暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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ではコラボ編です。どうぞ!


結城 創真の暗殺教室×暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 前編その1

「千影!おい!返事をしろ!千影!」

 

 和光(わこう)風人(かぜと)は幼なじみの和泉(わいずみ)千影(ちかげ)に呼びかける。頭や全身から血を流し、腕や足が曲ってしまった彼女に。

 

「かぜ……と…………くん」

「ちょっと待ってろ!今救急車を呼ぶからな!」

 

 風人はすぐさま携帯電話を出す。

 

「……ごめん……ね」

 

 今にも消えてしまいそうな声で千影は呟く。

 

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」

 

 風人は叫んだ。今までに出したことのないような声で。

 

「さい……ごに…………」

「最後ってなんだよ!まだ生きるんだろ!」

 

 千影は最後の力を出し右手を風人の後頭部に持っていき、そのまま彼の唇を自身の唇に合わせた。

 

「ありがと……だいす……」

 

 最後まで言うことなく、彼女の眼は閉じてしまった。

 

「千影!おい!千影!!」

 

 何度呼びかけても、もう彼女が応えることはなかった。

 

「あぁぁぁ……あああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 風人の悲痛な叫びが、雨の降る空に飲み込まれ、消えていった。その様子を黒い傘をさした黒いコートの少年が少し離れた場所から見つめていた。

 

「…………………………」

 

 彼は何も言わない。そうこうしてる内に、彼の外套から飛び出している黒獣が戻ってきた。黒獣の口には回収された青い火の玉=千影の魂が咥えられていた。彼はそれを受け取り、懐にしまう。そして黒い4対の羽を展開して静かに飛び立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある世界に青年がいた。

 

 

とある世界に少年がいた。

 

 

かつて世界に少女がいた。

 

 

青年は銃とナイフを置き、7年の歳月の後に恩師の教えを胸に、自身の愛すべき街(横浜)を拠点に巨大な組織の企業の首領(ボス)となっていた。

 

 

少年はナイフと銃を手に取り、超生物狙う日々を送っていた。

 

 

少女は不幸な事故で命を落とし、現世から居場所を無くした。

 

 

青年には沢山の仲間や部下、そして大切な人ができた。

 

 

少年は心地よい居場所、同じく仲間。さらに同じく大切な人ができた。

 

 

少女は肉体も意識も、何もかもを失った……………筈だった。

 

 

そして青年は、1度この世を去った少女と出会い、仲間と共に彼女の願いを叶える為に奔走する。

 

 

そして少年は、かつての大切な幼馴染を殺した者の仇を取る為に、殺し合いを繰り広げる。

 

 

そして少女は、死してもなお大切な幼馴染を助けるために飛び出す。

 

 

これは、青年(創真)少年(風人)少女(千影)の3人を軸に描かれる、もう2度と起こる事のない奇跡の物語だ───────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー涼しー…………にしても、この漫画は相変わらず面白い。退屈させてくれないなー」

 

 少年ジ〇ャンプを読む青年がそう呟いた。彼の名は結城(ゆうき) 創真(そうま)。この物語の超天才な主人公の1人である。趣味は発明。暗殺教室の卒業生であり、今は父親から受け継いだ企業のCEO=首領(ボス)として職務を全うしている。

 

「いいぞ~これ」

 

 なんか危なそうな語録を呟く特徴的な羽のマフラーを巻く男の名はホリー。下記の1匹+1人と一緒に別の世界から創真に相棒として仕える為にやって来た、なーんと聖霊である。ついでに魔法使いも自称している。さらについでに可愛い女の子が好き。

 

「おい、ホリー!語録を使うな、その語録は!!」

 

 そうツッコミを入れるのは喋るコウモリことキバット。………………え?仮面ラ〇ダーキバに出てくるやつ?何のことだかさっぱりだ。こちらも可愛い女の子には目がない。

 

「少しは静かに涼ませろ…………」

 

 気だるそうに文句を言う全身黒いコーデで身を包む男はデュオ。死者の魂をあの世へ連れていく死神だった。過去形と言うことは、既にもう辞めていると言うことだ。上記のホリーとキバットと比べて真面目な性格であり、暴走しがちな彼等のストッパーのような存在でもある。

 

