唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
とりあえず二言、
今後スクエアを買う事も視野に入れた
19巻に掲載されていたQ&Aを電車で読んだら噴き出してしまった。
「ふぅ……とりあえず一勝、っと……後4試合個人ポイント6000以下の奴と試合をやるのか」
最初のランク戦が終わってブースのベットに戻った俺はそう呟きながら身体を起こしてモニターを見る。
唯我⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎ 4162→4284
山田✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎ 5483→5361
ランク戦の結果と個人ポイントの変化が表示されていた。少しポイントが高い人間を完封すると100ちょっとポイントが貰えるのか。
(なるほどな。こりゃポイントを増やすのは大変だな)
まあ俺にとってはポイントは重要だ。原作にて暴力行為を行いポイント減点を食らった影浦のような存在は例外として、基本的に個人ポイントは自分の強さ、ボーダーにとっての価値を示すファクターの一つだ。増やしておいて損はない。
(さて、次の相手を探すか……の、前に喉が渇いたし何か買いに行こう)
よく考えたら太刀川隊作戦室でおやつを食べた際にも飲み物を飲んでなかったし。
そう思いながら俺はブースを出て自販機に向かう。同時に周囲から視線が集まるが、先程に比べて敵意は薄く苦々しい表情を浮かべている人間が多い。
大方コネでA級1位部隊に入った奴がボコボコにされるのを見て、馬鹿にする腹だったのだろうが、残念だったな。
(とりあえずこの調子で勝ち進めば『コネ以外取り柄のない雑魚』って評判は無くなるだろうな)
しかし『A級1位には相応しくない』って評価はされるだろうし、もっともっと修行して早い内に『太刀川隊の一員として相応しい』って評価を得るようにしないといけない。
(ここまで来たら全力でやる事は当然……だけど、転生するなら入隊前だったら良かったのに)
仮に入隊前に転生したなら俺は上層部にA級部隊に入れろなんて言わず、普通にA級を目指していただろう。
(ま、過ぎた事を言っても仕方ないし飲み物を「唯我君」この声は……)
自販機に到着して金を取り出そうとすると後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきたので振り向くと……
「久しぶりね」
以前知り合った那須玲が綺麗な笑顔を浮かべて話しかけてくる。先程俺にランク戦を挑んできた奴と違って含むものを感じない美しい笑みに思わず息を呑んでしまう。
「お久しぶりです。那須さんもボーダーだったんですね」
とりあえず俺は那須がボーダーに在籍している事を知らない振りをする。最初から知っているように振る舞ったりしたらストーカー扱いされそうだし。
「ええ、唯我の名前に聞き覚えがあったけど唯我君もボーダー隊員だったんだね。さっきの試合を見たけど珍しい戦い方をしてたね」
那須は小さく笑いながら言ってくる。まあグラスホッパーを相手に踏ませたり、グラスホッパーで瓦礫を放ったり、離れた場所から攻撃するポジションである射手なのに近距離で攻撃したからな。
「まあ射手として変な戦い方ですよね」
「そうね。そういえば唯我君に2つ話があるのだけど良いかしら?」
那須が少しだけ躊躇いを見せる。それだけで質問してくる内容は把握した。
「何ですか?」
「さっきの戦いを見る限り、まだ荒削りだけど入隊して一月でここまで強くなったのは凄いと思う。きっと相当の努力をしたのよね?」
那須の言葉は疑問系だったが口調は断定していた。
「まあ否定はしません」
これについては自分でも相当努力をした自負がある。弱い身体を強くするべく筋トレやランニングをこなして、トリガーの使い方については徹底的にデータを見直し学習して、実戦経験を積む為にボーダー最強の攻撃手とボーダートップクラスの射手にしごかれたのだ。
「そんな君がコネを使って太刀川隊に入ったとは思えないのだけど……」
まあそうだよな。当然の質問だ。
しかしこちらからしたら実に答えにくい質問だ。なんせA級部隊に入れろと言ったのは俺ではなく、この身体の本来の持ち主である唯我尊なのだから。転生するならマジで入隊前に転生したかった。
「えーっとですね……その、お恥ずかしながら入隊する前の俺は金さえあれば何でも出来ると思ってたんですよ。だから華やかな活躍をしたくてA級に入れろと戯言を吐いたんです」
俺は事前に考えた答えをそのまま口にする。多分これなら疑われないだろう。
しかし俺は小心者だから仮に親のコネを持っていてもA級に入れろなんて城戸司令に言うのは無理だ。そう考えると原作の唯我尊はある意味で凄いと思う。
