唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第121話

「パッとしない記録だな……」

 

俺はそう呟きながらC級隊員の戦闘訓練を見ている。しかし大半が武器に振り回されている印象だ。仮入隊してない奴は3分以上はザラにいるし、仮入隊している連中も1分強と原作の新3馬鹿よりも劣っている。原作における空閑の一秒切りが今から楽しみだ。

 

そうこうしていると本命の緑川となる。開幕のブザーが鳴ると全速力でバムスターとの距離を詰め、思い切りジャンプをしてバムスターの頭の上に乗る。

 

そして他のC級がやっているのを見て目が弱点である事を理解しているので、頭上からスコーピオンを振るって目をぶった斬る。

 

「記録 4秒」

 

そんなアナウンスに訓練室は大騒ぎとなる。まあ2位の記録が1分12秒と、絶対的な差があるからな。

 

訓練室を見下ろすと緑川は勝ち誇った顔を浮かべ、大半のC級は驚愕の表情を浮かべ、仮入隊組は忌々しそうに緑川を睨み、木虎は不機嫌になっていた。最後については自分より優れた記録だからだろうが、負けず嫌い過ぎだろ?

 

内心呆れている間にも訓練は続くが、1分を切った隊員は緑川以外に出ない形で幕を下ろした。

 

その後も訓練は続いて、地形踏破、隠密行動、探知追跡訓練と色々な訓練をこなした。

 

原作では初めてで1分以内なら上出来と書かれていたが1人しか出ないとなると、金の卵が出たとはいえ今シーズンは割と不作と言わざるを得ない。

 

 

すると嵐山隊が訓練室を出て、C級隊員がそれに続く。確かオリエンテーションのプログラムによれば戦闘訓練後は地形踏破訓練、隠密行動訓練、探知追跡訓練を経て個人ランク戦の説明で全て終了だった筈だ。

 

そんで正隊員による講習会はオリエンテーション終了後から30分後に行われるので、その時に緑川にコンタクトを取ろう。

 

それにしても入隊前に転生するのも意外と悪くなかったかもしれない。柚宇との接点を作るのが難しくなっただろうが、1から這い上がるってのもバトル漫画みたいで面白そうだ。

 

(というかいきなり出水に蹴りを食らったとかインパクトがあり過ぎたからなぁ……)

 

そんな事を考えながらも俺は訓練をぼんやりと眺めるのだった。

 

 

 

 

 

2時間後……

 

「それじゃあ最後にC級ランク戦についての説明をするから付いてきてくれ」

 

探知追跡訓練が終わると嵐山がそう口にするが、C級隊員の大半は緑川に意識を向けている。

 

緑川は全ての訓練で1位を獲得している。探知追跡訓練ではレーダーの使い方に苦労していたが、機動力を利用して1番早く追跡していた。

 

仮入隊組も緑川の圧倒的な成績に嫉妬する気も失せている。やはり天才ってのは凡人に劣等感を植え付けるのだろう。俺も太刀川や出水を見てると生粋の攻撃手や射手になる気が失せたし。

 

俺もそれに続きC級ランク戦のロビーに向かう。

 

そしてロビーに着くとモニターでは村上と荒船の試合が終わった所が公開されていた。結果は8ー2だ。

 

まだ荒船の方が技術が上のようで村上が負け越している。いくら強化睡眠記憶のサイドエフェクトを持っていても、身体や孤月を動かす技術がないからだろう。

 

しかし今後はメキメキ伸びて、No.4攻撃手になるから末恐ろしいな……

 

 

「ここがC級ランク戦のロビーだ。それじゃあC級ランク戦のやり方を説明する。C級ランク戦は基本的に仮想戦場での個人戦だ」

 

言いながら嵐山は壁にあるブースを指差す。

 

「C級ランク戦のやり方は簡単だ。ブースの中にあるパネルにはブースの番号と武器とポイントが出ている。それが現在ランク戦に参加している隊員だ。好きな相手を選んで押せば対戦が出来る。逆に向こうからも指名される場合もある。対戦をやめたい時はブースから出ればいい」

 

