唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第116話

「ん、ん〜、もう朝か〜」

 

国近柚宇は朝の日差しを浴びたことにより目を覚ます。しかし直ぐに自分の想い人の唯我尊の姿をした男、神城竜賀と抱き合っている事に気付く。

 

「えへへ〜、おはよう。竜賀さん」

 

ちゅっ

 

柚宇は一瞬で幸せな気分になり、寝ている竜賀の唇にキスをする。既に何回もキスをしているので特に恥じらいの感情は生まれない。

 

一方の竜賀は目を覚まさないが、柚宇から離れる気配を見せずガッシリと抱きついている。

 

「幸せだなぁ〜」

 

柚宇は幸せな気分のまま竜賀の寝顔を見る。竜賀の存在を知った時は驚いたが、唯我尊が入隊したばかりの頃にやってきた事、何度も助けて貰った事もあり、特に嫌悪感は持たず、恋心はハッキリとしていた。

 

ただ不満があるとすれば子供扱いして女として見て貰えてない可能性がある事とライバルが多い事だ。

 

前者については実質的な年齢差は10近いので仕方ない。昨日告白をして、自分の気持ちは知って貰えた筈だからアプローチを続けて女として見てもらえるように頑張るだけだ。

 

後者については自分ではどうしようもがないが文句を言いたくなってしまう。桐絵や玲は強敵だし、最近は草壁とも仲良くしている。これに加えて綾辻や三上とも仲良くなったら……と考えている柚宇は竜賀がボーダーにいる時はフラグを立てないからハラハラしてしまっている。

 

(絶対に負けないから……)

 

柚宇は未だに眠っている竜賀を強く抱きしめながらそう決心するのであった。

 

 

 

 

 

 

「んっ……ふぁ〜」

 

「あ、おはよう竜賀さん」

 

目を覚ますとノンビリした声が聞こえてきて、身体が動かないことに気付く。そして直ぐに柚宇が抱きつきながら微笑んでいる事にも気付く。

 

目覚めた瞬間に柚宇から微笑みを向けられるなんて今日は朝から幸せだな。

 

「おはよう柚宇。よく眠れたか?」

 

「うん。竜賀さんと一緒だったから」

 

そんな風に男が喜ぶ事を口にする。柚宇の性格的に狙っているとは思えないのである意味タチが悪いな……

 

ちょっとお返しをしよう。

 

「俺はいつもよりよく眠れたが、多分柚宇の温もりが気持ち良かったからだと思う。ありがとな柚宇」

 

言いながら柚宇の頭を撫でて優しく抱きしめる。これまでの柚宇との付き合いから考えるに、これくらいしても問題ないだろう。

 

「ふぇっ?!は、恥ずかしいこと言わないでよ〜!」

 

そんな風に文句を言ってくるが口元がふにゃふにゃに緩んでいて怒っているようには見えないな。

 

俺はぷりぷりする柚宇に癒されながらも優しく宥めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間半後……

 

「じゃあ俺は草壁と打ち合わせがあるから」

 

起床してから朝食を食べた俺達はボーダー基地にいる。俺は草壁との話し合いがあるからで、柚宇は特に目的はないが草壁との話し合いが終わってからまた遊びたいからと基地への動向を求めたのだ。

 

「うん。けどエッチなことはしないでね?」

 

「しねぇよ。お前は俺をどう思ってんだよ?」

 

「草壁ちゃんに押し倒されて頬にキスされた人。まあアレは事故だけどさ、好きな人が他の女子といたら良い気分はしないからね」

 

まあそうだろうな。柚宇は普段はおっとりしてるが結構嫉妬深いところもあるし。

 

「まあ前から約束してた事みたいだし邪魔はしないけど……終わったら遊ぼうね……んっ」

 

柚宇はそう言ってから周りに誰もいない事を確認するとそっとキスをして、去って行く。

 

「ったく、アイツは……」

 

周りに人がいないのは事実だがボーダー基地でキスをするのは勘弁して欲しいな……まあ嬉しいけど。

 

そう思いながらも集合場所の食堂に向かうと、その途中で草壁が曲がり角からやってくる。ただオペレーター服ではなく白い涼しげなワンピースを着ている。強気な草壁が清楚な服を着ているのは良いな。

 

「よう草壁。偶然だな」

 

「そうね。唯我先輩は個人ランク戦上がり?」

 

「いや、今さっき基地に来たばかりだ。それよか面白い案はあったか?」

 

「面白いかはわからないけど、色々試してみたいことはあるわ」

 

そう思いながらも食堂に向かうが……

 

「満席だな」

 

100人以上のキャパの食堂だが満席だった。周りを見れば勉強道具を広げているC級隊員が多く、隅っこでは米屋と仁礼と小佐野が三輪や宇佐美に睨まれながらペンを動かしている。

 

その事から察するに……

 

「今更夏休みの宿題に取り組むなんて遅過ぎるわ」

 

呆れている草壁の言う通り、夏休みの宿題に追われているのだろう。あんなもん放置したら面倒だから速攻で片付ける方が楽なのに……

 

