唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ! 作:ユンケ
屋上に上がると風を吹き込んでくる。幸い今日は曇りだからそこまで暑くない。
俺達は屋上にあるベンチに座る。正面には三門市が広がっていて絶景である。
「それで唯我先輩は良い案は浮かんだ?」
ベンチに座ると草壁が早速話しかけてくる。
「そうだな……以前B級に上がれそうな狙撃手については1ヶ月の研修をさせるって提案したが、見込みがある攻撃手や射手や銃手にも早いうちから経験を積ませたいし研修をさせたいな」
上の世界に興味を持ってくれるならモチベーションも上がるだろう。何だかんだ言ってモチベーションが1番重要だからな。
「それと防衛施設の操作についても学ばせたい。現在防衛施設の操作は中央オペレーターが担当してるけど、そっちの負担を減らしておきたい」
大規模侵攻が起こった際にC級下位に基地内部で防衛施設の操作をやらせれば、ラービットに拉致されない可能性が増す。
問題があるとすればエネドラが本部に侵入する事だが、迅を利用して通気口に対策をしておくし、可能なら基地の外でエネドラを仕留めたい。
「つまり居場所を提示して、やる気を失わせないということね?」
「まあな。やるべき事がないと人間ってのはやる気を出さないで、いざって時に動けないからな」
社内ニートなんかはそれな。仕事を割り振って貰えずにやる気を無くし、久々に仕事を貰えたかと思えばミスをして悪循環に陥るなんてザラだ。
まあ前世で働いていた会社は社内ニートなんか居なかったけど。仕事が出来ない社員は兎に角怒鳴られまくっていたので、死にものぐるいで実力を上げる、もしくはバックれていた。
「そうね。それと防衛施設についてなんだけど、私としてはトリオン兵の足止めトラップ以外にも対人型近界民向けのトラップについても設置したいわ」
確かに人型近界民に備えた無人トラップもあった方が良いだろうな。
「具体的なアイデアはあるのか?」
「大量のトリオンを注いだメテオラ大砲とかね。圧倒的な爆風で相手の防御もろとも吹き飛ばすくらいの物を希望するわ」
なるほど。相手の小細工を全て吹き飛ばすくらいのメテオラは便利だ。それがあればアフトクラトルのエネドラやランバネイン、ヒュースあたりなら倒せるだろう。
ただ問題はミラだ。空間を操作する黒トリガーを所有しているので、弾を転移してボーダー基地に向けたりしたら基地に大ダメージが与えられるだろう。
仮に草壁の案が実現するなら、基地の壁を壊せない程度に抑える必要がある。まあその辺りは迅に何とかしてもらおう。普段は胡散臭いが、ボーダーの為なら身を粉にして働く男だし。
「悪くないな。しかし爆風や爆発によって生まれる瓦礫とかを考えると市街地から離れた場所しか撃てないように細工する必要があるな」
「警戒区域全周に壁を作れたらありがたいけど」
一理ある。トリオン兵達が市街地に入らないようにする事も可能だし、勇気試しに一般人が警戒区域に入る事を防げるしな。
「悪くないがそれやったら一部の馬鹿から少なからず批判が来るぞ」
ボーダー基地は三門市の中心にある。そして警戒区域全周に壁なんか設置したら、ボーダーが三門市を支配しているように見えなくもない。
ボーダーは三門市に不可欠な存在だが、その立ち位置を嫌っている人間も多いから支配者のように思わせる体制を構築するのは悪手だ。
やるなら大規模侵攻が起こってから、もしくは更に組織が成長してからだ。
「そうね。全く、口だけで達者で実力のない人間は邪魔だわ」
草壁の容赦ない指摘には苦笑いを浮かべるしかない。
(しかしこうやって話すのも楽しいな)
