暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
次の日の朝。私は風人君と普通に登校した。
「おっはよ~……あれ?」
風人君は挨拶をしながら疑問に思う。それもそうだ。まだ早い時間とは言え人が
「人少なくない~?集団サボり~?」
「それは違いますよ」
と、後ろから現れたのは殺せんせーと、
「別に遅刻しないのに…………多分」
カルマ君だ。
「これで全員ですね」
先生は何を言ってるのだろう?全員と言いながら半数以上いないような……
「まず、昨日ここにいない人たちが起こしてしまったことをお話します」
そう言って、殺せんせーの話を聞くと……どうやらあの後岡島君たちは自転車に乗ったおじいさんと衝突し、二週間の入院を余儀なくさせたらしい。
で、私たちはこれからの二週間二つのことをする。一つは中間テスト勉強の禁止。もう一つがそのおじいさんの代わりとなって働くことだ。
「後、今からビンタをします」
「「「え?何で?」」」
「も、もちろん威力は抑えます!全員平等に扱わないと不公平ですので……」
変なところでこだわる先生だ。でも、風人君とかカルマ君とかがなんか言いそうだけど……。
「せんせー。僕、心の準備まだだから最後の方にして~」
「あー俺も。ちょっと準備したいから最後に回しといて」
彼らは何を言ってるのだろう?先生もそう思ったけどとりあえず本人たちの希望を叶えるべく順番は最後になった。なんだろう?威力は抑えるって言ってるんだから心の準備も何もないと思うんだけど……
「許してください」
もち
「許してください」
もち
そして、音だけでも分かるもっちりビンタが始まった。もはやビンタではないと思う。
「許してください」
もち
私の順番が回り、ビンタされたけど全く痛くない。何か柔らかいものが触ったな程度だ。
そして、順番は回っていき、心の準備とやらを済ませた風人君とカルマ君の前へ立つ先生。
「許してくだ……どんな格好してるんですか君たちは!?」
『普通だよ。ね~カルマ』
『そうそう。ほらほらビンタはいいの?』
…………二人はガスマスクをつけていた。
確かに皆頬をぶたれて(?)いるから、先生の言う平等にするためには彼らも頬にビンタしないといけないのだけど……
「明らかに何か仕込んでますよね!?」
『そんなことないよ~たまたま律が落としたガスマスクをつけているだけだよ~』
『そうそう。たまたま対殺せんせー物質でできてるだけだから。安心していいよ』
それはたまたまではない。必然だ。
こういうずる賢いというか……卑劣というか……そういうのを見るとやっぱり頭の回転は早いんだろうなぁ。
結果として、この二人のせいで、触手の何本かが破壊され時間も取られたことを記す。
とりあえず僕ら無関係組はせんせーに連れられわかばパークってところに。
「というわけで今日から園長先生に代わって中学生のお兄さんお姉さんたちが来てくれました」
「「「はぁーい!」」」
子どもがいっぱいだなぁ。やれやれ。
「遊ぼうよー」
「ねぇね。お兄さんー」
「遊ぼ!」
何故か一瞬にして僕の周りに何人かの子どもが集まる。
「はぁ……何で僕って子どもに好かれやすいんだろ~?」
(((精神年齢が近いからだろ!)))
