転生者「ハイスクールD×Dをバッドエンドにしようと思う」 作:岸寄空路
怨霊達が実体化してからの動きは素早かった。何せ三大勢力による悲劇は現在進行形で起きているからだ。実態化した彼らは常に怨霊の未練や恨みに流されている。その中には生き残った家族への思いもある。それ故に人間社会への影響も考慮しなければならない。だから彼らが最初にやったのは今を生きる人々を利用することだった。
あるビルの一室で二人の男性が会話していた。
「ではこの条件で」
「ええ、問題ありません」
「良い取引ができて何よりです」
そう言って二人は握手すると片方の男性が部屋から出て行った。
「ふう……」
部屋に残った男性は溜息をつくと椅子に座りこんだ。それと同時に背後から人影が現れた。
『よう。調子はどうだ?』
「スタークか……」
そこにいたのは実体化した怨霊の一人、ブラッドスタークだった。スタークに声を掛けられた男は全身からノイズの様なものを発生させて姿を変える。
『順調だ。あの企業も悪魔との縁を切った真っ当な企業へと変わった』
男は仮面ライダーゲンムへと姿を変えてスタークとの会話を続ける。
『それは何よりだ! これでまた一つ糞蝙蝠共と人間の繋がりを断ち切ったわけだな!』
『しかし、資金集めとは言え今を生きる人間の企業を利用するとはな……』
『なんだ? 不満でもあるのか?』
『いくら悪魔と繋がっていたとはいえ人間を始末すればな……』
ゲンムはスタークの指示で怨霊達の活動を補助するために貴族悪魔と繋がりが有った企業の社長と入れ替わったのだ。本物の社長は既にスターク達によってこの世にいない。
『良いんだよ。あいつは悪魔と繋がっているだけじゃなかったからな』
『なに?』
『有能な人間や異能持ちの人間の情報を眷属候補として売っていやがったんだよ。そいつらの知人や友人が殺されても心痛める処か笑ってすらいた』
『…………』
『神器持ちは化け物に堕ちればいい、そんな奴らの家族や友人は死ねばいいとかほざいていやがった。生きていても百害あって一利なしだ』
そう答えたスタークの声は強い嫌悪が込められていた。
『……実体化した時から気になっていたのだが』
『ん?』
そんなスタークに疑問を抱いたゲンムは以前から気になっていた事を聞く事にした。
『何故、君は全てでは無いが人間ですら嫌悪し、憎悪を向けるのだ? 特に無関係と言える兵藤一誠を』
『…………』
『我々は三大勢力への復讐……君に言わせれば八つ当たりを行うためにこうして仮初の肉体を手に入れた。それは君が『具現武装』と言う武装を具現化する能力でライダーベルトを具現化させたからだ』
『何が聞きたい?』
『君がライダー、それも悪役と言われる者の姿を選んだ理由が気になってね』
『…………』
ゲンムの質問にスタークは天井を見上げて考え込む言うべきかどうかを。数秒、十数秒と経ち、やがて決心したのかスタークはゲンムに目を向ける。
『……頭脳担当のお前には伝えとくか』
『ほう、他の者には教えないのか?』
『お前は特に頭脳自慢な怨霊で構成されているからな。いざと言う時は俺を止めてくれると思ってな』
そう言ってスタークはゲンムの向かいの椅子に座った。
『怨霊の持つ負の感情は死ぬ直前に感じたものなのは解るよな?』
『当然だ。私だって私達の頭脳を利用して殺した三大勢力、特に教会や天使相手の憎悪が常に心の中で渦巻いている』
『そうだな。エターナルなら転生悪魔として戦いに利用された恨み、ワイズマンなら家族を奪われた恨み、表となっている人格には最も共感する由来となった憎悪の影響を受ける』
『ふむ、ならば君は?』
『自分以外の人間に対する恨みだ』
スタークの予想外の答えにゲンムは言葉を詰まらせた。それはあり得ない何故なら――
『君は家族と幼馴染を奪われたのではなかったか?』
本来ならその恨みでいっぱいのはずだとゲンムは疑問の声を上げる。
『俺と同調した奴らに前世の知識を見られた影響でな……』
『それがいったい……?』
『誰でも少しは考えるだろ『なんであいつじゃないんだ』『俺は真面目に生きてきたのに』『あいつは助けて、なんで俺は助けてくれないんだ』って。そう言う感情を持っていた怨霊が俺の知識を見ちまってなぁ』
『まさか……』
『同じ境遇のはずの兵藤一誠を羨むと同時に憎らしくて仕方がなくなっちまったんだとよ』
正しく八つ当たりだろ? と笑うスタークにゲンムは暫し沈黙する。その様子を見ながらスタークは話を続ける。
『仮面ライダーにしたのは俺の前世の知識の中で『強い悪』と同時に『人外を打ち倒す者』であの時浮かんだのがダークライダーだっただけだ。ライダースーツなら武装として具現化できるし、仮初の肉体として使うのにもちょうど良かったと思ったのもあるがな』
そこまで聞いてゲンムは自身の沈黙を破った。
『しかし、この世界の兵藤一誠が原作通りとは限らんぞ?』
『解ってるよ。その辺も含めてちゃんと調べてる』
『原作前であれば矯正も可能だろう?』
『残念だが俺達が実体化した時点で既に悪魔になっていた』
ちなみに性格も原作通りだぜ、と嬉しそうに、同時に怒りを滲ませながら一誠の事を口にした。
『……直接会ったのか?』
『ああ、駒王会談で宣戦布告ついでにな』
そしてスタークは駒王会談で起きた事を語っていく。
正直、ここまで感想と連載希望が出ると思ってなかったので軽く説明回だけは投下しといた方が良いかなと。
これで納得できない人は遠慮なく「こんなもん読むか!」と言ってブラウザバックした方が良いかと。
だって作者はきついアンチを書くの初めてなのでどこまでやっていいか解らないのです(言い訳)。