暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
……ま、だからといって作者自身は特に何も変わらない気がするんですが。
『元号改正』
「皆様。本日からもよろしくお願いします」
「どうしたの?改まって」
「いや~新年の時とか何も言わなかったからね~なんて言うか挨拶?」
「うぅ……」
「どうしたの有鬼子!?ハンカチ取り出して泣いてるの!?」
「成長したんだね……風人君」
「まさかの感動の涙!?今のどこに泣く要素があったの!?」
「よしよし。いい子に成長したんだね」
「なんだろうその目~とてもじゃないけど子供扱いされてるみたい~」
「みたいじゃなくて事実そうだよ」
「酷くない!?僕はもう子供じゃないよ!」
「子供はみんなそう言うんだよ?」
「さも当然のように言わないでよ!」
「はぁ~愛おしい。ほらぎゅーって抱きしめさせて」
「まぁいいけどさ~」
「これからもよろしくね」
「うん~」
プリン――そうそれは人類の英知の結晶。
プリンは我々人類にとってはなくてはならないモノの一つ。
プリンとはその魅惑で全世界の人々を魅了する素晴らしき存在。
プリン……プリン……
「「というわけで、私(僕)たちは卵を救済する暗殺プランを考えました!」」
時はシルバーウィーク。世間の中学生の皆さまは学校が休みの中、我々三年E組は学校に集まっていた。
今、日本では廃棄卵が問題となっている。そこに、目を付けた僕らはその卵を救済、尚且つ殺せんせー暗殺という一石二鳥な暗殺方法を考えていたのだ。
「あぁ?どうせ、これを飯の中に混ぜるんだろ?そんなもんすぐに見破られて――」
「ふふん。師匠はもっと考えているのだよ~」
「うむ弟子の言う通りだよ。烏間先生にもお願いして、下準備もおっけー」
(((いつから師匠と弟子の関係になったんだ……?)))
「ああ。既に準備は校庭で――」
「「では皆さん!校庭へ!」」
いつにも増してノリノリな僕ら。烏間先生の言葉をぶった切るほどだ。
で、校庭に出た皆は驚くと同時に気付く。
「このフォルムで卵……まさか!」
「今から皆で巨大プリンを作りたいと思います」
「この計画……名付けて」
「「プリン爆殺計画!」」
皆驚いている。まぁ、無理もないか。
「ふっふっふっ。私たちは重要な供述を得ているのだよ」
「そう。それはある日の放課後……」
僕らは思い出す。そう、あれはとある日の放課後だった。僕、茅野さん、殺せんせーの三人でプリンをバクバク食べていた時、『いつか自分よりデカいプリンに飛び込んでみたいですねぇ』と言ってたことを。
「えぇ!叶えましょう!そのロマンを!」「あぁ!叶えてあげよう!その夢を!」
「「ぶっちゃけ私(僕)もやりたい!」」
皆苦笑するばかりだ。
で、作戦というのは至ってシンプル。プリンの底に爆弾及び対殺せんせー弾を敷き詰める。底の方まで進んだところで起爆。シンプルだがかなり良い線行きそうな計画。ちなみに、主に立てたのは茅野さんだ。
そうそう殺せんせーがいないのはしっかり分かっている。
「では、これから巨大プリンづくりを始めます。主に私が指揮を
僕は用意していた伊達眼鏡をかけてクイッとあげる。
「今回の作戦は中々大規模なものです。また我々のマンパワーというのは作戦の成功失敗に大きく関わってくるでしょう。
(((誰だコイツは……!)))
「では弟子よ。役割分担を」
「はっ。師匠」
(((そして何なんだこの二人は……?)))
