唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第119話

「あー、最後の最後で負けたか……」

 

ブースのベッドから身体を起こしてモニターを確認する。

 

影浦⚪︎⚪︎✖︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎✖︎⚪︎ 12417→12472

唯我✖︎✖︎⚪︎✖︎✖︎✖︎✖︎✖︎⚪︎✖︎ 7014→6959

 

10本勝負をして2勝8敗で俺の負けだ。個人ポイントには差があるのでそこまで減らなかったが、折角7000代だったポイントが6000代に落ちてしまった。

 

やっぱり影浦はやり難い。サイドエフェクトにより初見殺しの技が通用し難いし。

 

実力なら影浦より太刀川や桐絵の方が強いが、厄介さなら影浦の方が上だ。

 

『よう。最後の乱射は面白かったぜ』

 

影浦から通信が入る。最後の乱射とはグラスホッパーを自身の銃を持つ腕にぶつけて、狙いをランダムにした戦術だろう。

 

「ああでもしないと出し抜けないかと思ったので。というか影浦先輩こそあんなフェイントを使うとは思いませんでした」

 

影浦もフェイントを使わないわけじゃないが、スコーピオンを振るう腕の軌道を誤魔化す時くらいだ。まさか必殺技を囮にもぐら爪の両攻撃をするとは思わなかった。

 

正直アレは攻撃手相手ならかなり有効だろう。影浦がマンティスの構えを見せたら大半の攻撃手は両シールドを頭と心臓部に展開するからな。

 

『アレか。いやこの前の防衛任務で混成部隊だったんだけど、東のおっさんが色々アドバイスしてきたから、初見殺しの技を多く持つ唯我で試したんだよ』

 

なるほどな。しかし影浦が頭を使うなんて想像出来ないな。原作のランク戦でも楽しむ事を最優先にしていたし。

 

しかし……

 

「そうでしたか。とはいえこちらも勉強になりましたよ」

 

スコーピオンを2つ繋げるマンティスは両攻撃の一種であるが、それをフェイントに別の両攻撃ってのは面白かった。置き弾とかと組み合わせれば中々良い戦術を構築できそうだ。

 

しかし……

 

「とはいえ悔しいんでもう10本勝負お願いします」

 

幾ら相手が格上とはいえ、負けたのは悔しいからな。

 

『良いぜ。また悔しい思いをしても文句を言うんじゃねぇぞ?』

 

モニターからは影浦の好戦的な声が聞こえてくる。やはりボーダーの攻撃手って戦闘狂だらけだな。

 

 

そう思いながらも俺は再度10本勝負を申請するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜、疲れた〜」

 

夕方、俺は夏の暑い夕日を浴びながら帰路につく。ボーダー基地では基本的にトリガーを起動してるので肉体的には疲れてないが、精神的に疲れてしまった。

 

結果的に影浦とは40本戦ってしまった。トータルで10勝30敗で勝率は2割5部。俺としては勝率3割を目標としていたので中々悔しいものがある。

 

しかもその後は俺と影浦との勝負を見ていた荒船や村上と戦い、いざ帰ろうとしたら香取が勝負をふっかけてきたので初見殺しの連発でもぎゃっと泣かせて、再度帰ろうとしたら戦闘狂の米屋に捕まった事で戦い、今度こそ帰ろうとしたら負けず嫌いの木虎に捕まってまたランク戦をやる羽目になったのだ。

 

今日は中々運が悪いようだ。朝から良い夢を見たので1日中、良い事があるかと思ったのに……

 

そう思っている時だった。

 

「竜賀さん」

 

背後から声をかけられる。俺を竜賀呼びしている事、声の色から誰が呼んだかわかった。

 

「玲か」

 

振り向くと案の定玲がいた。隣には桐絵もいる。しかし何故か2人とも不機嫌そうだ。

 

「どうした玲?桐絵も不機嫌そうだが」

 

こんな風にあからさまに不機嫌になっているなんて……もしかして草壁の下着を見た事がバレたのか?

