転生者「ハイスクールD×Dをバッドエンドにしようと思う」   作:岸寄空路

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先に言っておく


『BLEACH』好きのみなさん申し訳ない!


宣戦布告

「とっとと和平を結ぼうぜ」

 

 コカビエルの暴走がきっかけで行われた駒王会談にて堕天使総督アザゼルはそう切り出した。そこからこれと言った問題も無いかの如く魔王サーゼクス・ルシファーと天使長ミカエルもそれに同意し、三大勢力による同盟がここに結ばれる事となった。

 

 既に裏で動いている者がいるなど知る由も無く。

 

 そこからは転生者の知る通りにテロ組織である禍の団(カオス・ブリゲード)が介入し、ヴァーリ・ルシファーが裏切り兵藤一誠と戦う。そして兵藤一誠が寿命を削って白龍皇の力を手に入れてヴァーリを退ける事に成功した。

 

『俺の知識と変わらないようだな……』

 

 その光景を遠くから眺めていた者はそう呟いた。その声は残念そうであり、嬉しそうであった。

 

『性格が変わっていないなら遠慮なく八つ当たりができるってもんだな』

 

 もし彼の表情が見えるならきっと歪んだ笑みを浮かべていた事だろう。

 

『とはいえ、実は原作より真面かもしれないしな』

 

 確かめてみるか。そう言って彼は――スタークは表舞台に立つ為に駆王学園へと転移した。

 

 

 

『お疲れ様、赤龍帝。なかなか楽しめたぞ』

 

 そう言ってヴァーリと美猴が去った後に入れ替わるかのように三大勢力の代表達の前にスタークは姿を現した。

 

『!?』

 

 突然現れたスタークにその場に居た全員が警戒態勢となった。そんな周りの態度の一切気に留めずにスタークは話を続ける。

 

『特にあれだ、家族の事より胸の話で怒るお前は実に滑稽で笑えたぞ』

 

 下らなすぎてな、と付け足したスターク。表情こそ見えないがその声は間違いなく一誠を馬鹿にしている声色だった。

 

「下らなくなんかねえ! 俺にとって重要な事だ!」

『家族の命よりもか?』

「家族の方が大事に決まっているだろ!」

『…………くっ、ははははははは!』

 

 一誠の反論を聞いたスタークは一拍置くと、大声で笑い始めた。お腹を押さえながら耐えられないと言わんばかりに笑うその姿に一誠は一瞬呆然とするが、馬鹿にされていると思いその顔を歪めた。

 

「何が可笑しいんだよ!」

『これが、ヒィヒィ、可笑しくなかったら、クッフフ、何が可笑しいんだって話だ!』

「笑いすぎだろ!」

『そりゃ笑うだろ! お前、自分で言ってて全く説得力が無いって事を自覚してるのか?』

「なんだと!?」

『だってそうだろ! お前は家族の方が大事と言いながら犯罪に手を染めているじゃないか! お前は自分の親を犯罪者生んだロクデナシに貶めているのを理解してるのか!?』

「俺は犯罪なんかしてねえ!」

『……お前、それ本気で言ってんのか?』

「当たり前だ!」

 

 一誠の言葉にスタークは突然、笑いを止めて冷めた声で一誠に確認を取った。そして一誠の返答にほぼ確信した。こいつは俺達の嫌いな人間性のままだと。

 

『女子の着替えを覗く事は立派な犯罪だと思うが?』

 

 これは最終確認だ。この答えで兵藤一誠をどうするのか決めよう。まともな回答をするなら怨霊達を抑え込んで見逃す事も考慮する。スタークは一誠に八つ当たりすると言っているがそれでも元人間相手では躊躇はするのだ。自分以外の人間に対する妬みが強い怨霊を吸収したスタークだが、それは死んだばかりだった自分に比べて自我が薄い他の者に任せると暴走する危険性があったからだ。暴走すれば本当に無関係で善良な一般人すら対象にし兼ねない。それ故に比較的自我が強いスタークが他人に対する妬みを制御している。

 その結果、原作の一誠の人間性が気に食わない怨霊も多かった為、八つ当たりの対象に兵藤一誠を指定したのだ。それでも、この世界はあくまでも類似した世界だ。まともな可能性も考えられる。それ故に、こうやって直接話をしに来たのだ。……ほぼ答えが分かりきっているのだとしても。