「それより、かき氷食べたーい!」

 

 唐突にそう言う女は月城(つきしろ) 碧海(あおみ)。創真LOVEである。創真には既にお相手がいるのだが、だからどうしたの精神で色々とアタックをめげずに仕掛けている。彼女もまた、暗殺教室の卒業生である。

 

「私はガリ〇リ君が良いですね」

 

 最近10円値上げすることが決まったガ〇ガリ君を所望する青年は氷室(ひむろ) (しょう)。創真の会社において副社長のポジションを務めている。かつては創真のお目付け役をやっていた。

 

 

 時は2021年7月のとある夏の日。創真、ホリー、キバット、デュオ、碧海、氷室の6人は王の間こと、現実世界から切り離された彼等しか入れない専用の空間へと避暑していた。と、言うのも朝方、横浜の送電所にてトラブルが発生した関係により、大規模停電が継続中。それの何が問題かと言うと、エアコンが使えないのだ。と、言うわけで自分の部下の健康面の事も考えて、今日は休み、と言うことに創真はしたのだ。そして、この6人は王の間のエアコンをフル動員して涼みながらぐーたら過ごしていた。

 

 

「いやーそれにしても便利ですね、この空間。電気代の事を気にせずにエアコンもフルパワーで使えて、Wi-Fiも通っていて。まさに楽園と言うべきですかね」

「氷室さんは大袈裟な…………まぁ、大袈裟でもないか。確かに何でも揃ってるし、楽園って言っても間違いじゃないね。私、毎日ここで暮らしたいなー」

 

 碧海がソファーにもたれながら呟く。創真はスマホで停電関連のネットニュースを見つけ、他の5人に向けて云う。

 

「復旧は今日の夜ごろらしいよー」

「やはりかなりの規模の事故だったようだな」

「明日まで長引いてくれれば明日も働かなくて良くなるのに…………いいぞ~これ」

「ホリー!お前はさっきから語録連発し過ぎだろ!!」

 

 本日二度目のキバットがツッコミが入った。同時に創真の携帯に着信も入った。相手は創真の親友でもあり、碧海の弟でもある月城 (はやと)だった。ちなみに彼はいじられキャラ。

 

『よぉ、創真。ネットニュースで流れてたけど、そっちの方で今大規模停電中なんだって?』

「と言うわけで、我々は休み♪」

『じゃあ今、暇なんだな。くそっ、羨ましいぜ』

「所で君。今仕事中じゃないの?」

『今はお昼休憩だぜ』

「あぁ、なるほどね。ずる休みか」

『何でそうなるんだよ!!お昼休憩って言っただろうが!!』

「ほんとかねぇ…………何か隼がお昼休憩って言うと、ずる休みにしか聞こえないね」

『いや、それどういう事だよ!?………………ったく、お前と話すと毎回無駄なエネルギー使ってる気がするぜ』

「それは良いことだ」

『良くはねぇんだが………………そんじゃ、俺はこの後仕事の準備があるから、じゃあな』

「まー仕事頑張れよー。あと、仕事中寝てたら怒られるぞー。よく寝てるんだろー?」

 

 寝てねぇよ!!と言う答えが聞こえたところで、通話は終わった。再び暇になり、創真は、はぁ、とため息をつく。

 

「いやー暇だ暇だ。何か面白いことないかなー…………と言いつつ、こう言うときに限って面白いことは起きな」

『おーい、おまんたち!』

 

 唐突に陽気な声が聞こえてきて、一同はガバッと起き上がった。

 

『今暇かー?』

「なに、この天の声的なの………………」

 

 碧海がポツリと呟く。誰もその声に聞き覚えがないと思われたが、その声の正体を知っている人物が1人だけいた。デュオだ。

 

「久しぶりですね、閻魔大王」

『おーデュオ!元気そうだなー!』

「え、この声の人が閻魔大王?マジかー…………」

「だとすれば、何かイメージと違いますね」

「何か浮気とかしそー」

『おい、そこの人間3人!全部聞こえてるぞ!特に女!浮気しそうってどういう事だよ!?』

 

 やけに自分の陰口に敏感な閻魔大王だ。

 

「それで、何か用ですか?もう、俺とは特に繋りはない筈ですが」

『おーそうだった。それを忘れるところだったぜ。実は、今回お前らにお願いがあってな』

 

