唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第126話

講習会のサポートにおいて俺は歌川のオーダーに応えて、訓練室の操作をしている。仮想戦闘モードである以上、何でも出来るし新入隊員に適した訓練体制を構築出来る。

 

現在歌川はスコーピオンに対してオススメの構え方や振り方、手以外からも上手く出せるようにする方法を一人一人優しくレクチャーしている。

 

他の訓練室でも柿崎、蔵内、犬飼が一人一人に優しく指導している。やはり初心者には優しい指導は必要だ。

 

前世で入社した会社では碌な新人教育を受けれず、先輩の仕事を見て覚えろって無茶振りだった。そのくせミスをすると人格否定してくるから溜まったものじゃない。

 

今思えば、新人の内にやめておけば良かったのかもしれない。そうすれば精神が擦らせずに済んだだろうし。

 

まあそれはともかく初心者には手厚い指導を与えるべきだ。もちろんずっと手取り足取りってのは無理だが、悩んでいる若者を放っておくのは可能な限り無くしておきたい。

 

それに新人や困っている人に対して誰彼構わずに助けておけば、俺自身の評判も更に上がるだろう。

 

既にコネ入隊の汚名は殆ど返上出来たが、まだ俺の悪口を言っている人はそれなりにいる。

 

まあ原因としてはコネ入隊より、日頃から本部で柚宇や玲、偶に桐絵と仲良くしていることによる男性隊員の嫉妬だと思うけど。

 

これについてはハーレムを目指す以上、諦めているがボーダー内で地位を上げておけば大っぴらに貶められることは無くなるし、今はボーダーに全てを捧げる心構えで働くつもりだ。

 

(そしてそれに伴い、草壁との距離を詰めに行く)

 

現在俺が仲良くなろうとしているのは隣で俺と同じく、訓練室にいる指導者達にフォローしている草壁早紀。

 

理想としては今年中に名前で呼んで貰えるようになり、俺が高校に進学するまでにキスをしてくれるまで仲良くなりたい。既に柚宇達からキスをされてる以上、俺からキスをしたらアウトだが、草壁からしてきたらセーフだろう。

 

そう思いながら草壁を見ていると目が合って、草壁は若干恥ずかしそうに身を捩りながら目を逸らす。さっきの間接キスを相当気にしているのだろう。

 

「なぁ草壁」

 

「……何かしら?」

 

若干気恥ずかしそうに聞いてくる。

 

「……今日の指導会が終わったら、次回の指導会の計画を立てるけどさ、それが終わったら、お疲れ会としても飯でも食いに行かね?」

 

そう言うと草壁はジト目になる。

 

「そこで2人きりになって私も口説くの?」

 

どうやら柚宇達を俺が口説いたと、自分も口説くと思っているようだ。

 

間違ってはいないが、間違っていると思わせないといけない。重要なのは相手の警戒心を解くことだ。

 

「2人きり?何を言ってんだ?お疲れ会だし指導会に協力した柿崎さん達も誘うに決まってんだろ。後俺は誰かを口説いた事はない」

 

「え……あ……そ、そうよね。変な事を言ってごめんなさい」

 

草壁はハッとしてから恥ずかしそうに謝る。これで良い。暫くは指導会に参加したメンバー全員と行くようにする。

 

それを2、3ヶ月続けたら、打ち合わせという形で2人きりの食事を、お疲れ様会の合間に入れていく。

 

2人きりの食事については1ヶ月くらいは色気を一切挟まずに行う予定だ。そして1ヶ月くらいしたら趣味などの話題についても出して、話していく。

 

草壁と趣味が同じなら盛り上がるだろうし、違うなら興味を持って知っていくようにすれば話題は作れるだろう。

 

進展する速度は遅いかもしれないが、前世と違って時間は有り余っているのだから焦る必要はない。寧ろこの上なくゆっくりで丁度良い。重要なのは草壁みたいに仲良くなる前にも、柚宇達みたいに仲良くなって下心を見せない事だからな。

 

「でも国近先輩達を口説いてるのは事実じゃないの?女性と魅力があるって褒められて嬉しいみたいな事を惚気られたわよ」

 

