唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第134話

 

 

 

「んんっ……」

 

目を覚ますと朝の日差しが目をくすぐる。同時に腕に重みを感じるので左右を見れば桐絵と玲が俺の腕にくっついて離れる気配を見せない。

 

……もう少し寝るか。まだ目覚ましは鳴ってないし、このひと時を俺が起きることで台無しになるのは勿体無いからな。

 

俺は力を抜いて2人の温もりを堪能すると2人の口から声が漏れる。

 

「んんっ……竜賀さんっ、大好きっ……」

 

「薬……鎖……手錠……鞭にスタンガン……」

 

……桐絵の寝言は可愛いけど、玲の寝言は物騒なんだけど……誰を拷問する夢でも見てるのか?

 

内心ヒヤヒヤしながらも俺は2人の温もりを堪能する。正直身体を触りたい気持ちはあるが我慢だ。こちらから手を出すのはまだ先だ。まあ今の段階でも充分満たされているから問題ない。

 

そんな風に考えながら30分くらいベッドで転がっていると時間がやってくる。

 

pipipi………

 

目覚まし時計が鳴り響き、左右の2人が薄っすらと目を開ける。そして目を擦るなり……

 

「「おはよう(ございます)」」

 

その言葉と共に寝る前と同じように左右からキスをしてくる。それだけで俺の中で昂りが生まれて今日も頑張ろうという気分になる。

 

命の危険もあるが頑張っていこうじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後……

 

「じゃあ私達はここで失礼するわ」

 

「またね!」

 

「はい。ではまた」

 

ボーダー基地にて防衛任務がある2人と別れて、唯我尊として動く。真木に呼ばれた時間まで20分くらいあるし、食堂でのんびり待つとしようか。

 

そのまま廊下を歩いていると曲がり角で草壁と鉢合わせする。

 

「あっ、唯我先輩。お疲れ様です」

 

「よう草壁、お疲れ」

 

「はい……えっと、合流時間まで時間はありますが、早いうちに話しますか?」

 

「構わない。ただ研修30分前に他の人に呼び出されてるから15分で済ませるぞ」

 

1分でも遅れてみろ。真木から容赦ない罵倒が浴びせられるのは火を見るより明らかだ。

 

「では私の隊の作戦室に来てください。竜司と駿はしばいてからは誰もいないので」

 

おい待て。佐伯と緑川をしばいたって何だ?草壁に何をやったんだ?

 

気になるが何となく藪蛇のような気がするし、黙っておこう。

 

「わかった」

 

俺は草壁の提案に頷く。草壁隊の作戦室は真木隊……じゃなくて冬島隊の作戦室から近いし、悪くないチョイスだ。

 

俺達はエレベーターに乗って草壁隊と冬島隊がある階層に到着して草壁隊の作戦室に入る。

 

「15分しかないし、冷たいお茶で大丈夫ですか?」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

草壁が麦茶を持ってくるので一口飲んでから口を開ける。

 

「さて、お前が聞きたいことを話すが、どこで知ったんだ?」

 

ボーダー基地内では柚宇は俺を尊と呼んでいるが……

 

「すみません。盗み見るつもりはなかったんですが……国近先輩にキスをされている所を見た時に……」

 

ああ、あの時か。これは注意力が欠けていた俺のミスだな。

 

「なるほどな。疑問が解けたし、話すが他言しないで欲しい」

 

「まあ悪巧みをしてない限り話すつもりはないです」

 

「なら良い。俺は唯我尊ではなくてな……」

 

そう前置きしてから俺は自分の生い立ちについて話す。もちろん漫画の世界に入ったのは言わず、トリガーがない世界から来たという設定にした。

 

2分近く話すと最初は驚いていた草壁も納得したように頷く。

 

「なるほど……随分と奇特な展開に巻き込まれましたね」

 

「随分あっさり信じるんだな」

 

「あまりに馬鹿らし過ぎるので逆に信じられます。それに唯我……じゃなくて神城?先輩が二重人格という噂は広まってますから」

 

「そいつは何よりだ。けど俺を神城と呼ぶのはやめてくれ。これまで通り唯我、もしくは竜賀にしてくれ。竜賀なら唯我と聞き間違いって誤魔化せるが、神城は誤魔化せないからな」