 閻魔は急に真面目な口調となって語りだした。

 

『まずデュオ。お前、あの世に運ばれた魂ってその後どうなるか知ってるか?』

「運ばれた魂は一時的に特殊な魔術で凍結・保管され、1ヶ月に1回ある通称『審判の日』で、その魂が天国か地獄に行くか決定され、天国又は地獄に運ばれてから凍結を解除される。天国ではその後は自由ですが、地獄だと閻魔大王がその魂の犯した罪に応じて刑を下される………………ざっとこんな感じです」

『そゆことだ』

「………………何かトラブルでも起こったのですか?」

『あぁ。実は、ある魂だけ凍結の魔術を解除出来ないんだよ。その魂は天国行きだったんだけど、送った後で解除が出来ないって事で、連絡が来てな。天国と地獄の最高幹部全員で色々と議論したんだが、結局原因は分からなかった』

「それで、俺らにどうにか出来ないか、と」

『確か、そっちにどんな魔術でも無効化出来る奴がいただろ?そいつなら何とか出来るかも、って考えてその魂を送っといたから、そろそろ着く頃だ』

 

 ドスン、と言う音と伴に黒い段ボール箱が落ちてきた。解除の出来ない魂が入っているのだろう。創真が閻魔に答える。

 

「まー事情は理解したよ。丁度暇だったし、やってみるよ」

『………………あ、お前?俺はてっきりホリーとか言う奴が出来るのかと思ってたけど、お前なの?まーどっちでも良いや。解除できたら連絡してくれ。じゃーなー』

 

 そう言うと天の声は聞こえなくなった。

 

「………………じゃあ、早速解除と行きますか」

 

 創真は黒いダンボール箱を開け、凍結された魂を手に取る。そして、自身に異能の力を与えてくれる『文豪の世界』のカードを手に取り、異能力の名を唱える。

 

「異能力『人間失格』」

 

 そう呟くと、どんな魔術も強制的に無効化する人間失格が発動。青い文字羅列が魂を包み込み、あっという間に凍結の魔術が解除された。そして、宙を浮く魂が青く光始めた。

 

「まぶしっ!」

 

 ホリー、デュオ、キバットは目を瞑り、創真や碧海、氷室はサングラスを掛ける。そして、まばゆい光が部屋中を照らした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数十秒後、光が収まった。一同の先には、目を瞑ったまま浮いている少女がいた。だが─────────その状態が色々と不味かった。いち早く気付いた創真と氷室、遅れて碧海も後ろを向き、それに続いてデュオも後ろを向く。ホリーとキバットはじっくりと鑑賞しようとしたが、その暇もなくデュオの外套から飛び出した()()によって強制的に後ろを向かせられた。

 

「………………毎回ああいう感じなんだ。男にとっては嬉しいんだろうねぇ」

「誤解しないでくれ碧海さん。恐らくこれはバクみたいなものだ」

「あー、後少しで良いものを見れたのに」

「全くだぜ」

「このままぶっ潰すぞ…………」

 

 そんな会話をしてる間に、少女は目を覚ました。

 

「…………ここは………?」

 

 不思議そうな表情の少女────────千影に創真が話し掛ける。

 

「やぁ、目を覚ましたかい?」

「………………あなたは誰ですか?それにここは一体………………?あと、何で背を向けてるんですか?」

「そりゃあ………………ちょっと色々と不味い状況だからさ」

「…………不味い状況?何が不味いんですか?」

「…………服」

「へ?」

「自分の身体を見てみ」

 

 言われて千影は自分の身体を見た。そして、始めて自分が服を着ておらず、生まれたままの姿だと言うことに気付いた。その後、女の子らしい悲鳴をあげたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 話し合うまでもなく取り敢えず服を、と言うことでデュオが何処からか黒いワンピースを調達してきた。今、創真らは着替えが終わるまで外で待っていた。そしてこのタイミングで氷室と碧海は用事が出来たと言って、離脱して行った。

 

「…………そう言えばデュオ」

「何だ?」

「彼女の名前って知ってる?」

「彼女は和泉 千影。ここの世界とは別の世界の人間だ。彼女は信号待ちの最中、何者かによって押し出され、そこに走ってきたトラックの轢き逃げが原因で亡くなった。恐らく当時は中学生位だった」