昔からとまでは行かないが何故か僕は子どもに好かれやすかったりなつかれやすい。不思議な話だ。
とまぁ適当に相手していると、
「で何やってくれるわけおたくら?大挙して押しかけてくれちゃって……減った酸素分の仕事くらいはできるんでしょーねぇ」
(((なかなかとんがった子もいらっしゃる)))
「やべぇ。さくら姐さんがご機嫌斜めだ」
「ああ」
「今まで見たこともないくらいだ」
「殺されるぞお兄さんたち」
「入所五年の最年長者」
「並ぶものなきここのボス」
「学校の支配を拒み続けること実に二年」
「「「エリートニートのさくら姐さんに殺られるぞ」」」
決まったな。
「おまえら急にスイッチ入ったな!」
「カッコ良く言ってるけど要するに不登校だろ!」
「てか和光まで息ぴったりじゃねぇか!」
「適応能力高すぎだろお前!」
と外野がガヤガヤ言ってる中、我らがさくら姐さんはほうきを持った。
「働く根性あんのかどうか、試してやろーじゃないの!」
そして一番近くにいた渚に襲いかかる!……が、床が崩壊し、そこに落ちた。
「「「暴力では何も解決しない。哀れとしかいいようがないな」」」
「もう何もいえねぇよお前らの変わり身の早さと」
「極々自然に和光が混ざってることも」
「はっ。本当にバッカみたいね」
と、ここで背後から声がする。
「な、なんてことだ……!」
「さくら姐さんに続くここの女帝……!」
「「あおい姐さん!」」
「フンっ。くだらない。あなたたちのやってることも……ねぇ。そこのバカそうなお兄さん」
と、僕の方を指さしてきたので後ろを向く。ああ、なるほど。
「寺坂~あおい姐さんがお呼びだよ~」
「バカか!呼ばれてんのはテメェだよ!」
「そっ。私が呼んだのはあなたよ」
えぇ……
「そんなにバカそうに見える~?」
「もの凄く」
酷いなぁ。
「ねぇお兄さん。勝負しましょう。私が勝ったらお兄さんはここにいる間、私の下僕ね」
「僕が勝ったら~?」
「特に決めてない。まぁ、私が勝つから気にしなくていいよ」
えぇー……
とりあえず、29人で2週間あるので、いろいろできるのではと考えた僕たちE組。いくつかの大まかなグループに分けられ、僕は調理班だったんだけど…………
「ひぐっ…………」
「よしよし~」
「な、泣いてない……ひぐっ」
泣き出したあおい姐さんをなだめていた。
いやね。勝負をふっかけてきたのはいいんだけど勝負内容が勉強だったんだよ。まぁ、中三に舐めてるとは思ったけど意外にもこの子は勉強ができたんだよね~あはは。さすがに負けはしなかったけど勝ったらこれである。
天才で相当な負けず嫌い……かぁ。
「かーぜーとー君?」
少し懐かしむ感覚を上書きするこのゾクッとする感覚。
僕はその姿を確認するとともに弁明を始めた。
「あ、いやこれはその……」
「なぁに泣かせてるのかなぁ……?」
割と近くの方で遊んでいた男の子や女の子がこちらに注目する。錯覚だよね?彼女の後ろ髪が地味にあがっているのは錯覚だよね?
「ひぃいいい。誰か……た、助けて……!」
あまりの恐怖に不覚にも子どもに助けを求める僕。
いやね。あれだよ。僕も世間一般から見れば子どもって事で手を打ちましょう。
「やべぇ。あのお兄さん殺されるぞ」
「ごくり。さっきの演劇以上にリアルだ……」
「こ、これが『しゅらば』なのね」
「は、初めてみた……」
違うんだ君たち。これは決して見世物じゃないんだ。さっき寺坂やカルマたちがやってたような演劇じゃないんだ。リアルなんだ。
と、ここで勇敢にも鬼に立ち向かう勇者がいた。
「お、お兄さんは悪くない!」
「ね、姐さん!」
小学四年生の勇者は中学三年生の鬼に立ち向かう。
「ごめんねあおいちゃん。そこにいる私の彼氏とちょっとオハナシするだけだから」
「「「か、彼氏だって!?」」」
「こんな子どもっぽいお兄さんがお姉さんの彼氏!?」
「見た目以外釣り合ってるように見えねぇ……」
「ほ、本当の『しゅらば』だった……!」
「これは見物ね……!」
なるほど。君たち。自分たちの発言が全員僕の求めているものと違う方を向いていることに気付いてくれ。いえ、気付いてくださいお願いします。
「わ、渡さない!このお兄さんは私のだもん!」
おかしい。さっき僕勝ったよね?ね?
「あの~」
「「風人君/お兄さんは黙ってて!」」
「…………はい」
(((このお兄さん弱っ!てか、立場低っ!)))
違うんだ君たち。決して僕が弱いんじゃない。彼女たちが強いんだ。後、男の子たち。そんな可哀想な子を見るような感じで見るんじゃない。君たちもこうなるぞ?
こうして『正妻VS愛人』を思わせるような(実際は彼女と小四の女子)戦いは僕がお昼ご飯を作りに行くと抜け出すまで続いたのだった。ちなみに、しっかり誤解は解いておきました。本当だよ?