暗殺教室 ~超マイペースゲーマーの成長(?)譚~ 作:黒ハム
入院一日目。有鬼子があの造語を作って二時間後。
「暇だー」
既に僕は暇を持て余していた。いや、テレビなんて見ないし?というかそもそも平日の午前中とか何やってるの?後、ゲーム欲しい。とりあえず、ゲーム欲しい。だれかちょうだい。
『なら私と遊びませんか?』
すると、スマホから声がかかる。
「あれ~?律。授業はいいの~?」
『大丈夫です。本体がしっかり受けているので』
「ふーん。何して遊ぶの~?」
『しりとりなんてどうでしょう!』
「却下~」
しりとりで人工知能様に人間の記憶で勝てるわけがないじゃないか。戦略?無理無理勝ってこない。
『じゃあ、将棋でどうでしょう』
「ならいいよ~」
ふっ。僕の実力を見せてやる~。
って、意気込んでいた時期が僕にもありましたね。
『王手です』
「はい」
『王手です』
「……はい」
『王手です』
「…………はい」
そう言えば律はどんどん学習して強くなっていくことをすっかり忘れていました。
『王手です』
「律」
『何でしょう?投了ですか?』
「千日手だよ~」
『あ……』
と、引き分けに持ち込みお茶を濁す。学習するとは言え、さすがにまだ引き分けの為に進めてるとは読めなかったようだ。危ない危ない。
ペタペタ
聞いたことのあるノック音が響き渡る。あーこの音は、
「授業はいいの~?殺せんせー」
窓を開ける僕。
「はい。今はイリーナ先生の授業ですから」
「そう~」
え?時間割りいつもと変わんないだろって?僕が一々覚えていると思う?
「お邪魔しますね。思ったより元気そうで安心しました」
「まぁね~でも退屈し始めたよ~」
「ヌルフフフ。そう言うと思って」
「おぉー!もしかしてゲームを!」
「君専用の入院中の課題を作って持ってきました」
「僕の期待を返せ!」
酷い話だ。入院中の人間に課題を突きつける教師がどこにいる。……あ、ここにいたわ。
「担当医の人から話は伺っています。両親の方には別の原因で入院しているということにしておきました。話は合わせられますね?」
「まぁ、元担任の殺人鬼と戦ったなんて言っても信じないだろうけど~」
「それはそれで。後、ごめんなさい。風人君」
頭を下げる殺せんせー。
「君の前面の大きな切り傷。これだけは傷跡が一生残ってしまうそうです。私のせいです。私がついていながら君に一生残るような傷を残してしまった」
「……そう」
何となく起きてから予想はしていた。何となくだけど予想通りだった。
「顔をあげてよせんせー。僕は別に傷跡なんて気にしてないよ~というか、一生残るような傷ってのは今更だし~」
左手首を見ながら呟く。本当、ただ、今度の傷はちょっとでかすぎたかな?
「ま、あのジョーカーが二度とこの世に出ないなら、いい対価だよ~」
朝、有鬼子が行ってから烏間先生と防衛省の何人かの人がやってきた。その後千影のお父さんからも説明があったが、あの男は色んな犯罪に関わっており、無期懲役……死刑は免れられないだろうとのこと。まぁ、本当は勲章モノの働きを僕はしたらしいけど全て話を合わせるために千影のお父さんがやったことにしてもらった。さすがに国家機密の暗殺が関わっている以上こうするのがベスト。てか、千影のお父さんに暗殺のこと伝わったなぁ……。
あと、行方不明で人形とされた人たちは保護されたらしいが社会復帰は難しいそう。
「そうですか」
「まぁ、この傷を見たら大抵の人はひくだろうなぁ……あーあ。海とかプールとか行きにくくなるかもね~。ま、いいけどさ」
なんだかんだ言いながら行こうと思えば行けるし。
「そうだせんせー。もしさ、せんせーが今回のことを気に病むくらいならさ~。せんせーが治せるようにしてよ。せんせーのその触手で僕らの命が危機に晒された時は救ってよ。医術という意味でもさ」
「……やはり君はよく分からない生徒ですね」
「酷いなぁ~…………死神さん」
「……本当に君は何者ですか?」
「さぁ?ただ人を見る目だけはいいよ~」
あの人は死神っていうのには何か物足りなさを感じたと烏間先生が言ってた。確かに詰めの甘さじゃないけど、何だろう。あんな男を相棒に選んだことを完全に間違えていた気がしたし、うーん。僕でも同じ状況だったらうまくやってる気がする。
