暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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バカの時間 二時間目

 イトナ君が正式加入?って言うのかな?まぁ登校し始めてある日の放課後。

 

「ねぇね~イトナ君。何作ってるの~?」

「風人か。ラジコンの戦闘車だ」

「おぉー!かっこいいね~!」

「昨日あのタコに勉強漬けにされてストレスがたまった。だから殺しに行く」

 

 なんて動機だ。っと、有鬼子が一緒に帰るからちょっと待っててって言われてるんだよなぁ~暇だなぁ。

 

「寺坂がバカ面で言った」

「あぁ!?」

「いや、寺坂は最初から阿呆面でしょ~」

「あぁぁっ!?」

「間抜け面かもしれないよ」

「ああぁっ!!?」

 

 イトナ君、僕、カルマに言われて怒りマークを浮かべる寺坂。

 

「100回失敗してもいいって。だからダメ元で殺しに行く」

「ほへぇ~でもすごいハイテクそうだね~というか面白そう!僕でもこういうの出来る~?」

「ああ。親父の工場で基本的な電子工作は覚えたが。安心しろ風人。こんなの寺坂以外なら誰でも出来る」

「いらっ!」

「やったー!寺坂以外が出来るって全人類ができるんだね~」

「おいてめっ!」

「やめなよ風人にイトナ。あの寺坂でも努力すれば千年後にはきっとできるようになってるかもしれないよ」

「てめぇらなぁ!」

 

(((うわぁ……寺坂が可哀想に見えてくる……)))

 

 と、そんなこんなしているうちに戦車は完成して、床に置いて動かし始めた。しかも気付けば教室には男子しか残っていなくて女子は全員どっか行ったみたい。

 動き始めた戦車。僕らの足元をスムーズに動き、セットして置いた空き缶に向けて発砲。

 

「「「おぉー!」」」

 

 しかも、走ってるときも撃つときもほとんど音がしない。イトナ君が言うには、電子制御を多用することでギアの駆動音をおさえているそうだ。

 そのうえ戦車につけられた小さなカメラが操縦するコントローラーの画面とリンクしていて映像付きで見られる。かっこいいね!

 

「一つ。お前らに教えといてやる。狙うべき理想の一点。ターゲット(殺せんせー)の急所だ」

 

 ……急所……かぁ。

 

「奴には()()がある。位置はちょうどネクタイの真下。そこに当たれば一発で絶命させられる」

 

 なるほど。やっぱり心臓はあるのね。というか、そんな位置まで知ってるとなると、情報提供者(シロ)はやっぱり怪しすぎるね。

 

「よし。暗殺に備えてしっかりと試運転させておこう」

 

 うんうん。確かに試運転は大事だよね。うんうん。

 戦車は教室を飛び出し廊下へ。曲がり角付近で、女子たちの声がしたので一旦止まる。まぁ、踏まれたら最悪だもんね。で、カメラは上を向いており――――

 

 

 

 

 

 ――――次の瞬間、女子たちの何名かがカメラに写ってるところを通過した。

 

 

 

 

 

 

「……見えたか?」

 

 岡島が凄く真剣に呟く。

 

「カメラが追いつかなかった……!視野が狭すぎるんだ……!」

 

 続いて前原も。うーん。確かに視野は大事だとは思うけど……

 

「カメラをもっとデカいのにしたらいいんじゃないか?」

 

 そして村松の意見。いや、それって、もう意味ないよね?

 

「重量がかさんで機動力が落ちる」

 

 機動力が落ちると標的の補足が難しくなるそうだ。すると、暗殺では使いづらくなる。うん。本末転倒だね。

 

「…………ならば。カメラのレンズを魚眼レンズにしてみればどうだろうか?」

 

 『参謀』竹林孝太郎が静かに意見を出す。そして、メガネを軽く押し上げ、魚眼レンズに変えるメリットを説明する。

 

「送られた画像をCPUを通して歪み補正すれば、小さいレンズでも広い視野を確保できる」

 

 ほへぇ。だったら、確かに魚眼レンズの方が理にかなってる気がする。

 

「……わかった。視野角の大きい小型魚眼レンズは俺が調達する」

 

 『カメラ整備』岡島大河がなんかカッコよさそうに言ってるけど……あれ?大丈夫かな?この人たち。

 

「律。ゆがみ補正のプログラムは組めるか?」

『用途はよく分かりませんがお任せください!』

「録画機能も必要だな……」

「ああ。効果的な改良分析には必要不可欠だ」

「外せない機能だな」

 

 ……なんだろう。凄く遠い世界に彼らは旅立った気がする。おかしいなぁ。下着ドロの時にはあんなに引いていたと思うんだけど……。

 

「これも全て暗殺のため!ターゲット(女子たち)を追え!」

 

 と意気揚々に外に出ようとした戦車。試作品一号は、外に出ようとした瞬間。段差でこけた。

 

「復帰させてくる!」

 

 映像越しに見ていた『高機動復元士』こと木村正義はダッシュで復帰させに向かった。

 

