唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第103話

「……以上が事の顛末です」

 

「なるほどね〜、まあ確かにいきなりボールを踏んだらそうなるのも仕方ないかな」

 

柚宇に草壁に覆われながらキスをされた事を全て説明すると、柚宇は多少不機嫌ではあるが、先程に比べたら全然マシとなっている。

 

「草壁ちゃんもごめんね〜。先走って怖がらせちゃって」

 

「いえ……」

 

さっきの柚宇はメチャクチャ怖くて草壁もビビっていたくらいだ。今はいつもの表情になっているが、悲鳴はハッキリと覚えている。

 

「……唯我先輩は何をジロジロ見ているの?」

 

「いや、さっきの草壁の悲鳴は案外可愛らし「煩い……!」痛ぇ……」

 

軽く冗談を言うと草壁は羞恥と怒りに顔を若干赤くしながら脛に軽い蹴りを入れてくる。草壁の新たな一面が見れた事を考えれば安い買い物だな。

 

「その話を蒸し返したら蹴るわよ」

 

「もう蹴ってるだろうが」

 

「……まあ転んだ私が一番悪いけど、恥ずかしいから蒸し返すのはやめて」

 

「わかったよ、悪かった」

 

今の好感度でこれ以上からかうのは悪手だ。地道に積み重ねてきた草壁との交流をつまらないおちょくりで無に帰すのは勿体無さすぎる。

 

「尊君も女子をからかうのはダメだよ」

 

柚宇からも注意されるので俺は小さく一礼する。第三者がいる時の俺は唯我尊を演じないといけないからな。

 

「なら良し。ところで草壁ちゃんはポスターの仕上げを頼まないといけないなら、そろそろ行った方がいいよ。橘高さんは知らないけど、かがみんは昼食を食べたら帰るって言ってついさっき別れたからね」

 

「なら食堂に行かないといけないわね。じゃあ唯我先輩はまた後で」

 

「ああ、また後で」

 

「頑張ってね〜」

 

国近ののんびりした見送りに草壁は一礼して、太刀川隊作戦室から出て行く。ドアが閉まると柚宇は再度不機嫌オーラ丸出しで俺を見てくる。

 

「それで〜?抱きしめた草壁ちゃんの身体はどうだったかね、竜賀さん?」

 

2人きりになった瞬間、柚宇は俺を本名で呼ぶ。どうやら草壁がいたからそこまで怒りを見せてなかったようだ。

 

とはいえ柚宇は嫉妬してるだろうから「柔らかくて最高だった!」なんて褒めたりしたら柚宇の機嫌はメチャクチャ悪くなるだろう。

 

よって先ずはこの空気を変える必要があるが、その場合は論点をずらす必要がある。

 

「小柄な見た目に反して結構重かったな」

 

すると柚宇は不機嫌なオーラを消して呆れ顔になる。

 

「竜賀さん、女子に対して重いなんてデリカシーの無い事を言っちゃダメ。女の子って体重を気にする生き物なんだからね?」

 

「そうなのか?わかった、今後は口にしないようにする」

 

前世にいた頃からわかっていたが、敢えて今知ったように返事をする。

 

「なら約束。指切りしよ?」

 

柚宇は小指を出してくるので俺も小指を出して、柚宇のソレと絡める。

 

「ゆ〜びきりげんまん。嘘吐いたら一緒にお風呂には〜いるっ。指切った」

 

柚宇はそう言って指を離すが、つまり俺がデリカシーのない発言をしたら柚宇と一緒にお風呂に入れるって事か。

 

これは言うしかないな、うん。俺からしたら罰ゲームでもなんでもなく、寧ろご褒美だ。

 

「針千本飲ますんじゃないのか?」

 

「いや〜、針千本飲んだら死んじゃうからね。約束は守ってよ?まあ破りたいなら破って良いけど……」

 

柚宇は恥ずかしそうに俺をチラチラ見てくるが、言われるまでもなく暫くしたら口を滑らせるように思わせる形で破るつもりだ。柚宇とお風呂とか幸せそうだし。

 

