暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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棒倒しの時間

 とりあえず、整列と挨拶も終わらせ僕らは配置についた。

 

「…………おい……あいつら攻める気あるのか?」

 

 と、ここでA組の金魚の糞のうち理科の方のメガネ(今は眼鏡つけてない)がなんか言ってる。が、無理もない。

 

「攻める奴が一人もいないぞ」

 

 そう。僕らは全員棒のところで集まり棒を支えている。

 その名も完全防御形態陣形である。どやぁ。

 

 パァンッ!

 

 棒倒しに開始の合図。始まるのか~

 

(さぁ!攻めてこい!浅野!)

(……誘い出そうとしてるのか?甘いな)

 

『攻撃部隊、指令Fだ』

  

 浅野君が手を動かすと、1人の外国人を筆頭に数名がこちらへとやってきた。というか英語?というか……ゴリラ?

 

『WooooOOOOOO!』

 

 あ、イノシシだ。イノシシとゴリラのハイブリットだ。

 

「くそが……!」

「無抵抗でやられっかよ!」

 

 と、ここで吉田と村松が飛び出して外国人の……確かケヴィンとか言ったっけ?そいつに向かって突撃する。が、

 

「吉田!村松!」

 

 ケヴィンのタックルによって無情にも客席付近まで飛ばされてしまった。わーお。

 

『亀みたいに守っていないで攻めてきたらどうだ?と言っても通じないか』

 

 へぇ~。通じてるけど?

 

『いいんだよ、これで。今の2人は俺らの中でも最弱だし……御託はいいから攻めてくればぁ?』

『そうそう~たった二人吹き飛ばしたくらいで調子乗らないでよ~』

『ほう。なら……』

 

 挑発に対し、しっかりと突っ込んで来てくれるケヴィン以下数名。それに対し、

 

「今だ!作戦!『触手』!」

 

 僕らは彼らの突撃に合わせて跳び上がる。そして、上から彼らに乗りかかりさらに棒を半分くらい倒して棒の重みで固定する。

 結果7人が棒を固めることに専念している。

 

「両翼攻撃部隊。コマンドKだ!」

 

 と、なんか指示を出して左右から二つの部隊がこっちに突撃してくる。つまり、真ん中が空いたと。

 

「よし!攻撃部隊!作戦『粘液』」

「「「おうっ!」」」

 

 そこにE組の攻撃部隊。磯貝君を筆頭に前原、木村、杉野、岡島、カルマ、僕の七人が突撃していく。

 

「かかったな」

 

 僕らが中央突破を試みると、なんと両翼攻撃部隊が防御に戻るために僕らを追ってきた。で、前には外国人の二人。カミーユとジョゼの二人を筆頭にこちらを待ち構えている。このまま行けば彼らと衝突。とてもじゃないが突破はできないだろう。

 僕らはうなずくと共に、ある場所に逃げ込もうと走り出す。そう、

 

『何でこっちに来るのぉぉおお!??』

 

 観客席である。3ーDの観客席に入り込む僕ら七人と追ってくるA組の攻撃部隊。

 まさしく阿鼻叫喚の大パニック。逃げ惑う観客。巧みに彼らの座ってたパイプ椅子を利用して逃げる僕ら。必死に捕まえようとするA組と二人の大型外国人。

 

『場外を使うな、なんてルールは無かった。来いよ、この学校全部が戦場さ』

『でも、流石に学校全部は広すぎだよ~せめてグラウンドだけだね~』 

『小賢しい……!』

 

 本当に大パニックだなぁ。

 

「橋爪!田中!横川!深追いせずに守備に戻れ!混戦の中から飛び出す奴を警戒するんだ!」

 

 と、ここに飛んでくる冷静な指示。やっぱり、あの司令塔は厄介だなぁ。

 

「赤羽。和光。木村。磯貝の四人には特に注意しろ」

 

 ふむふむ。

 

「あれ~僕もブラックリスト入り?よっと」

 

 迫り来る手をひょいっと躱す。

 

「そりゃあ、風人も警戒人物でしょっと」

 

 時には客席を飛び回り、

 

「あ、ごめんね~」

 

 時には外国人の頭を(物理的に)使ってアクロバティックに躱す。

 そんな事を繰り返す僕ら。多分だけど、そろそろかな?

