唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第105話

奈良坂を捕捉した俺はグラスホッパーを使って距離を詰めにかかる。三輪隊のスタイルは三輪と米屋が連携で相手を削り狙撃手2人が仕留めるのが基本的だ。つまり狙撃手を殺せば三輪隊相手に有利を取れる。

 

もちろんそれだけで勝ちが決まるわけではないが、No.2狙撃手を見逃すなんて愚行は犯さない。

 

『風間さんも上の方じゃなくて奈良坂君の方に向かってるよ。距離から考えて尊君の方が若干早く奈良坂君に近寄れるから頑張って〜』

 

「風間さんがこっちに来るんですか?てっきり歌川達の方に向かうと思いました」

 

『多分奈良坂君を倒した後の尊君が怖いんじゃないかな?バッグワームを付けた尊君の奇襲は怖過ぎるし。もしくは尊君より早く奈良坂君を仕留めて、その後に尊君を仕留める算段かもね〜』

 

確かにそう思われても仕方ないな。

 

「了解です。他の様子はどうですか?」

 

『歌川君と菊地原君は出水君を落とすべく高台に向かってて、三輪君と米屋君は太刀川さんの方に向かっているよ〜』

 

だろうな。出水が高台にいたら厄介だから落とすのは当然だし、古寺が落ちたら太刀川がフリーになるから三輪と米屋が向かうのも当然だ。

 

太刀川の実力は本物だが、流石に3人がかりでは負けるだろうから古寺を早めに仕留めるべきだろう。

 

俺と奈良坂と風間は低層にいる。しかも奈良坂は狙撃ををしながらも更に低層に向かっている。

 

居場所が丸わかりな上、逃げながら撃ってきてるので弾は当たらないが逃げ方が厄介だ。

 

奈良坂を仕留める事は可能だが、仕留めた後は必然的に風間とのタイマンだ。

 

そして仮に風間に勝てても、他の連中は高層にいるので、近距離戦に特化した俺は太刀川達を援護するまで時間がかかってしまう。

 

そしてそれは風間も同じだ。風間が俺を倒しても他の戦場に向かう際は時間がかかるだろう。

 

(逃げ方も一流とは面倒だな)

 

まあ問題ない。既に奈良坂を仕留めるのは出来るだろうし、出水には俺が考えた作戦を全て教えたし、太刀川はどうとでもなる怪物だからな。

 

そう思いながら俺はグラスホッパーを再度展開して一気に距離を詰め……

 

『距離20!』

 

柚宇から通信が入った瞬間にリボルバー拳銃を展開して奈良坂に向けて2発発砲する。

 

対する奈良坂はバッグワームを解除して集中シールドを展開するが、放たれた弾丸はシールドを突き破り、奈良坂の肩と脇腹を穿つ。

 

1dayトーナメントでは射程距離を10メートルにしていたが、チーム戦だと乱戦とかにもなる可能性があるので弓場のリボルバー拳銃と同じで20メートルちょいにした。

 

しかし弓場と違ってバイパーは入れておらず、依然として合成弾の徹甲弾を入れているので火力は十分ある。

 

放った弾丸により奈良坂は崩れるも、足を止めてアイビスを展開する。せめて一矢報いるつもりが……

 

「させねーよ」

 

俺に向けようとするアイビスの軌道上にグラスホッパーを展開する。

 

それによりアイビスはグラスホッパーに当たり、その衝撃で奈良坂の手から離れて地面でバウンドしてしまう。

 

これにより奈良坂は手ぶらになる。俺はトドメを刺すべくリボルバー拳銃て発砲する。

 

しかし次の瞬間だった。

 

突如左側からブレードが飛んできたので後ろにジャンプして回避するが、奈良坂の方にもブレードが飛んでいて、俺が放った弾丸が奈良坂の心臓を貫いたタイミングでブレードが奈良坂の脳天に突き刺さった。

 

それに伴い奈良坂はベイルアウトするが……

 

「どっちですか?」

 

俺は近くの住宅地の屋根の上にいる風間を見ながら柚宇に連絡を入れる。

 

『風間さんの方がコンマ数秒早かったね』

 

柚宇の言葉に内心舌打ちをする。ギリギリで抜け駆けされたのは痛い。俺としては奈良坂を倒し、風間と相討ちする事を目標としていたからな。

 