「あの二人もやるねぇ。神崎さん」
「そうだね。カルマ君」
「でもいいの?茅野ちゃんとあんなに意気投合しているけど」
私は何時になく真面目で、何時になく楽しそうにしている風人君を眺めます。
「いいって何が?」
「分かってるでしょ?」
「嫉妬……でしょ?」
私は、嫉妬していないと言ったら嘘になる。でも、
「いいの。私はあの時と違って今は余裕があるから」
あの時、夏休みの初めの時のような嫉妬はない。あの時と違って私たちの関係は進んでいる。
「それに、制限ばかりかけたらダメでしょ?」
誰にだって距離はある。彼女だからって彼氏に自分以外の女性と一切関わるな!というのは傲慢すぎると思う。私はあんまり男子と関わる機会は少ないけどこうしてカルマ君と話すこともあるように、風人君にも別の女子と話す機会はあってもそれは風人君の自由だと思う。
「ま、神崎さんがそれでいいならいいんじゃない」
「それに、私じゃあのレベルまでついていけないよ」
風人君のゲームの話にはついていけるけどプリンとかにはあまりついていけない。まぁ、仕方ないかな。
「ただ、風人が鞍替えするかもしれないよ?」
「ふふっ。それは冗談かな?…………度が過ぎてるよ?カルマ君」
(あ、やっべ。これ傍から見ると面白いけど直で見るとマジでこえぇわ)
「冗談。あの風人がそんなのするわけないね」
「さてと、そろそろ私も休憩終わりかな」
そしてプリンは完成した!
「こ、これ全部せんせーが食べていいんですか?」
「え?あ、うん。廃棄卵を救いたかっただけだから」
「茅野ちゃんがメインで考えたんだよ」
「そうそう~」
「茅野さん……!」
茅野さんの手を握って涙を流すころせんせー。
そんな中、僕らはプリンの爆破を見守るべく廊下まで移動する。
というか、凄いスピードだなぁ…………
「プリン…………爆破…………」
僕はあの日のことを思い出していた……
「へぇ~本当にやるんだね~」
パラパラと茅野さんがまとめたプリンについてのレポートを見る。
「うん!やると決めたら一直線なんだ!私!」
「面白そ~僕も一枚噛ませてよ~甘党仲間としてさ~」
「大歓迎だよ!一緒に巨大プリンを作ろー!」
「おー!」
あの日から強度実験でどうすれば形を保つことが出来るかとか、色んなアイデアを出し合ったりしてようやく完成したプリン。それを……爆破……
「「ダメだぁぁああああっ!」」
「愛情を込めて作ったプリンを爆破なんてダメェェェエエエ!」
「プリンを爆破させるなんて間違ってる!血迷った考えは捨てるんだ!」
(((いや、お前らが爆発させるって考えてたからな!?)))
茅野さんは窓枠に頭を打ち付け、僕は拳を床に打ち付ける。
「落ち着け茅野!和光!」
「プリンに感情移入してんじゃねぇ!吹っ飛ばすために作ったんだろうが!」
「とりあえず落ち着こうか……ね?」
「「嫌だぁぁぁぁぁああああああああああっ!」」
「ずっとこのままモニュメントとして飾るんだーい!」
「そして次世代の人にまで受け継ぐんだーい!」
「「「腐るわ!」」」
「「うわぁぁぁああああああああああ!」」
「ふぅ。ちょっと休憩」
暴れ回る僕と茅野さん。それぞれ寺坂と有鬼子に抑えられる。すると殺せんせーが現れた。
せんせーが手に持っていたのは爆弾、起爆装置も外されていた。どうやら臭いで気付いてカラメルソース→プリン→土と食べ進めて解除したらしい。
「そして、皆で作ったプリンは皆で食べるべきです」
「「やったぁ!」」
僕らにも綺麗な部分を残してくれてたらしい!よかったね!