「だけど太刀川隊に入ってから思うように上手く行かなかった……ってところ?」
「はい。防衛任務も思うように行かず、華やか活躍どころか太刀川さん達に無様な姿を晒してしまいました。それでこのままだと駄目だと思い、一から鍛えて貰ったんです」
実際、転生してからの数日は防衛任務の際、トリオン兵にビビりまくって太刀川達には無様な姿を晒し、メチャクチャ恥ずかしかった。あの時の太刀川と出水の笑い顔は一生忘れないだろう。いつか強くなって勝ち越してやる。
閑話休題……
俺がそう口にすると納得したように頷く。
「なるほどね。まあ私としては話を聞く限り変わって良かったと思うよ」
「そうですか……それでもう一つの話はなんですか?」
一つは予想していた事だが、那須は二つ話があると言っていた。それについては全く予想できないのが本音だ。
「あ、うん。以前助けて貰った時、唯我君お礼は要らないって言ってたけど、やっぱり何かお礼をしたいの。何かして欲しい事とかある?」
貴女とイチャイチャしたいです。
冗談だ。いや、冗談ではないがここで願うつもりはない。いつかイチャイチャしたいのは否定しないが、出会ったばかりの人間にそんな要求は出来ない。
しかしそれを除いたらして欲しい事はない。戦闘技術を教わろうにも既に那須の上位互換の出水から教わっているし、金銭や欲しい物品を貰おうにも家が金持ちだから自分で手に入る。
よって今の俺にとって特にして欲しい事はないので無難にやり過ごそう。
「いえ。アレは人として当然の事をしただけですのでお礼は結構ですよ」
そもそも俺はあの時、那須だから助けたわけじゃない。苦しそうにしている人を発見して助けようとしたら那須と判明したのだ。幾ら煩悩に塗れた俺でも明らかに苦しそうにしている人が居たら見捨てるほど薄情な人間じゃない。
俺がそう言うと那須は難しい表情を浮かべる。大方後ろめたい気持ちがあるのだろう。……仕方ない。適当に落とし所を見出すか。
「じゃあこうしましょう。もしも俺が困っていたら相談に乗ってください」
今は別に要求する事がないので未来に助けを求める可能性がある事を伝えておく。すると那須はキョトンとした表情を浮かべるも、直ぐに笑顔を見せてくる。
「わかったわ。じゃあ唯我君が困ったら私の所に来て」
どうやら今の落とし所で問題はなさそうだ。良かった良かった。
「そうします。ところでここにいるって事は那須さんも個人ランク戦ですか?」
「ううん。もう直ぐ防衛任務があるから作戦室に向かおうとしたら唯我君が個人ランク戦のステージに向かうのが見えたから見学に来たの。だけどそろそろ時間だから行くわ」
良かった……どうやら俺とランク戦はしないようだ。現在の那須の個人ポイントは知らないが、原作の暴れっぷりを見るとまだ戦いたくない。戦うとしたらもう少し強くなってからにしたいのが本心だ。
「はい。防衛任務、頑張ってください」
「ありがとう。またね唯我君」
那須はそう言って笑いながら手を振ると背を向けて去って行った。美しいのは前世から知っていたが、笑顔も可愛らしいな。
(今のところ嫌われてはないし、良い印象を持たれてるな。もっと強くなってからランク戦という接点を作っておきたいな)
俺の目標としては大規模侵攻などで活躍したり、ボーダーの可愛い女子達にモテる事だ。その為には女子との接点も可能な限り増やしておきたい。
(と言っても国近のようにチームメイトや那須みたいな戦闘員はともかく、他所の隊のオペレーターとは接点を作るのが難しいんだよなぁ)
自分から接触したりしたら下心があると疑われる可能性もあるし。そうなると女子の情報網の規模からして他の女子にも疑われるだろう。
それだけは絶対に避けないといけないので、自分から接触するつもりはない。
(やっぱりオペレーターと渡りをつけるとするならその隊にいる同い年の隊員と接点を作るべきだな)
風間隊なら歌川と菊地原、嵐山隊なら時枝と佐鳥、三輪隊なら古寺、東隊なら奥寺と小荒井……
(なんだ、思ったより唯我尊と同い年の人間がいるじゃねぇか。これならオペレーターと接触出来るのも可能だな)
とりあえず接触方法については問題がなくなった。そうなると問題は……
(実力を付けて悪評を可能な限り取り除かないとな)
今の俺の評判は悪いし、実力を付けて箔をつける必要がある。その為にも太刀川から言われたオーダーをこなさないといけない。
そこまで考えた俺は自販機にてお茶を買って、そのままブースに戻る。
とりあえず言われた通り個人ポイント6000以下の人間と戦わないとな……
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
-
4人
-
5人
-
6人
-
7人
-
10人以上