唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第99話

「(ごめんね竜賀さん。いきなり試着室に入れちゃって)」

 

畳一畳ほどの大きさのランジェリーショップの試着室の中にて、柚宇は小さく頭を下げて小声で謝罪してくる。つい先ほど柚宇は下着を試着するべく試着室に入ろうとしていたが、いきなり驚いたかと思えばいきなり俺を試着室に引き入れたのだ。

 

「(何があったんだよ?)」

 

今更だから文句は言わないが、せめて何があってこのような行動に出たのかは知りたい。

 

すると……

 

「んー、どの下着にしようかしら?」

 

「ここはいつもと違うアダルティーなものはどう?」

 

試着室の外から桐絵と嵐山隊オペレーターの綾辻の声が聞こえてくる。

 

それだけで理由を察した。

 

「(なるほどな。知り合いに見られたくなかったか?)」

 

「(うん……私の都合で巻き込んでごめん)」

 

2人、特に桐絵に俺と過ごしていることを知られたくなかったのだろう。

 

まあ俺としてもありがたい。桐絵にバレたら絶対揉めるだろうし、いずれアプローチをかける予定の綾辻に見られたら色々面倒なことになるだろうからな。

 

「これとかどう?」

 

「あっ、良いね。唯我君に見せたら喜ぶんじゃない?」

 

「なっ!何言ってんのよ?!何でそこで尊の名前が出るのよ?!あたしは尊の事なんか何っとも思ってないから!」

 

「そっかー、ごめんねー」

 

「笑ってるわよ!」

 

そんなやり取りが外から聞こえてくるが一緒に風呂に入ったり、俺で自慰行為をしたり、キスをしたりしてる時点で、俺からしたら何とも思ってないってのは無茶があるぞ?

 

そこまで考えてると、柚宇が真っ赤にしながら俺を見てくる。

 

「(それと、成り行きとはいえこうなっちゃったから……さっきの下着を試着したら感想を聞かせてくれない?)」

 

おい。まさかの展開が来たぞ。良い方向の展開だけど。

 

「(良いのか?仮にも俺、男だぞ)」

 

まあランジェリーショップに引っ張った時点でそういう感情はないだろうがポーズとして聞いておく。

 

「(うん。竜賀さんなら見られても嫌じゃないから……あ、でも着替える所はまだ恥ずかしいから見ないでくれるかな?)」

 

「(わ、わかった)」

 

言いながら俺は柚宇に背を向ける。すると直ぐに布擦れの音が聞こえてくる。視覚情報はないが聴覚情報だけで妙にドキドキしてしまう。目隠しプレイをする場合はこんな感じなのだろうか。

 

暫くすると肩を叩かれたので振り向くと……

 

「(ど、どう……?)」

 

黒い下着に包まれた柚宇が恥ずかしそうに上目遣いで見てくる。ブラジャーに包まれた胸は高2にしては破格の大きさで谷間がクッキリしているし、腰にはハッキリしたくびれがあり、尻はオペレーター服を着ている時よりも大きく見える。

 

しかも色が黒と刺激的で本人の恥じらいもあり圧倒的な破壊力となっている。

 

ハッキリ言って襲いたくなってしまうが、自重する。既に正体がバレているので大人の態度を見せておかないと引かれそうだ。

 

「(似合うとは思うが少々背伸びしてないか?)」

 

そう返すと柚宇はジト目で見てくる。

 

「(む〜、子供扱いしないでよ〜)」

 

「(いや実際俺は大人で、お前は子供だろ)」

 

「(ふ〜ん……えいっ)」

 

すると柚宇は下着姿のまま、正面から俺に抱きついてくる。柚宇に抱きつかれたことはあるが、下着姿であるからか熱が伝わってくる。

 

「(竜賀さんの心臓、凄くドクンドクンしてるよ?子供相手にドキドキしてるの?)」

 

柚宇は蠱惑的な笑みを浮かべながら俺の胸を優しく撫でてくる。完全に見抜かれてるな。

 

「(悪かったよ。いくら魅力的でも、実年齢が26歳の男性が女子高生にドキドキしていたなんて知られたら引かれると思ったんだよ)」

 

内心恥ずかしく思いながらもそう返す。すると柚宇はクスリと笑って抱きしめる力を強めてくる。

 

「(別にそれくらいじゃ引かないよ。私だって実年齢が10歳離れてる男性にドキドキしてるから)」

 

柚宇はそう言って恥ずかしそうに笑う。そんな柚宇は凄く魅力的で思わず柚宇の背中に手を回す。

 

「(んっ……こうやって抱きしめらると竜賀さんの熱がいつもより伝わって気持ち良いよ……)」

 

「(柚宇……)」

 

柚宇の温もりがしっかり伝わってくるが、もうこれだけで幸せ過ぎて昇天しそうだ。

 

暫くの間、お互いに抱き合っていると近くに足音が聞こえてくる。

 

「じゃ、試着しよっか」

 

「そうね。また後で」

 

