたらどうだ?風子」
「むぅ」
痴話喧嘩中のバカたちに声をかける東野。客はいないからと言って店のど真ん中で喧嘩されると迷惑なのだ。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「うーん。じゃあ、タピオカを一つ」
「分かりました♪タピオカっぽいのを一つですね♪」
「ふふっ。もし、おかしなものを持ってきたら…………どうなるのか分かる?」
「さぁ?生憎私はドジなので、うっかり間違えてしまうかもしれませんけど?」
「いつからドジっ娘になったのかなぁ?」
「今からです♪」
(もう放置しよう)
佑さんは風子と神崎の争いを放置して業務に戻るのだった。
あれから無事二人のバイトは終わった(といっても終わりがけはそれぞれ彼女と雑談していただけだが)。お小遣い程度のバイト代を殺せんせーから
「じゃあ、俺たちはこっちだから」
「うん~またね~佑斗~」
「じゃあな。風人」
そして分かれ道でそれぞれ分かれる。
「面白かった?風人君」
「うん~楽しかったよ~」
「なら、よかった。またしたいね。デート」
店の中で喧嘩していたのが嘘のような二人。ただ、彼ら彼女らにとってはこれが普通なのだ。
「デートだったの~?」
「少なくとも私はそのつもりだったよ」
凄いおかしな感じになっちゃったけどねと、付け加えた神崎。
「そう~ならさ…………」
すると、風人は神崎に抱きついて、自身の唇を神崎の唇に重ねた。
「今日はまだキスしてなかったからね~」
そして、神崎を放す風人。
「…………!!もう!不意打ちはずるいよ」
神崎も風人に抱きついたかと思うとそのままキスをする。ちなみに舌を入れる方のだ。
そして、神崎が放し、今度は風人からと、堂々と公の場でイチャつくバカップル。
そんな中で、風人はふと思った。
(佑斗か~。また会えるといいなぁ~)
同時刻。東野と奥田はその風人と神崎のイチャつきを目撃していた。
「……たく。風人に聞き忘れたことがあったから聞こうと思ったが……」
「あれでは聞けませんよね……」
思わず顔を紅くする東野と奥田。それも当然だ。つい何時間前かはあんな風だったのに今は周りを気にせずイチャついてる。
「帰るか……」
「……ですね」
流石にあの空気の中に飛び込むことは不可能だと思った二人は、そっと見なかったことにして帰路につく。
「そういえば、何を聞きたかったんですか?」
「ああ。風人が殺せんせーのこと知ってたからな。ちょっと気になっただけだ」
(まぁ、一つだけ仮説は立ってるんだが……流石にな)
あまりにも滑稽でぶっ飛んでると思い、その仮説を捨て去る東野。
「……いつか、私たちもあんな風になれるでしょうか」
奥田の質問に東野は答える。
「無理だろ」
「…………ですよね」
「ああ。俺たちは風人と神崎のような彼氏彼女のような関係にはなれない。だから、俺たちは俺たちの関係を築いていけばいいんじゃないか?」
「…………!そうですね!私たちには私たちの関係がありますよね!」
一瞬落ち込んだような表情を見せていた奥田だったが東野の言葉に花が咲いたかのような明るい表情を向ける。
「だから……さ。これからもよろしくな。愛美」
「はい!こちらこそよろしくお願いします。東野君!」
二人は手を繋ぎ互いの家へと向かう。
(また会えるよな。風人……)
心の中で
はい。というわけで後半は女装カフェでした。
まさかの風子ちゃんと佑さんの登場です。
この二人の共演は楽しんでいただけましたか?
さて、今回は水澄様からコラボのお誘いを頂き、この企画が実現しました。
作者自身コラボするというのをやってみたいと思いつつ、その一歩が踏み出せませんでした。それを後押しって言うのかな?本当にお誘いいただき、ありがとうございます。
水澄様の『ゲーム好き男子と暗殺教室』。話が進むごとに成長を見せていく東野君(うちの風人君とは大違いですね)。今後の展開がどうなるのか。楽しみな作品であります。
今回のコラボはありがとうございました。
また機会があればやりましょう。その時はよろしくお願いしますね。
以上、水澄様の『ゲーム好き男子と暗殺教室』とのコラボでした。読んでいただき感謝です。