唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第129話

「…………」

 

草壁早紀は自宅で真っ赤になりながら震えていた。理由は自分の手にある携帯端末に表示されたLINEにある。

 

オペレーターグループのトークについてだが、影浦隊オペレーターの仁礼光がつい先程自分と唯我が抱き合っている写真をグループに出した事を皮切りに大盛り上がりだ。

 

それだけならまだ良い。良くは無いがアレについては自分の過失で唯我は自分を助けてくれたのだ。多少恥ずかしい気持ちはあるが、あの一件については唯我に対して感謝の気持ちを抱いているから、多少の邪推については気にしない。

 

問題はその写真を皮切りに盛り上がり過ぎたからだ。履歴を見れば「草壁ちゃんもいずれ唯我とキスをする」とか「プライベートで抱き合うまで後どれくらい」とか、最終的には「ハーレムメンバーの仲間入り?!」みたいなコメントもあった。

 

(これじゃあ私が唯我先輩に恋に落ちるみたいじゃない)

 

それはないと草壁は思う。二重人格やら改善やらという話をよく聞くが、草壁が変化した唯我と話すようになってまだ2ヶ月以内だが、今日まで彼と過ごした日々を思い出してみる。

 

奇想天外な作戦を使用している事から興味を持ち……

 

実際に話していると傲慢さは一切無く戦術を語り興味が強くなり……

 

一緒にボーダーの体制に干渉する事になり……

 

その中で自分に対する細かな気遣いを見たり……

 

自分にこの上なく甘い入隊当初と打って変わって他人に優しく自分にこの上なく厳しい人間になった事を強く認識させられたり……

 

お互いに気遣う事なく意見をぶつけ合ったり……

 

負けず嫌いであるが故に悪態をつく自分に対して態度を変わらずに接してくれたり……

 

その時間は間違いなく有意義な時間であったと思う。更に事故とは唯我の頬にキスをしたり、間接キスをするように恥ずかしい時間もあった。そしてさっきは自分を助けた際に抱き合ったりしたがあの時に唯我から伝わった温もりは心地良く、また感じたいと思い……

 

(そんな事はないわ。あの時は寒かったから。寒かったから熱が欲しかっただけで、唯我先輩じゃなくても感じたいと思っている筈よ)

 

草壁は先程感じた温もりを思い出したが、即座に首を振る。

 

「それに100歩……1000歩……いや、10000歩譲って、私が唯我先輩に恋しても無駄に終わる筈よ」

 

草壁の知る限り、唯我に恋しているのは国近柚宇、那須玲、小南桐絵の3人だが、3人とも同性の草壁から見ても可愛かったり綺麗な女子だ。

 

対して自分はどうだろうか?見た目はオペレーターの間では評価が高いが、性格については低いと自負している。唯我を前にすると自分の負けず嫌いが発揮して強気になってしまう。そんな自身は客観的に見て可愛げのない女だろう。

 

「そう考えると私の恋は呆気なく……って!これじゃあ私が唯我先輩を好きみたいじゃない。今のは例えよ例え」

 

そう思いながら草壁は携帯を操作してオペレーターグループにある一文を送信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

草壁:邪推はやめてください。唯我先輩は仕事のパートナーであるだけです。唯我先輩の事なんか何っとも思ってないですから、そこのところ勘違いしないでください。

 

 

翌日から「草壁早紀はツンデレである」という噂がボーダーから広まるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

「えへへ〜、竜賀さんって温かいな〜。ちゅっ」

 

俺は作戦室にて柚宇と一緒に寝ている。柚宇の温もりと柚宇が仮眠に使うベッドの温もりがダブルで襲ってきて、更には今みたいに柚宇から偶にキスをされるので、理性をゴリゴリ削ってくる。

 

何故こうなったか振り返ってみよう。

 

朝から基地に向かった俺は最初、何故か真っ赤になって睨みまくる草壁と一緒に昨日の指導会に参加した歌川と蔵内に礼の和菓子を渡した。その際に2人が所属する部隊のオペレーターの三上と橘高から微笑ましい眼差しで俺と草壁を見て、草壁は更に真っ赤になって俺を睨んできた。

 

その後に草壁は俺を睨みながら「昨日約束したように3時に作戦室に来て」と言って去っていた。

 

暫くの間、草壁が去った方向を見ていたが、いつまでも棒立ちするの非生産的なので作戦室に行ったら、柚宇がいて添い寝をして欲しいと頼んできたのだ。

 

勿論大歓迎だが、自分から欲を出したらハーレムの道は厳しくなるので欲に蓋をして大人の対応としてやんわりと遠慮しようとした。

 