桐絵と綾辻も試着するようで両隣の試着室のカーテンが開閉する音が聞こえてくる。そして直ぐに布擦れの音も聞こえてくる。

 

「(柚宇、今がチャンスだから俺は出るぞ)」

 

「(わかった。それと出たら店から離れて……右側にあるトイレの前で待ってて)」

 

まあ店の前で待機していたら桐絵達に見つかってトラブルになりかねないからな。

 

俺はカーテンの隙間から外を覗き見て周りに人がいない事を確認してさり気なく出る。

 

そしてそのまま店を出てトイレに向かう。店を出た際に一部の人からは驚かれたが、こればかりは仕方ない。

 

トイレに到着した俺は柚宇が下着を買うのを待つべく携帯を操作すると草壁からメールが来ていた。中身を確認すると午前に送ったメールに関する返事で了解と書かれていた。

 

(とりあえず今年中に草壁と食事に出かけられるくらいまで進展したいな)

 

その為にはこれから数ヶ月、戦術的面から交流をもっともっと深める必要がある。

 

と、ここで柚宇が店の方からやって来た。ビニール袋を持っているが買ったようだな。

 

「お待たせー、じゃあ行こっか」

 

柚宇はそう言って腕を組むと早足で歩き始めるので、俺は引っ張られる形でそれに続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!やっぱり柚宇さん、尊とデートしてるのね!抜け駆けされたわ!」

 

「桐絵ちゃんも唯我君と温泉旅行に行ったんじゃないの?!」

 

「それはそれ!これはこれよ!」

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、今日は楽しかったね〜」

 

夕方、夕日を浴びながら帰路につくと柚宇は楽しそうに話しかけてくる。

 

「そうだな。確かに楽しかった」

 

下着を買ってから、色々な店を冷やかしたり本屋で面白そうな漫画を買ったり、ボーダーで評判の店で飯を食べたりと穏やかな時間を過ごすことができた。

 

何より……

 

「結果論だが柚宇に秘密を知られて良かった。素の俺を晒せたのは久しぶりだからな」

 

いつもは前世の俺を殆ど出せなかったからか、凄く気分が楽だった。

 

「私も竜賀さんの秘密を知れて良かった。普段の尊君も悪くないけど、解放された竜賀さんは楽しそうだよ」

 

「かもな……っと、柚宇の家に着いたな」

 

話しながら歩いていると柚宇の家の前に着いたので、俺は柚宇の腕を離す。

 

「じゃあまたな。次からは尊君って呼んでくれ」

 

「もちろん。それとはいこれ」

 

柚宇はポケットから鍵を取り出して俺に渡してくる。これは……

 

「家の合鍵。もしも竜賀さんを出したくなったりしたら、いつでも歓迎するから」

 

まさかの合鍵かよ。そこまで信頼されていると思えば悪くないな。

 

「ありがたく貰っとく。お返しと言っちゃアレだが、俺も一人暮らしするときになったら合鍵をいるか?」

 

「竜賀さんが良いなら欲しいな〜」

 

「わかった。じゃあそんときになったらやる。じゃあな」

 

「あっ、ちょっと待って。最後に……」

 

柚宇は俺を呼び止めると何回か深呼吸をしたかと思えば、真っ赤になった顔を俺の顔に近づけて……

 

 

 

 

ちゅっ

 

俺の唇にキスをしてくる。桐絵とはまた違った柔らかさの唇に意識を向けてしまう。

 

暫く唇を重ね合っていると、柚宇は唇を離し上目遣いで見てくる。

 

 

「えっと……今日のデート、楽しかったからそのお礼。じゃ、じゃあまたね竜賀さん……」

 

柚宇は真っ赤になった顔を俺から背けて、自分の家に走り去っていく。

 

柚宇が見えなくなったタイミングで俺は息を吐く。

 

「お前もお礼のキスか……まあ、俺としては良かったがな」

 

可愛い女子からキスをされて嬉しくないはずはない。

 

俺は幸せな気分になりながら自宅に向かって歩き出す。

 

 

 

明日からはまた唯我尊として過ごさないといけないし、気をつけていかないとな。

 

 

 

 

 

 

「うぅ〜、つい勢いでキスしちゃったよ〜」

 

柚宇は自宅のベッドで真っ赤になりながら転がる。自分のファーストキスを捧げた事に後悔はないが恥ずかしいのは事実だ。

 

「でも、これでリード出来たよね」

 

しかし今日のデートは成功だったと柚宇は確信している。自分だけが竜賀という存在を知れたのだから。

 

秘密を聞かされた時は驚いたが、それでも優しいままだったので柚宇の恋心は消えていない。

 

更にキスを出来たのでデートとしては成功だろう。

 

「後は竜賀さんに女として見られるようにしないと……」

 

竜賀と過ごした時間は楽しかった。しかし柚宇は子供のように見られていると思っていたが、自分としては竜賀に女として見られたかった。

 

「明日からまた頑張らないとね〜」

 

柚宇は枕をギュッと抱きしめながらそう決心するのだった。

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