旧石器時代からスタート   作:ADONIS+

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34.滅亡(アトラス暦30055年=西暦2005年)

 マブラヴ世界との交渉を打ち切ってから三年が過ぎた。あの世界はBETAの侵攻と地球環境の激変、そして地球人同士の争いで滅亡した。この期に及んで内ゲバに励む彼らにアトランティス上層部が呆れたのは言うまでもない。

 

 最大の問題となった榊是親の説得であるが、娘の千鶴を使って何とかした。まぁ要は是親に「千鶴さんは本部(三千世界監察軍本部)に送りましたよ」と伝えただけだ。あいつも娘が安全な場所に移されたと知ってある程度満足したのだ。

 元々是親も駄目で元々というつもりだったようだし、やはり例のクーデターで日本帝国に対する愛着は薄れていたのだろう。まぁ普通はあんな目に合されたら愛国心などふっ飛ぶからそれも当然だ。

 現在では千鶴共々監察軍本部でそれなりに働いているらしい。

 

 

 

 カリンが地球人の自滅を見届けるのはこれで二度目になる。一度目は本国があるエヴァンゲリオンの世界の地球だ。

 人類補完計画によって細菌すら死滅した死の惑星となった地球の姿に、原作知識を持ったトリッパーはともかくそうではない多くのアトランティス人たちが唖然としたものだ。

 

 ちなみにサードインパクトによる地球滅亡はアトランティスにとって機密でも何でもないので、人類補完計画を含め様々な情報を公開しておいたが、これに対して臣民たちの反応は冷淡な物だった。というのもアトランティスは某ギアスな皇帝が嘘や争いのない世界を目指すような荒んだ世界ではなく、平和と安定が続き、豊かで幸せな夢の国と言っても過言ではなかったからだ。

 そんなアトランティス人から見れば、人類補完計画はまともな世界を築き上げることができなかった愚かな野蛮人たちが世を儚んでやらかした愚行でしかなかった。

 

 それにアトランティス人の大本となったネアンデルタール人は確かに地球発祥の種族であるが、地球とは三万年も前に関係が切れており、アトランティス人によっては帝都アトラス(カリンがアトランティス帝国を建国した惑星アトラスの事)が発祥の地であった。

 

 大体、アトランティスは地球とは関係を持っていなかった。国交がなければ貿易もない無関係な存在で、唯一情報収集のために一部の調査員が派遣されている程度で、その調査員たちにしても調査対象が滅んでしまったなと思う程度に過ぎなかった。

 

 まぁ数千年にも及ぶ調査活動で古今東西を問わず地球の美術品、芸術品、古文書などが収集できているから、『地球美術館』、『地球博物館』、『地球資料館』がかなり前から帝都アトラスに建設されていて、臣民の為の公共の場として使われていた。

 

 また調査によって公平な第三者視点で可能な限り正確な歴史(地球で使われている歴史は古今東西を問わず時の権力者に都合がいいように改竄させているので信頼性は極めて低い)を記録する事が出来たためにそれらの膨大な資料(映像記録を含める)を地球史として再編しており、これは学校でも選択教科(地球の歴史は反面教師としては役に立つが、別に知らなくても問題ないので必修教科になっていない)として希望すれば学習できるようになっていた。

 

 

 

 こうして地球の事を学んだアトランティス人にとって目につくのが地球人の愚かさだった。何しろ歴史を見れば同族同士で争うのが当たり前で、非常に仲が悪い。アトランティス人が皇帝カリンの元で一致団結している状態が当たり前の彼らにとって、地球人は好き好んで同族同士で殺し合う野蛮人にしか見えなかった。

 おまけにその末路がアレだった為、アトランティス帝国上層部(三千世界監察軍アトランティス支部)でもフォローできなかった。精々が「この世界のホモ・サピエンスは愚かであったが、他の世界のホモ・サピエンスも愚かと決めつけてはいけません」と呼びかける程度だった。

 

 ちなみにカリンがそうしたのは、同盟国である大日本帝国とブリタニア帝国が異世界のホモ・サピエンスの国家だったからだ。

 ここで第九十七管理外世界(魔法少女リリカルなのは)の人間ならともかく、そこから遥か離れた異世界のブリタニア帝国の人間までホモ・サピエンスなのに疑問を抱く人もいるかもしれないが、実は三千世界の知的生命体はそのほとんどがホモ・サピエンスとして創造されているのだ。

 これは数多の三千世界の元となった上位世界の人間がホモ・サピエンスで構成されているからだと思われる。

 まぁ創造主というべき上位世界人がホモ・サピエンスで構成されている以上それは必然だったのだろう。

 

 更に不味かったのが、アトランティス人によって自分たちは女神カリンに選ばれた存在であり、カリン様の導きの元に三万年もの間自らを高めていったという自負があったことだ。それは女神カリンに選ばれたという選民思想がアトランティス至上主義に結びついて、異世界人を見下す傾向になった。

 

 勿論、それらの思想が強くならないようにカリンは色々と手を打っていたので、かつての白人至上主義や中華思想のような極端なものにはならなかったが、完全に抑えることはできなかった(無理に抑え過ぎると統治に支障が出てしまう為)。

 これは別にアトランティスだけの問題ではなかった。実の所、他の列強たるブリタニア帝国と大日本帝国も同様の問題を抱えていた。これはなまじ発展しすぎた為に発生した負の遺産だった。

 

 

 

 こうした事情もあった為に、どう見ても愚か者としか言えないマブラヴ世界の救済にはアトランティスは消極的だった。

 何しろ下手にマブラヴ世界の地球人(ホモ・サピエンス)に関わって彼らの愚かさが臣民に知れ渡ってしまうと、アトランティス人たちの間でホモ・サピエンスを見下す傾向が出てきてしまうだろう。

 そうなれば他の列強との外交に悪影響を与えかねないから、カリンとしても頭が痛いことだった。

 

「まぁそれも終わったことですね」

 マブラヴ世界は人知れず滅んだ(アトランティスの臣民に知られていない状態)。もはやあの世界に振り回される事もないだろう。

 別にカリンは別に積極的に滅びろと思ったわけではないが、いっそのことさっさと滅んでくれたら面倒がなくなるのは事実なので、そういった意味では彼らがさっさと滅亡してくれたのは好都合だった。




あとがき
 これでマブラヴ編は完了です。後は番外編を少し書いて『旧石器時代からスタート』を終わりにしようと思います。
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