「違う場所で話すか」

 

「そうね。どこで話す?」

 

「じゃあ屋上はどうだ?あそこは人居ないし」

 

作戦室だと柚宇が不機嫌になりそうだからな。草壁隊の作戦室でも良いが、可能なら2人きりで過ごしたいし。

 

「別にいいわよ。じゃあ行きましょ」

 

草壁は特に不満はないのか歩き出すので、それに続く。そして廊下を歩いていると曲がり角と人とぶつかってしまう。その際に俺のものじゃないスマホが宙に浮かぶので慌ててキャッチする。

 

「っと……綾辻先輩でしたか。申し訳ありません」

 

「あ、ううん。こっちこそごめんね唯我君。後キャッチしてくれてありがとう」

 

そんな風に会釈するのは嵐山隊のオペレーターの綾辻遥。ボーダーでもトップクラスのルックスを持ち、いずれ口説き落とす予定である。

 

しかし綾辻を落とすのはかなり至難だろう。広報活動を行っているのでこっちの下心には敏感かもしれないからな。

 

とはいえ偶然出会えたのだから今後に備えて布石を打っておこう。

 

「いえ。それとA級昇格権の入手、おめでとうございます」

 

嵐山隊は今シーズンでB級1位になりA級昇格権を得た。9月に行われる昇格試験で受かればA級になるので正念場だろう。

 

「ありがとう。漸くここまで来たし頑張らないとね」

 

握り拳を作る綾辻だが、それだけの仕草で癒されるなぁ。

 

「それで?挑むのはA級下位の私の部隊?それともいきなり頂点に挑むの?」

 

草壁がそんな質問をするが、実際どこの部隊に挑むんだ?可能性があるなら下位にいる草壁隊や片桐隊あたりだが、相性もあるからな。

 

「いくつか候補はあるけど、まだ決めてないかな。ただ太刀川隊には挑まないつもり」

 

「ま、そうよね。最強の攻撃手に最優の射手、最悪の謀略家がいるチームと戦うわけないわね」

 

「待て草壁。その呼び方はやめろ」

 

なんだ最悪の謀略家って?前2人の呼び方に比べて酷過ぎだろ?

 

「事実じゃない。単純な実力なら太刀川さんや出水先輩の方が強いけど、唯我先輩は太刀川隊で1番厄介と私は思ってるわ」

 

草壁は呆れながらそう言ってくるが、A級の隊長にそう言われるなら悪い気はしないな。

 

「まあ唯我君の戦い方はトリッキーだからね。勉強にはなると思うよ」

 

綾辻は苦笑いをしながらもフォローを入れてくれる。

 

「ありがとうございます。他の人の役に立てるのなら嬉しいです」

 

「あ、それと唯我君達ってC級にも指導をするって予定だよね。佐鳥君がツインスナイプを指導したいって言ってたけど、出来るかな?」

 

綾辻がそんなことを言ってくる。確かにC級に指導員を付けるのは最優先事項である。

 

「佐鳥先輩の特殊な狙撃は便利かもしれないけど、バッグワーム抜きなんてリスクが大きいわ」

 

草壁がそう言ってくる。確かに佐鳥のツインスナイプはギャグ要素が強いが、離れた場所に2発狙撃出来るのは便利である。

 

しかし草壁の言うようにバッグワームを使えないのは狙撃手として痛い。よって対人戦より対トリオン兵に使うべきだろう。

 

「まあ佐鳥が理論、しっかり学べば200メートル離れた敵を仕留められるようになるくらいの理論が構築出来てるなら指導内容に入れられるでしょう」

 

B級狙撃手に最低限求められる狙撃距離は300メートルくらいだ。ツインスナイプとなれば多少射程が落ちても仕方ないが、最低でも200メートルくらい離れた場所にある物を確実に仕留められるくらいでないと実用的じゃない。

 

そして唯一ツインスナイプを撃てる佐鳥がそれを可能にする理論を持ってないから指導内容に入れるのは認められない。

 

ツインスナイプは便利ではあるかもしれないが、一定の実力を持つ戦士を増やす計画に不確定要素なものを持ち込みたくない。

 

「そっか。真剣に考えてくれてありがとう。佐鳥君が聞いたら喜ぶと思うな」

 

佐鳥の場合、原作でも扱いが雑だからな。

 

「気にしないでください。もし相談したい事があれば聞きます。ところで綾辻先輩は防衛任務上がりですか?」

 

「あ、もうこんな時間。これから防衛任務なんだ」

 

「そうでしたか。呼び止めてしまいすみませんでした」

 

「それはこっちのセリフ。2人はミーティングだろうけど時間を割いちゃってごめん。じゃあ2人とも頑張ってね」

 

綾辻はそう言って去っていく。ま、最初はこんなもんだろう。

 

どのみちこれから嵐山隊とはC級育成の際に接点が増えるし、その時に少しずつ仲良くなっていこう。

 

そう思いながら俺は草壁と歩くのを再開するのだった。

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