旧石器時代からスタート   作:ADONIS+

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EX4.改変(アトラス暦30052年=西暦2002年)

「皇帝陛下、地球上のハイヴ掃討が完了しました」

 

 スミス大統領との会談が終了してすぐに跳躍砲(ボソン砲)を用いて地球上のハイヴ掃討を命じておいた。これは特に手間をかけることなくすぐに完了したとの報告がきた。

 マブラヴ世界の住民たちが見ればあまりにあっけない掃討であろうが、アトランティスからみれば不良品(安全装置が不十分な自動資源掘削機)の撤去作業でしかなかった。

 

 

 

「ふむ、では次の段階に進むか。はっ!」

 

 カリンは気合を入れて翼を出した。カリンは銀髪に白い肌の美少女であり、そんな彼女が白いドレスを着ていたのは非常に絵になる存在であったが、展開された光輝く翼はその美を完全な物にしてしまった。

 それはアトランティスの神の姿。アトランティス人はその姿を敬い憧れ、そして崇拝した。

 

 カリンはネックレスに取り付けていたブルーウォーターと宰相に預けていたブルーウォーターの二つを取り出した。

 天魔の力を持つカリンの念に反応して二つのブルーウォーターは浮き上がり変形していく。何度か変形していく二つのブルーウォーターはやがて融合してカリンの頭上三メートルほど位置で無限大記号の形状になった。

 

「クロスゲート・パラダイム・システム起動!」

 

 この、カリンの言葉と共にレッドノアの最終セーフティが解除されてクロスゲート・パラダイム・システムが起動した。

 

 クロスゲート・パラダイム・システムとは、ユーゼス・ゴッツォ(スーパーロボット大戦α)が作り上げた時空因果変動装置の事だ。限定された空間の因果律を自在にコントロールする事で、世界を自分の思いのままに作り替えることができる。ぶっちゃけると限定空間内で神様の真似事が出来るデタラメな装置である。

 

 勿論これには限界はある。クロスゲート・パラダイム・システム(以後CPSに省略します)は装置が存在している世界しか効果がない。つまり並行世界や他の下位世界には影響を与えることはできないので、CPSを使う場合はその世界に直接赴いて使わなければならない。

 更にCPSはあくまで下位世界の存在しか作り替えることができない。それ故トリッパーの魂には干渉できず、死亡したトリッパーを復活させるという使い方もできない。

 

 こうした欠点はあるものの戦略兵器として扱われる物であった。だからアトランティスなどの列強にとってCPSはいざという時の切り札であったが、同時に悪用されるのも恐れた為に皇帝専用のレッドノアに搭載して、念の為にカリンの天魔の力に対応できるように調整されたブルーウォーターでないと使えないようにしていた。

 

「まず月の修復」

 

 カリンが月を元通りにすると思うだけでCPSが発動して月の残骸が集まっていく。それだけでなく地球に落下した分も補われて、あっという間に月が再生した。

 今のカリンからすれば月の再生などたいした事ではないが、地球人にとってまさしく神の奇跡と言えるだろう。それだけ非常識な出来事だった。

 

 CPSは因果律を自在にコントロールできるので、通常の過程によって結果を出すというプロセスを無視できる。つまり過程を無視してカリンの望む結果を出すことが可能なのだ。

 カリンは地球に影響を与えないように月の軌道を調整しておいたので、地球に悪影響は出ていない。それどころがこれで環境修復が大幅に進むだろう。

 

「次は地球環境の修復」

 

 現在の大崩壊時の隕石落下は粉塵を地球上空に撒き散らした。それらが太陽光を遮り核の冬と称すべき状態になっていた。

 更に隕石で撒き散らされたのは唯の粉塵だけではない。BETA大戦で地球人たちが使用した兵器によって放射能や重金属がばら撒かれており、それらはユーラシア各地の土地を汚染して食糧生産能力を奪うだけでなく、人々の健康には深刻な被害を与えていた。その為、カリンは太陽光を遮る余計な粉塵と、各地に拡散している放射能や重金属などの汚染物質を消去した。

 

