唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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101話

「大体の流れは以前のプレゼンと同じで良いよな?」

 

俺は草壁に話しかける。現場9時30分で、10時からのプレゼンに備えて最後の打ち合わせをしている。

 

「ええ。ちゃんと署名は持ってきてるわ」

 

草壁は鞄から署名用紙を取り出す。以前プレゼンをした際に俺の計画に協力しても良いと思った人には署名して貰ったが、大半から署名して貰ったので価値はあるだろう。

 

「それと予算対策の案についてだけど、迅さんのサイドエフェクトを使うことも話せば、上層部も納得すると思うわ」

 

なるほどな……確かに迅のサイドエフェクトは便利だ。何せ俺が唯我尊でない事を見抜いたしな。

 

それに迅もボーダーの利益になる事になるなら協力するだろうから悪くはないだろう。

 

「そうだな……良し、それも提案しようか」

 

「決まりね。じゃあそろそろ行きましょうか」

 

草壁はラウンジの壁にかけられた時計を見ながらそう呟く。確かに20分くらい前にいた方がいい。

 

俺達は立ち上がり、指定された会議室に向かう。若干の緊張をしながらエレベーターを使ったり廊下を歩いたりして、目的の場所に着いたのでノックする。

 

『入りたまえ』

 

「「失礼します」」

 

ドアの向こう側から声が聞こえてきたので、中に入り一礼する。

 

部屋には城戸司令に忍田本部長、鬼怒田開発室長、唐沢営業部長、根付メディア対策室長、林藤支部長が揃っていた。

 

ボーダートップ陣営を前に草壁も多少緊張しているようで喉を鳴らしている。俺は前世で理不尽な上司や大切な取引会社相手にプレゼンをしていたから大して緊張はしてないが草壁の反応はおかしくない。

 

寧ろ中3の癖に上層部に引がない態度を見せたり、自分を槍玉にあげる記者会見に乗り込む三雲修が異常なだけだ。ジャンプ作品の主人公にしては珍しく戦闘能力はないが、メンタルはぶっち切りだからなぁ。

 

「さて、呼び出した時間にはなってないが全員集まっているので、話を聞こうか」

 

城戸司令がそう言って俺達を見据えてくるので、俺は若干緊張している草壁の肩を叩く。草壁はピクンと跳ねるが直ぐに理解したようで頷き、鞄からレジュメを取り出して上層部に配り始める。それを確認した俺はパソコンを取り出して既に置かれているプロジェクターに接続する。

 

「中々壮大な事を考えてきたようだな」

 

鬼怒田開発室長はレジュメの表紙を見ながらそう呟く。まあタイトルを見ればそう思うわな。

 

「まあボーダー最大のスポンサー会社の社長の息子としては、親の会社にダメージがあることは避けたいので」

 

「それは立派だな。ただ私としては君の変わりようの方が気になるね」

 

唐沢営業部長は薄い笑みを浮かべながらそう言ってくる。これには草壁を含め、この部屋にいる人全員が同じ気持ちのようで俺を見てくる。

 

「俺は別に変わってないですよ。唯我尊は2人いて、もう1人の俺が出てきただけですよ」

 

俺は前世で読んでいた漫画のセリフをアレンジしてそう返す。前世は大人だったって発言はしない。柚宇に話したのはある程度信頼を積んできたからで、信頼を積んでない上層部にはそれらしい嘘を吐く。まあいずれ草壁とは信頼を積み、話すかもしれないけど。

 

その言葉に空気が変わり、驚愕の眼差しを向けられるがこれ以上深入りされるわけにはいかない。

 

「まあ俺の話はどうでもいいでしょう。それより準備が完了したので始めてもよろしいですか?」

 

「………ああ、始めてくれ」

 

俺の強引な切り替えに城戸司令はそう返す。俺の切り替えに応じてくれたのは、デリケートな内容と判断してくれたからだろう。

 

それについてはマジでありがたい。俺も唯我尊としての変化に関する話はされたくないのが本音だ。

 

どうせなら入隊前に転生させてくれたら良かったのに……

 

まあ今更愚痴ってもしょうがないし、既に玲と柚宇と桐絵とは仲良くなれたし問題はない。

 

そう思いながらも発表の準備が完了したので俺と草壁はモニターの前に立つ。

 

「ではこれより自分と草壁による発表を始めたいと思います」

 

そう前置きして俺達は自分の用意した全てを発表し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

20分後……

 

「以上で発表を終わりです。私達の考えに賛同するなら、訓練室や防衛任務の体制の変化、ベイルアウト付きの訓練生用トリガーの用意などをお願いします」

 

草壁はそう言って一礼する。前回のプレゼンに多少のアレンジを加えたものを発表したが、反応は悪くないと思う。特に署名を見せると実現出来る可能性があると思われただろう。

 

そして計画を実行する場合、戦闘員のみならず上層部の力も必要だが果たしてどうなる?

