唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
『10本勝負終了、勝者唯我尊』
そんなアナウンスが流れるとブースのベッドに戻ったのでモニターを確認する。
唯我⚪︎⚪︎✖︎⚪︎⚪︎✖︎⚪︎⚪︎✖︎⚪︎ 4460→4531
松代✖︎✖︎⚪︎✖︎✖︎⚪︎✖︎✖︎⚪︎✖︎ 5293→5222
(今の試合で71ポイント入ったので4500を超えている。これで4連勝だし順調だな)
太刀川から出された指示は個人ポイント6000以下の相手5人と戦う事。その際に必ず5本以上勝負をして3人以上倒したら、個人ポイント6000以上7000以下の相手に5人と同じ形式で勝負しろと言われた。
そんで今の松代で4連勝した。ちなみに4戦は……
第1試合 VS山田(弧月)個人ポイント5483 10勝0敗
第2試合 VS宇都宮(ハウンド:突撃銃)個人ポイント5082 8勝2敗
第3試合 VS茂手木(スコーピオン)個人ポイント5683 6勝4敗
第4試合 VS松代(アステロイド:突撃銃)個人ポイント5293 7勝3敗
って感じだ。この結果から見ると俺の実力は個人ポイント6000、もしくは若干上って所だろう。そう考えると作戦室で太刀川が言ったように個人ポイント6000以上7000以下の相手に勝つのは結構厳しいな。
(まあ今は次の一戦を考えないと……って対戦希望が来てるじゃねぇか。10本勝負で弧月の5141……コイツで良いか)
それを確認した承認ボタンを押す。誰だか知らないが今まで5000以上のポイント持ち相手に勝ち越してきたので多分大丈夫だろう。
そんな事を考えていると俺はランク戦のブースから仮想空間へと転送される。目の前には先程挑んできた男がいる。そういや名前を聞いてなかったな。まあ終わってから聞けば良いか。
すると俺はランク戦のブースから仮想空間へと転送される。そして目の前には……
(む、村上鋼だと?!)
予想以上の大物がいた。
村上鋼、原作の時期だとNo.4攻撃手である男。弧月とレイガストの二刀流で原作でも空閑遊真相手に勝ち越していて、強化睡眠記憶というぶっ飛んだサイドエフェクトを持っていて、作中で玉狛第二にとって大きな障害となった男だ。
(そういやコイツ、この身体の本来の持ち主と同期だったな)
マジで面倒だな。前世でB級ランク戦を読んでいたら、村上強いと何度も思ったくらいだし、こりゃ負け……ん?
(待てよ。良く考えてみれば俺のランク戦デビューは今日だし、俺の動きは学習されてないんじゃね?)
村上鋼のサイドエフェクトの強化睡眠記憶は簡単に言うと学習能力が高いというサイドエフェクト。普通の人間は毎日勉強や訓練をする事で少しずつ経験を積むが、彼の場合一眠りするだけで100パーセント経験に反映出来るチート能力だ。
しかし俺は今日初めてランク戦をしたので、1時間前までは俺のデータは存在していない。彼が俺にランク戦を申し込む前に寝ていたなら俺の技を学習されているかもしれないが、今はお昼だし学習されてないだろう。
それならまだ勝ち目はある。一応初見殺しの技はある程度持っているし。
(とはいえ油断は出来ない。幾ら俺の技を知っていなくても奴は入隊してから相当学習してるだろうし)
なんせ俺ーーーというか唯我尊や彼が入隊して1ヶ月経過している。それはつまり最低30回彼のサイドエフェクトが発動している事を意味している。それだけ発動しているなら基礎技術も高いだろう。
そこまで考えていると……
『対戦ステージ市街地A、個人ランク戦10本勝負、開始』
試合開始の合図のアナウンスが流れる。同時に村上は右手に弧月、左手にレイガストを構えて、即座に距離を詰めてくる。この速さ……未来のNo.4攻撃手だけあって入隊して1ヶ月とは思えない。
が、こっちは太刀川相手に1000回以上ボコボコにされたので見切れない速さじゃない。
俺は弧月による袈裟斬りを身を屈めることで回避して右手にアステロイドを顕現して分割しないでぶっ放す。狙いは村上の足だ。頭や首を狙ってもレイガストで防がれるのはオチだ。
