暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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風人の時間

 コンサートホールを出て九階へ向かおうとする……が。

 

「なぁ、アレって……」

「アレも犯人の刺客だろうな」

 

 そこには何かおじさんぬのように堂々と……階段に座っているおじさんがいた。

 

「スモッグもグリップもガストロもやられたかぁ……出て来いよガキ共」

 

 と言うわけで、僕らは全員出ていく。

 

「はぁ。もしかして、あいつら誰も殺れてないんじゃねぇのか」

 

 ため息をついて、やれやれって感じで語る。歳はさっきまでのおじさんたちと変わらなさそうだけど……何か怠そうだなぁ。

 

「俺は平和主義者なんだよ」

 

(((暗殺者が平和主義者?)))

 

「無益な戦いも面倒だしな……降参だ。通りたければ勝手に通ってくれ」

 

 両手をあげ、降参アピールをするおじさん。

 え?いいの?

 

「わーい。ありがとーおじさん」

 

 みんながおじさんに疑惑の視線を向ける中、僕一人は堂々と正面を歩く。

 

「あー気にするな。面倒事は嫌いだからな」

「気が合いそうだね~」

 

 僕は手錠を取り出し……思い切り振り抜く。

 

「で~?おじさん。このワイヤーは何かな~?」

「「「え?」」」

 

 手錠を地面まで振り下ろすと壁際のものが落ちた。

 手錠の輪っかには細くて鋭利なワイヤーが何本も引っかかってる。さすがに手錠は切れなかったのかな?

 

「……ッチ。どこで気付いた坊主」

「最初から~ってのは冗談だけど。おじさんが手を挙げた時かな~何か動いた気がしてね~」

「……はぁ。気付かなければ楽に逝けただろうに」

「冗談やめてよ~」

「で?どうすんだ坊主。俺を倒すか?」

「もちろん♪いいよね、せんせー」

 

 僕は殺せんせーの方に同意を求める。まぁ、後ろを振り向いた瞬間に、

 

「へぇ、よく弾いたな」

 

 床に落ちるナイフ。手錠で下に叩きつけた。

 

「舐めないでよ~。……アンタ騙し打ちが得意そうな顔してるもん。警戒してるに決まってんじゃん」

「そうかい。だが、まぁ正解だ。どんな手使おうと卑怯なんて言うなよ?」

「言わないよ~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 風人君とワイヤーを使っていた男の人との戦いが始まろうとしていた。

 

「殺せんせー。風人君大丈夫なの?」

「彼はああ見えて今は相手を警戒出来ている。ただ、問題は相手の方だ。風人君と同じトリッキーなタイプでしょう。風人君が後手に回る可能性が高い」

 

 そっか。前もって対策しようとすれば確実に裏をかかれる。読み合い化かし合い。でも、それなら、風人君にも分がある筈だ。

 

「そうかよ」

 

 すると、向こうの人がテレビのリモコン?のようなものを取り出し、スイッチを押す。

 瞬間。風人君の横の壁から三本の矢が飛んできて風人君の左腕に刺さった。

 

「くっ……!」

「風人君!?」

「ワンヒットだ。悪いがお前が居るのは俺の領域(テリトリー)……死んで後悔しな」

 

 続けてボタンを押すと、今度は天井から大量のナイフが降り注ぐ。

 

「ッチ!」

 

 風人君は自身に刺さった矢を引き抜いて、弾き、避けている……が、ナイフの量があまりにも多すぎる。そのために、多少はかすり傷を負ってしまう。

 

「ほう。このナイフの雨を避けたか。でもな」

 

 ナイフを投げる男の人。そのナイフを避ける風人君。……だが、

 

「ツーヒット。悪いが今のナイフの雨はトラップじゃない。ただの俺の武器補給だ」

「え……?」

 

 避けたはずなのに風人君の頬に切り傷が出来ていた。

 

「これはマズいですね……」

「完全に不利だ」

 

 形勢は誰が見ても完全に不利だ。開始まだ数分経ってないくらいなのにもう風人君はボロボロだ。

 

「悪いが依頼を受けたその時から仕込みは万全。テメェらがここを通れる確率は……0だ」

 

 続けざまに大量のナイフを投げつける……が。ほとんど外している。

 

「は、ははっ。あんなに一斉に投げるからだ!ほとんど外してやがる!」

「違うよ寺坂。見なよ風人の周り」

「周りって……はぁ!?いつの間に!?」

 

 僕らは目を見開いた。外したように見えていたナイフ。しかし、カルマ君に言われて気付いた。あの人は狙い通りに投げていたんだ。

 

「さて、もう動けないだろお前。じっくりいたぶってから死にたいか、一瞬で死にたいか」

 

 風人君を囲うようにしてワイヤーが張り巡らされている。

 

「大量のナイフの中に囮と本命を混ぜ込み、かつ仕掛けていた罠でワイヤーを風人君を囲うようにして張り巡らせる……」

「あーアンタが殺せんせーか。まぁいいけど。それと、そこにいる観客の諸君。俺は動くなとは言わなねぇよ。動けるなら動けばいい。動けるならだが」

「ヌルフフフ。確かに凄いです。ですが、この程度で負けるほど柔な鍛え方を彼はしてませんよ」

 

 でも、風人君はワイヤーの中で動けない。動けば確実に切れる。

 

