唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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お待たせしました。

交通事故に遭ったり、コロナにかかったり、それらの影響で生まれた仕事の遅れを取り戻したりと忙しく放置してました。

まだ身辺整理が完全についてないので次回の更新は未定ですが、生存報告の為に投稿します。




第125話

訓練室のオペレータールームには沈黙が続いている。チラッと横にいる草壁を見ると……

 

「っ……!」

 

恥ずかしそうに頬を薄く染めながら睨みつけてくる。しかし俺は芽を逸らすことをしないで見つめ返すと、草壁の頬が更に赤くなりそっぽを向く。

 

どうやら草壁はさっきの行動……俺の手を握り笑顔で礼を言った事は黒歴史だったようで、さっきから気恥ずかしそうにしている。

 

本来なら狭いオペレータールームに2人きりの状況なんて草壁からしたら恥ずかしいだろうが、講習会におけるアシストと記録の仕事があるからオペレータールームから出る気を見せない。

 

まあ俺としては恥ずかしそうな草壁を見ているだけで楽しいけど。

 

(とりあえず後で飯に誘ってみるか)

 

勿論デート的な意味ではなく、お疲れ様会や反省会的な意味の食事だ。草壁についてはこれまでにアプローチをかけた3人より気が強いからアプローチには時間をかけておきたい。急がば回れ、急いては事を仕損じるって言うからな。

 

そう思っていると集合時間まで5分を切った頃、講習会の指導員を買って出てくれた歌川、蔵内、柿崎、犬飼の4人がやって来る。離れた場所には彼らのチームメイトも来ているが、二宮だけインパクトが強過ぎるな。

 

そう思いながらも俺はパソコンを操作して4人に通信出来るようにする。

 

「もしもし?聞こえてますか?」

 

『歌川、聞こえてるぞ』

 

『蔵内だが問題ない』

 

『柿崎だ。大丈夫だぜ』

 

『犬飼オッケー、ところで草壁ちゃんは?』

 

犬飼からの言葉に草壁も意識を切り替えて口を開ける。

 

「いるから大丈夫よ。それと訓練室は3つあるけど、1号室に柿崎先輩、2号室に蔵内先輩と犬飼先輩先輩、3号室に歌川でお願い」

 

『『『『了解』』』』

 

まあそうなるわな。銃手と射手については違いも説明しないといけないし、一緒の部屋にした方がいいだろう。

 

「唯我先輩は3号室のアシストをお願い」

 

3号室……つまり歌川主導のスコーピオン指導か。まあ俺としてはスコーピオンの勉強もしたいと思っていたし、丁度良いか。

 

「ああ……って訳だから歌川よ。トリオン兵や的を出したくなったら連絡を頼む」

 

『わかった。よろしく頼む』

 

歌川からの返事を貰った所で柿崎が4人の前から一歩出て新入隊員に話しかける。

 

『時間だからそろそろ始めるぞ。まずは集まってくれてありがとう。俺は柿崎隊の柿崎国治。今回の講習会では弧月を教えるが、よろしくな』

 

『宜しくお願いします!』

 

そう言いながら優しく笑う柿崎だが、厳しい態度を見せるよりこうやってフレンドリーな態度を見せる方が新入隊員も安心だろう。事実、新入隊員は元気に挨拶をしているし、緊張も薄れている。

 

仮に二宮が指導役として挨拶をしたら緊張が増すし、教える際には容赦ない指摘を淡々として新入隊員にトラウマを植え付ける可能性が高いし。

 

『早速始めよう。弧月を使う人は1号室に、銃手と射手の人は2号室に、スコーピオンを使う人は3号室に行ってくれ』

 

その言葉と共に訓練生は3つのグループに分かれる。スコーピオンを使うグループは全員で緑川も8人だ。

 

8人の前に歌川が立つ。

 

『スコーピオンの担当をする風間隊の歌川遼だ。今日はスコーピオンにおける知識と使い方を教えるけど、宜しくな』

 

『よろしくお願いします!』

 

流石爽やか系イケメンだ。柿崎同様に優しい声で話している。

 

「じゃあ早速始めようか。先ずはスコーピオンの説明をするぞ」

 

まあ説明は大事だ。原作を見る限りC級隊員にはトリガーの説明を碌にしてないだろうし、俺は講習会で説明を重視するように頼んだからな。

 

