旧石器時代からスタート   作:ADONIS+

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2.実験場

 地球にてDNAサンプルの収集が終了したレキシントンは、目的地に向かって出発した。現在向かっているのは、天の川銀河(太陽系から一万光年ほど離れた場所)に設置しているゲートだ。

 このゲートはボソンジャンプ(機動戦艦ナデシコ)を用いたもので、原作のヒサゴプランをより大規模にしたものだ。

 原作のヒサゴプランは恒星間どころか太陽系内部の物流手段にすぎなかったが、監察軍が進めていたヒサゴプランはより大規模なもので、銀河間つまり複数の銀河を移動する為のゲートだった。

 

 こんなものがこの世界に存在する理由は、元々この下位世界が監察軍の実験場だったからだ。監察軍は生物兵器を初めとする安全性を確保しにくい危険な実験に関しては、ブリタニアではなく別の下位世界を使っていたのだ。

 その実験場にこの世界が選ばれた理由は、この『新世紀エヴァンゲリオン(旧劇場版)』の世界の人間が最終的に滅亡するから後腐れがなくていいという物だった。

 何しろ下手に人類の文明が発達して宇宙進出してしまうと、ナデシコの火星極冠遺跡ように、現地世界の人間たちが監察軍の技術に触れてしまい、それを解析する事態になりかねない。そういった意味ではこの世界は何かと都合がいい。

 まぁ原作開始まで後三万年もあるからどうせ時間はたっぷりあるけどね。

 

『カリン様、これよりゲートを通過します』

「わかったわ」

 

 ゲート、すなわち大型チューリップが入り口を開けて準備万端となっており、レキシントンはそのゲートに入っていく。

 これらのボソンジャンプはすべて機械式で行っている。流石に原作みたいにA級ジャンパーが自力で艦艇をジャンプさせるのは不可能だからだ。同じ恒星系内部ならばなんとかなるが、別の銀河にジャンプするとなると、とてもじゃないが距離が遠すぎる。

 幸い、技術の発達で機械式ボソンジャンプの性能が飛躍的に向上していたので、実用レベルに到達していた。

 そして、レキシントンが出口であるゲートから通常空間に出た。

 

『アトランティス銀河に到着しました。これより目的地である惑星アトラスに向かいます』

 アンドロイドの報告にカリンは軽く頷く。

 

 ちなみにこのアトランティス銀河は、天の川銀河から一億光年ほど離れた銀河系である。これほど離れた銀河であっても容易く到着できるのが銀河間ネットワーク網の威力だ。

 

 これらボソンジャンプネットワーク網に使われている技術は、監察軍が『機動戦艦ナデシコ』の世界から入手した物ではなく、知識チートの転生特典を持つトリッパーがベヅァー戦争前にボソンジャンプの演算ユニット(翻訳機付き)を作り出したものだ。

 そして、そのトリッパーは、この世界で大規模な実験をしていた。実験が成功してデータ収集が終わった後も解体作業の手間を省くために捨て置かれたものであるが、カリンはそれを再利用していた。

 

 そして目的地の惑星アトラスに到着した。惑星アトラスは青くて地球と同じように広い海があるなど、地球とまったく同じ環境となっている。それは大気構成や土壌や海の成分のみならず、日射量、重力、自転、公転の周期さえも同じなので、一日や一年の長さまでも地球と同じなのだ。

 勿論、これは偶然ではなく、監察軍によるテラフォーミングの成果だ。

 

 監察軍技術部所属のトリッパー佐天令子(※1)の最大の功績が、ファイブオーバーモデルケース・一方通行(アクセラレータ)だ。

 (※1)このサイトの『とある少女の支配領域』を参照

 一方通行(とある魔術の禁書目録)は、運動量・熱量・電気量その他ありとあらゆるベクトルを自由自在に操るというもの。

 

 これは超能力(とある魔術の禁書目録)を科学的に解析して、それを上回るスペックを出すという物で、原作では超電磁砲(レールガン)を圧倒するパワードスーツが登場していた。

 ここで佐天令子は、一方通行が原作で地球の自転のエネルギーをベクトル変換で攻撃力に変えたことに着目した。一方通行で自転に干渉できるなら、惑星の自転や公転を自在にコントロール可能だと判断したのだ。

 

 従来のテラフォーミング技術は環境ナノマシンで大気成分や土壌、海水などと整えるだけなのが主流だった。当然ながら重力や日射量、それに一日や一年の長さが違うことによる時差などが問題になっていた。時差程度ならまだしも重力や日射量が居住に適さない惑星の場合、テラフォーミング対象から外されていた。

 

 しかし、この新技術の結果ベクトル操作で惑星の重力を1Gに調整して、恒星と惑星の距離を最適化することで日射量も調整できた。また、自転や公転も調整できることから従来の居住惑星よりも住みやすくなった。

 

 と、ここまで書けばいいこと尽くめであるが、当然ながらあまりにも大規模な物であるだけに実験を行って、安全性を確認しないことには採用されない。その為、佐天令子はこの惑星アトラスを含めて、このアトランティス銀河を新型テラフォーミング技術の実験場として活用していた。

 

 最もただの実験場であったために無名の銀河であったが、カリンが今回の計画でこの銀河をアトランティス銀河と名づけていた。その為、この銀河のあちこちの惑星は地球型惑星となっており、居住に適していた。

 

 特に惑星アトラスは、佐天令子が比較的早く開発した惑星であったので、環境がより整っていた。だからこそ、新国家建設の為の領土として相応しい。

 カリンは美しい惑星アトラスをうっとりと眺めていた。

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