唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第108話

「はぁ、疲れた……」

 

ランク戦も終わり解散となったが柚宇を宥めたり、太刀川と出水にからかわれたりと精神的に疲れてながら廊下を歩く。

 

まだ昼過ぎであるが、今日は帰ってゆっくりしよう。草壁との打ち合わせは夜にして貰えばいいか。

 

俺は草壁にその事をメールで送り、食堂に行こうとしたら向かい側から風間隊の4人がやってくる。

 

「げっ、唯我」

 

「おい」

 

 

菊地原が嫌そうな表情を浮かべて毒づき、歌川は嗜める。これについては日常茶飯事だから気にしない。

 

「お疲れ様です」

 

「ああ。今回はしてやられたぞ」

 

風間はそう返すが特に怒りの色は見えないが、この辺りは香取とは違うな。アイツが俺と戦うと喚くかもぎゃるかのどっちかだし。

 

「それはどうも。しかし風間さんもグラスホッパーを追加したんですね」

 

あの時風間がグラスホッパーを入れてなかったら俺が勝っていただろう。グラスホッパー抜きだと空中で大きく動くのは出来ないし。

 

「お前が罠に嵌めようとした時に備えて用意した。それよりも聞きたいが、今回の試合、太刀川隊は草壁隊に協力する為か?」

 

まあそう思われても仕方ないな。今回の試合では太刀川がバッグワームを使ったり、出水が誰かと合流しなかったりと本来の太刀川隊とはかけ離れた戦術だからな。

 

「太刀川隊が草壁隊にというより、俺が草壁の力になりたいと思い他の3人に頼んだのが正確ですね。最近草壁には借りが出来まくりでしたので」

 

「だからって他所の部隊を強くするなんて馬鹿じゃないの?」

 

「良いんだよ。確かに他所の部隊が強くなったらランク戦では不利になるが、大規模侵攻では頼りになるだろ」

 

菊地原の呆れ顔にそう返す。

 

「なるほどな。今回で言うとエスクードの新しい使い方は合流手段として使えるだろう」

 

実際エスクードは便利だ。トリオンの消費はそこそこあるが、カタパルトにすれば合流に便利だ。冬島のワープが1番便利だが、基地や冬島のトリオンはトラップに回した方が良いだろう。

 

加えてアフトクラトル遠征部隊隊長のハイレインとも相性が良い。ハイレインの持つ黒トリガー「卵の冠」はトリオンをキューブに変える力を持つ生物弾を操るチートトリガーだが、トリオンにしか効かない。

 

つまりシールドやレイガストをぶつけるやり方は通用しないが、実体化するエスクードをぶつけるやり方は通用する。

 

よってハイレインの近くにある壁やハイレインの足元からエスクードを生やして吹っ飛ばせば、不意打ちによりチートな生物弾からハイレインを引き離せる可能性はある。

 

そこで出水や二宮、狙撃手あたりがハイレインが新しく生物弾を生む前に潰せれば、勝てるだろう。

 

まあミラやラービットの存在があるから簡単に行くとは思わないが、可能性がある以上やってみるのも悪くない。早くハイレインを落とせれば向こうも撤退するだろうからな。

 

「まあそうですね。そんな訳で今回は草壁の為に新しいカードを切りましたが、今後もカードを切る予定ですよ」

 

「そうなんだ。まあ唯我君の戦術って独特のものが多いし、ボーダーの役には立つかもね」

 

オペレーターの三上がそう言って頷くが仕草がメチャクチャ可愛い。

 

草壁との関係がある程度進んだら三上にもアプローチを仕掛けたい気持ちはあるが、予定としては三上より先に綾辻とコンタクトを取ると決めてるので今はどうこうするつもりはない。

 

「ありがとうございます」

 

「それとユニークな作戦を立てるのは良いが、動きが硬い箇所もあったから直しておけ」

 

風間にそう指摘されるので頷く。確かに俺の動きはまだ硬い。実際俺がそこそこ勝ち星を挙げているのは初見殺しの戦術と威力特化のリボルバー拳銃があるからであり、俺自身の技術はB級中位レベルだと思う。技術や判断力を今以上に上げれば、勝率は更に上がるだろう。

 

「そう、ですね。最近はサボってた訳じゃないですが、作戦の実験にリソースを集中して基礎練が疎かになってました」

 

幾ら作戦が渋くても、それを実行する腕が無ければ机上の空論でしかない。

 

