唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第98話

「さて柚宇。そろそろ行こうか」

 

ショッピングモールの屋上にて、俺に抱きつく柚宇にそう話すと柚宇は名残惜しそうに離れる。

 

「は〜い。じゃあ元々遊ぶ予定だった格ゲーの続きをしよっか」

 

「いや、ゲーセンはもうやめないか?また変な奴が柚宇に絡んできたら嫌だし」

 

さっきは殺意をぶつけただけで退いてくれたが、退かない相手がいたら厄介だ。俺の身体能力は鍛えている途中でそこまで強くないから喧嘩になったら負ける。

 

「ほうほう。竜賀さんは私を心配してるんだね?」

 

柚宇は楽しそうにからかってくる。大方俺に恥ずかしい思いをさせたいのだろうが大人を舐めるな。

 

「当たり前だ。柚宇は優秀ではあるが、か弱い女子だ。心配するに決まってるだろ。さっきも柚宇が詰め寄られてるのを見たら凄く不安だった」

 

柚宇の手を握り、正面から柚宇を見てそう告げる。

 

「そ、そうなんだ〜、竜賀さんは心配性なんだね〜」

 

そう返す柚宇だが、さっきと違い真っ赤になって目を逸らす。その仕草は可愛らしい。

 

「ともあれ行くか。こうして屋上で風を浴びるのも悪くないが、ショッピングモールに来たし色々回ろうぜ」

 

「う、うん……」

 

柚宇は恥ずかしそうにしながらも腕に抱きつくのでベンチから立ち上がり屋上を後にする。

 

エスカレーターを使って下に向かうと柚宇が話しかけてくる。

 

「そういえば竜賀さんの本当は何歳?」

 

「26。あ、だからって敬語は使わなくていいぞ」

 

改めて敬語を使われたらこっちも気まずいからな。大学時代に卒論作成の際に同年代と思って馴れ馴れしく話しかけたら留年経験者と知って微妙に気まずくなったことを思い出す。

 

「そうなんだ。でも竜賀さんは時々辛くならない?簡単な授業をしたり、実際は年下の人を敬ったりすりのは疲れない?」

 

「まあ授業は退屈だな。年下の人を敬うって事についても不満はないな。俺はまだまだ未熟だし、そもそも社会人になったら年下に頭を下げるなんて珍しくない」

 

協力会社の相手が年下なんて珍しくない。重要なのは仕事が出来るかどうかだ。俺は優秀な人間なら年下でも敬意を持つし、偶に息苦しい時はあるが、辛いってレベルではない。

 

逆に口だけの無能な年上は死ぬほど嫌いだけどな。

 

「まあ偶に疲れる時もあるし、そういう意味じゃ柚宇に教えたのは幸いかもしれない。さっきも言ったが、ガス抜きに協力してくれるとありがたい」

 

「もちろん。私だけが竜賀さんの秘密を知ってるんだから、喜んで協力するよ〜」

 

柚宇は"だけ"って部分を強調しながら頷き、腕に抱きつく力を強めてくる。

 

俺は柚宇の甘えん坊っぷりを堪能しながら下に降りて、ショッピングエリアに到着する。

 

「あ、アレ美味しそうだなら食べない?確か竜賀さん、甘いものを食べたがってよね?」

 

柚宇はエリアの一角にあるカフェのサンプルを指差す。より正確に言うと、ある看板を指差している。

 

『期間限定ラブラブフェア実施中!カップルがパフェを注文した場合、スペシャルトッピングが付いてくる!夏休みにデートをしているカップルは是非!』

 

そんな風に書かれた看板を見ると、柚宇は期待に満ちた眼差しで見てくる。

 

「竜賀さん、スペシャルトッピングを食べたいな〜」

 

「俺は構わないがカロリーは大丈夫か?」

 

通常のパフェもカロリーがあるのだから、スペシャルトッピングが付くと更にカロリーがあるのは明白だ。

 

「大丈夫だよ。ちゃんとカロリー計算はして余裕はあるよ。レッツゴー」

 

柚宇は俺を引っ張り中に入る。そして案内された席に座ると店員に直ぐにラブラブフェアを求める。

 

すると店員がメニューを広げてどのパフェが良いのか聞いてきて、柚宇がイチゴパフェを選ぶと、俺がパフェを選ぶ前に去って行く。

 

もしかしてシカトされたかと思ったが……

 

「はいダーリン、あーん♡」

 

「ありがとうハニー。お返しにあーん♡」

 

近くのテーブルで1組の男女が1つのスプーンでお互いにパフェを食べあいっこをしている。え?もしかして俺もやるの?