「段差に強い足回りも必要じゃないか?」

 

 うーん。確かにそうだね。

 

「俺が開発する。駆動系とか金属加工には覚えがある」

 

 『駆動系設計補助』吉田大成が開発を宣言する。何かすごい面子がそろってるんだなぁ。E組って。

 

「後、車体の色についてだが、ここは学校だけ。学校の景色に紛れないと標的(女子)に気づかれる恐れがある」

 

 どうしよう。さっきから正論しか言ってない気がする。

 

「引き受けた。学校迷彩……俺が塗ろう」

 

 『偽装効果担当』菅谷創介が筆を構えて役割を引き受けた。

 

「ラジコンは人間とはサイズが違う。学校を快適に走り回れるよう、俺が地図を作る」

 

 『ロードマップ製作』前原陽斗がまともなことを言う。

 …………おかしい。目的はあれなはずなのに改善点は暗殺にもリンクしている。何かがおかしいぞ……?

 

「腹が減ったら開発は出来ねぇ。校庭のゴーヤでチャンプルーでも作ってやらぁ」

 

 『糧食補給班』村松拓哉がエプロンをつけて家庭科室へと向かう。

 とまぁ、こんな感じで完全に本来の目的を忘れて暴走しているけど……完全にこのクラスになじんだなぁ。すごいなぁイトナ君。というか楽しそうだけど……やめとこ。僕まであんなのに参加してたってばれたら……

 

「……死を超える絶望か…………多分、地獄すら生ぬるいかも……」

「どうしたの?遠い目をして」

「ううん~何でもないよ~」

 

 やめよう。そんな想像も。きっと優しい(よね?)彼女のことだ。もし、混ざったとしても笑顔で…………処刑に来るな。うん。間違いない。

 と、凄く真剣に考えていると試作品一号から送られてくる画面が真っ黒に染まる。

 上を見上げるとそこには、

 

「「「化け物だぁあああああ!」」」

 

 と、叫ぶので気になって画面を見てみると、

 

「あ、イタチだ~可愛いなぁ~」

「あれのどこが可愛いんだよ!」

「ちょっと捕まえに行ってくる~」

「あぁおい!」

「早まるなバカ!」

 

 さぁイタチを捕まえよ~おぉ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま……」

「お帰り……あちゃー」

「イタチ……捕まえられなかった」

「「「いやそっちかよ!」」」

「あ、これお土産……はい」

 

 と、壊れてしまった試作品一号を手渡す。はぁ……。捕まえたかったのに。

 

「クソ、主砲の威力が足りなかったな」

「次からはドライバーとガンナーを分担しないとな。射撃は任せたぞ、千葉」

「お、おう……」

 

 ここに来てようやく暗殺に関係ありそうな『搭載砲手』に任命された千葉龍之介。

 

「開発にはミスがつきもの」

 

 さらさらっとマジックを取り出してなんか書いてる。えーっと、『糸成Ⅰ』……?

 

「糸成Ⅰ号は失敗作だ。だが、ここから紡いで強くする。100回失敗してもいい。最後には必ず殺す。だから、よろしくな。お前ら」

 

 いい話だ。皆の友情も深まりこれで、一件落ちゃ……

 

「よっしゃぁ!3月までにはコレで女子全員のスカートの中を偵察するぜ!」

 

 ……どうしていい雰囲気で終わらせてくれないんだろうか。

 

「へー………今なんて言ったのかな?岡島君」

 

 ガシッと岡島の肩をつかんだのは片岡さん。ありゃりゃ。

 

「か、片岡ぁ!??これはだなその」

「全部聞いてたわよ。で?誰が言い出しっぺ?まさかイトナ君じゃ……」

「岡島だ」

「ちょっ!これは違うんだ!」

 

 片岡さんを筆頭に女性陣が帰ってきた。あーあ。こりゃあ岡島死んだなぁ。

 

「そ、そうだ!これは全て和光のせいなんです!」

「え?僕~?」

 

 おかしいなぁ。僕は特に関わった記憶が……

 

 ポンッ

 

 僕の肩に静かに置かれる手。振り返るまでもなくひしひしと伝わってくる殺意。一瞬で静かになる教室。はっはっはっ。

 

「僕はむじ――」

「はいはい。話は後でね。じゃあ、帰りましょうか」

 

 振り返るとそこには鬼が立っていた。

 

「じゃあ、皆さん。また明日」

 

 そして、有無をも言わせてもらえず連れてかれる僕。行く先は地獄かこの世の終わりか。あぁ、どうしてこうなったのでしょう。

 

「おい、岡島……」

「和光君は無実でしょう?」

「最低ね」

「…………悪かった和光。まさか弁明の余地もないとは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、えーっと有鬼子さん」

 

 現在連れてこられたのはE組の山の少し奥に行った人目につかないところです。……なるほど。殺すのに持って来いの場所だ。

 そして現在。僕は木を背に立たされています。目の前には鬼がいて逃げ道はありません。なるほど。絶体絶命です。

 

「ぼ、僕は今回の件!無実を主張します!」

「……………………」

 

 僕の主張に対して何も言いません。怖いです。

 

「はぁ…………」

 

 すると、小さくため息をつきます。え?何ですか?