「あ、お風呂といえば桐絵ちゃんと旅行に行った時は入ったの?」

 

柚宇がジト目で聞いてくる。嘘をつくか悩んだが、桐絵に聞かれたらアウトだし正直に話すか。

 

「ん?入ったけど」

 

「ふぅぅぅぅぅぅん?可愛い女の子と入って、それはそれは楽しかったね〜」

 

柚宇はドス黒いオーラを噴出する。普段のほほんとしてる奴がドス黒いオーラを噴出すると怖いな。

 

「別に風呂は疲れを取る場所だから楽しさは求めてねぇし、桐絵が半ば無理矢理頼んできたから、立場上断れなかったんだよ」

 

桐絵は俺の正体を知らず後輩と思っているので、俺も後輩として動かないといけないが、その場合だと先輩である桐絵の頼みを断るのは難しいからな。

 

「まあそうだけどさ……エッチなことはしてないよね?」

 

「馬鹿言うな。一応俺26歳だからな?」

 

そう言うが裸で抱き合ったり割とエロいことはしたけど。まあ一番エロかったのは桐絵だろうけど。

 

「なるほど〜(その様子じゃ高校2年の私についても子供としか思ってない可能性が濃厚だろうし、厄介だね〜。もう告白して異性として想っていることを知らせた方が良いのかな?)」

 

「どうした?」

 

「ん〜ん?何でもな〜い」

 

なんか口をモゴモゴしているが変な事を企んでないか不安だ。

 

「それよりも竜賀さん。一人暮らしはいつ頃から始めるの?」

 

「8月29日からだな。29、30で荷物の整理と新しい家具の購入をして夏休み最終日はノンビリ過ごす予定だ」

 

幾ら9月1日が始業式だけとはいえ、流石に夏休み最終日にドタバタするのは嫌だからな。

 

「と、いうことは30日の夜には整理が終わらせるんだよね?」

 

「その予定だが」

 

「じゃあさ……30日に荷物の整理を手伝うからさ、その日に泊まりに行って良いかな?」

 

柚宇はそんな提案をしてくる。夏休みの30日と最終日を柚宇と過ごすなんて願っても無いチャンスだ。

 

「好きにしろ」

 

「やった〜。ありがとう竜賀さん」

 

柚宇は後ろから俺に抱きついて甘えん坊と化する。俺の正体を知る前の柚宇はお姉さんを気取ることがあったが、俺の正体を知ってからの柚宇は2人きりになると子供っぽく甘えてくるようになった。

 

ま、それはそれで悪くないけどな。

 

俺は柚宇に甘えられながら仕事に取り掛かるのだった。

 

尚、暫くすると草壁が戻ってきて、今の光景を見られたが呆れた表情を浮かべられたのは言うまでもなかった。

 

 

 

 

 

(良し、泊まりの約束は取り付けたから……その日に竜賀さんに告白しないと……)

 

柚宇は竜賀に抱きつきながら、一大決心をしていた。元々柚宇は夏休みに告白する予定だった。

 

しかし……

 

(今は付き合えない可能性が極めて高いよね〜)

 

竜賀を知った柚宇は付き合えないことを前提として動いている。

 

理由は簡単で柚宇は竜賀に対して、"竜賀は自分達を女としてではなく子供として見ている"と考えているからだ。よって竜賀に告白しても子供の冗談と思われる可能性は高い。

 

こればかりは仕方ない。竜賀の実年齢は26歳なのだから。

 

よって柚宇は今回竜賀と付き合う為ではなく、今後自分自身を女として見てもらうために竜賀に告白するつもりなのだ。

 

(じゃあそれまでに作戦を考えとかないといけないな〜)

 

幸いライバル2人は竜賀の存在を知らないので、柚宇はそこを利用して差を広げたいと考えてる。

 

(竜賀さんと結ばれるのは私なんだから)

 

柚宇は改めて決心をしながら、竜賀に意識して貰う為の作戦を考えるのであった。

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