暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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ちょっと重い話は一旦終了です。


風人と有希子の時間 進展

「……これが僕の過去」

 

 風人君の過去とその前に私と涼香さんたちが何を話したかを互いに話した。

 

「話はしてないけど――」

 

 そう言うと自分の左手首を見せてくる。

 

「――涼香の言うとおりこの傷は全て自分でつけた」

 

 風人君の傷……これが心の傷……

 

「……ねぇ。風人君。風人君は千影さんのこと好きだったの?」

「分かんない……でも、多分そう」

 

 そう……か。

 でも、不思議と嫉妬はなかった。故人だから?たぶん違う。風人君と千影さんの関係の深さは私なんかじゃ遠く及ばない。急に現れた私が嫉妬できる立場にないんだ。

 それを分かったんじゃない。分かってしまったんだ。

 

「風人君……」

 

 私は彼の名前を呼ぶと同時に……彼の唇に自分の唇を合わせた。

 

「……有鬼子?」

 

 数秒間の後に彼の唇から自身の唇を離す。

 

「私は風人君のことが大好きだよ」

「……そう。でも……」

「分かってるよ」

 

 風人君が千影さんのことを今も想い続けているのは充分理解できた。

 

「私は風人君の彼女になりたい。風人君と付き合いたい」

 

 本当は明日の夏祭りに誘って花火の下でとか考えていたけどやめた。言うなら今しかない。

 

「風人君は私のこと……好き?」

「……分かんない。でも、嫌いじゃない。恐いとこあるけど、普通の人よりは一緒にいて楽しいし……」

「そう……か」

 

 曖昧で複雑。自身でもわかってないか。

 

「やっぱり、私は風人君のことが好きだよ」

「……え?」

「今だって私のことを好きとかそう言わずに自分の事を述べられている。過去の未練を引きずっているってのはあるかもしれないけど」

 

 事実は小説より奇なり。まさか、風人君の幼馴染と風人君があんな別れをしているとは思いもしなかった。事故によってとまでは聞いていたのだけど……。

 

「それでも風人君はえらいよ。今まで私たちにそれを押し隠していた。全て一人で抱え込んでいた」

 

 苦しみを誰とも共有するわけでもなく、抱え込んでいたんだ。たった独りで。

 

「でも今だけは……ううん。今からは私に、その苦しみを悲しみを隠さなくてもいいんだよ」

 

 私はそっと彼を抱きしめる。

 ……もう一人で抱え込まないで。私でも話を聞いたりすることぐらいは出来るんだよ。

 

「…………ごめんね……」

 

 すると涙を流しながら謝罪を口にする。

 

「……それと……最初。殴ろうとしたりして……ごめん……怖がらせて…………本当にごめん」

「いいよ。許してあげる。代わりにちょっとだけ愚痴を聞いてもらっていい?」

 

 私は愚痴を言った。厳しい父に対する不満を言ったり、ゲームするようになった時のこと。風人君みたく重い過去はないし、死別した好きな人がいるわけでもない。でも話した。いろんなことを。その中にはもちろん風人君を好きになった時のことも。

 

「千影さんが言ってたんだよね?『私たちは支えあって生きる』って」

「……うん」

「なら、私は風人君を支える。だから、私のことを風人君も支えてね」

「……はい」

「じゃあ、寝ようか。結構話したしね」

 

 よく見ると三時間くらい話していたのかな?

 

「おやすみ、有希子」

 

 ……あれ?今……

 

「うん。おやすみ風人君」

 

 そして明かりを消して私たちは寝るのでした。

 でもよかった。あの出会いは私にとってだけじゃなくて君にとっても大きな意味を持っていたんだね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝。

 

「有鬼子~朝だよ~起きて~(ユサユサ)」

「ん……おはよ風人君。早いね」

「そりゃね~」

 

 昨日の話でわかったのはこの話し方が普通ということ。まぁ、いつも通りの風人君に戻ったかな。

 

「朝ごはん出来てるよ~」

「うん。朝ごはんが…………え?今何時?」

「八時かな~?」

 

 ね、寝坊した!?

 

「全く~有鬼子を起こさないように出ていくの苦労したんだよ~?」

「え?何で?」

「ん」

 

 と風人君が指さすのは私の寝ている場所。…………あれ?風人君のベッドの上?昨日布団で寝なかったっけ?あれ?もしかして……

 

「朝起きたら有鬼子が抱き着いてきてるもんだから、暑苦――驚いたし~割と大変だったんだよ~起こさず抜け出すの~」

 

 私はそこまで寝相は悪くないはず。つまりだ。

 

「あぁぁ……!」

 

 昨日の寝る時点で私は風人君に抱き着いて寝ていたのだ。ちょ、ちょっと昨日の私、大胆すぎるんじゃないかな?

 

「それに~よく考えたら昨日、有鬼子にキスされてるしね~わ~大胆だね~」

 

 あぁぁぁぁ!昨日の私、大胆すぎ!?