 

「……知ってるよ」

「え?」

「風人君が無実なことくらい知ってるよ」

 

 マジで?え?じゃあ、なんでここに連れてこられたんだろう……?というか…… 

 

「ちょ、ちょっと待って。え?あの殺気は……」

「演技だよ?あの場から風人君を連れ出すのに手っ取り早いと思って」

 

 さも当然といった感じで見てくる有鬼子。いや、あの殺気は本物だったようなぁ…………

 

「それに、私がすぐ疑うわけないよ。風人君がそんなことしない人だって知ってるから」

 

 あぁ神様。僕は今回有鬼子が素直に分かってくれて本当に感謝しています。むしろ、こんな彼女を信じず恐怖していた僕と罪を押しつけた岡島とついでに寺坂を殴り飛ばしたい気分です。

 

「…………?」

 

 と、ここで僕の中にある疑問が芽生える。

 

「え?じゃあ、なんでここに僕は連れてこられたの~?」

「そそそれは……その……」

 

 と、急に顔を紅くする有鬼子。本当にどうしたんだろう?

 

「か、風人君もああいうの(女子の下着)興味あるのかなぁ~って」

「うん!(ラジコンとか電子工作とか)凄い興味あるよ!」

「そ、即答……」

 

 ほへ?だって、電子工作ってかっこいいじゃん!僕もイトナ君に弟子入りしてラジコン戦車作ってみたい!そして思う存分遊んでみたい!

 

「わ、分かった……は、恥ずかしいけど……」

 

 すると、スカートの中に手をやる有鬼子。え?どうしたの?って思ってると……

 

「え?」

 

 何か急にタイツを下ろし始めた。…………え?

 

「ちょ、ちょっと待って。…………何してるの?」

「は、恥ずかしいけど……風人君だけだからね」

 

 そして真っ赤に染まる顔でスカートの端に手をやりそして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、穴があったら入りたい…………」

 

 真っ赤な顔で隣を歩く鬼。これぞ本当の赤鬼だ。

 

「う~ん。ビッチ先生に毒されたのかな~」

 

 スカートをたくし上げ下着があらわになってしまう前に僕が有鬼子の手を押さえ、何とか止まった。で、聞いてみると「だだだって風人君が女子の下着に興味がすごいあるって言ったから!」と言われたけど……うん。僕が興味あったのは電子工作なんだよ。

 まぁそんなギャルゲーでありそうなベタベタな勘違いが起き、それに気付いた有鬼子はタイツを戻すとその場で顔を紅くして恥ずかしいとか消えたいとか連呼していた。そんな彼女を支えながら麓まで降りてきてようやく僕の支えなしで歩けるようになって今に至ります。

 

「うぅ……お願いだから……忘れて」

「え?嫌だ」

 

 え?何で忘れないといけないんだろう?

 

「今度からこれをネタに揺すって……」

 

 と、言いかけてる時に僕の両肩を掴む有鬼子。

 

「お願いだから……皆には言わないで……」

 

 なんだろう。前にも似たような事があった気がする。しかも、今回は涙目付きで……どうしよう。あの有鬼子がすごい可愛く感じる。え?何だろうこの小動物みたいな愛くるしさ。鬼の要素が一切感じないぞ。

 

「べ、別に……冗談だし……」

 

 僕は思わず目をそらしてしまう。僕に演技だったとは言え恐怖心を与えてきたから少しやり返そうと思っただけなのに……何だろうこの気持ち。何というか……

 

「だから安心してよ~彼女の弱みを流すわけないじゃん~」

 

 何というか。もっと苛めたくなってしまった。ヤバい。この一線だけは超えちゃいけない気がする。

 

「だって……風人君だもん……」

「僕に対する信頼度低くない!?前のはしっかり守ったよね!?」

 

 悲報。彼女が僕のことを信頼してくれない。

 

「…………もしかして……風人君も脱げば恥ずかしくないのでは……」

 

 悲報。彼女の頭はさっきのでショートしたようだ。

 

「僕は嫌だよ?」

「う、うん……私の心の準備が出来たらね」

 

 おかしい。何かがおかしい。本当にショートしたんじゃないだろうか。

 この時の僕は知らなかった。まさか、彼女の言葉が現実になるなんて……

 

「って、フラグ立ててみたけど。ま、どうせフラグ回収なんてベタなことはやらないよね~」

「…………?」

 

 フラグとは建てても結局意味はない。だけど、フラグを立ててみるのはなんとなく面白そうだからである。まる。

 

「じ、じゃ、待たね」

「うーん。家まで送ってくよ~今の有鬼子。危なっかしいし~」

「え、あ……うん。ありがと……」

 

 今の彼女を相手にすると凄い調子が狂うと思いました。

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