サードインパクトが発生して、たった一人を除いて人間が滅亡した。アスカはサードインパクト後にすぐに死亡してしまい、現在は碇シンジしか生き残っていない。
「人類補完計画ね。つまらない事だけど、こうして見るとなかなか派手ね」
カリンが再生している映像には、アンチA.T.フィールドにより人間(ホモ・サピエンス)の肉体がL.C.Lに還元されて魂が開放されていくのが映し出されていた。
まぁそうなっているのは人間だけでなく、他の動植物もそうだけどね。
そもそも新世紀エヴァンゲリオンの地球に存在する生命は(アダム系の生命を除く)、全てリリス由来で、その結果生み出されたのが第18使徒リリン=人間(ホモ・サピエンス)だ。それらによって構成されていた地球の生態系がリセットされている。
ちなみにアトランティス人を含めた、ネアンデルタール人もリリス由来であるがホモ・サピエンスとは別系列の人類なので、アトランティス人はリリンではない。
大雑把に言えば、人類補完計画とは人間を完全なる単体へと人工進化させるものであるが、カリンからいわせれば意味不明だ。
不完全な群体だからこそ、人間は自分にないものを補う為に、社会を構成して国家を築くものだ。
単体で完璧な生物では、国家どころか文明も社会も不要である為、それらは作られないだろう。
まあ、人類補完計画の賛否なんて別にどうでもいい。重要なのは、ホモ・サピエンスは自滅したのはアトランティスにとっては好都合という事です。
そもそもアトランティスにとっての最大の懸念だったのが、地球人(ホモ・サピエンス)が文明を発達させて宇宙進出を行い、将来的にアトランティスのライバルになることだった。
カリンは別に全宇宙の支配者を気取っているわけではない。そして現実問題として、アトランティス帝国がこの宇宙全てを制覇するのは不可能な事は理解している。
アトランティス人の中には「アトランティス帝国は三千世界の覇権国家である」と言う者もいるが、たった一つの宇宙すら制覇できないのに、無限に広がる三千世界を支配できるわけがないだろう。
列強といっても、大規模な星間国家で異世界に自由自在に干渉できる技術を有しているにすぎない。
しかし、だからといって「地球人を許容できるか?」と聞かれれば、「そうではない」と答えるだろう。
アトランティスから見れば、この世界は本国が存在するお膝元であり、可能ならばアトランティス帝国だけで独占しておきたい。
この世界に、他国が存在すると足場が不安定になりかねない。そういった不安要素は無視できなかった。
カリンにとって有難かったのは、『新世紀エヴァンゲリオン』の世界ならば地球人が勝手に自滅してくれることだった。
わざわざアトランティスが知的生命体を絶滅させるなどという汚れ仕事をしなくても、人間が勝手に滅亡してくれるのだからこれほど好都合なことはない。
人類補完計画によって、彼らは文明を発達させてアトランティスのライバルになり得る可能性を自ら放棄してくれたのだ。まさに福音といえる。
トリッパーの中にはエヴァンゲリオンの原作に介入する派閥もあったが、上記の通り国益が大きかったので、その意見を押さえてサードインパクトを黙認させる事に成功した。
それには『新世紀エヴァンゲリオン』の世界は原作介入がやりにくいという理由もあったけどね。
ちなみに地球では生態系がリセットされるという事態になっているが、アトランティスではサードインパクトの影響はない。何しろ、アトランティスは地球近郊どころか天の河銀河から一億光年も離れていて、ここまで離れていると影響を受けるわけがない。というよりもサードインパクトの影響を受けるのを恐れたが故に、可能な限り地球から離れた場所で国家を築き上げたのだし、だからこそ天の川銀河への移民は一切やらなかったのだ。
こうしてホモ・サピエンスは滅びましたが、彼らの残した遺産は妾たちが保存しています。
アトランティスは、メソポタミア文明が誕生して以来、5500年もの間地球の歴史編集をやり続けていた。偵察衛星を配置したり、諜報員を派遣したりといろいろやりましたよ。
まぁさすがに第二次世界大戦あたりになると偵察衛星は使えなくなりましたから、ステルス性の高い潜宙艦で調査して、サードインパクトの時期にはアトランティス人の諜報員を引き上げさせましたけどね。
こうした長年の活動によって入手した書物(現物の写本も多い)、美術品、工芸品も盛りだくさんで、それらは地球博物館という施設で公開されています。
アトランティスでは、地球の歴史は地球史という学科として歴史の一部になっています。人間が滅んでも彼らの歴史は残った訳です。
そして、アトランティスも歴史を作り続けていくでしょう。
後書き
これで旧石器時代からスタートのエヴァンゲリオン編が終わりです。次はマブラヴ編になります。