唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第135話

 

 

 

「んんっ……」

 

目を覚ますと白い天井の部屋……加古の外れ炒飯を食った際に良く見る天井が目に入り、横には顔色を悪くした太刀川と堤と三輪がいた。多分3人は外れ炒飯を食べたのだろう。つまり俺は今医務室にいることになるが……そうだ、確か真木の胸を触った事で地獄を見たのだ。

 

いや、アレはマジでヤバかった。能面のような表情のまま攻撃を重ねてきたからな。トリオン体で行くべきだったと後悔してしまう。

 

「失礼します。唯我先輩はいますか?」

 

と、ここでカーテンの向こうから草壁の声が聞こえてくる。壁の時計を見れば研修が終わって20分くらい経過している。

 

「唯我君は寝てるわよ」

 

「ありがとうございます……って起きてるじゃない」

 

カーテンが開かれて草壁が出てくる。

 

「今起きたばかりだ。今日は休んで悪かった」

 

「別に良いですけど真木さんと何があったんですか?唯我先輩に代わってオペレートをしてくれましたが、返り血を付けて無表情のまま怒りのオーラを撒き散らしていて、私も怖かったんですけど」

 

そんな風に言って震えるが相当怖かったようだ。これは話すしかない。話したら草壁に多少嫌われるかもしれないが、その場凌ぎで誤魔化して、真木に後から真実を言われたら詰むからな。

 

「最初に床に座れと言われて普通に座ったら正座と言われたから1回立ち上がったんだが……」

 

「立ち上がったんだが?」

 

「右足を攣って前に倒れて……その際に真木の胸を揉んでしまった」

 

「……………」

 

草壁のジト目が痛い。とはいえ軽蔑の色はそこまで強くないからまだチャンスはあるだろう。

 

「………まあ唯我先輩は相当絞られたようですし、部外者の私が口を挟みませんが、次からは気をつけてください」

 

どうやらボロカスにされたことで充分罰を受けたと判断してくれたようだ。実にありがたい。これで草壁から真木の時みたいにボロカスにされたら泣くぞ。

 

「ああ、気をつける……っと、腹が減ったし食堂に行くか」

 

「寝てた方が良いんじゃないですか?」

 

「倦怠感はないな。当初は痛かったが、後に響かないように調整してくれたのかもしれない」

 

そう言いながら医務室を出て廊下を歩く。

 

「何を食べるのですか?」

 

「うーん……何となくだが中華を食べたいな」

 

「中華……私もご無沙汰ですし、そうしましょう」

 

ラーメンにしようか、それとも麻婆定食にしようか。

 

悩んでいる時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら?中華が食べたいの?」

 

背後から色気のある死神の声が聞こえてきて、俺と草壁はピキリと停止してから、ギギギとブリキのロボットのように振り向くと……

 

「なら2人には炒飯を作ってあげるわ。さっき太刀川くん達に作ったけど材料はまだまだ余ってるしね♡」

 

加古が満面の笑みを浮かべてそう言ってくる。ヤバい、本日2回目の医務室送りになるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ作るけどリクエストはあるかしら?」

 

エプロンを付けた加古が聞いてくる。エプロン姿は美しいが恐怖しか感じられない。

 

(しかし今回はリクエストがあるのがありがたいな。もしかしたら外れ炒飯を回避出来るかもしれない)

 

結局捕まった俺は生き残る方法を模索する。隣にいる草壁も今まで以上に真剣な表情を浮かべているが……

 

「朝は甘いパンケーキだったので甘くない炒飯でお願いします」

 

草壁はそう告げるが上手いな。加古の外れ炒飯は大抵甘いものが入っているからな。俺が直近3回食べた外れ炒飯については、いちごジャム、ブルーベリー、チョコレートと甘いものが入っていたからな。

 

「では俺は今にも男飯って感じの炒飯でお願いします」

 

男飯と言ったら肉やソースやポテトが使われるし、勝ち目はあるだろう。

 

「なるほど……決まったわ!じゃあちょっと待っててね」

 

加古はウキウキしながらキッチンに向かうがマジで当たり来い。でないと本日2回目の医務室送りとなる。

 

内心祈りながら待つこと10分ちょい……

 

「お待たせ〜」

 

加古がキッチンから出てきて俺の前に立ち……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先ずは唯我君ね。はい、チーズコンビーフ炒飯」

 

それはそれは美味そうな炒飯が置かれる。

 

(良し、当たりきた……!)

 

加古の当たり炒飯はガチで美味く、数千円要求されても不満を持たずに払えるくらいだ。俺の要望が丸々通ったようで心から安心したわ。

 

内心喜びに包まれていると加古さんはキッチンに戻っていく。次は草壁だが、要求がそのまま通れば甘味はないので生き延びる可能性は充分ある。

 

まあ通らない可能性もあるが、そこは草壁の運を信じるしかない。

 

そう思う中、加古はキッチンの奥から出てきて、草壁の前に立ち……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早紀ちゃんにはこれ。鯖味噌納豆ジンジャーエール炒飯よ」

 

それはそれはヤバそうな炒飯が置かれる。

 

(うわ、草壁の顔が絶望一色だ)

 

加古の外れ炒飯はガチで不味く、10000円貰えるとしても食いたくないほどだ。

 

というかジンジャーエールを炒飯に使うか?確かにジンジャーエールは豚肉に染み込ませて柔らかくする使い方があるが、炒飯を炒める際に使うなんて初耳だ。

 

 

pipipi

 

と、ここで電子音が加古のポケットから聞こえる。

 

「っと……ごめんなさい。開発室に行く時間だったから席を外すわ。食べ終わったらテーブルに置きっぱなしで良いわよ」

 

加古はそう言って作戦室から出ていく。よって草壁と2人きりになるが……

 

(食えるかこの状況で……!)

 

俺の前には絶品の炒飯、草壁の前には絶望の炒飯が置かれているが、草壁の前で自分の炒飯を食べたら罪悪感で胸が死ぬわ。これが太刀川ならマッハで見捨てて自分の炒飯を堪能しているが、まだ幼い女子の前では堪能出来ない。

 

そんな中……

 

「うぅ……頂きますっ」

 

草壁は震えながらスプーンを手に持つが、目尻には涙が浮かんでいる事に気づく。

 

「っ……クソがっ!」

 

「っ!唯我先輩?!」

 

罪悪感が限界を迎えた俺は草壁の手元にある外れ炒飯を奪い取り、泣く泣く、本当に泣く泣く自分の当たり炒飯を草壁の前に置く。

 

そしてスプーンを持って一気に外れ炒飯を口に書き込む。

 

同時に口の中に説明出来ない不味さが拡がって頭痛と吐き気が襲いかかるが、それを無視してドンドン口にかき込む。手を止めたら再度手を動かすのは無理だ。

 

「やめてください唯我先輩!馬鹿なんですか?!」

 

草壁は止めに入るが、自分が馬鹿だと自分が1番思っているわ。

 

正直当たり炒飯には未練タラタラだしな。けど女子中学生に外れ炒飯は酷すぎるわ……!

 

俺は草壁の制止を無視してスプーンを止めずに食べ続けて、どうにか完食する。

 

「……ご馳走様。草壁もさっさと食え……」

 

俺はもう食欲が一切湧かないからな。草壁も食わないと怪しまれてしまうだろう。

 

というか不味さによって意識も朦朧としてくる。加古の外れ炒飯を食べるといつもこうなるけど、慣れる気がしない。

 

「……が……い!しっ……て……い」

 

草壁が何やら俺を呼んでいるが今の俺には答える事が出来ず、視界が真っ暗に包まれてしまう。

 

 

 

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