「なるほど。それにしても、中学生か………………僕にとってはもう7年か。卒業してから」

「もうそんなに経つんだな…………」

 

 創真とデュオが懐かしさに浸っていると、中から声がした。

 

「も、もう入っても良いですよ…………」

 

 創真らが王の間に入ると、まだ少し前に起きた件を引きずってるのか、ソファーの上で羞恥で顔をりんごの如く赤く染めている千影がいた。

 

「…………お。意外と似合ってる。デュオもまぁまぁ良いセンスしてるねー」

 

 何故か上から目線で賞賛するホリー。デュオはどうでも良さそうだが。

 

「………………そりゃどーも。俺は飲み物でも用意する」

 

 そう言ってデュオは飲み物の準備をする。

 数分後、珈琲が3人の前に出される。

 

「………あ、ありがとうございます。いただきます………」

 

 千影は出された珈琲を一口飲む。そして、その美味しさにホッとため息をつく。

 

「美味しい………………」

「それは良かった」

 

 デュオは微笑を浮かべ、自分も向かい側のソファーに座る。全員が席についたタイミングで、創真が話始めた。

 

「さて………………とりま、自己紹介からしますか。僕の名は結城 創真。何と言うか………………超天才!って感じな色々とヤバイ男」

「は、はぁ…………」

「それで、左からホリー、デュオ、キバット。キバットはさておき、2人は一見人に見えるけど人じゃないよ。聖霊と死神だ。あ、ほら魔法やら色々とやってるしね。キバットはただの変態で良いや」

「俺様だけ紹介が酷くね!?」

 

 キバットのツッコミを無視して創真は、これでこっちからは以上だ、と続けた。

 

「まぁ、知ってはいるけど一応そっちも自己紹介してくれる?」

「あ、はい。私は和泉 千影と言います………………あの、少し尋ねたいことがあるんですが…………」

「良いよ。多分、全部デュオが答えてくれるよ。あー、それとそんなに固くならないで良いからね」

「分かりました。それじゃあ………………私は交通事故で死んだはずなんですけど、何で私は生きてるんてすか…………?」

「生きてはいない。君は確かに交通事故で亡くなった。それは揺るぎのない事実だ。今の君は幽霊みたいなものだ。ちなみに、君が珈琲を飲むときに使ったティーカップは幽霊でも持てる特注品だ。まぁ、それだと分かりづらいだろうから、試しに何処でも良いから創真に触れてみてくれ」

「………………?わ、分かりました……」

 

 千影は創真の手を触ろうとするが、千影の手は創真の手をすり抜けてしまった。

 

「あっ………………触れないです」

「創真も触れない筈だ」

 

 創真も同じことをするが、結果は同じだった。

 

「………………何か、変な感じです」

 

 そう言うと千影は少し笑う。

 

「まぁ、そりゃそうだろうね。僕も同じことを思ったよ」

 

 創真も苦笑する。

 

「それで、これから私はどうなるんですか?」

「明日くらいに閻魔大王が直々に迎えが来て、君は正式に天国に送られると、さっき連絡した閻魔大王が言っていた」

「…………そうですか。それにしても、天国や地獄って本当に存在するんですね」

「僕も最初は無いと思ってたけど、ホリーらと会ってから、そう言うのも含めて色々と実在するんだって知ったよ」

 

 すると、さっきから黙っていたホリーが我慢の限界と言いたげな表情で口を開いた

 

「ねーねー創真。堅苦しい事はもう良いでしょー?それより千影ちゃん、暇だし遊ばない?」

「え?」

「いや、僕ら君と仲良くなりたいし、君の事とか何も知らないから色々と聞きたいな。デュオもキバットもそうでしょ?」

「まぁ…………仲良くなれるならそれに越したことはないな」

「俺様も仲良くなりたいぜ!にしても、お嬢ちゃんは美人だなー!亡くなったときは中学生だったんだろ?若くて良いぜ!ただ、胸がまな板なのはまぁ、しょうがないか」

「てんめぇ、キバット!!何てこと言いやがる!!まな板でもなぁ!!可愛けりゃ良いんだよ!!」

 

