暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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銃の時間

 7階に着くと、人がいなくなってきた。 

 ここからはVIPフロアとなり、ホテルの者だけに警備を任せず、客が個人で雇った人を見張りとして置いているらしい。

 

「こっから先の見張りたちを倒すには、寺坂君の持ってる武器が最適ですねぇ……ヌルフフフ」

 

 寺坂はカルマ専属の荷物持ちとなっている。え?そんな荷物持ちが武器持ってたの?

 

「クッ。透視能力でもあんのかよテメェは……おい木村、あいつらここまでおびき出してくれ」

「俺が?どうやってだよ」

「知らねぇよ」

 

 知らねぇのに指名したの? 

 

「じゃあこう言ってみ木村……」

 

 カルマの助言?を受けた木村君は指示通りに私兵の近くまで行き立ち止まる。

 そして、

 

「あっれぇ〜?脳みそ君がいないなぁ〜。こいつらは頭の中まで筋肉だし……。人の形してんじゃねぇよ、豚肉共が」

 

 と言いながら少しずつこちらに帰ってくる。うわぁ。

 そして無論、それを聞いた私兵は黙っているわけがない。ダッシュで木村君を追う。

 

「おい、待てコラ」

 

 そしてこちらに来た瞬間、

 寺坂と吉田君がスタンガンで気絶させた。あれ?スタンガンで……気絶?

 

「タコに電気試そうと思って買っといたんだよ。まさかこんな形でお披露目とは思わなかったけどな」

 

 お金は……まぁいっか。最悪防衛省につけとけば。

 

「いい武器です寺坂君。ですが、その2人の胸元を探ってください」

 

 寺坂が男の胸元を探る。……変態?

 

「膨らみから察するにもっと良い武器が手に入るはずですよ」

 

 そして、取り出したものは本物の拳銃だった。おぉー!

 

「せんせー!僕持ちたい!」

「ダメです。この銃は千葉君と速水さん。あなたたちが持ちなさい。まだ烏間先生は精密な射撃ができるまで回復していない。現時点で一番それを使えるのは、君たち二人です。ただし、先生は殺すことは許しません。君たちの腕なら、殺さずに倒す方法はいくらでもあるはずです」

 

 ぶーぶー。でも、まぁ、二人の方が射撃の腕いいからなぁ……仕方ない。適材適所って奴だ。

 

「さて、ホテルを見る限り、雇った殺し屋も多くて後一人か二人」

「おう。さっさと行ってぶち殺そうぜ」

「あれ~?殺すこと厳禁って言われてなかったっけ~」

「それぐらいの覚悟でって意味だよ!」

 

 あーそう。

 そして、8階のコンサートホールに到着。

 通り抜けようとするも1人の男がいる。僕らはそれぞれ座席の陰に隠れている。

 

「14……?いや、16匹か、呼吸も若い、ほとんどが10代。驚いたなぁ、動ける全員で乗り込んできたのかよ」

 

 敵は一発、撃ち放つ。背後に向けて。

 

「言っとくが、このホールは完全防音だ。お前ら全員撃ち殺すまでだーれも助けにこねぇってことさ。お前ら人殺しの準備なんてしてねぇだろ。大人しく頭下げて降参――――」

 

 敵は銃をクルクルしている。

 その瞬間、速水さんが敵の持っている銃に向けて一発撃つ。

 しかし、外れて背後にヒットした。

 

(外した。銃を狙ったのに)

 

 すると敵は、照明をつけた。

 

「意外と美味い仕事じゃねぇか!」

 

 僕らの位置からは、照明のせいで敵がよく見えない。分かるのは敵が銃を持ったおじさん……銃おじさんということくらいだ!

 

「ハハハハハハッ!」

 

 あと高笑いしているくらい。

 

「今日も元気だ銃がうめぇ!」

 

 パン!

 

 発砲音が聞こえた。銃弾は座席の間を通り抜け速水さんのところへ。スレスレのところだ。

 

「一度発砲した敵の位置は絶対に忘れねぇ。俺は軍人上がりだ。他の暗殺専門の仲間たちとはちげぇ。幾多の経験の中でこれ以上の1対多数の戦闘はイヤってほどやってんだよ。さぁて、お前らが奪った銃はあと一丁あるはずだが?」

「速水さんはそのまま待機!今撃たなかったのは賢明です千葉君!君はまだ位置を知られていない。先生が敵を見ながら指揮をするので、ここぞという時まで待つんです」

 

 どこからか聞こえる殺せんせーの声。

 

「どこからしゃべって……」

 

 探すおじさん。すると、一番前の席に殺せんせーはいるみたい。

 あー絶対舐め切ってるだろうなぁ。見なくても分かるよ。

 

「テメー何かぶりつきで見てやがんだ!」

 

 銃を撃ってるけど、

 

「ヌルフフフ、無駄ですねぇ、これこそが完全防御形態です!」

 

 全て弾かれてる。いや、普通の状態でも普通の銃弾効かないじゃん。

 

「熟練の銃主相手。これくらいの視覚ハンデはいいでしょう」

 

 まぁ、なんでもいいんじゃない?

