唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

109 / 148
第107話

「な、何と!ここで唯我隊員、自らをエスクードで飛ばしてエリアオーバー!結果ベイルアウト扱いとなり風間隊長の得点にはなりません!」

 

観戦席には武富の驚愕の声が響き、他の観戦者も驚いている。

 

それは桐絵と草壁も同じだが、A級隊員ということもあり直ぐに落ち着きを取り戻す。

 

「今のは上手いわね。風間さんはあと一歩で尊を倒せたけど、尊は万が一の保険をかけてた。風間さんからしたらやるせないわね」

 

桐絵の言葉は事実である事は観戦者も同意する。あと一歩で倒せると思った相手がエスクードでエリアオーバーして、自分の得点にならないなんて凄くショックであろう。

 

「と、ここで風間隊長もベイルアウト!唯我隊員がベイルアウトした事で風間隊長の周囲60メートル以内には誰もいないのでベイルアウトが可能です」

 

「妥当な判断ね。風間さんは唯我先輩に軽くないダメージを受けてるし。今から上層に行こうとしても途中でトリオン露出過多になる可能性が高いわ」

 

草壁はそう言いながらも唯我の戦術を思い出す。今回の試合ではボーダーの人気の薄いエスクードが色々な方面で活躍したが、どの使い方も面白かった。

 

特に最初の狙撃手を釣った事、最後の敵から離脱する為に発射台として利用した事は面白い戦術と思ったので、解説が終わり次第チームメイトを集めて訓練させる気満々であった。

 

(わざわざ足を運んだ甲斐があったわね。確か唯我先輩は普段私にお世話になっているから、草壁隊が使えそうな戦術を見せてくれたんだったわね。ならもっと唯我先輩をお世話すれば他にも面白い戦術を見せてくれる可能性も……)

 

草壁はそんな事を考えながらモニターを見るが……

 

(また草壁ちゃんが笑ってる……絶対に尊関係だろうけど、尊はどんだけ草壁ちゃんと仲良くやってんのよ!)

 

桐絵はモニターよりも草壁を注視していた。恋する乙女からしたらライバルの追加は避けたいのだから。

 

 

 

 

 

 

ドサッ

 

背中に衝撃が走るのを自覚すると、作戦室に戻ってきた事がわかる。

 

俺は立ち上がりオペレータールームに向かう。

 

「尊君、お疲れ〜。点は取れなかったけど風間さんは自発的にベイルアウトしたからOKだよ」

 

柚宇はパソコンを操作しながらねぎらってくる。どうやら風間も自発的にベイルアウトしたようだ。

 

まあ残っていたらトリオン漏出過多で俺の点数になっていたかもしれないし、俺と戦っていた場所は他の戦闘員がいる場所から凄く離れていたからな。

 

 

なら充分だろう。現在俺と風間と菊地原と三輪隊狙撃手2人がベイルアウトして、残りの人数についてだが太刀川隊と三輪隊が2人で風間隊が1人で、点数については太刀川隊が2点で風間隊が1点で三輪隊が0点だ。

 

現状太刀川隊が有利だ。俺は落ちたが俺抜きでA級1位をキープ出来る太刀川隊が崩れるわけないし、1番厄介な風間もベイルアウトしているし、何より今現在出水がフリーだからな。

 

と、ここで出水から通信が入る。

 

『柚宇さん。俺フリーですけど太刀川さんの援護に行きますか?それともレーダーから消えた歌川を捜索に行った方がいいですか?』

 

「ふ〜む。尊君はどっちが良いと思うかね?」

 

「俺なら太刀川さんの援護ですね。その場合だとエスクードを米屋先輩の足元に展開して、出水先輩が威力重視のアステロイドで米屋先輩を殺せば良いです」

 

米屋はトリオン量が低いから自由に動けない空中で蜂の巣にすれば問題ないし、米屋と組んでない三輪なら太刀川が簡単に仕留められるからな。

 

『了解。ちなみに歌川はどうする?』

 

「レーダー反応がないという事はカメレオンを使ってないでしょうから、エスクードを使うときは開けた場所で使いましょう。漁夫の利として三輪隊を狙うかもしれないですが、その場合は放置で問題ありません」

 

『わかった』

 

漁夫の利を得たとしても太刀川に斬られるだろうから、歌川の得点は太刀川隊に入る。

 

そう思いながらもマップを見ると出水を太刀川に近寄っている。一方の太刀川は三輪と米屋相手に大立ち回りをしている。

 