どうやら予想通りらしい。
「それに、自分で言ってたじゃん~。私は殺されても仕方ないくらいの罪を犯してるって~」
「やれやれ。バれてしまうとは」
「いいよ~。僕は誰にも言わないから~」
「……何か変わりました?」
「千影の件に区切りがついたかな。もう復讐心なんて残ってないし曖昧だった心に決着もついた。すっきりした心でこれからは思う存分
「そうですか。なら、私は戻りますね。
「はーい」
放課後。
「来たよ~風人」
「思ったより元気そうですね」
「涼香。雷蔵。おひさ~」
「と言っても涼香とはこの前会ったばかりでしょう?」
「もう、風人君違うでしょ?」
「ほへぇ?何が?」
「いいよお姉ちゃん。これが本来のお兄ちゃんだから」
と、やって来たのは涼香と雷蔵。後は有鬼子だ。
「それにしても、酷くやられましたね風人」
「そうそう。通り魔に襲われたとは言っても風人。アンタやられ過ぎじゃない?」
「あはは……」
通り魔って。通り魔よりヤバい敵だったんだけどなぁ。
「でも、通り魔を捕まえたそうですね。そこは流石です」
「本当、深い傷を負いながらも勝つあたりなんだかな~」
「あはは……」
色々否定できなくて笑うしかない。
「全く。ダメだよ?彼女を心配させちゃ」
「そうですよ。知らないところで彼氏がボロボロにやられ入院だなんて」
「有希子ちゃんも驚いたでしょ?このバカが学校休んだ次の日は病院のベッドの上で目を覚まさなかっただなんて」
「う、うん……」
「あはは……」
(言えない。どういう人と戦ってどうボロボロになっていったかを見ていただなんて言えない)
これぞ何も言えねぇ……ってやつだね。
「いい風人?もっとね普段から――」
この後小一時間涼香のお小言が続いて……
「涼香さん。明日も学校ですしそろそろ帰りましょう」
「そうだね。じゃあね二人とも」
そう言って去っていった。
「行っちゃったね」
「だね~」
嵐のような二人だったなぁ。
『風人さん。篠谷さんからメールです』
「雷蔵から~?読み上げて~」
『はい。「ああ見えて涼香さんは昨日とても心配していましたよ。風人がもし死んだらどうしようってね。僕も涼香さんも風人がこんなところでくたばる玉でないことぐらい分かってましたが、それでも心配だったようです。今日のお小言は大目に見てやってください」以上です』
「やっぱ心配かけたのかな……。律」
『はい』
「雷蔵に、『それは悪かった。でも大丈夫だから心配しなくていいよ~』って返しておいて~」
『分かりました』
なるほどね。千影の言う通りだったよ。
「今回の件で分かったよ~。僕は一人じゃないんだね」
「ふふっ。やっと分かったの?」
「そうだね」
あーあ。何か、
「復讐って疲れるよね」
アイツもそれを分かってくれればいいが。
「あ、そうだ。風人君。今日は学校でね……」
風人君は私の話を聞いてどこかうずうずしている様子を見せた。やっぱり入院って退屈になっちゃうのかな?まぁ、風人君って楽しいこととか面白いこと好きだし。
話も一段落して、夜ご飯の時間。それも終わり面会時間の終わりが近づいてきたとき、風人君はトーンを落として言った。
「有希子はさぁ…………」
「うん?」
「千影が死んだのは僕のせいだと思う?」
そう言った風人君の顔は真剣というよりどこか自己嫌悪が混ざっている。
「風人君はどう思うの?」
私は彼の答えに予想がついていたがあえて聞いた。
「僕のせい……だよね」
「ジョーカーがそう言ったから?」
「……ううん。違う」
風人君の過去を聞いたときも風人君は自分のせいで千影さんが死んだと言っていた。そして今もそう思ってる。…………多分、彼はこの先もずっと彼女の死を自分のせいだと言って責め続けるんだろう。
「僕があの時意地を張らなければ。僕が避け続けず彼女と向き合っていたら。きっと彼女は死なずにすんだんだよ」
元凶は風人君によって白日の下にさらされた。でも、彼の心の傷は全て癒えるわけがない……か。
「そうだね。風人君がそう思うなら風人君のせいじゃない?」
「…………っ!」