 本人の前でデリカシーの無い変な言い争いをするホリーとキバットに、デュオによる拳骨制裁が下された。

 

「お前ら、1回マジで死んだ方が良いんじゃないのか?」

「拳骨は効いた………………」

「やりますねぇ………………」

 

 すると、千影はプッと吹き出し、声を出して笑いだした。

 

「フフッ、ごめんなさい。コントみたいで面白くて…………」

「良かったなホリー。これで千影さんがぶちギレてたら、お前終わってたぞ色々と。まー遊ぶなら別の部屋でやってくれ。僕はちょっとやりたいことが出来たんでね」

「おっしゃあー!じゃあ、行こう!」

 

 ホリーは千影の手を引いて飛び出す。

 

「おいおい、待てよ!俺様を置いてくな!」

「やれやれ、元気なことで…………」

 

 キバットとデュオもついていく。そんな彼等を見送った後、創真はさて、と呟く。

 

「なーんか、ありそうなんだよね、彼女。見てて何か普通の人とは違うような感じが………………ちょっと推理してみますか」

 

 創真は緑に薄く発光する眼鏡を取り出し──────

 

「………………『超推理』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、遊んだ遊んだ。楽しかったー!」

 

 数時間後、ホリーらは千影とすっかり仲良くなっていた。ホリーが1番ご機嫌だ。

 

「まったく、すまないな千影さん。ホリーがマイペース過ぎて、色々と振り回されて大変だっただろ?」

「そ、そんなこと無いですよ!…………それに、ホリー君を見てたら、好きな幼なじみの事を思い出して、懐かしい気持ちになりました」

「ほう………………」

「その幼なじみも、ホリー君みたいに結構自由な人でした」

「それは苦労したんじゃないのか?」

「まぁ、苦労もしましたね」

 

 千影はそう言いながらでも、と続ける。

 

「それでも、すっごく頼れるんです。何でも出来て、一緒にいると心強いんです………………もし叶うなら、風人君にもう一度会いたいなぁ………………」

「…………………………」

 

 デュオは何も言わずに、王の間の扉を開ける。その瞬間

 

「出来た────────────!!」

 

 創真の歓喜の声が彼等の耳へと入ってきた。

 

「…………やけにテンションが高いな。何かあったのか?」

「何かあったから喜んでるに決まってるじゃないか、デュオ!!見給え、このペンダントを!!」

 

 創真の手には、青い宝石が入り込まれているペンダントがあった。

 

「それがどうかしたのか?」

「それを言う前に、千影さんに聞いておきたい。千影さん、あなたは治療不可能な『全色盲』と言う、見る物全てが白黒や灰色に見える病気だっただろう?」

「!!」

「そして今もなお、世界が白黒や灰色に見えている。違うかい?」

「いえ、その通りです…………どうして分かったんですか?」

「ちょっと推理…………いや、『超推理』したら30秒で病気も含めて色々と分かったよ。そんでもって、これをあげる」

 

 創真は手に持っていたペンダントを千影にパスする。

 

「それをつけてみて」

 

 何の為にかはよく分からないが、ペンダントをつけてみる千影。つけた瞬間、青い文字羅列が千影を包み込んだ。それが消え去ると───────────

 

「あっ………………」

「これが、僕らが見ている色のある世界さ」

 

 ─────────千影の世界が色づいた。

 

「凄い………………これが色のある世界…………こんなにも美しいんだ………………」

 

 千影は感動しているようで、少し涙目になっていた。

 

「そのペンダントは『人間失格』を応用して作ったもので、『全色盲』を()()()してるに過ぎないから根本的な解決にはなってないんだけどね。ペンダントを外したら元に戻ってしまう。まぁ、それでもさ。青い空を。緑の山を。七色の虹を………………これで君は見れるね。と、言うわけで行きますか」

「え?」

「君の元いた世界にだよ。そこで、色づいた世界を見に行くついでに……………………君の願いを叶えに行かないかい?」

「!!」

 

 やはり、創真は何でもお見通しだった。

 

「……風人君に…………会えるんですか?」

「多分ね。デュオ、彼女が元いた世界って何処か分かる?」

「あぁ」

「なら、それをホリーに伝えてくれ。さぁこれで、条件はクリアだ。どっちにしろ、君は明日になったら迎えが来るからもう2度と会う機会はない……………………さて、どうする?決めるのは君だ、和泉 千影」

