旧石器時代からスタート   作:ADONIS+

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10.アトランティス支部(アトラス暦110年)

 アトランティス人(アトランティス帝国臣民のネアンデルタール人の事)の中から次々と前世が日本人だった人間が憑依するという現象が続出した。

 これはトリッパー増員の為に、姫神みこが彼らをアトランティス帝国に送り込んだからだ。

 

 これは計画通りであり、カリンもサポートの為に手を回していた。よくよく考えれば、いきなり異世界人に憑依したという事態になるとパニックになる者が出ても可笑しくないので、憑依リスト(みこから提供済み)を元にトリッパーたちに説明を行っておく。

 また、トリッパーたちは憑依先の肉体の記憶を使える為に、生活に支障が出る事態は避けられたし、家族にすらばれずにすんだ者も多かった。

 

 こうしてアトランティスに存在するトリッパーたちを纏め上げるために三千世界監察軍アトランティス支部を開いた。

 これは、大日本帝国の日本支部と全く同じトリッパー組織だ。

 

 当然ながら支部長は皇帝カリンで、カリンはトリッパー達のまとめ役を担当している。

 このアトランティスには貴族制度は存在しないが、裏ではトリッパーたちが実質的な特権階級として君臨することになる。というよりも皇帝やトリッパーたちがやりたい放題するには貴族は邪魔だからね。

 

 彼らトリッパーたちは内政チートに励むために政治家や官僚になる者もいたし、企業を起こす者もいる。更には新たに軍務省を創設して、これまで存在しなかった軍の創設にも取り掛かっていた。

 軍隊というのはある程度余裕がないと作れないので、今まで作れなかったが、アトランティスも順調に発展してきたので、創設に踏み切ったのだ。これには前世で自衛官だったという人やミリタリーオタクがやけに張り切っていた。

 

 こうしてアトランティス帝国はトリッパーたちが動かすことになったが、ここで普通ならば得体の知れない連中が、国を好き勝手に動かせば、皇帝や政府と対立するものだ。

 しかし、アトランティス帝国とはアトランティス人の為に国家ではない。トリッパーの、トリッパーによる、トリッパーの為の国家だ。

 

 アトランティス人は、トリッパーの器として命と肉体を奪われ(トリッパーに憑依されたら憑依先の人間は死亡する)、内政チートの駒として活用されるためだけの存在。カリンは表向き帝国やアトランティス人の為にいろいろとやっているように見えるが、別に国や民を愛していない。計画の為に駒を管理しているにすぎない。例えるならば畜産家が丹精込めて家畜を育てているのと同じだ。

 カリンは、それに対して罪悪感を持たない。畜産家が家畜の為に人権運動をやらないように、カリンにとってそれは当たり前のことなのだ。元々、そのために作られたアトランティス人であり、アトランティス帝国であるのだから。

 

 

 

トリッパーside

 

 病気で死んだ筈なのに気がつけば、このアトランティス帝国という異世界の国家の人間に憑依していた。いや、アトランティス人は、ホモ・サピエンスではなく、ネアンデルタール人だから人間なのか?

 まぁネアンデルタール人は、人類(ホモ・サピエンス)の近縁種だし、見た目は白人だから一応“人間”と表現しておこう。

 

 この世界は、『新世紀エヴァンゲリオン』の世界らしい。といっても原作の三万年も前だからほとんど関係ない。アスカやレイに萌えていたトリッパーはそれを残念がる者も多かったな。

 俺は原作に関わるつもりは元からないのでどうでもいいけど。

 

 何故そんな事を知っているのかというと、この世界には俺と同じ様に憑依した者たち、所謂“トリッパー”と呼ばれる者たちが大勢いたからだ。

 三千世界監察軍という俺たちのようなトリッパーを支援する組織が“姫神みこ”というトリッパーと協力して、現実世界で死亡した俺たちをトリッパーとして復活させたらしい。

 俺たちはこの監察軍のアトランティス支部に所属するという形になる。勿論、これは強制ではなく、嫌なら所属しなくてもいい。

 しかし、中立ならばともかくアトランティス帝国や監察軍に不利益を与えたらケースに応じてペナルティが科せられるらしい。実際、帝政打倒とか、民主運動とかをやらかしたトリッパーはごく一部ながらいたらしく、彼らは無人惑星に流刑にされたらしい。

 

 流刑地にされているのは、かつて監察軍がテラフォーミングしていたが未だにアトランティスが入植していない惑星だ。そこは気候も温暖で人間が食べられる果実が豊富にあり、危険な動物もしないという文明ゼロということを除けば住みやすい場所だ。

 アトランティス帝国やブリタニア帝国にしてもトリッパーは一人でも失いたくない。だから例え国賊のトリッパーであっても殺さない代わりに隔離しておく。

 

 このように空気を読まない一部の馬鹿は隔離されるが、上手く適応できればこの国は最高だ。

 ちなみに俺は監察軍に所属している。何しろ、皇帝からして俺たちと同じトリッパーだから、監察軍に所属すれば皇帝の後ろ盾を得て好き勝手に内政チートできる。異世界にトリップして野心というか趣味を肥大化させた俺たちにとってこの国は理想郷だ。

 まぁ帝政で民主主義でないというのは少々気になるが、「民主主義になれば本当に理想の国になれるのか?」と聞かれれば答えに詰まるのが俺たちだ。何しろ、現実世界の日本がアレだったし(笑)。だから大半のトリッパーは、民主主義に幻想など抱いていない。

わざわざ体制に反逆してまで、民主運動をするほど過激な奴は滅多にいないし、そういう奴は流刑だ。そういう意味では日本人に多い事なかれ主義が良いほうに働いたということだろう。

 まぁいい、折角手に入れたチャンスだ。精々内政チートを楽しむとしよう。

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