 

「だから~お返し」

 

 そう言うと私の唇に唇を重ねてくる風人君。それだけじゃない。

 

「んんっ~~!?」

 

 私の口の中に強引に舌をねじ込みそのまま蹂躙してくる。私は抵抗する間もなく力が抜けはじめ、

 

「これでおあいこで~」

 

 5Hitくらいで解放してくれた。

 

「はぁ……でも風人君。今本気出さなかったでしょ?」

 

 ビッチ先生曰く風人君はキスに関しても天才的らしい。そんな世界中を回るビッチ先生に認められたキステクニックだったら、私はこんなに早く復活はしないはず。

 

「当たり前じゃん~これから朝食なんだから~加減しておかないと」

 

 有鬼子が堕ちちゃうから。と言葉を残して、階段を降りていく。

 

「……今度は勝つ…………!」

 

 このことは風人君がしてくれて嬉しいというのもあったけど、本気を出したらもっと凄いてきな発言はいただけない。そう今回は不意打ちだったからいろいろとやられただけなんだ。前もって知っていれば勝てる。私のゲーマー魂に火をつけたみたいだね風人君……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、有鬼子が息巻いていたようであるが、現状は……

 

「…………」

 

 ボーっとして虚ろな状態である。おそらく思考回路が正常に働いてないだろうか、きっと今なら何をしたとしても無抵抗だろう。まぁ、した後が恐いので何もやらないけど。

 あの後、朝食を取り歯を磨く等々済ませた後、有鬼子が最初はさっきの仕返し~とか言ってキスして舌まで入れてきたので今出せる本気を出したらこんな感じになったのだ。しばらく観察しておこう。

 と、観察中ふと気づく。そういえば、昨日の有鬼子からの告白。いろいろと有耶無耶になって返事してない気がする。というか、今の有鬼子との関係って何だろう?

 友達?なんかキスしたりでもうすでに超えている気がする。恋人?うーん僕が告白の返事してないから違うね。一方通行な関係?それだと僕からキスしたことに説明がつかない。うーん……

 

「まぁ、難しいことはいいや~」

 

 僕頭使うの嫌いだもん~あーでも何か昨日話したら少しすっきりした!……というか、

 

「……よく有鬼子はこんな僕のこと受け入れてくれるよね……」

 

 何度も自殺しようとする出来事があって、手首には痛々しい傷跡があって、性格は最悪で、余分なこと言って怒らせて。…………よく生きてるなぁ僕。まぁ、どっちでもいいんだけど。

 僕らの出会いは最悪とは言わない。でも、何と言うか会っていた時期が違ってたらもっと別な関係になっていたと思う。有鬼子が今のようなまじめな感じの時に会ってたら多分もっと静かな関係だっただろうし、千影が死ぬ前だったら僕は彼女のことをただのゲームが強い女子ってだけで、何か月も記憶に残ってるわけがない。

 だから最悪でも最高でもない。だけどちょっと特別だと僕は思う。

 

「……ありがとうね~。こんな僕を救おうとしてくれて」

 

 こんな僕を救おうとしてくれる有鬼子。一度彼女のことをどう思ってるか本気で考えてみよう。

 

「……こっちこそ。こんな私と一緒にいてくれて」

「あ、おかえり有鬼子~今の聞こえてた~?」

「ただいま風人君。今のだけね。いたずらとかしてない?」

「うん~だって、すると後で怒るでしょ~?」

「当然です」

 

 ほら。

 

「でもちょっと嬉しいかも……」

「よし、今度は額に鬼(笑)って書いておくよ~」

「訂正。そっち系の悪戯は望んでいません」

 

 ほらね。いたずらしようものなら僕の首より上の部分だけお空へ羽ばたくよ。パタパターって。

 

「じゃあ、勉強しよっか」

「え?さっきのゲーム有鬼子負けたじゃん」

「勉強しよっか」

「だからさっきの」

「勉強(にこっ)」

「……はい」

 

 これを漢字三文字で何と言うでしょうか。答え、理不尽。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぺたぺた

 

 お昼も終えのんびりとした午後。控えめなノック音(?)が聞こえてくる。どこからって?窓からですが。しかも僕の部屋の窓。ここ二階だよ?ねぇ、

 

不審者(殺せんせー)発見っと」

 

 鍵を閉めておく。

 

「にゅやあああああ。風人君の鬼ぃ!」

「間違えないでよ殺せんせ~。鬼はこっちだぐふぅっ!?」

「風人君?」

 

 あ……ああ。横っ腹に……拳がぁああ。

 

「全く。殺せんせーの話を聞いてあげようよ」

 

 と、鍵を開け窓も開ける有鬼子。

 

「おぉぉ神崎さんは優しいですねぇ。本題に入る前に何で風人君の部屋に居たかを一言」

「え?あー風人君の御守りです」

「なるほどなるほど」

 

 何かメモってるぞおい。

 

「で~?何の用~」

「夏祭りに行きませんか?」

 

 と、看板を見せてくる。要約すると『夏祭りに行きたい人は今日の夜七時、椚ヶ丘駅集合』だ、そうだ。で、裏には『夏休み最後の一日くらい何も考えずに遊びましょう!』と書いてある。ふむふむ。

 

「ほら有鬼子!殺せんせーも勉強なんか捨ててゲームしろって言ってるじゃないか!」

「誰もそんなこと言ってませんよ!?」

「ダメでしょ風人君!私たち結構遊びに行ってるんだからある程度は勉強しないと!」

「え?あ、その話を詳しく……」

「有鬼子の分からず屋!せんせーの意図が組めないの!?」

「風人君の分からず屋!私たちには勉強が必要でしょ!?」

「あの……結局夏祭りには行くんですか?」

「行く!」「行きます!」

「あ、はーい……お邪魔虫は退散しますね」

 

 窓を閉める殺せんせー。しかし、保護色で張り付いてこちらの様子を伺っている。

 

「「退散してないじゃん!」」

 

 と、僕の持つ手錠を構えたところどこかへ飛んでいった。

 

「さてと、じゃあ、時間まで勉強しようか」

「えぇーゲーム~」

 

 僕らはあくまで平常運転ですね。

 

 

 

 

 

 

 

(神崎さんも風人君も二人の間の空気が変わったような気がしますね……それが気のせいか真実か。まぁ、この先分かるでしょう。ヌルフフフ)

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