 

 千影の答えは──────────もう決まっていた。

 

「お願いします。風人君に会わせてください」

「分かった。その願「フッフッフ。その願い、このホリー達が叶えてあげるよ!じゃあ、行こうか!かつて君のいた世界に!」………………なーんか良いとこ取りされたし。まぁ良いや。じゃあ、ホリー。頼んだよ」

「オッケー!じゃあ、行くよ!場所だけでなく、世界すら移動する高位移動系魔術『ハイパーテレポート!』」

 

 そう唱えた瞬間、彼等の足元に巨大な魔方陣が現れたと思えば、彼等の姿は一瞬にして消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次に彼等が目を開けると、そこは東京のある街の路地裏だった。

 

「………………着いた。ここが千影さんのいた世界か」

「創真さん達のいる世界と私の住んでた世界って別々なんてすよね?」

「ここをA世界とすれば、僕のはB世界って感じ。とは言え…………」

 

 創真らは路地裏を出る。キバットのみ透明化する。千影は一見すれば人間なので、透明化しなくても特に問題ない。ただ、人と物理的に接触しないように気を付ければ良いだけだ。彼等の視線の先には、沢山のビルや建築物の光景が広がっていた。

 

「あんまり変わらないなぁ…………ここは新宿だ」

「ほんとだねー。創真の世界の新宿とほぼ一緒だ」

 

 ホリーも辺りを見回しながら呟く。千影は空を見上げる。そこには青い空が広がっていた。

 

「あれが空…………青いってこう言うことなんだ…………」

「どう?初めて青い空を見た感想は?」

「何か、凄く感動してます」

「そっか。じゃーぼちぼち風人君の所に行こうか。とは言え、彼は何処に住んでいるんだろ?あ、でも千影さんなら知ってるかな?知ってるなら是非案内を」

「ちょーっと待った!!」

 

 突然、ホリーが待ったをかけた。

 

「せっかく幼なじみに会うんだからさ、少しおしゃれしてから行かない?綺麗な姿で現れてびっくりさせちゃおうよ!」

「あー、なるほど。それは面白いかもね」

「だが、彼女は幽霊だ。この世界で服を買っても着せられ無いだろ?言っておくが、王の間に女子用で幽霊にも着せられる特殊な服はこれしか無かったからな」

 

 デュオの指摘に、そっかー…………、とホリーは肩を落とす。所がどっこい、こんなことも天才(創真)は想定していた。

 

「それは何とかなるよ」

「え?何とか出来るの、創真が?」

「うん。この『文豪の世界』をペンダントに入れれば…………」

 

 創真が千影のペンダントに向けて『文豪の世界』のカードを投げると、カードは粒子となって吸収される。すると、千影の体がほんの僅かに一瞬緑に光った。

 

「これで今は人間と同じ感じ。ほら」

 

 創真は千影の肩をポンポンと叩く。今度は触れた。

 

「要するに、そのカードの力で今の私は人間になったって事ですか?」

「ざっくり言えばそう言う解釈で構わないよ。正確に言えば、『文豪の世界』の魔術の1つ、『独歩吟客(どっぽぎんかく)』の異能を上手く利用して幽霊から人間へと実体化と言うか具現化と言うか…………まぁ、とりあえず普通の人間と同じ感じになったって事で。これで普通に服とか着れるよ」

「よーし!なら、ファッションデザイナーのホリーがアドバイスするよ!ファッション雑誌とか仕事中によく読んだりしてるから詳しいんだ!」

 

 自信満々に云うホリー。対して創真はほほう、と呟く。

 

「そうかそうかー。仕事中にファッション雑誌とか読んでたんだー。へぇー…………」

「…………あっ。や、やべ…………じ、じゃあ3人は何処かで待っててね!終わったら連絡するから!じゃ、じゃあまた後でね!」

 

 逃げるようにホリーは千影の手を引いて行った。そんなホリーを見つめながら創真はポツリと云う。

 

「来月は減給かな…………」

 

 来月、ホリーが給料の少なさに男泣きするのはまた別の話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやーゲーム楽しかったね。やっぱ有鬼子は強いや~」

 