 

「では木村君5列左へダッシュ!」

 

 指示通りに動く木村君。

 

「寺坂君と吉田君はそれぞれ左右に3列!」

 

 二人も動き、おじさんはキョロキョロし始める。

 

「死角ができた!このスキに茅野さんは2列前進!」

 

 え?前進とかってリスキーだね。 

 

「カルマ君と不破さんは同時に右8!礒貝君は左に5!風人君後ろに2!」

 

 はーい、移動しよーっと。

 そして、殺せんせーの指示通りにどんどんシャッフルしていく……けど。これって、あの銃のおじさんに僕らの名前を知らせてるんじゃ……

 

「出席番号12番!右に1で準備しつつそのまま待機!」

 

 あーあ。出席番号まではさすがに覚えられないというか、一致させられないでしょ。

 

「4番と5番はターゲットを撮影。律さんを通して敵の様子を千葉君に報告」

 

 ちゃっかり反撃の手の準備もし始めてるし、

 

「ポニーテールは左前列へ前進!バイク好きも左前に2列前進!」

 

 そして、生徒の特徴まで言い始めた。こりゃあ、ダメだ。

 

「最近竹林君オススメのメイド喫茶に興味本位でいったらちょっとハマリそうで怖かった人!錯乱のために大きな音を立てる!」

「うるせー!なんで行ったの知ってんだテメェ!」

 

 あはははは。大爆笑。笑いが止まらない。

 

「今笑い転げてる期末テスト返却日に神崎さんの胸を借りて泣いていた人!君も錯乱の為に大きな音を立てる!」

「なんでそんなこと知ってんだよ!殺すぞタコ!」

 

(((そんなことがあったんだ……)))

 

 あの僕が自身でも凄い恥ずかしいところを見られたと自覚してることを……!絶対あのタコ殺す!後で覚えてろよ……!

 

「…………さて、いよいよ狙撃です。千葉君。次の指示の後、君のタイミングで撃ちなさい。速水さんは千葉君のフォローです」

 

 音を立てて錯乱している。……ところでこれ意味あるのだろうか?僕の恥ずかしいことを暴露されただけだよね?ついでに寺坂も。

 

「ですがその前に、表情をあまり出すことのない二人に先生からアドバイスです。君たちは先生の狙撃を外したことで、自分たちの腕に迷いがありますね?言い訳や弱音を吐かない君たちは、勝手な信頼を押し付けられたこともあるでしょう。苦悩していても誰にも気付いてもらえない」

 

 ……そんなことが。

 

「ですが大丈夫です。君たちは一人でプレッシャーを抱える必要は無い。外した時の作戦もちゃんと用意しています。ここにいる全員が訓練と失敗を経験しているからこそ出来る戦術です。君たちは安心して引き金を引きなさい」

 

 殺せんせーのアドバイス。この間に準備は済んだようだ。こっちも向こうも。

 

「では行きますよ…………出席番号12番!立って狙撃!」

 

 立ち上がる人影。

 

「ビンゴォ!」

 

 銃弾は眉間にヒット。……しかし当たったのは千葉君ではなく、菅谷君がつくった人形だった。

 

『分析の結果、狙うならあの一点です』

「オーケー律」

 

 千葉君が放った弾丸。おじさんには当たらなかった。

 

「へ……へへ。外したな……。これで2人目の場所が……っ!?」

 

 おじさんに照明の台が襲う。

 千葉君はおじさんを狙ったのではない。吊り照明の金具を狙ったのだ。

 それでもおじさんはそんなつらい体勢の中でも銃を撃とうとする。

 そこに、もう一発。

 速水さんが撃った弾丸は、銃にヒットした。

 

「よし、簀巻きだ!」

「おー」

 

 すかさず僕らはステージへ。銃のおじさんをガムテープでぐるぐる巻きにする。

 にしても、凄い戦いだったなぁ。二人の銃の腕も。

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