唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第100話

「さて、行くか」

 

8月20日午前8時前。俺は自宅を出てボーダー基地に向かう。今日は10時から草壁と一緒に上層部相手にプレゼンをするという重要な用事がある。

 

いくら事前に戦闘員から評価されても、上層部に認められなければ意味がない。草壁とは練習を何回もこなしたので、大丈夫とは思うが絶対ではないからな。

 

そう思いながらも基地に向かっていると曲がり角にて桐絵と鉢合わせする。

 

「「あっ……」」

 

思わず素っ頓狂な声を出してしまう。しかし直ぐに意識を切り替えて頭を下げる。

 

「おはようございます桐絵先輩」

 

「……おはよう」

 

若干不機嫌そうな声だったので顔を上げるとジト目で俺を見ていた。

 

「えっと……何か怒ってますか?」

 

「別に怒ってないわよ」

 

そう言っているが「私、不機嫌です」ってオーラが出ているから嘘であるのは丸わかりだ。

 

「もしかして知らないところで桐絵先輩に迷惑をかけましたか。それなら申し訳ないですが俺を嫌いにならないでください」

 

不安そうに桐絵に話しかける。すると桐絵は慌てだす。

 

「ち、違うわ!尊は何も悪くないわ!あたしが勝手に尊に八つ当たりしてるだけ!それに尊を嫌いになるなんて絶対あり得ないわ!」

 

そんな風にハッキリ言われると愛されていると自覚する。

 

「あ、あたしはただ、尊がこの前柚宇さんとデートしてるのを見てイライラしただけで、尊は悪くないわ」

 

あ、どうやら見られたようだ。しかし下着店の試着室に柚宇と入ったのはバレてないようだな。

 

「はぁ、もしかして桐絵先輩も一緒に行きたかったんですか?」

 

「え?!い、いやそれは……(どちらかといえば尊と2人きりで過ごしたいんだけど……)ま、まあそんなところね。今度はあたしも誘いなさい(とりあえず柚宇さん達に抜け駆けされないようにしないといけないわね)」

 

なんか途中でゴニョゴニョ言っていたが、何か企んでいる……いや、桐絵って策を弄するタイプじゃないし、違うだろうな。

 

ともあれここで拒否すると桐絵は不機嫌になるし了承しよう。どのみちハーレムを目指す以上、複数の女子相手にデートする必要があるからな。

 

「わかりました。今後は誘います」

 

「本当っ?!絶対よ!嘘ついたら嫌いになるからね!」

 

「尚更嘘をつけないですね。桐絵先輩に嫌われたら寂しいですから」

 

「〜〜〜っ!馬鹿っ!」

 

桐絵は真っ赤になって俺をポカポカと叩いてくるが、口元はゆるゆるに緩まっていて、さっきまで存在していた不機嫌オーラが幸せオーラに変わっていた。

 

暫く桐絵に叩かれるが、落ち着きを取り戻したので桐絵に話しかける。

 

「桐絵先輩は玉狛に行くのですか?そうでしたら途中まで一緒に行きませんか?」

 

「もちろん!」

 

「ありがとうございます。では行きましょう」

 

「ふぇっ?!た、尊?!」

 

桐絵の手を握ると桐絵はさっき同様に真っ赤になって驚くが、おれの手を離す気配は一切見せない。それどころか自分の指を俺の指に絡めてくるなど甘えん坊となっている。

 

しかし俺は特に気にしないで歩き始める。すると桐絵は恥ずかしそうにしながらも俺と肩を並べて歩く。

 

「そういえば尊。尊が立てた計画はいつ頃上層部に発表するの?」

 

暫く歩いていると桐絵が話しかけてくる。

 

「今日の10時、つまり今から2時間後くらいですね」

 

「えっ?早いわね!」

 

「予定としては正式入隊日に始動したいですから」

 

早く始動できれば、仕事の早い人間と評価を得られるだろう。というか仕事って後回しにすると、やらなきゃいけない時に凄く苦痛に感じるし、早めに終わらせるに限る。

 