 

柚宇と食べあいっこするのは最高だが、第三者が多い場所だと結構恥ずかしい。

 

柚宇を見ればニコニコしながら俺を見てくる。守りたいこの笑顔。

 

暫くするとトレーにイチゴパフェを乗せた店員がやって来る。

 

「お待たせしました。イチゴパフェ、ラブラブバージョンでございます」

 

置かれたイチゴパフェは通常のものよりワンランク大きく、トッピングの数も多い。

 

そして特に意識するのは1つしかないスプーンだ。

 

すると柚宇はスプーンでパフェを掬って俺に突きつける。

 

「竜賀さん、あーん」

 

どうやら食べるしかないようなので、俺は口を開けて食べる。イチゴとクリームの甘みが広がり最高だ。

 

すると柚宇はスプーンを俺に渡して口を開けて待機状態になるので、俺もパフェを掬って柚宇の口に入れる。

 

「ほらよ、あーん」

 

「んっ、甘くて美味しい。もう一回お願〜い」

 

「はいはい、あーん」

 

柚宇のおねだりに小さく笑いながら再度食べさせるが、モゴモゴする口やコクンと鳴る喉は実に色っぽい。

 

柚宇に見惚れていると、柚宇は俺の手にあるスプーンを持って、再度パフェを掬って突きつけてくるので、口にする。

 

それから15分くらいかけて俺達は1つのパフェを交互に食べあいっこしたが、俺の見た目が中3の唯我の姿で本当に良かったと思った。

 

神城竜賀の姿はブサイクでもイケメンでもないが26歳の姿だし、柚宇と食べあいっこしてたら絵面が犯罪的であっただろうからな。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ、美味しかった。竜賀さんの食べ方、可愛かったよ〜」

 

カフェから出ると柚宇は腕に抱きついてスリスリしてくるが、お前の言動の方が可愛いし、男に可愛さを求めないで欲しいものだ。

 

そう思いながらも俺達はノンビリ歩いていると柚宇は巨大ランジェリーショップの前で足を止める。

 

「竜賀さん、さっきも言ったけど少し付き合ってね〜」

 

柚宇はそう言いながらランジェリーショップに入る。その際に女性が見てギョッとした表情を浮かべるが、柚宇を見ると直ぐに納得したように頷く。完全にカップルと思われてるな。

 

「しっかし随分と数があるんだな」

 

周りを見ると物凄い数の下着があるが、男ものに比べたら桁違いなのは間違いない。

 

「女の子には色々あるんだよ。胸を支えるためだけじゃなく、恋人に見せたかったり、オシャレ扱いしたりみたいにね」

 

「よくわからん」

 

男からしたらエロい下着を着けている女子は興奮するが、恋人に見せる時ならまだしも普段の生活で女子がエロい下着を着ける必要があるのかわからん。

 

「竜賀さんの好きな色って何?」

 

そう思っていると柚宇は近くにある下着を見回しながら俺に話しかけてくる。

 

「青と黒」

 

「ふ〜ん。じゃあこれとこれかな」

 

柚宇は青の下着と黒の下着を手に取る。前者は涼しそうな色で清楚な雰囲気を醸し出し、後者はエロい色で色気を漂わせている。

 

「じゃあ試着してみようっか」

 

柚宇はそう言って歩きだすので柚宇に続く。ここに1人で居たら間違いなく居た堪れないだろうからな。

 

試着室は店のあらゆる場所に設置してあり、柚宇は近くにある試着室を選択して俺と向き合う。

 

「じゃあちょっと決めるから竜賀さんは待っててっ!」

 

瞬間、柚宇はいきなり驚いた表情を浮かべたかと思えば、俺の手を引っ張って試着室に向かう。

 

予想外の展開に俺はポカンとしてしまうが、試着室に入ると漸く現状をある程度理解出来た。

 

(何が目的かはわからないが、柚宇と試着室に入ったのか……)

 

いきなりの展開に驚いたが、これギャルゲーならルートに入ってからのエッチなイベントじゃねぇか……と俺は思ってしまうのだった。

 

 

 

しかしマジで何があったんだか……

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