こういうときはきっと『風人君のせいじゃないよ』とかを言うのが正解なんだろう。
でも、私はそんな薄っぺらい言葉で風人君の抱えてる苦悩をとれるとは思わないし、とりたくない。
「千影さんと喧嘩したのが悪い。千影さんを避けたのが悪い。風人君の悪い点を挙げたらきりがないね」
「……そうだね」
きっと、私は嫌な女なんだろうな。
彼が意を決して質問したのに、酷い現実を再認識させるなんて。ただえさえ底に沈んでる彼をさらに突き落とすようなことを言って。
「でも、私は風人君は救われていいと思う」
「…………え?」
「君はずっと苦しんだ。一人で苦しんでいた。もがいてあがいて。黒幕を倒したのにまだ苦しんでいる」
私は彼の苦しみを推し量ることはできない。当然だ。私は彼じゃない。彼の苦しみがどこまでかなんて知ることは絶対できない。
「君は自分を責め続けた。十分すぎるほど責めたと思うよ。だからさ、もう君は救われていいんだよ」
ねぇ。気付いている?君の両目から涙が流れ始めてることに。
「千影さんは君のことを責めないよ。絶対に『風人君のせいで私が死んだ』なんて言わない。他の人も風人君が悪いなんて考えてないよ。分かる?君を責めている人間は君しかいないんだよ」
千影さんも、彼女の両親も、涼香さんたちも。ジョーカーを糾弾する人はいても風人君を責める人はいない。初めから風人君を責める人は風人君しかいない。
「君が君を許せば救われるんだよ。君はもう自分を許していいんだよ」
「で、でも……それじゃダメなんだよ…………」
涙がポツポツと、彼の手の甲に落ちていく。
「僕は……許されちゃいけないんだよ……」
今にも消えそうな声で彼は答えた。
私は彼を凄いと改めて思った。彼はどこまでも優しいんだ。どこまでも優しく、その優しさで傷ついている。
「ううん。許されていいんだよ」
私は彼の手に手を重ねる。
「もう前を向いていいんだよ。君が千影さんの死について負い目に感じる必要はないんだよ。それに今の君を千影さんが見たらこう言うよ。『もうこれ以上自分を責めないで。もう自分を許していいんだよ』てね」
私はそのまま彼を抱き寄せ、頭を撫でる。
「君は悪くない。これまでたくさん傷ついた。これ以上君が傷つく必要はない。だから――――」
――――君は許されるべき人間だ。だから、もう自分のことを許してあげて。
彼はその日涙を流し続けた。
私はそっとなで続けた。
きっと、その涙が止んだ時、彼は自分を少しずつ許して前へと進むのだろう。
そして、入院二日目。それは起きた。
「はぁ……はぁ……律。敵は?」
『曲がり角のドアのところに一人です』
どうする……一人なら倒せるが、仲間を呼ばれたら厄介だ。くそどうすればいい!
「律。奴らに見つからないルートはないのか?」
『いえ、どのルートにも何人かいます。堅実ではないでしょう』
「くそ。何でだ!」
何で僕は入院してるだけなのにこんなことが起きるんだ。こんな……
「どうして誰も家にゲームを取りに帰らせてくれないんだ…………!!」
『多分ダメですよね?』
くそ、
『そろそろ戻った方がいいのでは?』
「いいやダメだ!」
問題は僕がザ・入院患者のような服装であること。いや、身体中ボロボロだから私服とかちょっと着るの痛いんだよ~はいいけどそれが仇となった!そのせいで抜けだそうに抜けだせないし、腕に付けられた入院患者を示す紙というかそんな感じのモノ。その二点のせいで病院からの脱走は困難を極めていた。
「僕は諦めない!諦めなければきっと成し遂げられる!」
全てはゲームのため。今こそ普段の訓練の成果を発揮する時だ!
まずは天井を歩く?いいやダメだ。どの道出るところで気付かれる。
なら、ミスディレクションは?いいや、服装が目立ちすぎる。
「静かに気配を消し、時を待つか……いや、今は一刻を争っている。一分一秒が惜しい」
くそ、何か手は……!手は何かないのかぁ……!
「はっ!シーツをパラシュートのようにして脱出。……いける!」
そうとなれば部屋に……
「あのー和光風人さん。お食事の時間です。御戻りになりましょうか?」
な、何故僕の場所がバれたんだ!さてはコイツ。暗殺者か!?