 のほほんとした口調で喋るのは和光 風人。かーなり変わった性格で、この物語のもう1人の主人公であり、暗殺教室の生徒でもある。そしてゲーム好き。

 

「そんなことないよ。風人君も沢山勝ってたじゃん」

 

 隣を歩くのは神崎 有希子。2人は恋人として付き合っており、今日も午前中から作者(音速のノッブ)曰く、ゲーセンデートと言うのをしていたのだ。

 

「それにしても、今日は良い天気だね」

「そうかな~?別に昨日とそんな変わらないと思うけど~?」

「そう?」

「うーん、でも有鬼子に言われてみれば今日は丁度良い気温かもね~。今日は外出にはぴったりの日だ~」

 

 空を見上げながら、風人はのほほんとした表情で云う。

 

「ねぇ、風人君。そこに公園あるから寄ってかない?」

「何で~?」

「も、もう少し一緒にいたいから…………じゃ、ダメかな?」

「うーん。よくそんなに恥ずかしい台詞言えるね~。しかもテンプレ………………あ、嘘ですやめてください有鬼子さん、冗談ですからその手を引っ込めてくれませんか、ほんとに」

 

 危険を察知して慌てる風人。そんな様子が面白くて、神崎はクスッと笑った。

 

「ま、まぁこれから特に予定はないし寄っていこうか~」

「ありがと。じゃあ、行こ」

 

 神崎は風人の手を引き、公園への道を進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 公園には珍しく人はほとんど居なかった。

 

「あんまり人が少ないね~」

「もうお昼時だからかな?」

「いるのは、あそこでゴミ拾いしている白と黒の2人の男の人だけだ~」

 

 彼等の視線の先には、トングを使って恐るべき早さで落ちているゴミを拾っていく2人の男の姿があった。

 

「暇なのかな~」

「こらこら、そんなこと言わないの」

「はーい」

 

 そんな会話をしながら2人は近くのベンチに腰を掛ける。

 

「ねー有鬼子~」

「なぁに?」

「殺せんせーからの数学の宿題終わった~?」

「うん。昨日のうちにやったよ」

「じゃあ、見せて~」

「ダメだよ。自分の手で解かなくちゃ」

「うー。有鬼子のケチ~。見せてくれれば、宿題やる時間が無くなって、その分ゲームできる時間が増えるのに~」

「我が儘言わずにやるの」

「え~」

 

 全く以て平和な会話を繰り広げるカップル。

 さて、次は焦点をゴミ拾いを終えた白と黒の男2人改め、創真とデュオは2人の近くのベンチに座る。

 

「よーし、終わった」

「……………………なぁ、創真。何で唐突にゴミ拾いをしようと思った?」

「え?いや、よくY〇uTubeとかでゴミ拾いとかしてる人とかいるのよ。その人、よくチンピラに絡まれて喧嘩とかするからそう言うの起きないかなーって思って」

「理由が変すぎるぞ………………」

「まー良いじゃない………………ん?ホリーからL〇NEだ………………どっちの服装の方が似合ってるか、ねぇ。デュオはどっちの方が似合ってると思う?」

「1番目のだな」

「奇遇だね、僕もそう思う。じゃ、そう返信して………………デュオ、何か暇じゃない?」

「暇だな」

「ゲームしない?」

「するか」

「スマ〇ラSPかマ〇カ8DX、どっちにする?」

「スマ〇ラだな」

「………………何か、会話のテンポが早くね?いや、デュオの返事が早すぎじゃね?ちゃんと考えてる?」

「考えてるぞ?」

「あぁそう………………まぁ、良いや。ほい、デュオのス〇ッチ」

「サンキュー。にしても、最近のゲーム機は便利だな。持ち運びが出来て外でも遊べるとは」

「全くだ。世の中便利になったもんだねー」

 

 再び、会話の焦点を風人と神崎に戻す。

 

「…………ねぇ、有鬼子~。マ〇カ8DXってあったっけ?」

「うんん。無いけど?」

「…………ス〇ブラSPってあったっけ~?」

「…………無いよ?何でそんなこと聞くの?」

「隣のベンチに座ってる、さっきまで掃除してた人の会話を聞いてたらさー。何か、ス〇ブラSPとかマ〇カ8DXとか知らないゲームの名前が出てたから気になったんだよ~。それに、あの人たちの持ってるゲーム機……………あんなの見たことないな~」「……………………確かに」