「そうか。じゃあ、死ね」

 

 投げられるナイフ。狙いは首元と心臓部。避ければ切れる。避けなければ刺さる。どうするつもりなんだ……

 

「はぁっ!?」

 

 風人君は、首元に来たナイフを歯で受け止め、胸の辺りにきた奴を右手で受け止めた。ただ、代償に右腕は切り傷だらけになりボロボロに。

 

「やっと終わった~?じゃあ、反撃行くよ~」

 

 風人君は受け止めたナイフを使って巧みに周りのワイヤーを取り除いてまとめる。

 

「……そろそろ。攻めようかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 両腕が痛い。でも、幸い浅い傷ばっか。まぁ、左腕には刺さってたけど、それでもこれくらいの痛みならまだ大丈夫。

 僕は反撃の一手を探る中、あることを思い出していた。それは島に来る一週間くらい前のこと。

 

 

 

 

 

 

 今日は暗殺訓練に少し前のビッチ先生の件で来ていたロブロさんがわざわざ来てくれた。曰く殺し屋の観点から僕らの作戦を見てくれるらしい。

 

「君は面白いことをやってるな」

「そうですか~?」

 

 僕がやってるのは、手錠を正確に放つ特訓。指でくるくる回して、狙った木の狙った場所に、手錠の狙った場所を当てる。成功率はまだ八割ほど。これを九割にしないと実践じゃ使えないだろう。

 

「ふむ、なかなか面白い目をしている。君、必殺技は欲しいか?」

「必殺技!?欲しいです!」

 

 即答だった。

 

「ふ、ふむ。さっきの子とは別の奴を授けよう」

 

 

 

 

 

 

 条件その一。警戒。敵が僕の打つ手の全てを警戒していること。

 まだ足りていないかぁ。だが、まずは一番厄介なものから排除しよう。

 

「喰らえ!」

 

 落ちてるナイフを数本同時に投げると同時に距離を詰めて、おじさんの手を狙う。

 

「これが狙いだろ!」

 

 そう言ってリモコンを隠そうとするが、

 

「遅い!」

 

 リモコンを持つ手にあるものをぶつける。そのせいで、リモコンは落ちて、

 

「やぁー!」

 

 踏み潰す。と同時に、後ろに下がって距離を取る。

 

「なっ……これはスモッグの噴射機だと!?」

「ふっ。何でもいいでしょ?でも、それ使い捨てだからね。おじさんの手からリモコンを落とすのに使って、そこに捨てたよ」

 

(((使い捨ての意味間違ってない!?というかお前もそれ持ってたのかよ!)))

 

(貴重な武器を捨てただと?スモッグの作った麻酔ガスは俺を倒すのにうってつけなはず。何故、捨てた?アイツは一個しかそれを持ってない。カメラ越しにしっかり見たはずだ。まさか、それ以上の武器を隠し持ってるとでも言うのか?)

 

 条件一はほぼオッケーだ。

 条件二、条件三もほぼ満たしているはずだ。

 

「さっきのお返しだよ!」

 

 僕は手錠を数個同時に投げつける。精度は上がってるんだ。腕が痛かろうが、当てるくらい造作もない。

 そして、そのまま接近。向こうからは僕が死角になっていて見えないはず。

 投げていない手錠をメリケンサックのようにして嵌め、左手でパンチを喰らわせようとする。が、

 

「そこだ!」

「ぐあああああ」

 

 左眼のところを持っていたであろうナイフで斬りつけられそのまま蹴り飛ばされ、皆のところまで転がる。

 

「渚、殺せんせー貸して!」

「いやいやそんなことより風人君!眼が!」

「早くして!」

 

 僕は渚から殺せんせーを奪い取る。

 

「片目潰したな。もう片目もやろうか」

「へっ!やられっかよ!」

「にゅやぁぁぁぁあ!?」

 

 そのまま殺せんせーを蹴りつける。

 

(芸のない奴だ。どうせコイツの死角となる部分から接近してくるんだろ?さっきから、投げてるモノが変わってるだけで攻撃パターンがまるで変わってねぇ)

 

 そして、弾かれる殺せんせー。

 

(予想通り!この一撃で決めてやる!)

 

 僕を刺そうとするナイフ。そんな中、僕はあるモノを右手から自身の右側に放る。

 

(あいつ、投げたモノを見ている?一体、何を投げやが……)

 

 僕の視線と、おじさんの視線は僕の投げたモノへと移る。そして、おじさんの視線がそのモノに集中した時、

 

『フラッシュ機能です!』

 

 僕の投げたモノは突如光り出す。

 

「ぐわああぁぁっ!クソッ!目が……!」

「トドメ!」

 

 目潰し成功。僕は一瞬の隙をついて、脚払いをし、体制を崩させ地に背を付けさせながら、流れるようにおじさんの口に噴射機を突っ込み噴射する。毒使いのおじさんの麻酔ガスだ。

 

「て、テメェ……何で二個目を……テメェは一個しか持ってなかったはずだ……」

「カメラ越しに見てたのかなぁ?まぁ、何でもいいけど、最初に投げた方はカルマの使い捨てだよ~。まぁ、要はあっちはただのゴミだね~」

 

 本命はこっちだよ。と付け加えて言っておいた。

 

「そう……かよ」

 

 気絶するおじさん。

 

「ぶい。僕の勝ちだね♪」

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