唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
「最終ミーティングだ。と、言っても今回は基本的に唯我の立てた作戦で行くぞ」
「ありがとうございます」
8月23日、太刀川隊作戦室にてA級ランク戦の最終ミーティングを行っている。今回の相手は風間隊と三輪隊であり、作戦については俺が太刀川に作戦の立案を希望した結果、太刀川から許可を得たので今回は俺が立てた作戦を使用する。
しかし……
「了解」
「は〜い」
出水は兎も角柚宇は不満タラタラの表情を浮かべている。如何にも納得いきませんと言った雰囲気を醸し出している。
これには太刀川は笑う。
「おいおい。幾ら唯我が草壁のために考えた作戦とはいえ、面白い作戦だから拗ねて仕事を放棄するとかはやめてくれよ?」
「……別に拗ねてないよ。ただ尊君は草壁ちゃんと随分と仲良くなったなぁ〜って思っただけだよ」
柚宇はそう言ってジト目を俺に向けてくる。ここは言い訳しても泥沼に嵌りそうだな……
「そうですね。彼女の発想には興味があるので、交流を深めながら知識を得たいと思ってます。また彼女には借りが大きいので、少しでも借りを返したいのが本音です」
その言葉に柚宇のジト目は強くなり、太刀川は笑い、出水が腹に手を当てる。実際草壁の発想には何度も助けられているので、借りを返したいってのは本当だ。
「はっはっは。ま、やる気があるならそれで良い」
太刀川がそう口にしたタイミングだった。作戦室にある放送機械からジジッとノイズのような音が走り……
『ボーダーの皆さんこんにちは!只今よりA級ランク戦が始まります!』
元気のいい声が聞こえてくる。この声は誰だが一発でわかる。
『実況は私、中央オペレーターの武富桜子がお送りします!』
やはりお前か、実況席の主。お前こそ実況席が一番似合う女だ。
というか今は中央オペレーターだからまだしも、海老名隊に入っていても実況を多くやっているが、本業の部隊オペレーターについてはやってるのだろうか?
『解説には草壁隊の草壁隊長と玉狛支部の小南隊員に来ていただきました!』
『どうぞよろしく』
『宜しく!』
解説はまさかの草壁と桐絵だった。というか桐絵に解説出来るのか?リアクション芸人みたいな姿しか想像出来ない……
「小南が実況?ヤベェ、想像しただけで腹が……」
案の定、太刀川は桐絵が解説してるところを想像したのか腹に手を当てて笑い出し、出水と柚宇も口元に手を当てて、視線の向きを正面から横にズラして震えだす。
『今回のマッチングは太刀川隊と風間隊と三輪隊で、三輪隊が選んだマップは市街地Cです!』
だろうな。市街地Cは山の斜面に作られた住宅地のようなイメージで、坂道と高低差があり、道路を間にはさんで階段状の宅地が斜面に沿って続いているステージだ。
登るにはどこかで道路を横切る必要があり上から丸見えになるため、狙撃手が高い位置を取るとかなり有利になり、逆に下からは建物が邪魔で身を隠しながら相手を狙うのが難しくなる。
要するに狙撃手に有利なステージで遠距離攻撃がない風間隊からしたらクソステージだろう。
ウチも狙撃手はいないが、出水のトリオン量なら遠距離攻撃も出来るので、そこまで不利ではない。
『まあ狙撃手が2人いる三輪隊なら妥当ね。風間隊は近接戦に特化してるから相性は最悪ね』
『太刀川隊の出水先輩は遠距離戦も出来るから唯我先輩と組むのも選択肢の一つね』
そんな声が流れてくる。実際出水が俺か太刀川と組んで両攻撃をすれば狙撃手と撃ち合えるだろう。
「作戦についてだが、転送位置が良かったら唯我の策を実行する。もしも悪かったら唯我は出水と合流しろ」
「了解しました」
「出水は位置次第ではエスクードカタパルトを使え。悪かったら唯我と合流しながら風間隊の誰かを釣れ」
「了解」
「国近はレーダー反応チェックを重視で。違和感があったら直ぐに報告しろ」
「ほ〜い」
太刀川からの指示を受けると国近は真面目な表情(といってもいつものほんわかな表情)になってオペレーターデスクに向かう。
『さあいよいよ時間です!A級ランク戦、開始です!』
瞬間、身体が光に包まれて作戦室から市街地に転送される。
同時にバッグワームを付けて動きだす。目の前にはそこそこ大きい山があるので、俺の転送位置は低い方だ。
そう思いながら走り始めた時だった。
『お〜い。今から飛ぶからよろしく』
出水からノンビリした声で通信が走るので意識を山に向けると……
「来たな。んじゃやりますか?」
大空へ舞い上がる出水を目撃した。
「転送が完了しました!各隊員、それぞれが一定の距離をとって転送されましたが……おっと?三輪隊の狙撃手のみならず太刀川隊長と唯我隊員もバッグワームを付けています!」
「はぁ?!太刀川が初めからバッグワーム?!」
実況席にて武富が戸惑いながら実況すると桐絵は驚きの声を上げて、客席にいる正隊員も驚きを露わにする。