と、ここで玉狛支部が見えてきた。まだ足を運んでないがいずれ足を運ぶだろう。

 

「ではここまでですね。桐絵先輩もお仕事頑張ってください」

 

「尊も頑張ってね。それと……」

 

桐絵は突然モジモジし始める。トイレかと思ったが、それ言ったらぶっ殺されそうだから口にはしないでおく。口は災いの元というしな。

 

そう思いながら桐絵を見ると、桐絵は真っ赤になった顔を上げてそのまま俺の唇を奪ってくる。

 

「んっ……」

 

桐絵は真っ赤になりながらも目を瞑り、俺の首に腕を絡めてくる。

 

桐絵から3回目のキスを受けるのを自覚すると、桐絵は俺から離れて指を突きつける。

 

「い、今のは激励の挨拶だから!本当にそれだけだから勘違いしないでよね!あたしの可愛い後輩に失敗なんか許されないんだから!」

 

そう言って玉狛支部に走り去っていく。挨拶にキスをするようになるとはな……まあ一層やる気は出たから桐絵の目論見は成功したし、俺も桐絵との仲が良くなったのを理解出来たので最高だ。

 

俺は満足しながらボーダー本部に向かって歩き出す。可能ならプレゼン前に玲か柚宇と会って、イチャイチャしたいものだ。

 

と、暑いしアイスでも買っておくか。草壁との最終打ち合わせもなるべく快適に行いたいし。

 

俺は近くの菓子屋に入り、アイスが売られているコーナーに向かう。

 

そして買うアイスを選んでいると背後から軽い衝撃が走り、背中に柔らかな感触が伝わり、後ろから手を回される。

 

こんな事をするのは桐絵以外だと2人いるが……

 

「久しぶり尊君。会えて凄く嬉しいわ」

 

抱きついてきたのは玲のようだ。声が玲のものだし、柚宇は俺の正体を知っているから竜賀と呼ぶからな。

 

「お久しぶりです。玲さんは仕事上がりですか?」

 

俺は身体を動かして玲と向き合う体勢になるが、玲は未だに抱きついたままである。

 

「ううん。暑いからアイスを買いに来たの。けど尊君に会えるなんて……」

 

玲はそう言って抱きつく力を強めながら上目遣いで見上げてくる。

 

「最近は尊君に会えなくて寂しかったわ。尊君も忙しいから仕方ないけど、一段落したらまた一緒に出かけたいわ」

 

「もちろん構いませんよ。俺も玲さんと過ごす時間は楽しいですから」

 

「ありがとう。じゃあ予定は今度決めましょう?」

 

そう言って玲は俺から離れてアイスを選ぶので、俺もアイスを選んでレジに向かう。

 

そしてドライアイスを用意してもらってから店を出ると灼熱の太陽が肌を照らす。ドライアイスを用意しても溶けそうだし、急がないといけないな。

 

「では俺は本部に行くので失礼します」

 

「ええ。尊君とまた会えるのを楽しみにしてるわ」

 

玲は最後に俺に抱きついて、頬にキスをしてから微笑みを浮かべて去っていく。俺としては親交を深め、玲からも唇にキスをされるようになりたいものだ。

 

そう思いながらも基地に到着したので中に入り、集合場所のラウンジに向かうと既に草壁がいた。

 

「済まん遅れた」

 

「集合時間前だから問題ないわ」

 

「そう言って貰えると助かる。あ、これ土産だが食うか?」

 

俺はアイスを取り出して草壁に渡す。草壁の趣味はわからないのでシンプルにオレンジの氷菓系アイスにした。

 

「ありがたく頂くわ」

 

草壁はそう言ってアイスを食べ始めるが、クール系女子が棒付きアイスを食べるのって良いなぁ……

 

そう思いながら俺も集合時間前まで自分で買ったイチゴアイスを食べるのだった。

 

 

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