唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第122話

ブースに入った俺は隣のブースに入った緑川に連絡を入れる。

 

「聞こえるか?ブースに入ったらモニターを見ろ104が俺だ」

 

『ポイントが7142の所?』

 

「ああ。そんでC級が正隊員と戦うには下にある黒いボタンを押せ。そうすればB級以上にも挑めるようになる」

 

『ほーい……勝負本数が出たけど何本?』

 

「今は一応オリエンテーション中だから1本だ。複数回戦うのは今度にしろ」

 

俺としては10本やっても構わないが、俺個人の都合で第三者の予定を乱すのはアレだからな。

 

そう思う中、対戦申請が来たので受諾する。同時に俺は光に包まれて街の中心に立つ。

 

「凄っ!いきなり街の中かよ!」

 

正面に現れた緑川は驚いているが、これについては俺も同感だ。仮想フィールドに転送なんて漫画のようなシステムだからな。今は転送システムに慣れたが、それでも凄い技術とは思うし。

 

『対戦ステージ「市街地A」、個人ランク戦開始』

 

そんなアナウンスが流れたのでレイガストをシールドモードにして構える。

 

「あれ?そんな武器あったっけ?A級にしか使えないトリガー?」

 

「いや、こいつはレイガストってトリガーでお前らC級でも使えるぞ。まあ人気が低いから使う奴はあんまいないけど」

 

俺がレイガストをガンガン使うようになってからは、偶にB級ランク戦で見かけるようになったが、メインウェポンで使ってるB級隊員は村上だけだ。

 

偶に使う隊員といえば熊谷や笹森のようにガードを得意とする隊員で格上を足止めする際に使っている。

 

「それよりさっさとかかって来い」

 

「じゃあ遠慮なく……っと!」

 

言うなり緑川は右手にスコーピオンを顕現するとこっちに向かって走ってくる。

 

そしてある程度距離を詰めるとチラッと横を見てから右に跳び、石壁を蹴ってからスコーピオンを振るってくるので、右足を軸にして緑川の方に身体を向けてレイガストでガードする。

 

すると緑川は間髪入れずにスコーピオンを何度も振るってくる。その速さは今日トリガーを使ったばかりの人とは思えない速さでB級下位レベルだ。才能だけ見ればボーダーでもトップクラスだろう。

 

しかし……

 

「視線で剣の動きがバレバレだ。少しずつ相手を真っ直ぐ見ながらでも攻撃出来るようになった方がいいぞ」

 

緑川は攻撃の度に目を動かすので何処から剣が来るのか先読みできる。

 

「アドバイスって……余裕だね!」

 

癇に障ったから緑川の攻撃は苛烈になるが、流石に今日初めてトリガーを使う人間の剣の対処は余裕だ。こちとら太刀川隊に相応しい人間になれるようにあらゆる隊員とやりあってきたんだ。

 

多分転生してから今日までの間に行ったランク戦の数は、他の隊員よりも多い自負がある。

 

そう思いながらも緑川の攻撃を捌いていくが、徐々に大振りになっているがそれは悪手だ。

 

「スコーピオンは相手の防御を叩き割るタイプの武器じゃない。相手の防御をすり抜けるタイプの武器だから、大きく振るうより足などからも出して戦え」

 

「うわぁっ!」

 

そう言いながら俺はレイガストで緑川にシールドバッシュをぶちかます。まあスラスターを使ってないから余り吹き飛ばなかったけど。

 

俺は緑川が立ち上がるのを待つと緑川はスコーピオンを消して、足や腹から刃を出している。それを繰り返していると腕と腹から同時にスコーピオンを出している。

 

(C級は1つしかトリガーを持てないし、アレは枝刃だな)

 

追撃はしない。今は勉強しているようだからな。

 

暫く待っていると緑川は慣れてきたのか俺と向き合う。

 

「作戦は浮かんだか?」

 

「まあね。待っててくれたの?」

 

「どんな手を使ってくると興味を持ったからな」

 

スコーピオンは強い攻撃手より発想力が豊かな攻撃手が持った方が厄介だ。自由さが売りのスコーピオンをどう使うか興味がある。

 

「余裕だね。確かに俺じゃアンタに勝つのは無理だろうけど、せめて1発当ててみせるよ」

 

「来い」

 

そう告げると緑川は突進を仕掛ける。その際にさっきとは違い露骨に違う方向に目を向けてないが……

 

(身体が正面を向いてない……左だな)

 

身体が向いてる方向を見ながら左足を前に出し、軸にして身体を左に向ける。

 

同じタイミングで緑川が左に跳びながらスコーピオンを振り下ろしてくるのでレイガストを上に掲げて迎撃の構えを取る。

 

しかし次の瞬間、緑川のつま先からスコーピオンが出る。レイガストのシールド変化は間に合わないので後ろに下がろうと考えた時だった。

 

何と緑川の腹の部分からスコーピオンが速いスピードで出てきたので、慌てて斜め右後ろに跳ぶ。その際にスレスレで回避できたが、反応が僅かに遅れていたら、掠っていただろう。

 

「くっそ〜!行けると思ったのに!」

 

緑川は悔しそうに叫ぶが、俺としては面白いものを見れた。まさか手、足、腹の三箇所を利用した枝刃を使うとはな。

 

俺はこれまで余りスコーピオンを使った事はなかったが、試してみよう。アレは格上を食える戦法だ。

 

そういった意味では今回緑川と戦えたのは良かったと思う。

 

(とはいえ、そろそろ終わらせるか)

 

「良い一撃だ……が、そろそろこっちも反撃するぞ」

 

「っ!」

 

緑川が構える中、俺は地面を蹴ってから即座に距離を詰めにかかる。

 

対する緑川は横に跳ぼうとするが、その前にレイガストの形を広げて、緑川の軌道上まで伸ばす。

 

結果、緑川はレイガストにぶつかり勢いを弱めるので、そのままシールドバッシュをぶちかます。

 

「うわぁ!」

 

そして背後の壁に背中をぶつけ、体勢を崩すのを見ながらレイガストをブレードモードに変え、ブーメランを曲げるように投げつけて緑川の胴体を斬り真っ二つにする。

 

「くそ〜!」

 

最後に悔しそうな声を上げながら緑川はベイルアウトする。

 

『個人ランク戦終了。勝者、唯我尊』

 

そんなアナウンスを聞きながら俺もブースに戻される。ベイルアウト用のベッドから身体を起こしてモニターで通信を入れる。

 

「入隊初日としては上出来だったな。今後は細かい攻撃を練習しとけ。トリガーを使うときの身体の耐久力は皆同じだからな」

 

『は〜い。次は負けないから!』

 

「1年早ぇよ」

 

『そこでリアルな数字言うのやめてくんない!』

 

いや実際お前は1年ちょっと9000以上のポイントを持つからな。その頃には俺も対策しない限り、足元を掬われてしまうだろう。

 

努力や戦術で誤魔化してるが、俺は才能のない凡人だからな。少しでも鍛錬をサボれば直ぐに実力は落ちていく。

 

まあサボる気はないが、少なくとも今現在俺を好いている3人にサボってるところを見せたら幻滅される可能性が高い。

 

人間の好感度って上げるのは難しい癖に、落ちる時は呆気なく落ちるから腹立たしい。

 

よって俺は努力は怠らない。

 

 

 

 

全ては俺自身の野望を叶えるために。新学期に見た夢、柚宇や桐絵や玲に加え、草壁や綾辻の5人から愛されるという夢を正夢にする為に頑張るつもりだ。

 

 

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