「ほら、医師から安静にと言われているでしょう?動けるのはいいことですが寝ていて下さい」
……待てよ?ここで油断お誘うのもアリだな。脱出の意思がないことを示そう。
「はーい。大人しく寝てますね~」
ふっふっふっ。さぁ、警戒を解くんだ。さすれば、僕の脱出計画は容易く、
「……後、個室は窓が少ししか開かないようになっていますので」
なっ!?き、気付かれただと!?僕の完璧病院脱走計画が!畜生いつ気付いたんだ……!
『風人さん。「僕は諦めない!諦めなければきっと成し遂げられる!」って言ってた辺りからずっと後ろに立ってましたよ?あの人』
「……ふっ。明日こそは……いや、今日の午後にでも脱出してやる……!」
その後、僕の部屋を看護師たちが厳重にマークしていた。解せぬ。
『――ってことを風人さんは今日の午前中やっていましたよ』
昼休み。本体の律を通して風人君の入院ライフがクラス全員に伝えられた。
(((何やってんだアイツは…………)))
「ねぇ、神崎さん。風人君。病院でも相変わらずなんだね……」
「はぁ……これはお説教かな……」
でも、私は元気な彼にちょっぴり安心した。きっと今までのしがらみを少しはとくことができたのだろう。すぐにじゃなくていい。少しずつ彼は自分を許せるようになるだろう。そうやって前へと進んでいくんだろうな。
……まぁ。それとこれとは話が別だけど。
この日の放課後。風人に雷が落ちたのは言うまでもない。
~重大なお知らせ(?)~
「死神編も終わり平和が訪れました」
「……僕まだ入院中なんですけど……後、雷落とされたばっかだし……」
「それは風人君が悪いです」
「うぅ……中盤の珍しくかっこいいヒロイン的な有鬼子は何処へ……」
「で、ここからの展開についてのアンケートを行いたいと思います」
「無視された…………って、アンケート~?」
「作者の中で今、今後の展開について二つのルートが思い浮かんだそうですが、どちらにしようかを決めてほしいとのこと」
「優柔不断だね~うちの作者は。で~?二つのルートって?」
「一つはほぼ原作通りに行くルート。時々オリジナルを加えるけど基本は原作って感じ」
「ほうほう」
「もう一つはオリジナルストーリー……というかオリジナル長編?を入れるルート。長い……ってほどでもない(と思う)けど、少しシリアスというか重い展開を入れる感じかな」
「うへぇ……もう死神編でお腹一杯じゃないの~?」
「まぁ、後者だと原作と同じ場面でも前者と変化が見られると思う」
「例えば~?」
「殺せんせーの過去話のシロ乱入シーンで、原作や前者だと二代目だけなんだけど、後者だとそこにもう一人追加される」
「どーせ、ジョーカーじゃないの~?」
「ううん。女の人らしいよ」
「…………は?……性転換?」
「どうしてそうなるの…………後はクリスマスの話をやりたいけど、前者と後者で大きく展開が変わりそうって」
「クリスマスに影響……?全然見えてこない……」
「えっと、作者から後者のオリジナルストーリーで入れる予定の要素一覧があるんだけど……いる?」
「まぁ、今の話だけじゃどちらにするか判断つかないもんね~」
「じゃあ、読んでいくよ?
・殺せんせーの過去話の後、冬休み最初に入れる
・南の島の殺し屋たち再登場(登場ってだけで凄い重要かは別問題)
・女の人が敵
・有鬼子闇堕ち
…………ちょっと待って。私闇堕ちするの?しかもそれって言っちゃダメなやつじゃない?割と根幹に当たる気がするんだけど?後、その流れでなんでこうなるの?」
「……いや。原作に比べたら大分堕ちてるような……いてっ!」
「こほん。えーっと、前者を便宜上『原作ルート』、後者を『オリストルート』として、アンケートをします」
「後者は『有鬼子闇堕ちルート』でしょ」
「……作者曰く死神編では千影さんが中心にいたからここらへんで有鬼子が主軸のストーリーを作ってもいいかもとのこと」
「また無視された……でも確かに、ジョーカーが千影と僕の因縁の相手だったもんね~」
「期限は一週間程度を予定。11月18日午前6時00分を締切とし、その時に一票でも多かった方を採用です」
「まぁ、今後の展開とか言ってるけど気楽に投票してね~」