 

「あれは男のロマンだろ! 男なら誰だって見たくて仕方がないだろ!?」

『……はぁぁぁ』

 

 予想通り過ぎてスタークも溜息しか出なかった。分かってはいた。反省しているなら女子全員に謝罪するはずだ。兵藤一誠は悪いと思った事、自分が許せない事が有ったら謝罪する人間なのだ。逆に言えば覗きに関しては何も悪いとは思っていないと明言している様なもの。だからこそスタークは、怨霊達は一誠に八つ当たりする事に対して忌避していない。それでも「もしかしたら」と思って聞いたのだ。結果はスタークの予想通りで、こうなると思っていたスターク本人も呆れるしかなかった。

 

『まあ、躊躇う理由も無くなったが……』

 

 それでも正直、真人間であって欲しかったと思うのは贅沢だろうか? とスターク自身、自問自答をしてしまう。スタークの一誠に対する罵倒は自分自身にも当てはまると思っているからだ。死人とはいえ、これから自分は明確に悪事を働く。間違いなく地獄に、それ以下の悲惨な結末を迎えるだろう。親類も友人も自分が誰なのか分かれば汚名を背負う事になるだろうという事も理解している。それでも止まれない。この苛立ちを、憤怒を、無念を、憎悪を誰かにぶつけたくて仕方がない。その対象に三大勢力を選んだのは恨みを持つ者が多く存在するから。ただそれだけ。

 自分達は明確な『悪』だ。ならばそれを止められる可能性の有る者(主人公)には自分達よりまともで有って欲しかったのだ。

 

『所詮、悪役の期待は裏切られるものってことか』

 

 そう言ってスタークはトランスチームガンを一誠に向ける。それを見た木場祐斗が一誠とスタークの間に立った。そして祐斗を中心にリアス・グレモリー率いるグレモリー眷属が一誠の周りに集まる。一誠は未だにヴァーリとの戦いのダメージが抜けていないため、アーシア・アルジェントに回復してもらっている。

 

「君達は下がりなさい」

 

 それまで静観していたサーゼクスがリアスを守るようにスタークの前に立ちふさがった。

 

「一人で残るとはね……禍の団の仲間なら既にここにはいないよ?」

『ほう、俺があいつらの仲間だとでも?』

「違うのかい?」

『残念だがハズレだ』

「ならば、君いったい何者だ?」

『俺は――』

 

 そこでスタークは気づいた。自分達を示す名が無い。あえて言うなら怨霊だが、それを親切に教えてやる気はない。下手に自分達がどういう存在かを知れば対策を立てられる。ならば、とスタークは自分達に相応しい団名を前世の知識から引っ張り出した。

 

『俺は、俺達は『仮面の軍勢(バイザード)』だ』

 

 (悪霊)の力を使う仮面を付けた死神の集団の名。三大勢力に死を齎す自分達には相応しい名だとスタークは思った。同時に主人公の味方達の名を使う事に罪悪感も浮かぶが、これ以上にピッタリの名も思いつかなった。

 

「『仮面の軍勢』だぁ? そんな組織聞いたことねえぞ?」

『そりゃそうだ。今考えたからな』

 

 不信な目を向けるアザゼルの言葉にスタークは笑いながらそう返した。

 

「……ふざけてるのか?」

『いいや、大真面目だ。俺達に明確な組織名は無かったからな。ちょうど良いから今ここで命名しただけだ』

 

 スタークの言葉に周りにいた人外達の表情は「なんだこいつは?」と理解できない者を見る目だった。そもそもスタークは三大勢力相手に真面目な対応をする気が無いのだ。むしろ真面目にやったら「即殺」の二文字で終わる事だろう。今はまだ三大勢力を相手に色々とやりたいことが有るからやらないのだ。

 

『さて、全員気になってるだろうから自己紹介をしよう』

 

 そう言ってスタークはこの場にいる天使、堕天使、悪魔達の顔を見回す。

 

『俺の名はブラッドスターク。『仮面の軍勢』を率いている実質的なリーダーだ。目的はただ一つ――』

 

 この日、その場に居た人外全員がスタークを、『仮面の軍勢』を理解する。

 

『三大勢力の滅亡だ』

 

 絶対に相容れない敵であると。

 

 




どう考えても悪役の奴らが主人公側の集団名を名乗るってどうなんですかねぇ……。
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