 

「そうですね。とはいえボロを出すと悪いので唯我先輩と呼ばせて貰います」

 

それなら問題ないだろう。

 

「しかしよりによって唯我先輩に乗り移るとは災難ですね」

 

容赦ないな。まあ転生当初はガチでガッカリしたけど。

 

「否定はしない。乗り移るなら風間とか二宮がよかったわ」

 

イケメンで強いし言うまでもなく当たり枠だろう。

 

「でも今は成功したんじゃないですか?可愛い女子を3人も侍らせているのですから」

 

若干棘のある口調の草壁だが、そう思われないようにしておこう。

 

「草壁。確かに俺は柚宇達に好かれているとは思うが、侍らせた覚えはない」

 

出しそうにはなったが、ギリギリで耐えている。

 

「そうなんですか?では好かれていると分かっていて、応えないのですか?」

 

「そうだな。確かに可愛いとは思うが現状、異性としては見てないな。実際の歳が離れてるし」

 

「そういえば唯我先輩は前世で何歳だったんですか?」

 

「26」

 

「つまり国近先輩達とは実質10歳以上離れていると……なるほど。国近先輩達がアプローチをしても手を出してくれないと言ってましたが、彼女達を子供と思っているのですね」

 

「そんなところだ」

 

実際は我慢してるだけだ。まあ最近になって厳しくなってるけどな。

 

「色々とわかりました。けど犯罪を犯したりボーダーと敵対するような事はしてないみたいですし、黙ってておきます」

 

「助かる……っと、済まんが待ち合わせの時間が迫ってるからもう行く」

 

「誰と会うんですか?」

 

「真木」

 

「あぁ……潔く殺されてください」

 

「待て。いきなりどうした?」

 

何でいきなり殺されろって言われるんだ?真木については心当たりがないんだけど。草壁は納得しているようだが、マジで何があったんだ?

 

疑問に思いながらも俺は草壁隊作戦室を出て冬島隊の作戦室に向かい、インターフォンを鳴らす。

 

『さっさと入れ』

 

真木の冷たい声と共に作戦室のドアが開くので中に入ると、冷たいオーラを放つ真木がソファーに座っていた。

 

「そこに座れ」

 

真木は床を指差すが床に座れと?

 

俺は仕方なく尻を床につけると……

 

「正座に決まってるだろ」

 

容赦なく正座を指示する。反論したいが、したらやばい気配を感じたので、俺は一旦立ち上がる。

 

「うおっ!」

 

しかし勢いよく立ち上がったので右足が攣ってしまい、前に転んでしまい……

 

「っ……」

 

そのまま両手で真木の両胸を揉んでしまう。中々の揉み心地……って、やばい殺気が!

 

思わず顔を上げると、能面のような表情の真木が俺を見下ろし……

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり正座は良い……そのまま這い蹲れ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ訓練室に行かないといけないわね」

 

草壁早紀はそう言ってから作戦室を出て、エレベーターに向かう。そしてエレベーターが来るのを待っていた時だった。

 

「草壁、ちょっと良いか?」

 

背後から真木に呼ばれるので振り向く。

 

「はい。何でしょうか真木せんぱ……い?」

 

振り返った草壁は絶句してしまう。真木はいつも通りの表情だが、顔には返り血が付いていた。

 

「唯我なんだが急な怪我で医務室に向かったから、訓練室のオペレートは私が手伝うからよろしく頼む」

 

「は、はい……」

 

怪我の元凶であろう真木の提案に草壁はビビりながらも頷く。逆らったらヤバいと本能が語っているからだ。

 

(唯我先輩、何をやったのよ……?)

 

真木が酷評をする事は日常茶飯事だが、暴力を振るうなんて余程の事を唯我がやらかしたのは一目瞭然だ。

 

しかしそれを聞く勇気がない草壁は返り血を見なかった事にして、到着したエレベーターに乗って訓練室がある階層に向かうのだった。

 

尚、その日の草壁のオペレートは隣に座る真木の怒りのオーラに気圧されて、若干のチグハグとなっていてしまったのは言うまでもないだろう。

 

 

 

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