前世でもプレゼンや計画の実行はした事がある。しかし上司に無理矢理やらされたものであり、毎日怒鳴られ、プレゼンで失敗したら罵倒され成功すれば手柄を横取りされるなど地獄でしかなかった。
一方、自分の意思で立案して、協力者と友好的に話し合いながら進めていくとやり甲斐を感じる。
そういった意味じゃ唯我尊であろうとこの世界に来たのは正解だ。もしも前世に居残っていたら過労死していたかもしれないしな。
「どうしたの唯我先輩。いきなり笑って」
どうやら口元が笑っていたようで草壁に質問をされる。
「いや、こうやって色々考えるのは楽しいって思っただけだ」
「そう……ところで前から思ってたんだけど、唯我先輩って二重人格なの?」
そういや草壁は以前上層部にプレゼンをした際に「唯我尊は2人いる」って発言を聞いたんだったな。
「いずれ話す」
お前と付き合いが深くなった場合は既に柚宇達にも話した以上、話すつもりだ。
「そう……気になるのは否定しないけど無理には聞かないわ。とりあえず意見を纏めて、正式入隊日以降に改めて上層部に進言出来るようにしないといけないわね」
まあ妥当だ。幾ら意見を纏めても、ある程度実績を積まないと絵に描いた餅だ。全ては正式入隊日における行動次第だ。
そう思いながらも俺は草壁との意見の交換やデータの纏めに勤しむのであった。
1時間後……
「さて、大分意見も纏まったし今日はこの辺りで終わりにするわ」
「だな。勝負は正式入隊日だな」
俺にとってもその日がガチで勝負どころだ。といっても草壁との合同計画の話ではなく、ハーレム計画の方だ。この日に勝負を決めないと、次のチャンスに持ち越しだがそうなったらいつになるかわからないからな。
俺は正式入隊日に頑張ることを決心しながらベンチから立ち上がる。一拍おいて草壁も立ち上がったので基地内に戻ろうとした時だった。
「っと」
突如突風が吹き、足を止めてしまう。そして……
ぶわっ
草壁のワンピースが捲れ上がりピンク色の下着が露わになる。
「っ!」
草壁は真っ赤になってスカートを抑え、俺を睨みつけてくる。ここで言い訳をしても無意味だし素直に謝ろう。
「済まん。見ちまった」
小さく頭を下げる。こういう時は下手に言い訳をしないのが吉だからな。
「……まあ風が原因だから唯我先輩は悪くないけど、直ぐに忘れて」
流石に八つ当たりはしないようで、草壁は恥ずかしそうに睨みつけながらも文句は言ってこない。
「わかってる。直ぐに忘れる」
「そうして」
草壁は赤くなりながらも歩き出すのでそれに続く。しかしピンクとはクールな見た目に反して中々可愛いのをチョイスしてるな。ギャップがあって良いと思う。
これは忘れられないと思いながらも基地内に戻り、エレベーターに乗る。
そして太刀川隊作戦室がある階に到着したのでエレベーターから降りる。
「じゃあまたな。何か進展があったら直ぐに共有な」
「ええ。じゃあまた」
草壁は恥ずかしそうにしながらも会釈をしてくるのでこちらも会釈をして太刀川隊作戦室に入る。
「お〜、竜賀さんお帰り〜。話し合いは終わったの?」
「まあな。中々有意義な時間だった」
自分には考えつかない意見は参考になるし、最後の一件は忘れられないだろう。
「なら良かったよ。これからどうするの?」
「少し疲れたから休む」
「そっか。じゃあ一緒に休も?」
俺が返事をする前に柚宇は俺をソファーまで連れて座らせて抱きついてくる。
「えへへ〜、竜賀さ〜ん」
甘えん坊全開の柚宇は凄く魅力的で何も言えなくなってしまう。ま、それはそれでありだけどな。
こうして夏休み最後の日は時間が許す限り柚宇に甘えられまくる形で幕を下ろした。
2学期からは俺自身の実力向上やB級隊員増加計画、ハーレム計画などやる事が沢山あるし、頑張っていかないとな。
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