暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~   作:黒ハム

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少しずつ動いていきます。


間違う時間

 体育祭も無事終わって数日後。E組全体の評価(ついでに僕個人とかも)が少し上がった今日この頃。

 

「「「さぁさ、皆さん!二週間後は二学期の中間テストですよ!」」」

 

 殺せんせーは分身で大量に増えていた。

 

「「「いよいよA組を超える時が来たのです!」」」

 

 毎回テスト前恒例の殺せんせーによるマンツーマン(色々と違う気がする)勉強である。

 一学期の中間の時よりも分身の数は増え、その分頭のおかしな分身が大量に混ざってる。つまり、成長したのかしてないのか分からないのである。

 

「「「熱く熱く……熱く行きましょう!」」」

「「「暑苦しいわ!」」」

 

 僕は勉強がてらふと窓の外を……

 

「……邪魔だな~」

 

 ……見て感傷に浸りたいのに殺せんせーの分身が壁となって窓の外が見れない。なんて残酷なことをしてくれるんだ。

 10月になって暗殺期限は残り5ヶ月となる。僕はこの10月というのが嫌いだ。理由は察してほしい。

 

「さぁ、風人君!」

「なぁに~?」

「一学期期末で浅野君に負けて神崎さんの胸を借りて泣いてましたね。今回こそはリベンジですよ!」

「今思い出させる事かよ!あぁぁっ!消し去りたい過去なのに!今殺してやろうかこのタコ!」

「ヌルフフフ。今は授業中ですよ。休み時間にならいくらでも付き合ってあげましょう」

「上等だこの野郎!」

 

 休み時間。毎時間のように暗殺を仕掛けたが全部躱される。やっぱり無策でつっこむのはダメかぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、放課後。珍しく皆の下校時間帯が被り多くの人と帰っている。さすがに休み時間で疲れたし、何か策を練らなければ殺せないことくらい今更分かっている。どう殺してやろうかあのタコ……!

 

「風人君!」

「……あ、有鬼子~どうしたの?」

「さっきから声かけても全然反応なかったから」

「ごめん~考え事してた~あはは~」

 

 というかよく見ると皆の空気が重い。え?どうしたの?何かあったの?

 

「でもさ、勉強に集中してる場合かな私たち……あと5ヶ月だよ。暗殺のスキル高める方が優先じゃないの?」

「……んなもん仕方ねーだろ。勉強もやっとかねーとあのタコ来なくなんだからよ」

 

 ああ。矢田さんと寺坂のお陰で分かったよ。なんだ。そんなことか。というか後5ヶ月しかないって言っても、まだ5ヶ月もあるという見方もできなくはないと思う。人の感覚はそれぞれだけどなぁ。

 

「クックックッ。難しく考えんなよお前ら。俺に任せろよ」

 

 何か任せる要素あっただろうか?あの岡島に。

 

「スッキリ出来るグッドアイデアを思いついたからよ」

 

 うーん…………はっ!

 

「ダメだよ岡島!」

「ど、どうした風人?」

「中間テストをなくすために学校を破壊するつもりでしょ!それはよくないよ!」

「んなことするかぁ!」

「……え?しないの?」

 

 おかしい。彼ならやりかねないと思ってたのに。

 

「とにかくついてこいって」

 

 で、岡島に案内される僕ら。ついた場所は丘。すると、目の前には何かの建物の屋上部分が見える。……え?ここどこ?

 

「ここは……?」

「最近開拓した通学路だよ」

 

 僕には道に見えないけど……どの辺りが通学路だろうか。

 

「こっからフリーランニングで建物の屋根を伝ってくと、ほとんど地面に降りずに隣駅の前まで到達出来る。今日から皆でここを行こうぜ、通学するだけで訓練になるなんて一石二鳥だろ?」

「えぇ~……危なくない?もし落ちたらに……」

「そうだよ……()()とか()()とかも怖いし……」 

 

 怪我……事故…………うぅっ。

 

「それに烏間先生も裏山以外でやるなって言ってたでしょ?」

「へーきだって!行ってみたけど難しい場所はひとつも無かった。鍛えてきた今の俺らなら楽勝だって!」

「……うーん……岡島、やっぱりマズイんじゃないか?」

「いーじゃねーか磯貝!勉強を邪魔せず暗殺力も向上できる。2本の刃を同時に磨く、殺せんせーの理想とするところだろ!」

「確かにそうだね」

「だろ?なぁ、風人もこういうの面白そうだろ?」

「…………ふざけるな」

「「「……え?」」」

 