それは問題ないがブースから出ようとしたタイミングで勝負をふっかけられると結構イラってするんだよなぁ。

 

「そして、ポイントが高い相手に勝つほど点がたくさん貰える。逆に自分よりポイントが低い相手だと勝っても余り貰えず負けた時に沢山取られる」

 

まあポイントが離れ過ぎてる相手と戦う奴は早々いないけどな。一部例外はいるが、ポイント=強さだし。ただし太刀川は例外だ。アイツはポイントが桁違いだから、誰が相手でもポイントが離れ過ぎてるし。

 

「それじゃあ2人組になって試しにやってみよう!好きな相手と組んでくれ」

 

嵐山はそう言うが、誰も緑川とは組まない。まあ負けるのがわかってるからな。

 

そうこうしていると奇数人数だったようで緑川だけ余る。これは誰かが二戦やるのか?それとも新入隊員じゃないC級とやり合うのか?

 

そう思っていると、緑川が嵐山達に近寄り何かを話す。すると木虎がギョッとした表情を浮かべたかと思えば不機嫌な表情になる。何を話してんだ?

 

頭に疑問符を浮かべていると、嵐山が俺を見て手招きしてくる。なんか嫌な予感がしてきたな。ともあれ無視するのはアレだし、行くしかない。

 

俺は早足で嵐山のもとに向かう。

 

「何か用ですか?」

 

疑問に答えたのは木虎だった。ただし物凄く不機嫌だ。

 

「唯我先輩は最初からオリエンテーションを見てたからわかると思いますが、彼、緑川君は他の新入隊員とは一線を画するから組む相手がいないから正隊員と戦いたいと言ったんです」

 

「どうせなら1番強い正隊員と戦ってみたいって言ったら、時枝さんがこの場にいる正隊員ではアンタが1番強いって言ったから戦ってみたいって言ったの」

 

木虎の言葉に緑川が補足する。木虎が不機嫌になった理由はアレだな、この場にいる中で1番強いのが俺って評価が出たからだな。負けず嫌いの木虎ならあり得る。

 

つか緑川、初対面の人をアンタ呼びとは中々に生意気だな。

 

しかし俺は気にしない。才能のある人間が偉そうにするくらいで怒るほどじゃない。何せ前世では無能な上司に毎日怒鳴られたし。

 

寧ろ緑川との接点を持つチャンスであった。

 

「なるほど……結論を言うなら条件付きで戦っても良い」

 

「条件?何?」

 

「オリエンテーションが終わってからちょっと時間をくれ」

 

言うまでもなく草壁に紹介するからだ。緑川が原作でいつ草壁隊に入ったかはわからないが、少なくとも入隊初日とは思えないし、可能なら来週までに草壁隊に入れておきたい。緑川の実力なら1週間でB級に上がれるだろうしな。

 

 

「良いよ。今日は暇だし」

 

「決まりだな。トリガーについてはこっちも1種類しか使わないから安心しろ」

 

言いながら俺はトリガーを起動してロングコートに切り替わる。それに伴い新入隊員からは騒めきが生まれるが、多分両肩にあるエンブレムが原因だろうな。

 

「うわ、A級1位だったの?」

 

流石の緑川も驚いてる。

 

「A級1位だが、俺個人の実力はさして高くない」

 

俺の場合、戦術で補っているからA級相手も食らいつけているが、小細工抜きなら甘く見積もってB級上位くらいだろう。

 

「んじゃやるか。適当なブースに入れ」

 

言いながら俺は早足で適当なブースに向かう。しかし途中で……

 

「唯我先輩、オリエンテーションが終わったら勝負してください」

 

負けず嫌いの木虎がそう言ってくる。

 

(どうやら今日は疲労困憊になるかもな)

 

木虎は負けず嫌いで俺が勝つたびにもう一回もう一回と勝負を求めるし、面倒だから多少手を抜くと情けをかけんなと拗ねるからな。

 

よって勝負するとかなり疲れる。香取も似た感じだが、ボコボコにするともぎゃりながら逃げるからありがたいんだよなぁ。

 

「夜なら構わない」

 

そう返しながら俺は適当なブースに入るのであった。

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