 

「そろそろいい頃合いじゃね。磯貝」

「ああ。ここまでは作戦通りだ」

 

 磯貝君がそう言った瞬間。A組の棒に向けて走り込む二人の人影。吉田と村松である。負傷退場のふりをして観客席の裏側から回り込んでいたのだ。

 

「逃げるのは終わりだ!行くぞ!『音速』」

「「「よっしゃあぁっ!」」」

「風人!任せたぞ!」

「おっけー」

 

 僕以外の6人がA組の棒に向かって突撃する。え?僕はって?

 

「さぁて、ここから先は通させないよ?特にそこの外国人のお二人さん」

 

 一人残って挑発しますよ。

 ぶっちゃけ脅威は浅野君以外にはあの外国人4人だけ。他の奴らはE組に勝つ可能性は限りなく低い。流石に訓練されてるんだよこっちは。

 で、ケヴィンを押さえ込めた以上残るは3人。そのうち追いかけてきた2人が棒に向かって戻らないようここで僕が足止めする。まぁ、戻らないようというか邪魔されたら困るしね。

 

『はっはっはっ。お前のようなチビ一人が足止めだって?笑わせてくれるな』

『痛い思いする前にママのおっぱいでも飲んでな』

 

 あぁっ……!?

 

『御託はいいんだよ肉の塊ども。ほらほら、来いよ腰抜けどもが!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヌルフフフ。流石風人君ですねぇ。この短期間でフランス語とポルトガル語が少しとはいえ話せるようになっている」

「ふふっ。誰が教えたと思ってるのよ」

「えーっと、風人君雰囲気的に挑発してますよね……なんて言ったんですか?」

「カゼトは『御託はいいんだよ肉の塊ども。ほらほら、来いよ腰抜けどもが!』って言ってるわね。まぁ、その前に思い切り馬鹿にされてたから仕方ないけど」

「…………イリーナ先生。風人君に何を教えたんですか?」

「違うのよ?私は普通の会話だけを教えようとしたのにあの男が『挑発文句が早く知りた~い』っていうもんだから……つい」

「「「…………」」」

「まぁ、相手を怒らせるのも彼の得意分野だが。どうするつもりだ。彼一人であんな二人の相手なんて……」

「ヌルフフフ。安心してください。彼があの二人程度に負けるほど柔な鍛え方はされてませんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ほらほら~?もう終わり~?』

『この野郎……!』

『ちょこまかと』

 

 全く。二人とも母国語が違うせいで実際は同じような言葉をそれぞれの言語に置き換えて言ってあげてるんだよ?そこだけでも感謝してほしいレベルだよ。

 

『レスリングと格闘家か~の割には弱いよ~』

『うるせぇぞガキが!』

『黙ってろこのチビ!』

『同い年だっての!』

 

 カミーユが足を掴みにタックルしてくるのを彼の背中を支えに避け、ジョゼの蹴りとかを近くのA組生徒を盾に避ける。全く、クリーンな試合にするために表面上は暴力が禁止になっている。まぁ、タックルはオッケーだけどうーん。ほんと、やりづらい。

 と、思ってると、棒の方で誰かが悲鳴を上げた。吉田の声だ。見ると、吉田は腕をつかまれるそのまま投げ飛ばされ、そして、

 

「岡島ぁぁあああああっ!」

 

 岡島が顔面を蹴り飛ばされ大きく吹っ飛んだ。無論、演技ではない。

 

『よそ見とはいい度胸だな!』

『このままぶっ殺してやる!』

「しまっ……!」

 

 左右から挟み込むようにカミーユとジョゼの突撃。それに僕は回避反応が遅れ……

 

「なんちゃってー」

 

 ゴンっ! 