「わかっているとは思うが銃手は地味な反復練習が重要だから疎かにはするな」

 

「はい。ありがとうございました。いつか真っ向勝負でも勝たせて貰います」

 

「はぁ?風間さんに真っ向勝負で勝つなんて10年早いよ。次は僕が倒すから」

 

「そこで挑発するな。済まないな唯我」

 

菊地原がそう言って歌川が謝ってくるが、別に気にする必要はない。

 

「特に気にしてないから気にするな。では俺はこれで失礼します」

 

腹が減ったが、そろそろ行かないと混雑しそうだからな。

 

俺は風間隊に一礼してから食堂に向かう。少し訓練したくなったが、先ずは腹ごしらえだ。

 

そう思っていると……

 

「尊!」

 

背後からアニメ声、桐絵の声が聞こえてきたので振り返ると案の定、桐絵が走ってきて俺にギュッと抱きついてくる。

 

「えへへ……やっぱり尊の温もり、気持ちいいわ」

 

そう言ってスリスリしてくる。甘えん坊な桐絵を見ていると癒されるが、第三者に見られたら面倒だから離して欲しい。幸い誰にも見られてないが廊下にいるし。

 

「そうですか。桐絵先輩は解説お疲れ様でした」

 

「あっ!解説で思いだしたけど、アンタどんだけ草壁ちゃんと仲良くなってんのよ!」

 

桐絵は離れてからビシッと指を突きつけてくるが……草壁と仲良く?

 

「いや。話はしますが特に仲良くなってはいないと思いますが」

 

嫌われてはないと思うが、好かれていると思わない。好感度を100点満点のテストに例えたら50点から55点くらいだと思う。

 

「でも解説してるときに尊のことを見て、小さく笑ってたわよ!」

 

マジで?それ凄く見たいんだけど。まあ音声は武富が持ってるかもしれないが、解説者の顔は見れないだろうから諦めよう。

 

「そうなんですか?しかし俺は好かれていると思いませんし、桐絵先輩との方が仲良くなっていると思いますが」

 

何せ一緒に風呂に入ったり、2回もキスをされたからな。

 

そう返すと桐絵は真っ赤になって頷く。

 

「と、当然じゃない!尊はあたしが居ないとダメなんだから!」

 

ツンデレのようなセリフを言う桐絵を見ると幸せな気分になってくる。やっぱり桐絵は可愛いなぁ。

 

「そうかもしれないですね。ところで桐絵先輩は俺に用事ですか?」

 

「あ、うん。歩く方向からして食堂に行くと思うけど、ご飯食べたらあたしの家に遊びに来ない?ほら、試合終わったしお疲れ会って事で」

 

そんな風に桐絵は若干恥ずかしそうに尋ねてくる。そんな魅力的な誘いに「尊君」っと、次の瞬間、横から柔らかな感触が伝わってくる。

 

「お疲れ様尊君。点は取れなかったけど頑張ったわね」

 

そう言って微笑んでくるのは玲で俺に抱きついて甘えてくる。

 

「ちょっと玲ちゃん、なにしてんのよ?!」

 

横から俺に抱きついてきた玲に桐絵は怒り玲を俺から引き離す。そんな桐絵に対して玲は涼しい表情を浮かべる。

 

「桐絵ちゃんも尊君に会った時に抱きついたんじゃないの?」

 

玲の問いに桐絵はバツの悪そうな表情になる。

 

「ま、まあそうだけど……」

 

「やっぱりね。まあ私もやったからお互い様だけど。それより尊君。尊君さえ良ければ、ランク戦について話したいから私の家に来て欲しいわ」

 

言いながら玲は俺の左腕に抱きついてくる。すると桐絵は負けじと右腕に抱きついてくる。

 

「ちょっと待ちなさいよ!尊はあたしの家に誘ってる途中なんだか抜け駆けしない!」

 

「あら?誘ってる途中ならまだ了解が出てないから問題ないわ。尊君、私に付き合ってくれない?」

 

「あ、あたしに付き合いなさいよ!」

 

言いながら2人を左右から俺を引っ張る。トリオン体だから痛くないし、美少女が俺を求めて争っていることを考えると役得な気分となる。

 

しかし……

 

 

 

 

 

 

 

「「あたしを選びなさいよ、尊!(私を選んで欲しいわ、尊君)」」

 

廊下で堂々と揉めるのは勘弁してください。大分注目が集まってきたんで。

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