どうやらオペレーター界でも俺の名前を有名みたいだ。

 

「当たり前の事を言っただけだが?柚宇さんは同じチームだが、女性として素晴らしいぞ」

 

「……そう(当然のように言ってるなら口説くより凄いわね)」

 

何かこっちを見てボソボソと呟くが何を言っているかまでは聞き取れない。こういう時に菊地原の耳があれば……と、思ってしまう。

 

『草壁。悪いがターゲットの設置を頼む』

 

ここで柿崎から通信が来るが、草壁は恥ずかしそうにブツブツ言っていて反応しない。

 

「草壁」

 

「な、何っ?」

 

草壁の肩を叩くと胸を抱くように焦り出すが、どんな反応だよ?

 

「何って聞いてなかったのか?柿崎さんの部屋にターゲットの設置だよ」

 

「ご、ごめんなさい。直ぐにするわ」

 

草壁は慌てて柿崎がいる訓練室にターゲットを設置するが、様子が変だ。オペレーターは隊員を通信で支援する仕事で、隊員の指示には素早く反応するのが絶対だ。A級オペレーターの草壁が指示を聞かないなんておかしい。

 

俺は草壁に近寄り、話しかける。

 

「草壁。もしも体調が悪いなら無理しないで帰れ。やり方はわかったし、後は俺がやっとく。事情を話せば指導者達わかってくれるだろうからな」

 

訓練室にいる指導者は人格者だ。草壁が体調不良で帰ったと説明しても怒らないだろう。寧ろ柿崎あたりは途中まで送ると申すだろう。

 

草壁は強気な性格だし、強がりを許さないと草壁の目をしっかり見ながら強い口調でハッキリと口にする。

 

「……体調は悪くないわ。少し考え事をしていただげよ」

 

言いながらそっぽを向くが、頬に仄かな赤みがあるのが不安だ。

 

「本当か?顔は赤いが熱は無いよな?」

 

言いながら草壁の額に手を当てる。熱はないみたいだが……少しずつ熱くなっているな。マジで体調不良なら帰らせた方がいい。

 

「べ、別に何でもないわよ。それよりオペレートに集中しなさい。オペレーターとしての唯我先輩はヘッポコなんだから」

 

そう言って俺の胸をポカポカ叩いてくるが、何だその仕草は?ぶっちゃけ凄いギャップがあって可愛いんだけど?

 

とはいえ俺がオペレーターとしての技術は素人に毛が生えた程度の実力なのは事実なのでしっかりオペレートしないといけない。

 

俺は意識を目の前のモニターに向けるが、その際に視線を感じるので横目で見れば草壁がジト目で見ている。

 

「どうした?」

 

俺と目が合うと草壁は目を逸らしてくる。

 

「別に。唯我先輩がちゃんとやってるか心配だったのよ」

 

「いや、俺としてはお前の方が心配なんだが」

 

「……余計なお世話よ。もうミスをしないわ」

 

「なら良いが……もしも気分が悪くなったらこれ飲めよ」

 

言いながら俺は鞄から頭痛薬や吐き気止め、胃薬などを取り出して草壁に渡す。普段加古のハズレ炒飯に当たった際に飲んでいるが、草壁が体調不良なら是非使ってもらいたい。

 

「……何で当たりがキツい私にそんなに優しいのよ」

 

「何言ってんだ?体調悪そうな奴に優しくするのは当たり前だろ。当たりがキツいキツくないは関係ない」

 

体調が悪い時に働くのは本当に辛いからな。前世でブラック企業で体調不良の中で働いていた時も本当に辛かったし。

 

「………馬鹿」

 

草壁は俺に文句を言っているが、気を遣ってそんな反応をされるなんて草壁の攻略は相当難しそうだ。今後は覚悟を決めていかないとな。

 

 

 

 

 

そう思いながらも俺達はオペレートをするが、その後に草壁は訓練が終わるまでに2回もミスをしたり、1回指導者からの指示を聞き逃していたが、マジで何があったのか不安に思ったのは言うまでもないだろう。

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