実力は太刀川の方が数段上だが三輪と米屋は2人で太刀川を挟むような位置どりをして、更に三輪が鉛弾を撃っているので攻めあぐねている。実際鉛弾は絶対に食らってはいけないから仕方ない。

 

というか2対1で凌げてる太刀川が異常過ぎるわ。米屋の幻踊により多少トリオンが漏れているが、致命傷ではないし。

 

そこまで考えていると出水が米屋達との距離を50メートル近くまで縮め……

 

次の瞬間、米屋の足元にエスクードが展開されて空中に舞い上がる。

 

エスクードを出せる範囲は通常、自分から半径25メートル以内だがトリオン量が高い人間はそれよりも広範囲に展開出来る。

 

俺はトリオン量が平均以下なので毎回20メートル前後だが、出水は平均の倍近くのトリオンがあるので最大で50メートル以上先にも展開出来る。

 

要するに家越しでやられたら、家越し生駒旋空同様に凄く厄介だろう。

 

同時に三輪が上を見てしまうが太刀川の前でそれは悪手で、太刀川の上段斬りが襲いかかる。

 

三輪は弧月でガードするが、左手にはハンドガンがあるのでガードし切れずに近くの壁に叩きつけられる。

 

太刀川はトドメを刺すべく旋空を起動して、出水は宙に浮かぶ米屋に威力重視に調整したアステロイドを発射する。

 

 

と、その時だった。バッグワームで隠密行動をしていた歌川が物陰から出てきて三輪との距離を詰めてスコーピオンを振るった。

 

瞬間、3つの動きが起こった。

 

第1に歌川が三輪の首を刎ねた。

 

第2に太刀川の旋回によってリーチが拡張した弧月が歌川の胴を真っ二つにした。

 

第3に出水のアステロイドが米屋のシールドを突き破り、米屋を蜂の巣にした。

 

 

結果、3つの光が生まれて空へ舞い上がった。残っているのは太刀川と出水だが……

 

 

 

『ここで試合終了!太刀川隊には生存ボーナスとして2点が入るので、6対2対0で太刀川隊の勝利です!』

 

武富のアナウンスが流れる。ま、最初に狙撃手を釣れた時点で主導権を握れただろう。

 

「しかし俺が奈良坂先輩を倒してればと考えると悔しいですね」

 

そうすりゃ7対1対0だったし。

 

「まあ勝負は時の運だからね〜、尊君はよく頑張った」

 

柚宇はそう言うとヘッドホンとマイクを外してから立ち上がり俺に近寄ると、俺の顔を自身の胸に寄せてくる。

 

この上なく柔らかな感触が顔に伝わり恥ずかしい気分になっていると、柚宇は頭を撫で撫でしてくる。

 

「良し良し、尊君は良い子だね〜」

 

そんな風に甘やかしてくるが実年齢26歳の俺が10歳下の女子に甘やかされるって、俺が前世の姿なら完全にど変態扱いされそうだ。

 

「おいおい。帰っていきなり甘い空気を出すなよ?」

 

「ったく。この甘えん坊め」

 

 

 

そんな声が聞こえたので柚宇の胸から離れると、太刀川と出水がニヤニヤ笑いを浮かべていた。

 

マズい、このままだと今後ネタにされ「2人とも、写真を撮ってLINEで広めて良いよ〜」おぉい?!柚宇は何とんでもないことを言ってんだ?!

 

(まさかコイツ、この写真を広めて俺とはそういう関係って広めるつもりか?!)

 

既に柚宇から好意を持たれているのはわかる。何せキスをされたし、泊まりを望んでいたからな。

 

そんな中で、2人が撮った写真が広まれば間違いなく今以上に注目が集まる。

 

それだけなら兎も角、桐絵や玲に対する対応も考えないといけなくなる。

 

俺は2人が携帯を取り出す前に柚宇の胸から離れるが、柚宇の奴、恐ろしいことを考えてるな……

 

『さて、今回の試合はどうでしたか?』

 

『そうね。初動は……』

 

スピーカーから実況と解説の声が流れるが、精神的に疲れてしまったからか余り聞き取ることが出来なかった。

 

まあ大体予想はつくし、反省は後日にしよう……

 

 

俺は溜息を吐きながら不満そうにする柚宇を、太刀川と出水に笑われながら宥めるのであった。

 

 

ヒロインは何人まで希望?4人は確定

  • 4人
  • 5人
  • 6人
  • 7人
  • 10人以上
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。