しかし彼は俺がぶっ放した直後にレイガストの面積を広くしてアステロイドを防ぎ……
「スラスター、起動」
冷静な声と共にレイガスト専用のオプショントリガーであるスラスターを起動して俺をぶっ飛ばす。シールドモードによるスラスターなのでトリオン体にダメージはないが俺の身体は近くにある壁に叩きつけられる。
すると村上はレイガストを前方に構えながらこちらに突っ込んでくる。普通の状態なら見切れる速さだが体勢を崩しているからかその速さは尋常じゃないように感じる。
だから俺は回避するのではなく、奴を近寄らせない戦法を取る。
「グラスホッパー!」
俺はそう呟きながら、俺と村上の間に大量に分割したグラスホッパーを設置する。すると村上は動きを緩める。それを確認した俺は間髪入れずにメテオラを起動して爆発の規模を最優先して分割しないてぶっ放す。
すると俺と村上の間にて爆発が生じるので、グラスホッパーを起動して住宅地の屋根の上に飛んで爆風に向けてアステロイドを威力と弾速を重視して放つ。
すると暫くして爆風の中から村上が出てくる。見れば無傷。その事から当てずっぽうで放った弾丸は外れたか防がれたのだろう。
(しっかし……原作を読んでいた時から思っていたが強いな……)
離れて射撃をしても簡単に防がれたり避けされるだろうし、近寄って弧月を振るってきた際にカウンター射撃をしようとしてもさっきのようにレイガストで防がれてスラスターによって吹っ飛ばれる可能性もある。
というかレイガストが不人気って信じられねぇ。普通に便利じゃねぇか。硬いし、スラスターを使えば相手の体勢を崩せるし、攻撃力が弧月やスコーピオンに劣っているのは事実だが人気がないのは解せぬ。
閑話休題……
しかしマジでどう攻めようか?
さっきはグラスホッパーとメテオラを使って逃げれたが、向こうもいずれ慣れて対応してくるだろう。特に後日に戦う時とかはサイドエフェクトの恩恵で完封されてもおかしくない。
(やはりレイガストをどうにかして引き剥がさないとな)
アレを引き剥がさない限りこっちに勝ち目はないだろう。レイガストが壊れるまで弾丸を叩き込むのも考えたが、原作で熊谷がそれをやって返り討ちに遭ったから余りやりたくない。というか向こうが一回破棄して新しいレイガストを作ったら意味ないし。
そうなるとやるべき事は一つ。距離を詰めてレイガストを奪う。
方針を決めた俺はグラスホッパーを起動して村上との距離を詰めながらメテオラを放つ。対する村上はレイガストを掲げてメテオラを防ぎながらカウンターの構えを見せる。
勝負は一瞬、油断したら負けは確実。俺は村上との距離を3メートル以内になった瞬間にグラスホッパーの使用をやめて走りながら右手にアステロイドを顕現して放つ。狙いはぶち抜けば勝ちを意味する箇所である頭だ。
すると村上はレイガストを上げて全て防ぐ。レイガストにはヒビ一つ生じなかったが予想の範囲内だ。
俺は村上との距離を更に詰めて足払いをかける。勿論武器を使った訳ではないので村上の足を吹き飛ばすのは無理だが、それだけで十分だ。
その隙に俺は右手にアステロイドを顕現して、レイガストを持つ村上の左手に向ける。片腕さえ落とせればこっちが有利になる。
しかし……
「アステロイド!」
「スラスター、起動」
俺がアステロイドを放つ瞬間、村上は体勢を崩しながらも再度スラスターを使用する。その結果、村上の左手を落とせたが再度レイガストによって吹っ飛ばされて壁に叩きつけられる。体勢を崩しながらも冷静に反撃するとは予想外過ぎるわ。どうやらこいつはサイドエフェクト抜きでもポテンシャルが高いようだ。
しかしここで追撃を受けたら負けるし、諦めるつもりはない。俺はレイガストを払いのけながら、こちらに向かって走ってくる村上と同じように走り、彼との距離を詰めにかかる。
片手を落としてレイガストは使えなくなってもシールドは使えるから中距離から火力で押す戦法は効果が薄いだろうし、近距離で多角的な攻めで仕留める……
だから俺は村上の上段斬りを回避して、アステロイドを起動する。すると向こうはアステロイドの間近にシールドを顕現するので、アステロイドを消して再度足払いを仕掛ける。