「これで地球はよし、後は宇宙のBETAか」

 

 月のBETAは排除されているし、地球のBETAも先ほど処理した。しかし、宇宙には火星を筆頭に多数のBETAが存在している。というよりも彼らの勢力はこの宇宙のほぼ全域に渡っている。彼らがまた地球に襲来してくるだろうからこれを放置できない。

 そんなBETAを正攻法で何とかするには、まず火星のBETAを始末して他の星系からBETAが侵入してこないように太陽系の防衛ラインを展開する必要があるが、そんな事は一々やっていられない。

 

「この宇宙に存在するすべてのBETAを消去」

 

 だからCPSを使って、因果律を操作して問答無用でBETAを一掃するのだ。こうしてCPSによって世界が改変させられ、BETAの存在が抹消されていった。

 

「もういいでしょう」

 

 やるべきことは終わった。

 カリンは念を込めてCPSを停止状態にさせた。それにともないブルーウォーターが変形して元の二つの宝石の姿に戻った。

 

 

 

アメリカside

 

 ホワイトハウスでは、誰もが言葉を無くして沈黙していた。

 先ほど、地球各地のハイヴが次々に消滅しているという報告が入ってきた。それ自体は予想通りなのでそこまで驚くに値しなかっただろう。しかし、月があっという間に再生したのには誰もが唖然とした。

 

 これが彼らの力なのか、と誰もが震え上がった。

 

「流石は女神が君臨している国ということですか」

 と、大統領補佐官が呟いた。

 

「彼らから渡された歴史の資料が正しいとは限らないが、アトランティスが神の如き力をふるう事ができる存在であると再確認できただけでも朗報だったな」

 

 スミス大統領は机に上に置いてあるアトランティス帝国の歴史の教科書(日本語翻訳版)を眺めていた。

 この教科所は皇帝との会談前にアトランティス帝国からこの教科書を二十冊ほど渡された物で、この教科書はアトランティスで使われている教科書の内容を大日本帝国向けに翻訳していた。

 

 カリンがわざわざそれを渡したのは謎の宇宙人という扱いのままでは交渉が円滑に進まないからだ。勿論、教科書には機密事項などの見られて困るような内容は一切存在しないから機密保持の面では問題ない。

 

 ちなみにわざわざ日本語翻訳版のようなある意味マイナーな物にしたのは、アトランティスの国語であるエスペラントを使えるアメリカ人が少なかったし、ブリタニア帝国のベルカ語に至っては論外だからだ(ベルカ語はドイツ語に似てはいるものの別の言語である)。それを考えれば日本語の方がまだマシだった。

 

 それなら最初から英語翻訳版を用意すればいいじゃないか、と言われそうだが、カリンはわざわざ手間を掛けてまでそれを用意する必要性を認めなかった。

 

「大統領閣下、各国から説明要求が引っ切り無しにきていますが、如何致しましょうか?」

「別に隠す内容ではない。会談の内容と我々が知り得た情報をそのまま教えてやれ。ついでにマスコミにも伝えるのだ」

「よろしいのですか?」

 と、補佐官がそれでいいのかと確認するように聞いてきた。

 

 その気持ちは分からないでもない。

 アトランティスの情報は外交カードになりえる。それをあっさりと切るのはどうかと思うのだろう。確かに普通ならばそうだろう。

 しかし、アメリカの置かれている状況は普通ではないのだ。

 

「残念だが今のアメリカは各国から大いに反感を買っている。この状況では大きな態度を取るのは得策ではない。それに彼らの情報を外交カードに使ってはアトランティスの反応が怖いからな」

 

 自国の情報をネタに色々と駆け引きを行っているという状況を快く思う者は少ないだろう。そういった意味では下手に外交カードの使うよりもマスコミを通じて大々的に知らせた方がイメージ的にいいはずだ。

 

 それに榊是親がアトランティスと交渉して地球を救済した事で地球規模の英雄になった事がある。それを考慮すればアメリカがアトランティスと必死の交渉を行い地球を救済してもらうことになった、と公表した方がいい。そうなればアメリカの国際的な地位も少しは回復するだろう。

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