しかし柚宇は俺に抱きついて「了解するまで離さない」と言ってきたので、仕方ないといった体で了承して今に至る。

 

「竜賀さんももっと強く抱きしめて」

 

おねだりをする柚宇はクソ可愛い。しかもダイナマイトボディを押しつけてくるし。

 

正直言って今すぐ欲望を解き放って柚宇の身体を隅々まで食べたい気持ちはある。多分柚宇は拒否しないだろう。何せ一緒に風呂に入ったりキスをしてくるのだから。

 

しかしまだ理性を解き放つ訳にはいかない。どんな早くても草壁の攻略を完了して、柚宇と玲と桐絵と草壁を纏めて相手に出来るシチュエーションを構築するまでは絶対に理性を維持するつもりだ。

 

それまでは自分からの行動は抱きつく以上の事はしない。実際、3人からキスをされた事はあるが、俺からキスをした事は一度もない。

 

とはいえ抱きつくくらいはしても大丈夫だろう。柚宇に対しても、玲に対しても、桐絵に対しても、俺の正体を知られる前から抱き合った事はあるから。

 

俺は少しだけ抱きしめる力を強めると柚宇は蕩けた表情を浮かべる。

 

「んあっ……温かくて気持ち良いよぉ。竜賀さん……」

 

柚宇はスリスリしてくる。この小動物可愛すぎだろ?コイツに抱きつく以外のアプローチをしない俺って凄くね?

 

「甘えん坊め」

 

「良いじゃん。女の子は歳上の男性な甘えたいの」

 

「肉体は歳下だけどな」

 

精神は柚宇より歳上であるけど。

 

「細かいことは気にしないよ〜、ところで竜賀さん」

 

「どうした?」

 

柚宇は急に真剣な表情になる。何が重要な事を話すかもしれないので俺は柚宇の口元を見る。

 

暫く柚宇を見ているとやがて柚宇は口を開ける。

 

「私と早紀ちゃんの身体、どっちの方が抱き心地が良い?」

 

「は?」

 

いきなり何を言っているんだコイツは?そんな質問をするって事は昨日の夜に草壁と抱き合っているのを見たって事か?

 

「何故それを知ってるんだ?」

 

「オペレーターのLINEで2人が抱き合っている写真が流れたからだよ」

 

誰だよ撮った奴は?

 

「それで?私と早紀ちゃんの身体、どっちの方が良かった?」

 

そんな質問をしてくるがどう答えようか?

 

身体の柔らかさは柚宇の方が上だ。更に甘えん坊っぷりが追加されて破壊力が抜群だ。

 

一方、草壁の方は身体の柔らかさは劣っているが抱きしめる力は柚宇より強く密着感があった。更に恥じらいが追加されてこちらも破壊力が抜群だ。

 

結論から言うと互角の勝負だ。しかし馬鹿正直に語ったらドン引きされるかもしれない。

 

柚宇の方が良かったと言ったらご機嫌になって甘えてくるだろう。一方、草壁の方が良かったって言ったら不機嫌になるだろう。

 

問題は不機嫌になった場合、どんな反応をするかわからない事だ。逆に「私の方が良いって思えるようにする」ってアプローチを過激にしてきたら大歓迎だが、拗ねて添い寝をやめたら勿体ない。難しい判断だ。

 

ギャンブラーの堤なら躊躇い草壁って言うかもしれないが……

 

「俺的には柚宇……だな」

 

そんな博打を張るつもりはない。実際は同じくらいだが柚宇を選ぶ。

 

「えへへ〜、ありがとう。竜賀さん、大好き……んっ」

 

案の定、柚宇は幸せオーラ全開になって再度キスをしてくるが、もう理性が保てる自信が無くなってきたし、もう少ししたら最もらしい理由をつけて離れた方がいいかもしれない。

 

俺は柚宇の甘えん坊っぷりに煩悩を抱きながらも絶対に自分から手を出さないと、強く決心するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「よう柿崎。訓練上がりか?」

 

「迅。まあな、来月のランク戦に備えて色々試したくてな」

 

「良い心がけだと思うぜ。ほれ」

 

「サンキュー。そういや最近のお前、ぼんち揚を食わないでブラックコーヒーを飲んでばっかだけどハマったのか?」

 

「いや。ハマったというより飲まないとやってられないと言うか……最早元気良く過ごす為に必須というか……」

 

「?何を言ってんだ?飲み過ぎは身体に毒だぞ?少なくとも元気良く過ごす為には不要だろ?」

 

「普通はな。元気良く過ごす為に必須なのは俺限定というか……」

 

「?」

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