しかし向こう先程食らったばかりだからかバックステップをして回避する。だからと言って簡単に回避するとは……対応が早い。
内心舌打ちしていると村上は再度距離を詰めて弧月を振るってくる。ただし俺の足払いやカウンターを警戒してからか大振りによる一撃ではなく、小振りによる連撃をしてくる。
俺は今まで太刀川と何百と模擬戦をしてきたが、太刀川は大振りによる高威力の一撃が多かった。まあ実力差があり過ぎて小細工をするまでも無かったのだろうけど。
まあそれはともかく小振りによる連撃については殆ど受けた事がないので避けにくい。一応頭や首や心臓は守っているが腕や腹に弧月が掠ってトリオンが少しだが漏れでる。
そしてこっちが弾丸を撃とうとしたらトリオンキューブの間近にシールドを顕現してくる。これじゃあアステロイドは防がれるし、メテオラは撃ったらこっちが爆発してしまうから撃てない。このままだとジリ貧になって負けてしまう
……仕方ない。今はとりあえず我慢だ。
そこまで考えた俺はメイントリガーのシールドを前方に展開して弧月を防ぐ。すると村上は即座に弧月を引いて違う方向から振るってくるので今度はサブトリガーのシールドを展開してそれを防ぐ。
俺が弧月による攻撃を2回防いだからか村上は一瞬だけ眉を顰めるも直ぐに何度も斬りかかってくるので同じようにメインとサブのシールドで身体を守る。
それによってシールドが割れて俺の身体に弧月が掠る事もあるが、直ぐにバックステップで距離を取りながら新しいシールドを展開する。
すると村上は距離を詰めて再度連撃をしてくるのでまだ防御を続ける。
(耐えろ。相手が苛立つまでは我慢だ……)
我慢は好きじゃないが無理に攻めたら負けに繋がる。一応グラスホッパーを使えば他にも攻め手はあるが、それだけで戦う訳にはいかない。
ランク戦の本質はポイントを増やす事ではなく、あくまで実戦経験の中で自分を鍛える事だ。今ここで安易な戦術に逃げたら成長は出来ない。我慢と捌きを覚える為、更に成長する為にも今から方針を変えるつもりはない。
そう思いながら俺はシールドを何度も展開し続ける。
それから暫くどのくらい村上の攻撃を捌いたかはわからなくなってきた時だった。
(来た!)
遂に村上もしびれを切らしたようだ。いつもより弧月を大きく振りかぶる。
「ふっ!」
そして大きな一撃を振るってきてそれによって展開したシールドは2枚とも破壊されるが……
「それを待ってたんだよ……!」
次の瞬間、俺は身を屈めて袈裟斬りを回避すると地を這うように村上との距離を詰めて、村上の腹に手を当てて……
「アステロイド」
そのまま村上の腹に風穴を開ける。すると風穴からヒビが生まれ、そのまま全身に広がっていき、やがて村上のトリオン体は爆散して空へ飛んで行った。
同時に俺の身体は光に包まれてブースに戻る。
(とりあえず一勝だが、今までで一番疲れたな)
しかもかなりギリギリだったし。こんな試合が後9戦あると考えると頭が痛くなってくる。
でも試合を放棄したら第三者からの評価が下がるし頑張るか……
内心ため息を吐いていると身体が光に包まれて仮想空間に転送される。同時に正面には村上が現れるがさっきまでと特に表情に変化はない。
それがまた厄介だ。今まで戦ってきた連中は俺に負けると次の試合で大小差はあれど必ず冷静さを失っていたし。しかし村上を見る限り冷静さを保っている。これは崩すのが難しそうだ。
そう思いながら俺は右手にアステロイドを顕現しながら策を練るのだった。
ヒロインは何人まで希望?4人は確定
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4人
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6人
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7人
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10人以上