三度の飯より戦いを好み、学校の成績を犠牲にして力を得た太刀川が試合最初からバッグワームを使うなど太刀川を少しでも知っている人からすれば驚きでしかない。
「何か企んでるのは明白ね」
草壁は唯我の仕業と確信している。唯我の戦術は相手の想定を超える事を軸としているからだ。
「予想外の展開ですが、試合は始まっています!高台に近いのは出水隊員と歌川隊員と古寺隊員、中腹にいるのは太刀川隊長と菊地原隊員と三輪隊長と米屋隊員、低層にいるのは唯我隊員と風間隊長と奈良坂隊員です!」
「奈良坂先輩が下層にいるのが痛いわね」
バッグワームを付けているので位置バレはしていないが、暫くすると遮蔽物のない場所に出ないといけないので奈良坂の転送位置は最悪だろう。
「おっと、古寺隊員がもうすぐ高台に到着します」
モニターに映る古寺は後30秒くらいで高台に到着する。一方、出水と歌川は後1分近くかかりそうだ。
その時だった。モニターに映る出水が地面に手をついたかと思えば……
「どわあっ!出水隊員、エスクードを発射台に大空へ舞い上がる!古寺を抜き去った!」
出水がエスクードを自身にぶつけ、その勢いで空を飛び上がる。
「エスクード……唯我先輩が言っていたのはこれね」
「草壁隊長はご存知なのですか?」
「詳しくは知らないわ。ただ前に唯我先輩に、草壁隊に使える戦術を使うから試合を見てほしいって言われたわ」
「はぁ?!ど、どういう意味よ!?」
唯我に恋する桐絵からしたら、そんな風に新しい女子に優しくする唯我の行動に心中穏やかではいられなくなってしまう。
「どういう意味も何もそのままの意味よ」
「むむむ……」
桐絵の詰問に草壁は返事をするのが面倒と思いながらそう返すと、桐絵は不満そうな表情になる。
しかしそうこうしている間にも試合は動く。
出水が飛び上がると、着地する前に二条の光りが出水に向かって飛んでいく。モニターではイーグレットを持つ奈良坂と古寺が映っている。
しかし次の瞬間だった。出水は自身の周囲にシールドを二重に展開、両防御をする。
その結果、1枚目のシールドは割れ、2枚目のシールドにヒビが入ったが出水の身体には当たらなかった。
そして……
「ここで太刀川隊長と唯我隊員が方向転換!グラスホッパーを使って、奈良坂隊員と古寺隊員に突撃を仕掛ける!」
太刀川と唯我はグラスホッパーを使って狙撃手の元に向かう。
「なるほどね。出水先輩を餌に狙撃手を釣り上げたわけね。釣れなくても得をするからタチが悪いわね」
草壁は感心半分呆れ半分で頷く。
「どういう意味でしょうか?」
武富がそう呟くと桐絵が不機嫌そうなままだが口を開ける。
「狙撃手2人が狙撃をしないってのは出水に高台を譲るってことよ。出水が高台を取ったら、風間さんでも近寄るのが難しいと思うわ。まあ狙撃手の位置を知れて高台をゲット出来たから、太刀川隊は幸先が良いわね」
高台はステージの端の方にあるので高台に着いた隊員は後ろを気にしなくても大丈夫なので攻撃に余裕が出来るのだ。
「狙撃をするって選択肢は正しいけど、初見の戦術であるが故に三輪隊は一気に不利になったわね」
実際出水を高台に行かせないようにするのは間違ってはいないが、出水を餌に狙撃手2人は捕捉されてしまったのだ。
そしてこのやり方は……
(ウチにはピッタリの戦術ね)
草壁隊は機動力を使って守りが薄い所を狙うスタイルを得意としていて、当然守りが弱い狙撃手を狙う事はしょっちゅうある。
しかし今の太刀川隊の戦術は草壁隊からしたら使える戦術である。
エスクードを壁ではなく発射台にする事で機動力を上げ、合流を早める事も可能だし、何より早いうちから狙撃手を釣れるのはかなり大きい。
狙撃手を擁するチームからしたら厄介だろう。狙撃したら居場所がバレ、放置したら敵の作戦が成功するのだから。
(まだまだ面白い戦術が見れそうだから楽しみにしてるわよ、唯我先輩)
草壁は口元を僅かだが緩ませながら奈良坂を追いかける唯我を見るのであった。
(草壁ちゃん、微かに笑ってるけど……絶対尊を見て笑ってるわね。あぁもう!尊はどれだけ女子に興味を持たれてるのよぉっ!)
そんな草壁を見て、桐絵は内心イライラしながら地団駄を踏むのは言うまでもなかった。
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
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4人
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5人
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6人
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7人
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10人以上