唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第112話

8月29日の夜

 

俺は今自宅の豪邸……ではなく、とあるアパートの一室にて作業着を着ている男性3人の作業を眺めている。

 

これは実家から持ち出した荷物を引越し業者が一人暮らし用のアパートに運び込むのを立ち会っているのだ。夏なのに本当にご苦労様だ。

 

そして1番歳上と思われる男性がアリのマークが描かれたダンボールを地面に置くと俺を見てくる。

 

「荷物は以上になります」

 

「ありがとうございます。良かったらこれどうぞ」

 

言いながら俺はさっき買ったばかりでキンキンに冷えたお茶を渡す。仕事とはいえこんな暑い夜にわざわざ荷物を運んでくれたのだから、これくらいは当然だ。

 

「あ、どうもありがとうございます」

 

「「ありがとうございます!」」

 

引越し業者から嬉しそうに礼を貰う。俺も学生時代に引越しのバイトをやったが、夏に客から飲み物やアイスを貰った際は嬉しかったんだよなぁ。

 

そんな事を思いながらも業者と話を済ませて、業者が帰るのを見送る。

 

トラックが見えなくなった後、俺は自室に戻ってリビングに寝転がる。

 

「今日からここが俺の城か……」

 

借りた部屋は和室付きの1LDKの部屋だ。家賃は月に7万5千と三門市のなかではそこそこの値段の物件だ。

 

駅からは遠いがボーダー基地からは遠くないし、俺的には不満はない。ぶっちゃけ三門市の外に行くより三門市で玲達と過ごす方が楽しいし。

 

初めは洋室付きの1LDKにしようと思ったが、ベッドだと複数の女子と一緒に寝た際に落ちてしまう可能性があるから、和室で布団を使うことにしたのだ。

 

(何にせよ今日はもう遅いしシャワーだけ浴びて寝るか)

 

既に布団だけは買ってあるので和室に敷けば直ぐに眠れる。

 

明日は朝から防衛任務、午後1番には開発室に足を運ぶので荷物の整理は夕方になってからだ。その際に柚宇が来て泊まる予定だ。

 

柚宇は既に俺にキスをするくらいだし、可能なら桐絵の時みたいに一緒に風呂に入りたいものだ。ぶっちゃけ柚宇のダイナマイトボディには抱きつかれるたびに興味を抱いてしまうからな。

 

俺はそのままシャワーを浴びてから上下下着のまま和室に行き、布団を敷いて眠りにつくのであった。

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

「なぁ唯我。もう部屋は借りたのか?」

 

防衛任務中に出水が話しかけてくる。防衛任務が始まって1時間だが、今日はトリオン兵が全然来ないのでかなり暇だ。

 

「借りましたよ。こんな感じの部屋です」

 

言いながら俺は携帯を取り出して出水に写真を見せる。元々柚宇に見せるつもりで撮ったものだ。

 

「へぇ〜、悪くはないけどお前ならもっとデカい部屋を借りれたんじゃないか?」

 

「実家は広過ぎましたからね。それに一人暮らしなら部屋はそこまで大きくなくて大丈夫です」

 

それに和室の部屋はそこそこ広いので自分以外に5、6人の人は入れるだろうから問題ない。

 

俺からすれば女子が5、6人入れる部屋なら不満はない。寧ろ広くない方が密着する建前が生まれるしな。

 

「ま、俺からしたら偶に風間さんから逃げる際の隠れ家として頼りにするからな?」

 

太刀川は笑いながらそう口にするが、それは無理な話だ。

 

何故なら借りる家を契約してから住所の変更を上層部に伝えたら本部長とメディア室長に加えて風間までもが、太刀川がレポート関係の理由で俺の家に避難したら即座に連絡しろと釘を刺されたからだ。

 

まあそれは仕方ない。太刀川は皆から協力を得ないと碌に単位を稼げないほど頭が悪い。そんな中で逃げ出したりしたら単位が危ない。

 