 

 ……るわけねぇだろバーカ。誰が勝負の最中によそ見してその上味方がやられて叫ぶよ。

 僕は避けるも勢い余って突撃した二人。一瞬の隙を突いて二人に足払いを仕掛ける。無論ばれないように。そうすれば、周りから見れば二人がぶつかって転んだだけに見える。

 

『君たちの敗因を教えてあげよう』

 

 僕は倒れ込んだ二人を見下しながら言う。

 

『大きく二つ。一つ。殺すという言葉を軽く使ったこと。もう一つ』

 

 僕は最大限の殺気を込めて言い放つ。

 

『僕をチビなガキだと侮り油断したことだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「彼は相手を騙すことに長けています。それは言葉だけではありません。仕草や見た目から油断を誘い相手を的確に殺す。何もないと思わせておいて実は何かがあったりその逆も然りです。彼のような者を相手するときは冷静である必要がある。そうでないと、散々挑発され大きな隙をさらけ出したとき、無策に突っ込み彼の術中にはまってしまう。全て彼の作戦通りだったわけです」

 

 殺せんせーの解説を聞いた上で倒れた二人の上で座ってる風人君を見る。おそらく何か言われても『別に~座ってるだけで暴力なんて振るってないよ~』って言い返すのが目に見えている。

 そして、Aクラスの残りの人たちは自分たちよりも遙かに強い留学生たちを倒した風人君に恐怖し助け出すことはせず自身の棒へと帰って行く。

 

「浅野君は確かに強い壁です。高いリーダーシップ。的確な策。身体能力に頭脳とあらゆる面で恵まれています」

 

 振り落とされた磯貝君の背中を台にして更にA組の棒に飛びかかっていくE組男子たち。結果棒の方には竹林君と寺坂君のみという結果に……。どうやって支えてるんだろう?

 

「忘れられがちですが、風人君もまた紛れもない天才…………いや、本当に忘れられがちですけど」

 

 普段の言動、行動から忘れられているけど風人君は基本何でもそつなくこなせる。

 

「浅野君のようなリーダーには磯貝君はなれないし、ならなくていい。でも、浅野君とは違って磯貝君には多くの仲間に恵まれています。彼の足りない部分を埋めてくれる存在がたくさんいます」

 

 そして棒倒しは最終局面を迎える。

 

「来い!イトナッ!」

 

 磯貝君が手を組み、そこに向けてイトナ君がダッシュする。そして、磯貝君の手に片足を乗せるとそのまま大きく空へと投げ飛ばす。

 

「ヌルフフフ。故にたった一人が強者であるクラスにうちのクラスが――――」

 

 イトナ君は空中で体勢を整え棒の先端を掴み、全体重をかけて、棒を倒した。

 

「――――負けるわけがありませんよ」

 

 棒倒しは無事E組の勝利で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様。かっこよかったよ」

「ありがとね~」

 

 無事片付けも終わり、浅野君たちも今回の磯貝君の件は不問としてくれた。やったね。

 

「そういえば、さっき下級生の女の子たちから声かけられてなかった?」

「見てたの~?なんかね『かっこよかったです』って言われた~」

 

 うーん。僕がやったことと言えばせいぜいあの外国人を倒したことだけどなぁ~というか僕の印象って二学期最初の全校集会でやばい人でまとまってると思ったんだけど。違ったみたいだね~

 

(どう考えても惚れてた気がするんだけどなぁ……見た目はいいもんね……)

 

「どうしたの~?心配事~?」

「……ちょっとね」

「なになに~教えてよ~」

「ううん。風人君が気にすることじゃないから大丈夫だよ」

「えぇ……でもほら~有鬼子~僕に話したら気が楽になるかもしれないよ~」

「大丈夫。私にはゆとりがあるから。でも、一つだけ」

 

 そういうと僕の目を見てきて、

 

「浮気しないでよ?」

 

 と、告げた。え?浮気?誰と?

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