唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第123話

「お疲れ!唯我も付き合ってくれてありがとう!」

 

ブースから出ると嵐山がニカっとした笑みを向けてくる。相変わらずの裏のない爽やかさだ。ハーレム計画を立てている俺からすれば眩し過ぎて直視することが難しい。

 

まあハーレム計画を放棄するつもりはないけどな。

 

「いえ。こちらとしても有意義なデータを得られたんで」

 

最後の緑川の3本の枝刃は中々良い作戦だった。腕が上がれば恐ろしくなるだろう。

 

何にせよ……

 

「約束通り戦ったんだから緑川は後でちょっと付き合って貰うぞ」

 

その為に目立つ真似をしたんだからな。

 

「それは良いけど、何をするの?」

 

「俺の知り合いに才能のあるスピード系攻撃手を求めてる部隊長がいてな。ソイツにお前を紹介したいんだよ」

 

「その人って迅さん?俺迅さんって人とチームを組みたいんだけど」

 

そういやコイツは迅に助けられてボーダーに入ったんだったな。

 

「迅さんじゃない。というか迅さんは余りに強過ぎるからチームを組む事を禁止されてるから諦めろ」

 

迅も強いが黒トリガーは強過ぎるからな。戦闘記録を見たが桁違いだ。まあシールドが使えないので迅以外の人間が完璧に使えるとは思えないけど。

 

「えー!迅さんってそんなに強いんだ!」

 

そりゃウチの隊長と互角に渡り合える怪物だからな。俺は戦った事ないが太刀川より厄介だろう。予知のサイドエフェクトにより初見殺し技を悉く封殺されるのがオチだ。

 

「ああ。ともあれ迅さんは立場上チームを組めないし、俺の知り合いに話してくれや」

 

「そうなんだ。まあ約束だから良いよ」

 

緑川は納得してくれたようだ。ならこれで今日やるべきことは半分終わったな。

 

「じゃあオリエンテーションに戻ってくれ。嵐山さん達も時間をかけてすみませんでした」

 

「いやいや。試合を見る限りアドバイスをしてたようだし大丈夫だ!講習会の方も頑張ってくれ!」

 

「まあ今日の講習会にて指導者としては出ませんが」

 

最初の講習会は今日入隊した隊員を対象にしているが、今期の新人にレイガストを使う隊員はいないので俺はオペレートと調査に専念する。

 

ハンドガンについてもずっとリボルバー拳銃を使っていたので普通のハンドガンの扱いは得意じゃない。一応C級に教えられない訳じゃないが、俺がやるより普段から普通のハンドガンを使ってる奴が適任だ。

 

もちろん指導役をしないからって油断はしない。講習会における改善案を見つけて次回に繋げないといけないからな。

 

そう返しながら俺は距離を取り、壁際によりかかりオリエンテーションの見学を再開する。

 

以降は組んだペア同士で個人ランク戦が始まるが、入隊したばかりだからか、転生した俺のように動きがガチガチだった。

 

スコーピオンを使っている隊員は緑川の動きや枝刃を真似しようとしているが、身体を上手く動かせず却って酷い動きを晒している。

 

トリオン体の操縦は生身の身体を動かす感覚によって左右されるので、生身で動ける感覚を掴めたらトリオン体で凄い動きを出せるのだ。

 

つまり運動神経が良い奴や日頃からスポーツをやっている隊員ほど良い動きをする。原作で緑川は小学校時代に山奥の学校に通っていたので、その際に野山を駆け回って生身の身体を上手く動かせるようになったのだろう。

 

俺も最近はそこそこ体力をつけてはいるが、まだまだ未熟だ。

 

というか普段碌に身体を動かしてない玲はトリオン体だとピョンピョン跳ねているが、アレって凄過ぎだろ?

 

 

そんな事を考えながらもランク戦を見ていると、やがて最後のペアによる勝負が終了する。

 

「これで全員が終わったな。これで新入隊員のオリエンテーションを終わりにする。各自訓練に励んで正隊員を目指して欲しい。それとこの後に正隊員主導による新入隊員向けの講習会が行われるから、興味のある人は1時間後に戦闘訓練を行った場所に来てくれ!」

 

嵐山はそう締めくくる。確か今日講習会で指導するのは歌川、蔵内、柿崎、犬飼の4人だったがボーダーの中でもコミュ力の高い面子だし、問題は起こらないだろう。

 

そう思っていると新入隊員はゾロゾロと帰路に着いたり個人ランク戦に参加したりと動き始める。

 

そして緑川は俺の方にやってくる。

 

「約束通り俺と会わせたい人のところに行くの?」

 

「ちょっと待て」

 

言いながら俺は携帯を取り出して草壁に連絡を入れようとするが、同じタイミングで「こっちは終わったけど、逸材はいた?」ってメッセージが来た。

 

俺は「お前の部隊に適した逸材がいて、会う約束も取り付けられた。今から会えるか?」と返事をする。

 

すると直ぐに「早いわね。じゃあ作戦室に連れてきて欲しいわ」とメッセージが帰ってきたので、了解と返事をする。

 

「向こう側から連絡が来たから、付いてきてくれ」

 

「わかった。けど講習会に間に合う?」

 

「お前はまだC級だし、そこまで踏み込んだ話はしないだろうから10分ちょいだろ」

 

そんな風に言いながらも個人ランク戦ラウンジを出て草壁隊作戦室に向かう。

 

作戦室に近づくとドアが開いている事に気付いたので中に入ると、草壁がソファーに座っていた。向こうも俺に気付き、会釈する。

 

「お疲れ様唯我先輩。彼がそうなの?」

 

「緑川駿って名前だ。んで緑川よ、こっちがA級7位草壁隊隊長の草壁早紀だ」

 

「いきなりA級に紹介?!俺今日入ったばかりだよ?!」

 

まさかA級部隊とは思わなかったようで驚きを露わにする。

 

「安心しろ。お前の実力なら1週間以内でB級に上がれるし、才能だけ見ればボーダー最強クラスだ」

 

これについてはガチでそう思う。原作で緑川の個人ポイントは9000ちょっとだったが、入隊して1年ちょっとで9000以上は普通に凄い。入隊して2年以上経ってもマスターになれない隊員もそこそこいるし、そう考えると緑川の才能はトップクラスだ。

 

「唯我先輩がそこまで言うなら期待できるわね。じゃあ緑川君。少しだけ話を出来るかしら?」

 

「別に良いけど、講習会には間に合わせて欲しいな」

 

「それは大丈夫。私も講習会には顔を出すから」

 

草壁がそう言ってノートパソコンの起動に入る。これから緑川について簡単に調査するのだろうな。

 

「じゃあ俺は先に訓練室に行ってるから」

 

「あれ?唯我先輩は行っちゃうの?」

 

「一応草壁とは別チームだからな。お前が草壁隊に入った場合における戦略を聞くのはフェアじゃない」

 

緑川の質問にそう返す。実際草壁隊における話し合いに太刀川隊の俺が入るのは筋が違うだろう。俺はあくまで紹介をしただけだ。

 

「じゃあまた後でな」

 

「ええ。わざわざありがとう」

 

「また後でねー」

 

2人と挨拶をしてから草壁隊作戦室を後にする。さて、講習会調査の前に軽食を食べておこうか。

 

そう思いながら俺は食堂に向かうのだった。

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