しかも太刀川はA級1位の隊長であるので三門市民から認知されているが、仮に留年したら……

 

 

 

 

ーーーボーダー最強部隊隊長の太刀川慶さんが大学で留年したとの噂ですが、それは誠でしょうか?ーーー

 

ーーー幾ら市民を守る為とはいえ、学生の本分である勉学を疎かにするのはどうなのでしょうか?ーーー

 

ーーー防衛体制について、もう少し学業を優先するようにするは可能ですか?ーーー

 

記者の容赦ない質問に上層部の胃に穴が生まれそうだな、うん。

 

ついでに言うとスポンサーの唯我グループにもダメージがあるだろう。表向きだが俺の親が運営しているグループにダメージが生まれそうなトラブルは潰した方がいい。一応こっちの世界に来てからは世話になっているしな。

 

ともあれ仮に太刀川がウチに逃げてきたら即座に本部長に通報するつもりだ。太刀川の場合、ペンより剣を持ってる方が合ってるし、迅と一緒に実力派無職コンビを組め。

 

そんなアホな事を考えながらも俺達はトリオン兵が来るのを待つが、結果的に数体来ただけで交代の時間となってしまったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

「おっ、唯我君。またトリガーの改造かい?」

 

防衛任務を終えて、俺は開発室に向かうと寺島に迎えられる。何だかんだ俺はトリガーの調整に足を運んでいるので緊張は無くなった。

 

「それもありますが、話があってきました。単刀直入に聞きますが、五感に悪影響を与えるトリガーって作れますかね?」

 

すると寺島は興味深そうに見てくる。

 

「それってモン○ンで言う所のこやし玉と音爆弾みたいな?」

 

「ええ。トリオン制御を重視する相手、ボーダーで言うなら出水先輩とか玲さんには相性が良さそうですし」

 

アフトクラトルの近界民ならハイレイン、ガロプラの近界民ならラタリコフあたりの使うトリガーはトリオン操作能力が重要だが、外的要因でトリオン制御能力を下げれば戦闘が優位に運べる可能性はある。

 

「なるほどね。五感に干渉するトリガーって発想は無かった。後の定例ミーティングで話してみるよ」

 

今はそれで充分だ。やろうとしているなら今後において無駄になる事はないだろう。

 

「とはいえ前例がないし、この話の続きは後日だね。トリガー改造の方の話も聞こうか」

 

「あ、はい。それなんですが、エスクードの展開速度と展開範囲を増やせないですかね?」

 

エスクードを利用したカタパルトは便利だが、今後は向こうも使ってくる可能性がある。エスクードの使い手がぶつかったら勝敗を決めるのは使用者の技術とトリガーの性能だ。

 

技術を上げるのは当然だが、カタパルトの性能を上げるのも大切だからな。

 

「可能だけど、その場合耐久力を落とす事になるよ?」

 

「構いません。ぶっちゃけエスクードって視界が遮られますし、防御には向いてませんから」

 

寧ろ移動制限やカタパルトに使用する方が遥かにお得だ。

 

「まあクライアントの要望には応えるよ。けど本来の使い方をして貰えないのはエンジニアとして複雑だなぁ。いや、新しい使い方を模索してくれるのは嬉しいけどさ」

 

寺島はそう言ってくる。まあ確かに俺の場合、オプショントリガーを使う場合、本来とは違う使い方をするパターンが多い。

 

エスクードもそうだが、自身の身を守る為に使うシールドを相手の腕や足にぶつけて移動や攻撃の妨げに使ったり、自身の移動能力向上の為に使うグラスホッパーを瓦礫を射出して相手をぶつける為に使ったり……うん。確かにエンジニアからしたら複雑な気持ちだな。

 

しかしこればかりは引くつもりはない。重要なのは勝つことであり、過程についてはさして重要ではないからな。

 

 

 

そう思いながらも俺は最終的にエスクードの耐久性を本来の半分にして、展開速度を上げて展開範囲を25メートルから40メートルまで向上させるのであった。

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