 その発せられた言葉に驚く一同。

 

「おいおい。びびってんのかよ風人」

 

 パシッ

 

「さわんな」

 

 オレの手は寺坂の手を振り払った。

 

「オレは帰る。別にお前らがなにしようが勝手だが…………ふざけたことはやんなよ」

 

 そして、そのまま背を向けて帰る。

 

「あ、待ってよ。風人君……!」

 

 後ろから誰かついてきたが知らない。

 

「何だよアイツ。急にキレて意味分かんねぇ」

「ねー。でも和光君はいいよね。私たちより頭良いし、暗殺力もあるし」

「どうせ、明日には『面白そ~』とか言って混ざってくるだろ」

「まぁ、あいつのマイペースさは放っておいて行こうぜ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ってよ。風人君!」

 

 私は急にキレた彼を追い掛ける。

 私の予想……というか、皆と同じだけど風人君は絶対について行くと思った。別にフリーランニングの技術はあの面子の中なら間違いなくトップクラスだし何より彼は面白そうなことに目がない。絶対ついて行こうとするから引っ張ってでも止めようかそれとも私もついて行こうかどうしようか迷ってた。でも、断るのもましてキレるのも想定外だった。一体どうしたのだろう?

 するとふと足を止め、辺りを見渡し始めた風人君。

 

「風人君?」

「有鬼子……」

 

 そして私の名前を呼んで振り返り……

 

「ここ……どこ…………?」

「え、えぇぇ……?」

 

 涙目で彼はそうつぶやいた。ちょっと待って。今の今まで何の迷いもなく進んでいたよね……?

 

「……中三で迷子になって泣くって……はぁ。ほら手を出して?」

「……折るつもり?」

「違うからね!?」

 

 思わず叫んでしまう。まさか、手を繋ごうとして手を出してって言ったのに返答がそう来るとは思わなかった。さすがに予想外……。

 

「行くよ」

「はーい……」

 

 結局手を引く形になる……が。何か今日の風人君は様子がおかしい。どうしたのだろう?

 で手を引いて歩き、知ってる道に出ると、

 

「おぉー!何か帰ってきた気がする!」

 

 とりあえず迷子でなくなったことに安心したようだ。本当に反応が幼い子と変わらないことに少しあきれてしまう。

 

「ねぇ、風人君。なんで急にキレたの?」

「…………え?僕怒ってないよ~?」

「え……?」

「何か急に頭が痛くなって……気付いたらさっきのところにいた……」

 

 ちょっと待って。今の風人君から嘘偽りを一切感じない。純粋な本音だ。…………まさか、それって、

 

「ちょっと待って。()()()()覚えているの?」

「岡島があの丘に皆を連れて行って……そこから曖昧に……」

「じゃあ、寺坂君の手を払ったのは?」

「……え?誰か払ったの?」

 

 …………やっぱり。

 私の中でパズルのピースが少しずつ埋まっていく感じがした。原因は……一つしかない。でも、ちょっと待って。原因は分かっているのに分からない。何でこんなことが急にそれも今起きているの?

 

「ねぇ。途中で一人称が『オレ』に変わってたの気付いた?」

「???僕は変えて話してないよ~?そもそも岡島に連れられてから僕は一言もしゃべってないし~」

 

 無自覚の人格変更。更にその間の記憶が飛んでいる……。

 夏休みの終わり。風人君の過去の話を聞いて、風人君の中には後、二つ――女装を含めると三つとか増えるけどあれは違うと思う――の人格がある。人格とまでは行かなくとも人にはそれぞれいくつか裏の顔というのがあると思う。だから、別に人格がいくつか有ること事態は正常で、風人君の場合はそれを完全に制御していた。

 だけど、もしこれが続いたりしたら……。私の想像通りなら……いや、まだ結論づけるのは早い。

 

「どうかしたの~?」

「う、ううん。何でもないよ」

 

 風人君の中の人格が解離し始めてる……いや、もしかしたら本人の気付かないところではもう……。

 そして翌日。私は風人君の懸念が嫌な形で当たってしまったことを知ることになる。

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