 

「まあ確かにC級隊員の扱いが悪いのは事実ですし、数を減らしてB級を増やそうとするのは必要でしょう」

 

唐沢営業部長が笑いながら他のメンバーに言うと、他のメンバー、特に忍田本部長の空気が重くなる。まあ遠回しに「お前らが雑に扱うからC級が多い」と言ってるからな。

 

一方営業部長である唐沢は金集めが仕事で、C級というか戦闘員との接点は少ないからなぁ。

 

「……なるほどな。内容もさることながら、協力者の数も考慮すると計画に支援する事は構わない」

 

城戸司令が傷に手を当てながらそう言ってくる。なんか裏のある言い方があるが、予算に関する事を突かれるだろう。まだ対策案を言ってないし。

 

「問題は予算だ。つい最近基地の強化と警戒区域に設置するトラップの設置に予算を注ぎ込むと決めたばかりだ。加えてお前達の計画の実行にも金はかかるし、計画が成功した場合にはベイルアウト機能の作成の金もかかる」

 

鬼怒田開発室長からそう言われる。確かに本部基地の強化とトラップの増設は絶対だ。原作でもイルガーが基地に突っ込んだり、トラップの足止めも限界があるって表記されていたからな。

 

「一応予算の対策案も考えてきました」

 

「対策案?唯我君の実家が援助額を増やしてくれるのかい?」

 

「いえ。父に相談したらこの計画で正隊員を増やせたら援助額を増やしてやると言われましたから今は無理です」

 

根付メディア対策室長の質問にそう返す。

 

唯我尊、この世界における俺の父親は息子には甘いが、会社の社長としてはかなり厳しいので今すぐには無理だ。

 

そう思っていると草壁が口を開ける。

 

「私達に資金の調達は出来ませんが、代わりに予算の節約案としてC級隊員の入隊人数を毎シーズンごとに5人ぐらいにする事を提案します」

 

「5人?!」

 

これには上層部も予想外だったようで驚きを露わにする。

 

「プレゼンの時にも言いましたが毎シーズンごとに入隊するのは30〜40人と多過ぎます。この調子だと1年後には400人以上となるでしょう」

 

「よって自分達は毎シーズンごとに入隊するC級隊員の数を減らすべきと思います。仮に自分達の案を実行すれば、30人近くのトリガーを準備しないで済み、その分を他に回せます」

 

それに原作のBBFに載っていた正隊員は殆どが現時点で正隊員になっている。そう考えると毎シーズンごとに40人近くも入隊してもB級に上がれないってことになる。

 

「……なるほど。現時点でC級隊員は300人近くいるが、この人数を上回らないようにしたいと君達は考えているのか?」

 

「はい」

 

「けど入隊基準はどうすんだ?今の入隊基準はトリオンさえあれば受かるけど、筆記や運動能力の方も考慮するようにするのか?」

 

林藤支部長が手を挙げて発言する。

 

ボーダーの入隊試験には基礎体力テスト・基礎学力テスト・面接があるが、トリオン量と犯罪歴以外の点で落とされることはないシステムだ。

 

「それもありますが追加としてSPIテストで努力できそうな人を見抜く事もするべきですね」

 

「それと面接の際に迅さんも面接官として参加させる事を希望します。」

 

迅のサイドエフェクトなら受験者の性格などをある程度見れるから参考になるだろう。

 

「なるほどな。それなら入隊者が少なくても質の良い人間が入隊するかもしれないな」

 

林藤は煙草を吸いながら頷く。

 

「一応自分達が考えた予算案は以上です。ご静聴ありがとうございました」

 

言いながら草壁と頭を下げる。まあ失敗はしてないだろう。

 

「話はわかった。先程教本作りなどを発表していたが、協力者達には作って貰っているのか?」

 

「はい。来月の正式入隊日に始動したいので。他にも宣伝ポスター作りや指導教室のスケジュール調整なども始めています」

 

忍田本部長の質問に草壁が答える。上層部に認可されてから始めていては間に合わないだろうから、出来ることは早めにやっておきたい。

 

「私はアリだと思いますね。C級隊員だけが増えても意味がないのでやる価値はあると思います」

 

「それに計画が上手くいけば唯我君の親の会社からの出資額も増えるみたいだし、悪くない話だねぇ」

 

「ベイルアウト機能のトリガーを量産するのは大変だが……まあ先を見据えるならやむを得まい」

 

「私も賛成だ。街に被害が出る可能性は0に近づけないといけないし、挑戦するのは必要だと思う」

 

「迅も乗り気だしやる他はないだろ」

 

そんな風に上層部の面々が意見を口にする中……

 

「……良いだろう。大規模侵攻による被害を減らしたいのは私も同じだ。可能な限り協力はする」

 

トップからも了承を貰えた。よって計画を始動する段階に入れたということになる。

 

「「ありがとうございます」」

 

草壁と一礼する。

 

「正式入隊日当日から指導教室を開催するなら、来月入隊する人達のデータは必要だろう。会議が終わり次第、両隊の作戦室のパソコンに送るが大丈夫か?」

 

「お願いします」

 

「わかった。優秀な協力者が多いとはいえ、計画の統括は大変だろうから行き詰まる事があったら相談するように」

 

「了解しました」

 

忍田本部長の言葉に礼をする。そうと決まれば今日中にやれる仕事を終わらせて、明日明後日で新入隊員のデータを調べて指導教室の開設について考えないといけない。

 

 

まあ了承を貰えただけ一歩前に進めたから良しとしよう。

 

全てはアフトクラトルからの被害を減らす為、そして草壁との仲を深める為だ。

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