 

あり得そうなことに冷や汗を流し始める中、桐絵が口を開ける。

 

「聞きたいことがあるんだけど、竜賀さんは柚宇さんを新しく借りたアパートに泊めて、その際に一緒にお風呂に入ったって本当?」

 

そ、そこか……

 

「ああ。柚宇から聞いたのか?」

 

「ええ。ドヤ顔で大きな胸を張りながら楽しそうに語ってたわ」

 

容易に想像出来るわ。柚宇の奴、告白したからか更に積極的になってきた気がするな。

 

「随分国近先輩と仲良くなってるわね」

 

玲は不機嫌丸出しの声でそんな事を言ってくる。ここはあたかも鈍感さを出そう。嫉妬云々言うのはまだ早い。

 

「まあな。俺の正体を知ってからも、どんどん仲良くしてくれる柚宇には感謝しかないな」

 

その言葉に玲と桐絵の額に青筋が浮かぶが、これはもちろんわざとだ。

 

「あっそ。じゃああたし達も竜賀さんともっと仲良くなりたいって言ったら仲良くしてくれるの?」

 

試すような眼差しを向けながら詰め寄る桐絵。玲も似た表情を浮かべながら俺を見ている。

 

「そりゃな。俺の正体を知ってる人間に対しては素を出せるから仲良くしたいな」

 

「じゃあ竜賀さん。私が竜賀さんともっと仲良くなりたいから、竜賀さんの借りてる部屋に泊まりたい、一緒にお風呂に入りたいって言ったら了承してくれるかしら?」

 

そう言いながらも玲からは圧力を感じる。まるで断ったら許さないと言われてる気がする。

 

「玲が望むなら別に構わないが」

 

「そう……嬉しいわ。楽しみにしてるから」

 

そう返すと玲は嬉しそうに笑い、桐絵が不機嫌になる。

 

「狡い!だったら私も竜賀さんの借りてる部屋に泊まりたいわ!良いでしょ!」

 

そう詰め寄る桐絵だが、強気な態度に反して目には不安な色を宿している。桐絵って1番乙女だよな……

 

「別にいいぞ」

 

「本当?!絶対だからね!」

 

了承の返事をすると桐絵は嬉しそうに詰め寄ってくる。そんな態度をされると愛おしく思う。

 

「まあそれは今後予定を合わせて決めようか。それより帰る途中なら送るぞ」

 

少しでも長く2人と居たいからな。

 

「そう……じゃあエスコート宜しく」

 

「頼りにしてるわよ!」

 

2人は言いながら俺の腕に抱きついて指を絡めてくる。2人を見直せば幸せそうな表情で俺を見てくる。

 

そんな2人に癒されながらも歩くと、3分もしないで玲の家に到着する。

 

「じゃあ竜賀さん。エスコートありがとう……んっ」

 

ちゅっ

 

すると玲は桐絵が見ている前で俺にキスをしてきた。それを見た桐絵は真っ赤になって慌て出す。

 

「なっ!なななななな何をしてんのよーっ!」

 

ぎゃーすって叫び声が似合いそうな態度を出しながら桐絵は玲に怒鳴るが玲は薄い笑みを浮かべる。

 

「あら?ただエスコートのお礼をしただけよ。助けられたら感謝の気持ちを伝えるなんて当たり前の事よ」

 

言いながら玲は家の中に入っていく。それにより桐絵の怒りの矛先が俺に向けられる。

 

「竜賀さんも竜賀さんよ!簡単にキスをされないでよ!」

 

「無茶言うな」

 

まさか桐絵の見てる前でキスをしてくるなんて予想出来ねぇよ。

 

「とりあえず夜遅いし行くぞ」

 

「あっ、ちょっ……!」

 

言いながら桐絵と腕を組みながら歩き出す。最初は不機嫌丸出しの桐絵だが、頭を撫で撫でしたりしたら少しずつ機嫌を直し、桐絵の家に到着した時にはいつもの桐絵に戻っていた。

 

「送ってくれてありがと」

 

「気にすんな。じゃあまたな」

 

言いながら桐絵の前から去ろうとするが、服の裾を掴まれるので振り向くと真っ赤になった桐絵がいた。

 

「どうした?」

 

「えっと………お、送ってくれたお礼だから!」

 

ちゅっ

 

桐絵は俺を引っ張って距離を縮めてからキスをしてくる。玲のキスとはまた違った甘みが広がる。

 

暫くキスをすると桐絵は真っ赤なまま指を突きつけてくる。

 

「じゃあね!お泊まり会については今度話し合うわよ!」

 

桐絵はそう言って早足で家に入っていく。ドアが閉まると俺は動き出す。

 

「やっぱ朝の夢が良かったからか、良い1日だな」

 

願わくば朝見た夢が正夢になって欲しいものだ……

 

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