理由としては原作で三雲修がレイガストにシールドモードがある事を知らなかった事にある。入隊してからの奴が勉強不足なのも問題だが、全く知らないって事は説明が無かったのだろう。その辺りからC級隊員に対する扱いの悪さがわかる。まあ原作だと大半がモブだから仕方ないけど。

 

『既に訓練で使ったからわかるかもしれないがスコーピオンは重さが殆どないから早く振ることが出来る。また形を変える事が出来るので状況によって形を変えていくのも戦術だ』

 

言いながら歌川はスコーピオンを普通の剣の形から、槍のような形に変えている。

 

『すみません。弧月、刀の方は重いんですか?』

 

スコーピオンを出しながら説明する歌川に1人の隊員が質問する。

 

『そうだな。実際に持った方が早いな(唯我、頼む)』

 

「はいはい」

 

最後だけ内部通信で頼まれたので、俺はパソコンを操作して歌川の手に弧月を持たせる。こういう所を見ると訓練室、ひいては訓練室を作ったエンジニアの凄さがわかるな。

 

『これが弧月だが、持ってみてくれ』

 

歌川は弧月を近くにいる隊員に渡す。

 

『っと……結構重いですね』

 

そんな感想が出てくるが実際、弧月とレイガストは結構重い。片手でも持てないって事はないが両手で振るよりも剣速はかなり落ちるし、バランスが若干悪くなる。ウチの隊長は両手で2本の弧月を振るっているがハッキリ言って異常だ。

 

そう思っている間にも弧月は全員の手に渡っているが皆が重いと評価している。

 

『こんな感じで弧月は結構重い。片手で振ると慣れてない内は弧月に振り回される事が多々あるな』

 

わかる。俺もレイガストを使ったばかりの時は腕に違和感を持っていたしな。

 

『じゃあスコーピオンの欠点はなんですか?これだけなら皆がスコーピオンを使う筈です』

 

『良い質問だ。スコーピオンは軽い反面凄く脆い。試しに弧月を振ってみてくれ』

 

言いながら歌川はスコーピオンを構えて受けの体勢になる。そして最後に持っていた隊員が歌川に弧月を振るうと、スコーピオンは呆気なく砕け散る。歌川は弧月の一撃を避けたが、手からはバラバラになったスコーピオンの破片が落ちていく。

 

『このような感じで受け太刀をしたら簡単に折れてしまう。スコーピオンは守りを捨てたトリガーで弧月は攻防万能のトリガーだ』

 

『じゃあ歌川先輩。レイガストは防御特化って事?』

 

と、ここで緑川が質問する。

 

『ああ。レイガストは攻撃より防御を重視したトリガーだ。今期はレイガストの使い手はいなかったが、講習会前に個人ランク戦でレイガスト使いと戦ったのか?』

 

『うん。唯我先輩に挑んで、ボコボコにされながら指導して貰った』

 

おい緑川。その言い方だと俺が鬼畜みたいじゃねぇか。

 

『そうだったのか(唯我、俺は防衛任務と被って見てないが、お前何をやったんだ?)』

 

「誤解だ」

 

そう前置きしてからオリエンテーションで緑川が強過ぎるたから組む相手がおらず、紆余曲折ありながらも俺と戦った事を話した。

 

『なるほどな。てっきり新人をいびったのかと思ったが、誤解して済まない』

 

「気にすんな。緑川の説明が悪かっただけだ」

 

そう言いながらも俺は訓練室をみながらも飲み物を飲むべく、横にあるリンゴジュースの入った缶を取ろうとするが……

 

ピトッ

 

金属の感触ではなく、柔らかな感触を感じたので横を見ると草壁の手と重なっていた。どうやら草壁も同じタイミングでオレンジジュースを飲もうとしていたようだ。

 

「っ!」

 

草壁はピクンと跳ねてから手を離し、そのまま俺のリンゴジュースを飲んでしまう。

 

しかも飲みかけ。つまりは……

 

「っ!ご、ごめんなさい……」

 

草壁は恥ずかしそうに謝罪するが、嫌でも草壁の口元を見てしまう。

 

俺が口に付けた缶に触れた草壁の柔らかそうな唇を……

 

 

(今は間接キスだが、いずれはマウストゥマウスを目指して頑張らないとな)

 

俺は真っ赤になって慌てる草壁を見ながらそう決心するのだった。

 

 

しかし強気な女子の恥じらいって最高だな、うん。

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