(仕方ない。勝ちに行くか)

 

俺は左手にレイガストを構え、右手のリボルバー拳銃を風間に向ける。奈良坂は落ちて、古寺は太刀川が補足していて、他の連中は上層部にいるから援護も邪魔は一切ないのでタイマンだ。

 

そしてタイマンなら勝ち目はある。実力は風間の方が上だが、こっちは常に初見殺しの技を考案しているからな。それらを全部使って勝ちに行くつもりだ。

 

俺は戦意を滾らせながら出水に通信を行う。

 

「出水先輩。今から風間さんとタイマンするんで、例の作戦をする時はなるべく横方向にお願いします」

 

そう言ってから改めて風間を見据えると、上層からベイルアウトの光が確認出来るが、それを無視して風間に発砲した。

 

 

 

 

 

 

 

 

『出水先輩。今から風間さんとタイマンするんで、例の作戦をする時はなるべく横方向にお願いします』

 

「おー、了解了解」

 

出水は唯我からの通信に了解の返事をしながらも弾トリガーを、自分がいる高台に向かってくる歌川と菊地原に放つ。

 

対する2人は出水の射撃により移動速度は落ちているが、建物を盾に少しずつ距離を詰めている。

 

2人がかりで来られたら出水も勝てないが、出水に不安はなかった。

 

元々エスクードを発射台にする戦術を気に入った出水は試合前に唯我からアドバイスを受けたが、発想のえげつなさに頼もしさと恐ろしさを感じたくらいだ。

 

(アイツ本当に考える事がえげつないからな。その癖プライベートでは糞真面目で、無意識のうちにハーレムを築いてるからタチ悪いし、いつかマジで刺されるんじゃね?)

 

少なくとも自身のオペレーターである柚宇、玉狛支部のエースの桐絵、自分と同じくリアルタイムでバイパーの射線を引ける玲の3人は唯我に恋をしている。

 

加えて最近では正隊員を増やす為に草壁とも交流を深めているが、出水からしたら唯我の行動は規格外すぎるのだ。

 

実際ボーダー男子の間では唯我は最終的に何人の女を落とすか賭けが行われているくらいだ。

 

ちなみに出水は6人に賭けていて、太刀川は4人だ。他の連中も大体4人から6人の中から選んでいて、ギャンブラーの諏訪と堤はそれぞれ9人と10人に賭けている。

 

と、そこまで考えていると少し離れた場所でベイルアウトの光が確認出来る。

 

『太刀川さんが古寺君を落としたよ〜。けど三輪君と米屋君に捕まったね』

 

「あらら。ま、狙撃手を警戒しないで済むのはありがたいな」

 

狙撃手がいるのといないのではやり易さは全然違う。特に自分みたいに両攻撃を好む人間からしたら特に。

 

と、ここで歌川と菊地原の2人と自分との距離が30メートルを切る。

 

「頃合いだな……柚宇さん、歌川と菊地原の移動予測ルートをお願い」

 

弾丸を放ちながら柚宇に連絡する。

 

『ほ〜い。どっちに仕掛けるのかね?』

 

「歌川ですね。菊地原は俺が仕留めます」

 

出水がそう返すと、出水の視界に映る歌川と菊地原の近くに→が表示され、移動予測ルートがわかる。

 

そして2人の距離が20メートルを切ったタイミングで出水は両攻撃をやめて……

 

「じゃあな歌川、エスクード」

 

歌川が近くのアパートの屋根の上に乗った瞬間、出水は歌川の足元にエスクードを起動する。

 

「っ!え、エスクード?!」

 

ただしエスクードはアパートの屋根に垂直の向きではなく、横斜め向いていて、歌川は出水から見て右後ろ方向に飛んでいく。

 

歌川はグラスホッパーを入れてないのでエスクードの勢いに逆らえず、重力に従って落下するしかない。高さと距離から考えるに着地するまで1分弱かかるだろう。

 

しかも飛んだ先は誰もいない方向なので、何処の戦場に行くにしても数分は移動時間となり、出水自身がいる場所に戻るには3分近くかかる。

 

そして3分もあるなら充分である。

 

「さて、2点目貰うぜ菊地原」

 

「出水先輩、唯我先輩の悪辣さが感染ってますね」

 

出水は毒舌攻撃手の菊地原と一言だけ交わして、排除するべくキューブを展開するのだった。

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