「よかったね風人君」
「うん!」
(あ、どうしよう。今の風人君凄い可愛い……)
「どうしたの~頭撫で始めて」
「えへへ~よかったね」
「あ、そうだ~有鬼子~一つ頼み事あるんだけど~」
「うん。何かな?」
放課後。
「お疲れ師匠~」
「和光くんこそお疲れ。和光くんが居なかったら出来ていなかったかも」
「そんなことはないよ~茅野さんだけでも出来たよ」
「そうかな?でも、そんな話するためにこんなところに呼びだしたの?」
呼びだしたのはプールがある場所。今はプールというより魚の住処だが……
「……茅野カエデ。君の正体を掴んだよ」
「……正体?」
「本名、雪村あかり。雪村あぐりさんの妹。後、磨瀬榛名という芸名で現在活動停止中の人気子役さん……違う?」
「誰それ…………って言って信じるとは思えないな。和光くんは」
「ああ。確信もあるし、証拠……って程じゃないが一応裏付けはあるよ」
「どうぞ。でも、殺せんせーは?聞かれたらマズイんじゃないの?」
「心配しないでいいよ。有鬼子が時間を稼いでくれる。無論、私が何するかは言ってないけど」
まぁ、対価は払う
「話を戻そう。まず、君は私より前の転校生。三年生進学時点で転校してきた。これは何人かは最低でも知ってる事実」
私はつい最近知ったんだけど。
「じゃあ、君が何故転入と同時にE組に落とされたのか?いいや。君は落とされたんじゃない。落ちてきたんだ。自らね」
「へぇ……」
そもそも転校生がE組行き、しかも三年生の最初だと暗殺者を国から送り込むために理事長に話を付けてるわけではない。
つまり、私のような前の学校で素行不良のため落とされたか、それとも……
「まぁ、雪村あかりっていう名前で転校したって条件に該当する人がいたんだよ」
「どうやって調べたの?……って律がいるか」
「ご名答」
居ない名を探すより居る名を探したほうが早い。ちょっとプライバシーの問題とかで気が引けたがバレなきゃ安い。
「その生徒は優秀な部類に入ってた極々普通の女の子。……分かったでしょ?君は落ちてきたんだ。じゃあ?落ちる目的は?……答えは一つ」
「殺せんせーの暗殺……」
「君は0人目の転校生暗殺者ってわけ」
すると茅野さんの纏う空気が変わった。
「ふふっ。中々な推理。でも、何で私が殺せんせーをわざわざ殺しにここに来たのか。それが説明できていないんじゃないかな」
「雪村あぐりの敵討ち……違う?」
「……あーあ。一体君はどこまで知ってるのかな」
「私は何も知らない。情報を集めて組み立ててるだけ。やってることは簡単なことだよ」
私はパズルをやってるだけだ。ピースを集めて組み立ててるだけのね。
「……で?何がしたいの?」
「何が?」
「私の復讐を止めたいのか。私のことを皆にバラすぞって脅すか」
「…………」
やっべ。特に何も考えてなかった。
「後者はやめた方がいいと思うよ」
「どうして~?」
「和光くんに脅されたとしたら神崎ちゃんに泣きつけば君は死ぬ」
「ま、そうだね~」
脅迫というのは相手の弱みを一方的に握っておりそれを解決する術を相手が持ち合わせていない時のみに効果を発揮する。
今回のケースだと、脅すという選択肢を取った瞬間に、ベスト――茅野さんが取る行動で――は自分の胸とかに僕の手を持ってきてさながら無理やりやられましたって感じの写真を撮る。後は、僕から強引にキス迫った感じでキスした瞬間をカメラに収めるというのもアリか。
それを泣きそうな演技をしながら有鬼子に見せた日には確実に僕は死ぬだろう。いや、死より恐ろしい地獄が見れるかもしれない。見たくないけど。
「前者は……君は人のこと言えないよ」
「……その心は?」
「君は私と同じ。復讐のために生きている。それを隠している人間。…………違う?」
「ご名答」
有鬼子は僕の苦しみを背負ってくれると言ってくれた。でも、この
「へぇ。胡麻化すと思った」
「君は元子役……人の演技くらい容易く見抜ける、だろ?だったら無駄な事はしないさ」
「今の会話はなかったことにしよ?
「そうだね~そっちの方がお互いよさそーだね~
「じゃあ戻ろっか……日常に」
「だね~」
茅野にとって今回の作戦はカモフラージュ。
風人にとっては彼女に近づくための理由。
どっちもどっちですね。
ちなみに風人君は深く考えているようで何も考えていない。何も考えていないようで深く考えている。そんな人間ですね。つまりマイペース。