 

 まぁ、年号的には創真の世界の方が進んでる影響で、彼等がス〇ッチ等をまだ知らないのはご理解頂けるだろう。そして風人は良くも悪くも子どもっぽいところがあるので────

 

「ちょっと聞いてくる~」

 

 当然聞いたことも見たこともないゲームに惹かれてしまうのも無理はなく、聞きに行こうとしている。普通であればそんなこと躊躇し出来そうにないのだが、先程言った通りこの男は少し…………いや、かーなり変わっているのだ。

 

「……やっぱりね。私も行くよ。風人君が失礼な事言わないか見ておかなくちゃ」

「え~?」

 

 2人は立ち上がり、創真らに近づいていく。そして─────

 

「そう言えばさー」

「何だ?」

「デュオはかなり千影さんについて色々と知ってたね。死因とか、大体の年齢とか」

「あぁ、それは当たり前だ。言ってなかったか?和泉 千影さんの魂は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺があの世へと連れて行ったからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あぁ、なるほどね。そりゃ知ってるわけだ」

「……………………は?」

「え……………………?」

 

 

─────────次回、激突。




というわけで、コラボ前編その1でした。
コラボ相手である音速飛行様からメッセージがありますのでどうぞ。











お久しぶりの人はお久しぶりです。はじめましての人ははじめまして。音速のノッブと申します。今回のコラボ編はかなり気合いを込めました。文字数も今までの中で1番えぐいです(笑)さて、本題に入ると…………僕の書く作品は暗殺教室の色んな小説のなかではかなり異色だと思っています。異世界があると言う設定があったり、登場人物の中に聖霊や死神や喋るコウモリがいたり、とんでもない発明品が出たり、挙げ句には主人公が空を飛んだり異能を使っちゃったり …………正直、この小説を気にいってくれる人はそんなにいないだろうなぁと思っていたんですが、意外にもお気にいり登録、面白いと感想をしてくれる人がたくさん(?)いて結構嬉しかったります。200人超えたときはまじで発狂しました。さて、story面の話をしましょう。どんな話にしようかなー、と悩んでいました。今までコラボも何回かやってきましたが、コラボにおいて僕が大切にしているのは双方の作品の特色を可能な限り全て出すと言うことです。例えば、前回のコラボの相手の作品を例にして言うと、最新話までに出てきた必殺技は出来るだけ全て出す、出ているオリジナルキャラは全て出す、等々……………なので、今回もスタンスは変わりません。僕の作品の大きな特色は、世界観ゆえに何でもアリと言う所でしょうか。魔法とかも存在するものですから、大概のことは実現できますしね。黒ハムさんの作品の大きな特色は、風人君の存在そのものだと個人的には思っています。彼の性格、行動が黒ハムさんの描く暗殺教室を面白くしている、と僕は思います。他には、性格がかなり原作と変わっている神崎さんでしょうか (笑)
勿論、このコラボでも風人君の奇行(?)も、神崎さんの性格改変要素もかなり詰まっております。これが、コラボにおいて注ぎ込んだ黒ハムさんの暗殺教室の主な特色です。 さて、これらの特色をいかしてどんなstoryにするか、と考えていた時に、ネタ探しの為に黒ハムさんの暗殺教室を読んでいたときに過去の話を見て閃いたのです。『千影を復活させて出すか』、と。復活させるのも、自分の作品の世界観でなら特に違和感なく出せるんでは?と考えて話をどんどん構成していって気が付けばもう引き返せないところまで出来てしまった、って感じです。僕の作品みたいな世界観でなければ一度死んだ千影さんを復活させて出す、と言うのは不可能だったんではないかなーと思います………………多分。何はともあれ、コラボを承諾してくれた黒ハムさんにはとても感謝しています!本当にありがとうございます!さて、次回は創真と風人が戦います。先に言っておくと、どちらかが勝ち、どちらかが負けます。千影による介入でバトルが中途半端に終わると言う展開はありません。勝敗がしっかりつきます。果たして人生経験豊富な元暗殺者の創真か、それとも現役暗殺者の風人か…………明日をお楽しみに。それでは!
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